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公開番号
2024177334
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-19
出願番号
2024173239,2022578027
出願日
2024-10-02,2021-08-19
発明の名称
光走査素子
出願人
日本碍子株式会社
代理人
個人
主分類
G02F
1/295 20060101AFI20241212BHJP(光学)
要約
【課題】走査角度が大きく、応答が早く、かつ、小型化可能な光走査素子が提供される。
【解決手段】本発明の実施形態による光走査素子は、光を第1の領域に出射する第1の光偏向手段と、第1の領域に出射された光を第1の領域よりも広い第2の領域に出射する第2の光偏向手段と、を有する。第1の光偏向手段は、印加電圧の変化により屈折率が変化し、このような屈折率の変化により第1の領域を調整するよう構成されており;第2の光偏向手段は、回折により第2の領域を調整するよう構成されている。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
光を第1の領域に出射する第1の光偏向手段と、
該第1の領域に出射された光を該第1の領域よりも広い第2の領域に出射する第2の光偏向手段と、
を有し、
該第1の光偏向手段が、印加電圧の変化により屈折率が変化し、該屈折率の変化により該第1の領域を調整するよう構成されており、
該第2の光偏向手段が、回折により該第2の領域を調整するよう構成されている、
光走査素子。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記第1の光偏向手段が、フォトニック結晶と回折格子との組み合わせ、光学位相アレイおよび可変光学メタサーフェスからなる群から選択される1つである、請求項1に記載の光走査素子。
【請求項3】
前記第2の光偏向手段が回折格子である、請求項2に記載の光走査素子。
【請求項4】
前記第1の光偏向手段が、
電気光学結晶基板に周期的に空孔が形成されてなるフォトニック結晶層と、
該フォトニック結晶層において形成されている線欠陥の光導波路と、
該光導波路の上部、左側面部および右側面部から選択される少なくとも1つの部分に設けられた回折格子と、
該光導波路の左側および右側に設けられた電極と、
を有し、
該光導波路の上面から出射する光の出射角が変化するよう構成されている、
請求項1に記載の光走査素子。
【請求項5】
前記回折格子が、前記光導波路の導波方向に対して実質的に直交する方向に延びる複数のグレーティング溝を有する、請求項4に記載の光走査素子。
【請求項6】
前記第2の光偏向手段が、グレーティング溝を有する回折格子であり、
前記第1の光偏向手段において前記グレーティング溝が延びる方向と、該第2の光偏向手段において該グレーティング溝が延びる方向と、が実質的に直交している、請求項5に記載の光走査素子。
【請求項7】
前記第2の光偏向手段が、グレーティング溝を有する回折格子であり、
前記第1の光偏向手段において前記グレーティング溝が延びる方向と、該第2の光偏向手段において該グレーティング溝が延びる方向と、が実質的に平行である、請求項5に記載の光走査素子。
【請求項8】
前記第1の光偏向手段が、
前記電気光学結晶基板の下部に設けられ、該電気光学結晶基板を支持する支持基板と、
該電気光学結晶基板と該支持基板とを一体化する接合部と、
該電気光学結晶基板の下面と該支持基板の上面と該接合部とにより規定される空洞と、
をさらに有する、請求項4から7のいずれかに記載の光走査素子。
【請求項9】
前記電気光学結晶基板が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、チタン酸リン酸カリウム、ニオブ酸カリウム・リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸・ニオブ酸カリウム、および、ニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムとの固溶体からなる群から選択される1つで構成されている、請求項4から8のいずれかに記載の光走査素子。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査素子に関する。
続きを表示(約 4,900 文字)
【背景技術】
【0002】
マルチメディアやデジタルサイネージの進展により、高精細、高画質、大画面のディスプレイやプロジェクタの需要が高くなっており、レーザー光を広角に走査する光走査素子の開発が活発化している。近年、光走査素子は、レーザーレーダー、レーザースキャナー、LiDAR(Light Detection and Ranging)として使用できることから、自動車の自動運転制御用、あるいは、ロボットまたはドローンの位置制御用の障害物検知システム、測距システムへの適用が検討されている。光走査素子の一例として、シリコンフォトニック結晶導波路に放射機構を設けた光偏向器が提案されている(特許文献1~4)。しかし、このような光偏向器は、波長ごとに偏向角度を変えたり、素子を加熱することで偏向角度を変えたりする構成であり、上記のような用途で使用する場合には、走査角度が十分ではない。また、波長ごとに偏向角が変化するタイプは波長の異なる複数の光源を必要とするといった問題があり、加熱するタイプは応答が遅いといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2017/126386号
国際公開第2018/003852号
国際公開第2018/186471号
特許第4208754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主たる目的は、走査角度が大きく、応答が早く、かつ、小型化可能な光走査素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による光走査素子は、光を第1の領域に出射する第1の光偏向手段と、該第1の領域に出射された光を該第1の領域よりも広い第2の領域に出射する第2の光偏向手段と、を有する。該第1の光偏向手段は、印加電圧の変化により屈折率が変化し、該屈折率の変化により該第1の領域を調整するよう構成されており;該第2の光偏向手段は、回折により該第2の領域を調整するよう構成されている。
1つの実施形態においては、上記第1の光偏向手段は、フォトニック結晶と回折格子との組み合わせ、光学位相アレイおよび可変光学メタサーフェスからなる群から選択される1つである。1つの実施形態においては、上記第2の光偏向手段は回折格子である。
1つの実施形態においては、上記第1の光偏向手段は、電気光学結晶基板に周期的に空孔が形成されてなるフォトニック結晶層と;該フォトニック結晶層において形成されている線欠陥の光導波路と;該光導波路の上部、左側面部および右側面部から選択される少なくとも1つの部分に設けられた回折格子と;該光導波路の左側および右側に設けられた電極と;を有し、該光導波路の上面から出射する光の出射角が変化するよう構成されている。
1つの実施形態においては、上記回折格子は、上記光導波路の導波方向に対して実質的に直交する方向に延びる複数のグレーティング溝を有する。
1つの実施形態においては、上記第2の光偏向手段は、グレーティング溝を有する回折格子であり、上記第1の光偏向手段において上記グレーティング溝が延びる方向と、該第2の光偏向手段において該グレーティング溝が延びる方向と、は実質的に直交している。別の実施形態においては、上記第2の光偏向手段は、グレーティング溝を有する回折格子であり、上記第1の光偏向手段において上記グレーティング溝が延びる方向と、該第2の光偏向手段において該グレーティング溝が延びる方向と、は実質的に平行である。
1つの実施形態においては、上記第1の光偏向手段は、上記電気光学結晶基板の下部に設けられ、該電気光学結晶基板を支持する支持基板と;該電気光学結晶基板と該支持基板とを一体化する接合部と;該電気光学結晶基板の下面と該支持基板の上面と該接合部とにより規定される空洞と;をさらに有する。
1つの実施形態においては、上記電気光学結晶基板は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、チタン酸リン酸カリウム、ニオブ酸カリウム・リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸・ニオブ酸カリウム、および、ニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムとの固溶体からなる群から選択される1つで構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、光走査素子において、印加電圧の変化により屈折率が変化し、当該屈折率の変化により光の出射領域である第1の領域を調整するよう構成された第1の光偏向手段と、第1の領域に出射された光を回折により第1の領域よりも広い第2の領域に出射する第2の光偏向手段と、が組み合わせて用いられる。これにより、走査角度が大きく、応答が早く、かつ、小型化可能な光走査素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の1つの実施形態により光の走査範囲が拡がるメカニズムを説明する概念図である。
本発明の別の実施形態により光の走査範囲が拡がるメカニズムを説明する概念図である。
本発明の1つの実施形態による光走査素子における第1の光偏向手段を示す概略斜視図である。
図2Aの第1の光偏向手段を含む光走査素子の概略斜視図である。
本発明の別の実施形態による光走査素子における第1の光偏向手段を示す概略斜視図である。
図3Aの第1の光偏向手段を含む光走査素子の概略斜視図である。
本発明の実施形態による光走査素子における第1の光偏向手段の一例の概略断面図である。
本発明の実施形態による光走査素子における第1の光偏向手段の別の例の概略断面図である。
本発明の実施形態による光走査素子の第1の光偏向手段に用いられ得る回折格子における光の伝搬および出射(放射)を説明する概略断面図である。
等価屈折率差の波長依存性を示すグラフである。
異なる波長における等価屈折率差と印加電圧(電界)との関係を示すグラフである。
図9(a)~図9(e)は、本発明の実施形態による光走査素子の製造方法の一例を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書において「左側」または「右側」とは、光導波路の導波方向(光導波路における光の進行方向:光導波方向とも称する)に対して左側または右側を意味する。「実質的に平行」とは、2つの方向がなす角度が0°±5°であることを包含し、好ましくは0°±3°であり、より好ましくは0°±1°である。「実質的に直交」とは、2つの方向がなす角度が90°±5°であることを包含し、好ましくは90°±3°であり、より好ましくは90°±1°である。また、単に「平行」または「直交」と称する場合には、「実質的に平行」または「実質的に直交」であることを包含する。
【0009】
A.光走査素子の概念および概略構成
最初に、本発明の実施形態により光の走査範囲が拡がるメカニズムを概念的に説明する。図1Aおよび図1Bはそれぞれ、そのようなメカニズムを説明する概念図である。光走査素子300は、第1の光偏向手段100と第2の光偏向手段200とを有する。第1の光偏向手段100は、光(光走査素子への入射光)を第1の領域A1に出射する。第1の光偏向手段100は、代表的には、印加電圧の変化により屈折率が変化し、当該屈折率の変化により第1の領域を調整するよう構成されている。より詳細には以下のとおりである。第1の光偏向手段100から出射される光は、代表的には、平面視ライン状(光導波方向に直交する方向のライン状)かつ光導波方向から見ると扇状のいわゆるファンビームとなる。第1の光偏向手段100において電圧印加によって屈折率を変化させることにより、出射角の可変範囲αを調整することができる。その結果、第1の領域A1の光導波方向における長さを調整することができる。すなわち、図示例においては、第1の光偏向手段100は、第1の領域A1の光導波方向における任意の位置に光(ファンビーム)を出射することができる。なお、扇の角度(ファンビームの拡がり角度)φは、光導波路の幅を調整することにより制御することができる。このようにして、第1の光偏向手段100により、第1の領域A1(実質的には、第1の領域の形状:光導波方向および光導波方向に直交する方向の長さ)を調整することができる。さらに、第1の光偏向手段として、印加電圧の変化により屈折率が変化し、当該屈折率の変化により光の出射領域を調整する構成を採用することにより、以下の利点が得られ得る。すなわち、このような第1の光偏向手段は、電圧を連続的に変化させることにより、出射角を連続的に変化させることが可能となる。したがって、このような第1の光偏向手段を用いた光走査素子は、照射欠陥を発生させることなく対象物体を照射することができる。その結果、きわめてすぐれた分解能を実現することができ、光走査素子をLiDARとして用いた場合の安全性および信頼性を格段に向上させることができる。なお、図示例では見やすくするために、第1の領域A1は第1の光偏向手段100から所定距離離れた位置に規定されているが、第1の光偏向手段100と第2の光偏向手段200は近接しているので、第1の光偏向手段100からの距離の違いによる第1の領域A1の面積の違いは問題にはならない。実質的には、第1の領域A1は、第2の光偏向手段200の位置において規定すればよい。
【0010】
第1の光偏向手段100としては、印加電圧の変化により屈折率が変化し、当該屈折率の変化により第1の領域を調整できる限りにおいて、任意の適切な構成を採用することができる。そのような構成としては、例えば、フォトニック結晶と回折格子との組み合わせ、光学位相アレイ、可変光学メタサーフェスが挙げられる。代表例として、フォトニック結晶と回折格子との組み合わせをB項で後述する。光学位相アレイは、導波路アレイに分配された入力光を電気光学効果で位相制御して偏向方向を制御する。アレイは1次元(線形)であってもよく2次元(マトリックス状)であってもよい。好ましくは1次元である。第2の光偏向手段(代表的には、回折格子)との親和性が高いからである。光学位相アレイとしては、例えば、特表2017-521734号公報に記載の構成を採用することができる。メタサーフェスとは、波長未満の大きさの構造体により光の透過率、位相、偏向方向、波面等を制御する技術である。可変メタサーフェスとは、メタサーフェスに例えば機械的、光学的、電気光学的な変形機構を加えて、光学特性を制御できるようにしたものである。可変光学メタサーフェスとしては、例えば、1次元アレイ状に配列された光共振アンテナのそれぞれに異なる電圧を印加することにより偏向方向を制御する構成が挙げられる。このような1次元アレイ構成は、上記の光学位相アレイの場合と同様に、第2の光偏向手段(代表的には、回折格子)との親和性が高い。可変光学メタサーフェスとしては、例えば、米国特許第10665953号に記載の構成を採用することができる。なお、第1の光偏向手段100として採用され得るのは、あくまで電界によって直接屈折率が変化するような構成であり、例えば、電圧の印加によって発生した電流のジュール熱による熱光学効果を利用して屈折率を変化させる構成は含まない。
(【0011】以降は省略されています)
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