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公開番号2025012332
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115093
出願日2023-07-13
発明の名称PET判別方法
出願人一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
代理人個人
主分類G01N 21/3563 20140101AFI20250117BHJP(測定;試験)
要約【課題】判別操作が比較的簡単で客観性を有した方法で、ポリエステル系の同系同種の樹脂(繊維を含む)の判別をすることのできるPET判別方法を提供する。
【解決手段】再生PET樹脂である複数の比較樹脂のグループAと、バージンPET樹脂である複数の比較樹脂のグループBとの各比較樹脂の赤外又は近赤外吸収スペクトルを求める。これらの吸収スペクトルから所定の波数域におけるスペクトルデータを抽出し、当該スペクトルデータを多変量解析して得られた解析データ群をデータベースとして蓄積する。次に、未知の樹脂を被検樹脂とし、得られた吸収スペクトルから所定の波数域におけるスペクトルデータを抽出した被検データを求め、多変量解析によりデータベースの解析データ群と照合して、被検樹脂が再生PET樹脂であるかバージンPET樹脂であるかを判別する。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)において、再生PET樹脂とバージンPET樹脂とを判別するPET判別方法であって、
再生PET樹脂であることが既知の複数の比較樹脂をグループAとし、バージンPET樹脂であることが既知の複数の比較樹脂をグループBとして、各グループの比較樹脂に対して赤外線又は近赤外線を照射してそれぞれの吸収スペクトルを求め、
これらの吸収スペクトルから所定の波数域におけるスペクトルデータを抽出し、当該スペクトルデータを多変量解析して得られた解析データ群をデータベースとして蓄積するデータベース作成工程と、
再生PET樹脂であるかバージンPET樹脂であるかが未知の樹脂を被検樹脂とし、前記データベース作成工程と同様にして当該被検樹脂から得られた吸収スペクトルから、当該被検樹脂を比較しようとする前記比較樹脂と同様の所定の波数域におけるスペクトルデータを抽出した被検データを求め、
この被検データを前記多変量解析により前記データベースの解析データ群と照合して、当該被検データと前記データベースの解析データ群との一致性を指標として、前記被検樹脂が再生PET樹脂であるかバージンPET樹脂であるかを判別する判別工程とを有するPET判別方法。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記各グループの比較樹脂及び被検樹脂に対して、波数4000cm
-1
~600cm
-1
の範囲内の赤外線を照射して前記吸収スペクトルを求め、
前記所定の波数域におけるスペクトルデータを抽出して前記データベース及び前記被検データを求め、
前記被検樹脂が再生PET樹脂であるかバージンPET樹脂であるかを判別することを特徴とする請求項1に記載のPET判別方法。
【請求項3】
前記所定の波数域は、波数1400cm
-1
~600cm
-1
の範囲内若しくはその近傍の範囲内であって、
これらの波数域のスペクトルデータを解析に使用することを特徴とする請求項2に記載のPET判別方法。
【請求項4】
前記多変量解析は、部分的最小二乗判別分析(PLS-DA)であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のPET判別方法。
【請求項5】
前記PET樹脂は、繊維形状をしたPET繊維であることを特徴とする請求項4に記載のPET判別方法。
【請求項6】
前記比較樹脂及び前記被検樹脂の吸収スペクトルを求める方法は、ATR法(全反射測定法)であることを特徴とする請求項4に記載のPET判別方法。
【請求項7】
前記PET樹脂は、繊維形状をしたPET繊維であることを特徴とする請求項6に記載のPET判別方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維やフィルム、その他樹脂成型品に使用されているポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)の種類を判別するPET判別方法に関するものである。特に、PET繊維において、従来の方法で合成されたPET樹脂からなるPET繊維と使用済みペットボトルから再生されたPET繊維とを判別するPET判別方法に関するものである。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
市場には多くの樹脂製品が広い用途に流通している。例えば、繊維製品やフィルムなどとして、ナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成樹脂が使われている。これらの中でも、ポリエステル樹脂は、衣料用繊維、フィルム、ペットボトルなどに広く使用されている。また、衣料用繊維としては、最も多く生産されているのがポリエステル繊維である。一般に、衣料用に使われているポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、衣料に適した物性を有して従来から広く使用されている。
【0003】
ポリエステル樹脂としては、PETの他にもポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などがある。PBTやPTTは、繊維としても使用されており、PTTは植物由来の環境配慮素材でもある。また、PET、PBT、PENは、エンジニアリングプラスチックとしても利用されている。
【0004】
近年の環境問題への関心の高まりで、衣料用繊維に関しても環境を意識した素材が望まれるようになってきた。しかし、依然として化学繊維の需要は大きく、その中でもポリエステル繊維(PET繊維)は衣料に欠かせない繊維である。一方、環境配慮素材であるPTTは、ストレッチ性の良さから繊維としても利用される。しかし、PTT繊維は、基本物性やコストの点から、衣料素材としてのPET繊維に置き換わることはできない。
【0005】
一方、PETをリサイクルして、再度PET樹脂として再利用することが行われている。PETをリサイクルして再度PET樹脂として利用する方法には、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルとがある。PETのケミカルリサイクルは、使用後に回収したPET製品を合成原料であるテレフタル酸又はジメチルテレフタレート(DMT)に戻して、再度、エチレングリコールと重縮合してPETを合成する方法である。この方法では、一度使用されたPET製品に染料・顔料などの他の成分が混入している場合であっても利用できるという利点がある。しかし、解重合と再度の重縮合を行うという設備面とコスト面での問題がある。
【0006】
また、PETのマテリアルリサイクルは、使用後に回収したPET製品をPETのままで利用する。PETは熱可塑性樹脂であり、加熱・融解してプラスチック原料のペレットにする。このペレットを通常の方法でPET繊維やPETフィルムとする。この方法では、解重合と再度の重縮合を行わないので設備面とコスト面での問題が少ない。しかし、一度使用されたPET製品に染料・顔料などの他の成分が混入している場合には利用が限定されるという問題がある。
【0007】
そのため、PETのマテリアルリサイクルにおいては、その原料を一度使用されたPET製品の中でも、市場に多く流通しているペットボトルを回収して使用することが行われている。回収ペットボトルは、PET樹脂からなり染料・顔料などの他の成分が混入していない。また、市場においてペットボトルの回収システムが定着している。なお、現状のリサイクルPETは、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルとの両面から進められているが、今後は回収ペットボトルからマテリアルリサイクルされたPETを使用したリサイクルPETの流通が増加するものと思われる。
【0008】
そこで、本発明においては、ケミカルリサイクルされたPETを含まず、回収ペットボトルからマテリアルリサイクルされたPETに限定して「再生PET樹脂」又は「再生PET繊維」という用語を使う。これに対して、新規にモノマーから重縮合した通常のPETに対して「バージンPET樹脂」又は「バージンPET繊維」という用語を使う。以後、本発明を「再生PET樹脂」と「バージンPET樹脂」、又は、「再生PET繊維」と「バージンPET繊維」という用語を使用して説明を進める。
【0009】
以下、PET樹脂を説明するにあたり、衣料用繊維としてのPET繊維を例にして説明する。近年、繊維・アパレル業界でサステイナビリティー(持続可能性)への関心が高まるのに伴い、そのキーワードとしてトレーサビリティー(履歴管理)やトランスペアレンシー(透明性)という言葉が重要視されている。これは、天然繊維のみに限ったものではなく、化学繊維にとっても今後は重要な要素となる。
【0010】
一方、繊維産業は、川上-川中-川下からなる分断された産業構造から、多くの衣料製品の製造過程の情報を追跡することが難しい。再生PET繊維に関しても、その広がりが期待される一方、 回収から紡糸までの製造工程が複雑なことから、トレーサビリティーが難しいとされている。更に、日本の法律においては、再生PET繊維とバージンPET繊維とは、その表示が共に「ポリエステル」となり、販売時に表示義務がないことから環境問題に意識のある消費者が再生PET繊維とバージンPET繊維とを識別できない。
(【0011】以降は省略されています)

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