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公開番号2025002525
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023102760
出願日2023-06-22
発明の名称車両用空調システム
出願人日本碍子株式会社
代理人アクシス国際弁理士法人
主分類B60H 3/06 20060101AFI20241226BHJP(車両一般)
要約【課題】流路構造の簡素化及びコンパクト化が可能な車両用空調システムを提供する。
【解決手段】少なくとも隔壁がPTC特性を有する材料で構成されたハニカム構造体と、一対の電極と、隔壁の表面上に形成された機能材含有層とを含む空調デバイス10と、一対の電極に電圧を印加するための電源20と、空気を空調デバイス10に流入させる流入配管30と、空調デバイス10を流通した空気を車室に戻す第1流出配管40と、空調デバイス10を流通した空気を車外に排出する第2流出配管50と、第1流出配管40と第2流出配管50との分岐部に設けられ、空気の流れを第1流出配管40又は第2流出配管50に切替え可能な差圧バルブ60と、空気の流れを第1流出配管40に切替えるように差圧バルブ60を制御する第1通風機70と、空気の流れを第2流出配管50に切替えるように差圧バルブ60を制御する第2通風機80とを備える車両用空調システム100。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路となる複数のセルを区画形成する隔壁とを有し、少なくとも前記隔壁がPTC特性を有する材料で構成されたハニカム構造体と、前記第1端面及び前記第2端面に設けられた一対の電極と、前記隔壁の表面上に形成された機能材含有層とを含む空調デバイスと、
前記一対の電極に電圧を印加するための電源と、
車室又は車外からの空気を前記空調デバイスに流入させる流入配管と、
前記空調デバイスを流通した前記空気を前記車室に戻す第1流出配管と、
前記空調デバイスを流通した前記空気を車外に排出する第2流出配管と、
前記第1流出配管と前記第2流出配管との分岐部に設けられ、前記空気の流れを前記第1流出配管又は前記第2流出配管に切替え可能な差圧バルブと、
前記空気の流れを前記第1流出配管に切替えるように前記差圧バルブを制御する第1通風機と、
前記空気の流れを前記第2流出配管に切替えるように前記差圧バルブを制御する第2通風機と
を備える車両用空調システム。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記第1流出配管と前記第2流出配管との前記分岐部において、前記第2流出配管が前記第1流出配管の内部に配置された二重管構造を有する、請求項1に記載の車両用空調システム。
【請求項3】
前記第1通風機が前記流入配管に配置されている、請求項1又は2に記載の車両用空調システム。
【請求項4】
前記第2通風機が前記第2流出配管に配置されている、請求項1又は2に記載の車両用空調システム。
【請求項5】
PTC特性を有する前記材料はチタン酸バリウムを主成分とする、請求項1又は2に記載の車両用空調システム。
【請求項6】
前記機能材含有層は、水蒸気、二酸化炭素及び揮発成分から選択される少なくとも1つを吸着する機能を有する吸着材を含有する、請求項1又は2に記載の車両用空調システム。
【請求項7】
前記機能材含有層は触媒を含有する、請求項1又は2に記載の車両用空調システム。
【請求項8】
前記吸着材が吸湿材である、請求項6に記載の車両用空調システム。
【請求項9】
前記第1通風機を起動し、前記空気の流れを前記第1流出配管に切替えるように前記差圧バルブを制御して車室内の除湿を行う除湿モードと、
前記第2通風機を起動し、前記空調デバイスの一対の電極に電圧を印加するとともに、前記空気の流れを前記第2流出配管に切替えるように前記差圧バルブを制御して前記機能材含有層の再生を行う再生モードと
を実行可能な制御部を更に備える、請求項8に記載の車両用空調システム。
【請求項10】
前記車室内のガラスの曇りを検知することが可能な検知部を更に備え、前記制御部は、前記ガラスの曇りが検知されたときに前記再生モードを実行し、前記ガラスの曇りが検知されていないときに前記除湿モードを実行する、請求項9に記載の車両用空調システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調システムに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
自動車などの各種車両において、車室環境の向上に対する要求が高まっている。具体的な要求としては、車室内のCO
2
を低減して運転者の眠気を抑制すること、車室内を調湿すること、及び車室内のにおい成分やアレルギー誘因成分などの有害な揮発成分を除去することなどが挙げられる。このような要求に有効な対策として換気が挙げられるが、換気は、冬場のヒーターエネルギーを大きくロスする要因となり、冬場のエネルギー効率の低下を招く。特に電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)では、そのエネルギーロスにより、航続距離が大幅に減少するという問題がある。
【0003】
上記の問題を解決する方法として、特許文献1及び2には、車室の空気中の水蒸気及びCO
2
などの除去対象成分を吸着材などの機能材に捕捉した後、加熱によって除去対象成分を反応又は離脱させて車外に放出し、機能材を再生する車両用空調システムが開示されている。このような車両用空調システムでは、除去対象成分の捕捉性能を確保するために空気と機能材との接触ができるだけ多いこと、及び機能材の再生を促進するために機能材を所定の温度に加熱できることが求められる。再生は、例えば、機能材に吸着した除去対象成分を酸化反応により除去する方法、及び機能材に吸着した除去対象成分を脱離させて排出する方法などにより行われるが、いずれにしても吸着された除去対象成分の種類に応じて機能材を適切な温度に加熱することが必要である。
【0004】
他方、特許文献3には、外周壁と、外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状ハニカム構造体を備え、隔壁がPTC特性を有しており、隔壁の平均厚さが0.13mm以下であり、第1端面及び第2端面における開口率が0.81以上であるヒーターエレメントが開示されている。このヒーターエレメントは、車室の暖房用途に用いられるものであるが、ハニカム構造を有することで加熱面積を大きくすることができるので、効率の良い加熱手段である。したがって、このようなヒーターエレメントを機能材の担体として使用すると、機能材の再生時間の短縮化に貢献できると考えられる。特に、このヒーターエレメントは、通電による加熱が可能であり且つPTC特性を有するため、機能材を容易に加熱できる一方で、過剰な発熱を抑制し、機能材の熱劣化を抑制することもできると考えられる。また、過剰な温度になってしまう恐れが回避されるので、初期抵抗を小さく設定して加熱速度を速めても安全を確保でき、短時間での昇温が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-104774号公報
特開2020-111282号公報
国際公開第2020/036067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車両用空調システムでは、空気の流れが、電動の切替えバルブ(開閉ドア)によって制御されている。具体的には、除去対象成分を機能材によって捕捉した空気を車室に戻す流路と、機能材に捕捉された除去対象成分を反応又は離脱させて車外に放出する流路との分岐部に設けられた電動の切替えバルブによって空気の流れが制御されている。しかしながら、このような電動の切替えバルブを用いる場合、切替えバルブを駆動させるための駆動部を設ける必要がある。流路の分岐部周辺は複雑な構造を有するため、駆動部を設けるためのスペースが十分でないことがあるとともに、駆動部を設けることによってシステムが大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、流路構造の簡素化及びコンパクト化が可能な車両用空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、車両用空調システムについて鋭意研究を行った結果、電動の切替えバルブの代わりに、通風機の制御によって駆動可能な差圧バルブを設けることにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のように例示される。
【0009】
(1) 外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路となる複数のセルを区画形成する隔壁とを有し、少なくとも前記隔壁がPTC特性を有する材料で構成されたハニカム構造体と、前記第1端面及び前記第2端面に設けられた一対の電極と、前記隔壁の表面上に形成された機能材含有層とを含む空調デバイスと、
前記一対の電極に電圧を印加するための電源と、
車室又は車外からの空気を前記空調デバイスに流入させる流入配管と、
前記空調デバイスを流通した前記空気を前記車室に戻す第1流出配管と、
前記空調デバイスを流通した前記空気を車外に排出する第2流出配管と、
前記第1流出配管と前記第2流出配管との分岐部に設けられ、前記空気の流れを前記第1流出配管又は前記第2流出配管に切替え可能な差圧バルブと、
前記空気の流れを前記第1流出配管に切替えるように前記差圧バルブを制御する第1通風機と、
前記空気の流れを前記第2流出配管に切替えるように前記差圧バルブを制御する第2通風機と
を備える車両用空調システム。
【0010】
(2) 前記第1流出配管と前記第2流出配管との前記分岐部において、前記第2流出配管が前記第1流出配管の内部に配置された二重管構造を有する、(1)に記載の車両用空調システム。
(【0011】以降は省略されています)

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