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公開番号2024126654
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023035196
出願日2023-03-08
発明の名称車両用エアバッグ
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B60R 21/235 20060101AFI20240912BHJP(車両一般)
要約【課題】本発明の目的は、従来技術では得られなかった高強度、熱時の寸法安定性および優れたストレッチ性を備えた縫製糸と、この縫製糸に適切なエアバッグ本体基布とを組み合わせることで、展開時においてもエアバッグ縫製部が優れる低通気性を有する車両用エアバッグを提供することである。
【解決手段】基布からなる本体部と、ポリアミドマルチフィラメントからなる縫製糸で前記基布本体部を袋状に縫製することにより形成された縫製部とを含む車両用エアバッグであって、前記縫製部における100N/cm負荷前後の差圧50kPaにおける動的通気度の変化率が40%以下であることを特徴とする車両用エアバッグ。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
基布からなる本体部と、ポリアミドマルチフィラメントからなる縫製糸で前記基布本体部を袋状に縫製することにより形成された縫製部とを含む車両用エアバッグであって、前記縫製部における100N/cm負荷前後の差圧50kPaにおける動的通気度の変化率が40%以下であることを特徴とする車両用エアバッグ。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
下記(1)~(3)の特徴を有する請求項1に記載の車両用エアバッグ。
(1)本体部に用いる基布の総繊度が200~1000dtex、かつ単繊維繊度が2.5~7.5dtex。
(2)本体部に用いる基布のカバーファクターが1800~2400。
(3)縫製糸の総繊度が300~2300dtex、かつ単繊維繊度2~20dtex。
【請求項3】
前記基布を、前記縫製糸を用いて4.0回/cmで本縫いした縫製部の25℃環境下における破断伸度と、同縫製部の180℃環境下における破断伸度との変化率が10%以下であることを特徴とする、請求項2に記載の車両用エアバッグ。
【請求項4】
下記(A)~(C)の特徴を有する縫製糸により縫合されていることを特徴とする、請求項2に記載の車両用エアバッグ。
(A)強度6.0~9.0cN/dtex、伸度15~30%。
(B)100℃環境下にて10回引張を行った後の伸び率をE10(100℃)としたとき、E10(100℃)<1.0である。
(C)室温下での2cN/dtex荷重時の伸度をM(R.T.)、100℃環境下での2cN/dtex荷重時の伸度をM(100℃)としたときに、M(100℃)-M(R.T.)<0.5である。
【請求項5】
下記(D)~(E)の特徴を有する縫製糸により縫合されていることを特徴とする、請求項2に記載の車両用エアバッグ。
(D)常温環境下にて10回引張を行ったあとの伸び率をE10(R.T.)、120℃24時間の熱処理後に常温環境下にて10回引張を行ったあとの伸び率をE10’(R.T.)としたときに、E10’(R.T.)-E10(R.T.)≦0である。
(E)室温下での2cN/dtex荷重時の伸度をM(R.T.)、120℃24時間の熱処理後に室温下での2cN/dtex荷重時の伸度をM’(R.T.)としたときに、M’(R.T.)-M(R.T.)≦0である。
【請求項6】
硫酸相対粘度ηrが3.0<ηr<4.5である縫製糸により縫合されていることを特徴とする、請求項3~5のいずれかに記載の車両用エアバッグ。
【請求項7】
ポリアミド46マルチフィラメントを使用した縫製糸により縫合されていることを特徴とする、請求項6に記載の車両用エアバッグ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の衝突事故時に乗員を保護する車両用エアバッグに関するものであり、さらに詳しくは、エアバッグ展開時において、その縫製部が低通気性に優れるエアバッグに関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、車両が衝突したときの衝撃から乗員を保護する乗員保護用の安全装置として、エアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両の衝突時に瞬時に膨張することによって乗員を保護する装置で、車両の衝突などの衝撃を受けたときの急激な減速を検知するセンサー、センサーからの信号を受けて膨出用の高圧ガスを発生するインフレーター、インフレーターからの膨出用の高圧ガスにより、膨出展開して乗員の衝撃を緩和するエアバッグ袋体(車両用エアバッグ)、および、エアバッグシステムが正常に機能しているか否かを判断する診断回路を、通常備えている。
【0003】
このような車両用エアバッグに用いられる袋体は、通常、複数の本体基布(パネル)が縫製糸によって縫合されて形成されている。衝突時には、この袋体内部に高圧ガスが瞬間的に流入するため、本体基布および前記縫製部に非常に大きな力や熱がかかることになる。この作用上、本体基布および前記縫製部には通気量が小さいこと(低通気性)が求められている。また、特に縫製部においては、エアバッグ展開時に力や熱が集中するため、縫製糸が破断したり、縫製部が目開きしたりすると、これにより袋体が十分に膨張できなかったり、該部分を起点に破袋する問題があった。特に昨今はエアバッグ軽量化・コンパクト化の要求が高まっており、これに伴ってインフレーターがコンパクト化され、その発生ガスが高温化、高出力化する傾向にあるため、高温高圧下でも縫製部が低通気性である必要性が増大している。
【0004】
従来、エアバッグ袋体の縫製部の通気性を小さくする手段として、本体基布および縫製糸のそれぞれについて、様々な検討がなされている(特許文献1~4)。
【0005】
特許文献1では、本体基布の高圧通気性や縫製部の通気性を抑制するため、織物の示差走査熱量計による溶融挙動をより高温にする技術が開示されている。特許文献2では、低繊度の織糸から構成される織物であっても、高強力織物であって目開きしにくい織物が検討されている。
【0006】
また、別の手段として、特許文献3では、一般的に縫製糸に用いられるポリアミド66に対し、高融点で高い耐熱性を保持するポリアミド46を使用し、さらに熱時の寸法安定性を高める技術を開示している。しかしながら、エアバッグ縫製糸には高い強度、高い熱寸法性に加え、優れたストレッチ性も必須である。特許文献4では、ポリアミドマルチフィラメントにストレッチ性を与しする手法として、例えば、鞘糸に半延伸糸のポリアミドマルチフィラメントを使用し、芯糸のポリアミドマルチフィラメントとタスラン加工する方法が開示されている。しかし、このような従来のストレッチ性発現技術では、強度を損なう原糸設計となってしまい、高強度が必要とされる産業用途への適用が困難である。すなわち、特許文献4の技術では、高強度、高い熱寸法安定性および優れたストレッチ性のすべて備えたエアバッグ縫製糸に好適なポリアミドマルチフィラメントは得られない。
【0007】
このように、エアバッグ袋体の縫製部の通気性を小さくする手段として、本体基布および縫製糸のそれぞれの検討はされているが、縫製部は本体基布と縫製糸の両方からなるため、そのどちらかのみでは真に解決できるとは言い難い。
【0008】
特許文献5では、本体基布および縫製糸の両方において、それぞれの伸度を特定の範囲に設定することで、バッグ展開時膨張基布への縫製糸追従性向上により、縫製部通気量が抑制されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
WO15/022981
特開2012-52280
特開昭59-76914号公報
特開2002-249943号公報
特開2012-188006公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献5の技術では、バッグ展開時の高温熱時の寸法安定性については検討されておらず、縫製糸のストレッチ性についても考慮されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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