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公開番号2025012713
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115766
出願日2023-07-14
発明の名称蓄電池の管理方法および電池管理システム
出願人トヨタ自動車株式会社,株式会社豊田中央研究所
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類G01R 31/367 20190101AFI20250117BHJP(測定;試験)
要約【課題】蓄電池のSOCを高い精度で推定しつつ、プロセッサの演算負荷を低減する。
【解決手段】正極活物質は、電荷担体の含有量が多いリッチ相と、電荷担体の含有量が少ないプア相と、リッチ相とプア相とが共存する二相共存相とを含む。バッテリ10の管理方法は、正極活物質の反応序列を示す粒子番号により区別される複数の粒子によって正極活物質を表現する多粒子モデルにおいて、リッチ相、プア相および二相共存相ごとに、その相に属する1以上の粒子間では電荷担体の含有量が互いに等しいと仮定した上で、複数の相の各々について当該粒子の過電圧を算出するステップと、複数の相の各々について過電圧に基づいて反応電流密度を算出するステップと、複数の相の各々の反応電流密度に基づいて、蓄電池のSOCを推定するステップとを含む。
【選択図】図16
特許請求の範囲【請求項1】
正極活物質を含む正極を有する蓄電池をプロセッサにより管理する、蓄電池の管理方法であって、
前記正極活物質は、前記正極活物質における電荷担体の含有量が互いに異なる複数の相を有し、
前記複数の相は、前記電荷担体の含有量が多いリッチ相と、前記電荷担体の含有量が少ないプア相と、前記リッチ相と前記プア相とが共存する二相共存相とを含み、
前記管理方法は、前記正極活物質の反応序列を示す粒子番号により区別される複数の粒子によって前記正極活物質を表現する多粒子モデルにおいて、前記リッチ相、前記プア相および前記二相共存相ごとに、その相に属する1以上の粒子間では前記電荷担体の含有量が互いに等しいと仮定した上で、
前記複数の相の各々について、前記蓄電池の測定電圧と、前記蓄電池の測定電流と、その相に属する粒子の開放電位とに基づいて、前記プロセッサにより当該粒子の過電圧を算出するステップと、
前記複数の相の各々について、前記過電圧に基づいて、前記プロセッサにより反応電流密度を算出するステップと、
前記複数の相の各々の前記反応電流密度に基づいて、前記プロセッサにより前記蓄電池のSOCを推定するステップとを含む、蓄電池の管理方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記多粒子モデルにおいて、
前記二相共存相に属する粒子間では、前記電荷担体の含有量が予められた固定値である一方で、
前記リッチ相に属する粒子間および前記プア相に属する粒子間の各々では、前記電荷担体の含有量が前記反応電流密度に応じて変化する可変値である、請求項1に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項3】
前記多粒子モデルは、前記複数の粒子を表現するための変数として、前記二相共存相に属する粒子の前記粒子番号の最小値および最大値、または、前記二相共存相に属する粒子数を含む、請求項2に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項4】
前記変数の数は、100よりも少ない、請求項3に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項5】
前記多粒子モデルは、前記正極活物質の反応序列を前記複数の粒子の反応抵抗により定め、
前記複数の粒子のうちの前記粒子番号が連続する粒子間の反応抵抗差は、所定値よりも小さい、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項6】
前記多粒子モデルは、前記複数の粒子が互いに等しい粒子径を有し、それにより前記複数の粒子が互いに等しい反応面積および容量を有すると仮定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項7】
前記過電圧を算出するステップは、前記複数の相の各々について、
前記電荷担体の含有量と前記開放電位との間の関係を参照することにより、前記電荷担体の含有量から前記開放電位を算出し、
前記測定電圧、前記測定電流および前記開放電位に加えて、前記電荷担体の濃度勾配に起因する塩濃度過電圧に基づいて、前記過電圧を算出するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項8】
前記蓄電池のSOCを推定するステップは、
前記複数の相の各々について、その相における前記反応電流密度と、その相に属する粒子数と、その相に属する粒子の表面積とを乗算し、
その乗算値を前記複数の相について加算することによって、前記蓄電池を流れる印加電流を算出し、
前記印加電流を前記蓄電池の電池容量で除した値を、前記蓄電池のSOCの前回値に加算することによって、前記蓄電池のSOCの今回値を推定するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項9】
前記蓄電池のSOCを推定するステップは、
前記複数の相の各々について、その相における前記反応電流密度と、その相に属する粒子の表面積と、前記蓄電池のSOCの前回推定時からの経過時間とを乗算することによって、その相における前記電荷担体の含有量を算出し、
前記複数の相の各々について、前記電荷担体の含有量に、その相に属する粒子数を乗算し、
その乗算値を前記複数の相について加算し、
その加算値を前記複数の粒子における全粒子数で除算することによって、前記蓄電池のSOCを推定するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池の管理方法。
【請求項10】
前記多粒子モデルは、前記リッチ相および前記プア相のうちの一方である第1相に属する粒子が他方である第2相に前記蓄電池の充放電に伴い転移した後に、前記蓄電池の充放電が切り替えられた場合に、
前記第2相に属する粒子数が基準値を上回るときに、前記第2相に属する粒子が前記二相共存相を介して前記第1相に相転移すると仮定する一方で、
前記第2相に属する粒子数が前記基準値を下回るときには、前記二相共存相に属する粒子が前記第1相に戻ると仮定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池の管理方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池の管理方法および電池管理システムに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
蓄電池のSOC(State Of Charge)の推定精度を向上させるための技術が提案されている。非特許文献1,2は、リン酸鉄リチウムを含む正極を有する蓄電池のSOCを多粒子モデル(MPM:Many Particle Model)を適用することで推定する技術を開示する。多粒子モデルとは、電極に含まれる活物質(非特許文献1,2では正極活物質)を多数の粒子により表現することによって、SOC推定に関連する電気化学現象を定式化するモデルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-169398号公報
【非特許文献】
【0004】
Hiroki Kondo, Tsuyoshi Sasaki, Pallab Barai and Venkat Srinivasan. Comprehensive Study of the Polarization Behavior of LiFePO4 Electrodes Based on a Many-Particle Model. Journal of The Electrochemical Society, Volume 165, Number 10 Published 6 July 2018.
Tsuyoshi Sasaki, Yoshio Ukyo and Petra Novak. Memory effect in a lithium-ion battery. Nature materials, Volume 12, June 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多粒子モデルの採用により、1粒子モデルと比べて、SOCの推定精度を向上させることができる。その一方で、プロセッサの演算負荷が大きくなり得る。より詳細には、多粒子モデルでは、粒子ごとに変数が使用されるので、(粒子数)×(1粒子当たりのメモリの使用量)のメモリ容量を確保することを要する。したがって、たとえば数千個の粒子が用いられる場合には、メモリの使用量が過度に大きくなり、その結果、プロセッサの演算負荷が過度に大きくなり得る。この課題は、演算資源が限られた演算処理装置(車載のECU(Electronic Control Unit)、携帯端末など)が使用される場合に特に顕著になる。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的の1つは、蓄電池のSOCを高い精度で推定しつつ、プロセッサの演算負荷を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る蓄電池の管理方法は、正極活物質を含む正極を有する蓄電池をプロセッサにより管理する。正極活物質は、正極活物質における電荷担体の含有量が互いに異なる複数の相を有する。複数の相は、電荷担体の含有量が多いリッチ相と、電荷担体の含有量が少ないプア相と、リッチ相とプア相とが共存する二相共存相とを含む。管理方法は、正極活物質の反応序列を示す粒子番号により区別される複数の粒子によって正極活物質を表現する多粒子モデルにおいて、リッチ相、プア相および二相共存相ごとに、その相に属する1以上の粒子間では電荷担体の含有量が互いに等しいと仮定した上で、第1~第3のステップを含む。第1のステップは、複数の相の各々について、蓄電池の測定電圧と、蓄電池の測定電流と、その相に属する粒子の開放電位とに基づいて、プロセッサにより当該粒子の過電圧を算出するステップである。第2のステップは、複数の相の各々について、過電圧に基づいて、プロセッサにより反応電流密度を算出するステップである。第3のステップは、複数の相の各々の反応電流密度に基づいて、プロセッサにより蓄電池のSOCを推定するステップである。
【0008】
上記方法においては、多粒子モデルを用いることによって蓄電池のSOCを高精度に推定できる。また、リッチ相、プア相および二相共存相ごとに、各相に属する粒子間では電荷担体の含有量が等しいと仮定することによって、各相に属する全ての粒子の過電圧(および過電圧に基づく反応電流密度)が一括して算出される。これにより、粒子ごとに過電圧(および反応電流密度)を別々に算出する場合と比べて、プロセッサの演算負荷を低減できる。よって、上記方法によれば、蓄電池のSOCを高い精度で推定しつつ、プロセッサの演算負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、蓄電池のSOCを高い精度で推定しつつ、演算負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施の形態に係る電池管理システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。
セルの構成の一例を概略的に示す斜視図である。
電極体の構成の一例を示す図である。
リン酸鉄リチウムイオン電池において正極活物質が単一粒子であると仮定した場合のリチウム組成と正極活物質の開回路電位との間の関係を示す図である。
多粒子モデルを説明するための概念図である。
比較モデルを用いたSOC推定処理の処理手順を示すフローチャートである。
比較モデルにおける反応序列を説明するための概念図である。
比較モデルにおける各粒子の相転移の仕方を説明するための概念図である。
比較モデルにおける、各粒子を流れる電流を説明するための概念図である。
比較モデルと簡易モデルとの相違点を説明するための第1の概念図である。
比較モデルと簡易モデルとの相違点を説明するための第2の概念図である。
比較モデルと簡易モデルとの相違点を説明するための第3の概念図である。
比較モデルと簡易モデルとの間で多粒子の相転移の考え方を対比するための図である。
バッテリの放電に伴う多粒子の相転移を説明するための図である。
バッテリの充電に伴う多粒子の相転移を説明するための図である。
本実施の形態における簡易モデルを用いたSOC推定処理の処理手順の第1例を示すフローチャートである。
本実施の形態における簡易モデルを用いたSOC推定処理の処理手順の第2例を示すフローチャートである。
変数のバーコード化を説明するための概念図である。
第1の追加ルールを説明するための図である。
第2および第3の追加ルールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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