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公開番号
2025013957
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-28
出願番号
2024187290,2022563666
出願日
2024-10-24,2021-10-29
発明の名称
腫瘍微小環境をターゲットとする光免疫療法に用いる医薬組成物、治療効果確認のためのマーカー、及び検査方法
出願人
国立大学法人東海国立大学機構
代理人
個人
主分類
G01N
33/53 20060101AFI20250121BHJP(測定;試験)
要約
【課題】抗体による治療や従来の近赤外光線免疫療法(NIR-PIT)による治療では効果を奏さなかった特異的癌抗原が不明ないしは低発現な腫瘍に対しても治療効果を奏する治療法を提供することを課題とする。
【解決手段】腫瘍で発現している免疫チェックポイント分子を標的とするNIR-PITは、腫瘍細胞に細胞死を誘導するだけではなく、免疫チェックポイント分子の発現を増強させる。その結果、複数回の治療によって強い効果を生じさせることができる。また、免疫反応を誘導することから、光照射部の局所的な効果だけではなく、全身的な効果、すなわち転移部に対しても効果を奏する。
【選択図】図9
特許請求の範囲
【請求項1】
対象の腫瘍免疫を増強する医薬組成物の効果を確認するための検査方法であって、
前記医薬組成物が近赤外光線免疫療法に用いる医薬組成物であり、
近赤外光線照射前と照射後に対象から得られた末梢血中のB細胞、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、MDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)、単球/マクロファージ、樹状細胞、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、IL-6、KC(ケラチノサイト由来ケモカイン)、MIP-2(マクロファージ炎症タンパク質2)のいずれか1つ以上のマーカーを測定し、
近赤外光線照射前の値と照射後の値を比較して、
B細胞、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞の減少、又は、
MDSC、単球/マクロファージ、樹状細胞、G-CSF、IL-6、KC、MIP-2の増加のいずれか1つ以上が認められた場合には、
治療効果があると判定する
近赤外光線照射前と照射後のマーカーの変動により治療効果を確認する検査方法。
続きを表示(約 130 文字)
【請求項2】
前記医薬組成物が、
腫瘍細胞で発現している免疫チェックポイント分子に特異的に結合するものである請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記免疫チェックポイント分子がPD-L1であることを特徴とする請求項2記載の検査方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
免疫チェックポイント分子、特に腫瘍で発現している免疫チェックポイント分子を標的とした光免疫療法及びその治療効果を確認するためのバイオマーカー、検査方法に関する。
続きを表示(約 5,900 文字)
【背景技術】
【0002】
近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy:NIR-PIT、以下、NIR-PIT、あるいは光免疫療法と記載することもある。)は、近赤外光線を照射することによって、腫瘍細胞などの標的細胞を特異的に死滅させる治療法である。周囲の細胞を障害することなく、標的細胞のみを局所から取り除くことができる新しい治療法であり、患者の負担も少ないことから注目を集めている。具体的には、標的細胞に特異的に発現している標的分子に結合する抗体等の特異的結合性分子に、近赤外光線によって励起する分子を結合させた複合体を作製する。作製した複合体を標的分子に結合させ、光照射を行い光化学反応によって標的細胞に壊死性の細胞死と誘導するという治療法である。
【0003】
NIR-PITは、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とする抗体であるセツキシマブにIRDye(登録商標)700DX(IR700)を結合させた複合体、RM-1929で臨床試験が実施されている。RM-1929は、第III相試験へと進んでおり、2020年9月には世界に先駆けて日本で承認された。EGFRは、臨床試験の対象となっている頭頸部癌の他、食道癌、肺癌、結腸癌、膵臓癌など様々な固形癌で発現が認められており、EGFRが発現しているこれらの癌に適用することができる。
【0004】
また、NIR-PITは、腫瘍細胞の細胞表面で発現している標的分子に特異的に結合する抗体などの分子と、IR700を結合させた複合体を作製すればよいことから、様々な標的分子を対象とし適用することが可能である。したがって、現在臨床試験が行われているEGFRだけではなく、HER2、PSMA、CEAなど腫瘍に特異的に発現している、いわゆる癌抗原を標的分子とすることが可能であり、種々の腫瘍に広く適用され得る治療法である(特許文献1、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2018-528268号公報
国際公開第2000/031588号
【非特許文献】
【0006】
Kobayashi, H. & Choyke, P.L., 2019, Acc. Chem. Res., Vol.52,pp.2332-2339.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、NIR-PITによる効果を得るためには、EGFRなど標的分子が細胞表面で高発現している必要がある。標的分子を発現していない、あるいは弱い発現しか認められない細胞には、複合体が結合しない、または結合が十分量ではなく効果を得ることができないからである。そのため、NIR-PITが適用できる患者は腫瘍表面で標的分子が高発現している患者に限られる。また、腫瘍は、一つの腫瘍内であっても新たなゲノム異常が蓄積するため不均一性が生じることが知られている。そのため、標的分子の高発現が認められる細胞のみを死滅させるNIR-PITでは、全ての腫瘍細胞に細胞死を誘導することができず、標的分子が発現していないために細胞死が誘導されなかった腫瘍細胞による再発を招くことになる。また、従来のNIR-PITは、光を照射した腫瘍に対する局所療法であり、転移性腫瘍に対する効果はほとんどない。本発明は、免疫反応を誘導することによって、従来のNIR-PITや抗体による治療では抗原の発現量が低く効果を奏さなかった患者に対しても効果を奏する治療法や、光照射を行った局所だけではなく転移性腫瘍に対しても効果を及ぼす治療法の創生を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の医薬組成物、検査方法、及びマーカーに関する。
(1)対象の腫瘍免疫を増強する医薬組成物の効果を確認するための検査方法であって、前記医薬組成物が近赤外光線免疫療法に用いる医薬組成物であり、近赤外光線照射前と照射後に対象から得られた試料中のB細胞、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、MDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)、単球/マクロファージ、樹状細胞、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、IL-6、KC(ケラチノサイト由来ケモカイン)、MIP-2(マクロファージ炎症タンパク質2)のいずれか1つ以上のマーカーを測定し、近赤外光線照射前と照射後のマーカーの変動により治療効果を確認する検査方法。
(2)前記医薬組成物が、腫瘍細胞で発現している免疫チェックポイント分子に特異的に結合するものである(1)記載の検査方法。
(3)前記免疫チェックポイント分子がPD-L1であることを特徴とする(2)記載の検査方法。
(4)前記試料が末梢血である(1)~(3)いずれか1つ記載の検査方法。
(5)近赤外光線免疫療法前と後の試料中のB細胞、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、MDSC、単球/マクロファージ、樹状細胞、G-CSF、IL-6、KC、MIP-2の少なくともいずれか1つの変動を評価する腫瘍免疫を増強する近赤外光線免疫療法の効果を確認するためのマーカー。
(6)前記近赤外光線免疫療法が、PD-L1を標的とする医薬組成物を用いて行われることを特徴とする(5)記載の近赤外光線免疫療法の効果を確認するためのマーカー。
(7)転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物であって、特異的結合性分子に近赤外光線感受性物質が結合した複合体を有効成分とし、前記特異的結合性分子が腫瘍細胞で発現している免疫チェックポイント分子に結合する分子であることを特徴とする転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(8)前記免疫チェックポイント分子が、PD-L1である(7)記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(9)前記特異的結合性分子が抗体又は機能的抗体断片である(7)又は(8)記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(10)近赤外光線感受性物質がフタロシアニン色素である(7)~(9)いずれか1つ記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(11)前記フタロシアニン色素がIR700であることを特徴とする(10)記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(12)複数回の光照射を行うための医薬組成物である(7)~(11)いずれか1つ記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(13)免疫チェックポイント分子以外の標的分子に結合する特異的結合性分子に近赤外光線感受性物質が結合した複合体を有効成分とする医薬組成物と併用することを特徴とする(7)~(12)いずれか1つ記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(14)化学療法剤と併用することを特徴とする(7)~(13)いずれか1つ記載の転移がん用及び/又は再発防止用医薬組成物。
(15)対象の腫瘍免疫を増強するための医薬組成物であって、特異的結合性分子に近赤外光線感受性物質が結合した複合体を有効成分とし、前記特異的結合性分子が腫瘍細胞で発現している免疫チェックポイント分子であることを特徴とする医薬組成物。
(16)前記免疫チェックポイント分子が、PD-L1である(15)記載の医薬組成物。
(17)前記特異的結合性分子が抗体又は機能的抗体断片である(15)又は(16)記載の医薬組成物。
(18)近赤外光線感受性物質がフタロシアニン色素である(15)~(17)いずれか1つ記載の医薬組成物。
(19)前記フタロシアニン色素がIR700であることを特徴とする(18)記載の医薬組成物。
(20)複数回の光照射を行うための医薬組成物である(15)~(19)いずれか1つ記載の医薬組成物。
(21)免疫チェックポイント分子以外の標的分子に結合する特異的結合性分子に近赤外光線感受性物質が結合した複合体を有効成分とする医薬組成物と併用することを特徴とする(15)~(20)いずれか1つ記載の医薬組成物。
(22)化学療法剤と併用することを特徴とする(15)~(21)いずれか1つ記載の医薬組成物。
(23)腫瘍微小環境をターゲットとする近赤外光線免疫療法であって、対象に(7)~(22)いずれか1つ記載の医薬組成物を投与し、光照射前と光照射後に対象から試料を得て、前記試料中のB細胞、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、MDSC、単球/マクロファージ、樹状細胞、G-CSF、IL-6、KC、MIP-2のいずれか1つ以上のマーカーを測定し、光照射前と照射後のマーカーの変動により治療効果を確認し、治療が有効であると判断した場合には、複数回の光照射を行うことを特徴とする近赤外光線免疫療法。
(24)近赤外光線免疫療法であって、(7)~(12)、(15)~(20)いずれか1つ記載の腫瘍微小環境をターゲットとする医薬組成物と、免疫チェックポイント分子以外の標的分子に結合する特異的結合性分子に近赤外光線感受性物質が結合した複合体を有効成分とする医薬組成物とを対象に投与し、光照射を行うことを特徴とする近赤外光線免疫療法。
(25)腫瘍微小環境をターゲットとする近赤外光線免疫療法と化学療法の併用療法であって、対象に化学療法を行うとともに、(7)~(13)、(15)~(21)いずれか1つ記載の医薬組成物を投与し、近赤外光線免疫療法により腫瘍の治療と骨髄抑制の改善を行うことを特徴とする併用療法。
(26)(24)又は(25)の近赤外光線免疫療法であって、光照射前と光照射後に対象から試料を得て、前記試料中のB細胞、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、MDSC、単球/マクロファージ、樹状細胞、G-CSF、IL-6、KC、MIP-2のいずれか1つ以上のマーカーを測定し、光照射前と照射後のマーカーの変動により免疫チェックポイント分子を標的とする近赤外光線免疫療法の治療効果を確認し、治療が有効であると判断した場合には、複数回の光照射を行うことを特徴とする近赤外光線免疫療法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
PD-L1-F(ab’)
2
-IR700の作製を示す。(A)抗マウスPD-L1抗体からPD-L1-F(ab’)
2
を精製し、(B)精製したPD-L1-F(ab’)
2
、及びコントロールIgGF(ab’)
2
にIR700を結合させ作製した複合体の検証結果を示す図。
種々のマウス癌細胞におけるPD-L1の発現をPD-L1-F(ab’)
2
-IR700の結合により確認した結果を示す図。
種々のマウス癌細胞におけるPD-L1-F(ab’)
2
-IR700によるNIR-PITの効果を示す図。光照射後の細胞の変化を示す顕微鏡像。
種々のマウス癌細胞にPD-L1-F(ab’)
2
-IR700を結合させ、近赤外光線照射後の死細胞数の割合によりNIR-PITの効果を解析した図。
ルシフェラーゼアッセイによるNIR-PITの効果を解析した図。
ATPアッセイによるNIR-PITの自然免疫活性化に対する効果を解析した図。
マウスin vivo腫瘍モデルを用い、NIR-PITの効果を検討した結果を示す図。大腸癌細胞株MC38を用いた検討結果。IVISイメージを示す。
マウスin vivo腫瘍モデルでのNIR-PITの効果を示す図。(A)ルシフェラーゼ活性、(B)腫瘍体積による解析結果を示す。
マウスin vivo腫瘍モデルでのNIR-PITの生存に対する効果を示す図。
マウスin vivo腫瘍モデルを用い、NIR-PITの効果を検討した結果を示す図。肺癌細胞株LL/2を用いた検討結果。(A)IVISイメージ、(B)ルシフェラーゼ活性、(C)腫瘍体積による解析結果を示す。
マウスin vivo腫瘍モデルを用い、NIR-PITの効果を検討した結果を示す図。前立腺癌細胞株Tramp-C2を用いた検討結果。(A)IVISイメージ、(B)ルシフェラーゼ活性、(C)腫瘍体積による解析結果を示す。
PD-L1を標的としたNIR-PITが転移部に対しても効果があることを示す図。(A)IVISイメージ、(B)ルシフェラーゼ活性、(C)腫瘍体積、(D)生存曲線による解析結果を示す。
NIR-PIT後に、反対側に再接種した腫瘍細胞に対する増殖抑制効果の解析結果を示す図。(A)実験スケジュールを模式的に示す図。(B)NIR-PIT後に、反対側に接種した腫瘍細胞の腫瘍体積を示す図。
NIR-PIT後のPD-L1発現を解析した図。(A)in vitro、(B)in vivo実験系での結果を示す。
PD-L1を標的としたNIR-PITによる腫瘍内部のT細胞、NK細胞の活性化を示す図。
PD-L1を標的としたNIR-PITによる血液中のT細胞、NK細胞の活性化を示す図。
PD-L1を標的としたNIR-PITによる脾臓内のT細胞、NK細胞の活性化を示す図。
NIR-PITにより変動する血球細胞の解析結果を示す図。
NIR-PITにより変動するサイトカインの解析結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述のように、従来のNIR-PITは腫瘍細胞の表面に高発現している分子を標的分子とする治療方法である。特許文献1や非特許文献1にも、EGFRをはじめ、HER2、PSMA、CEAなど癌細胞に特異的に発現する多くの分子が記載されている。さらに、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4など免疫チェックポイントに関与する分子を標的にすることについても記載されている。
(【0011】以降は省略されています)
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