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公開番号2024177109
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2024090811
出願日2024-06-04
発明の名称電気化学発光ナノプローブの製造方法、電気化学発光ナノプローブ、電気化学発光センサ、電気化学発光検出方法、および電気化学発光検出用キット
出願人キヤノンメディカルシステムズ株式会社,南京大学
代理人弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
主分類C12Q 1/6837 20180101AFI20241212BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】検出範囲が広く感度が高い電気化学発光ナノプローブを提供することである。
【解決手段】実施形態の電気化学発光ナノプローブの製造方法は、ホット励起子有機発光分子とコポリマー分子を重合させ、ホット励起子ナノ粒子を合成するホット励起子ナノ粒子合成工程と、クエンチャー分子修飾を有するオリゴヌクレオチド鎖を用いて、得られたホット励起子ナノ粒子を修飾し、修飾されたホット励起子ナノ粒子を得るホット励起子ナノ粒子修飾工程と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ホット励起子有機発光分子とコポリマー分子を重合させ、ホット励起子ナノ粒子を合成するホット励起子ナノ粒子合成工程と、
クエンチャー分子修飾を有するオリゴヌクレオチド鎖を用いて、得られたホット励起子ナノ粒子を修飾し、修飾されたホット励起子ナノ粒子を得るホット励起子ナノ粒子修飾工程と、
を含む、電気化学発光ナノプローブの製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記ホット励起子有機発光分子は、下記の化学式(1)の群(a)から選ばれるドナー(D)構造と下記の化学式(2)の群(b)から選ばれるアクセプター(A)構造とを含む、
請求項1に記載の製造方法。
TIFF
2024177109000015.tif
63
170
TIFF
2024177109000016.tif
56
170
【請求項3】
前記ドナー(D)は、カルバゾールであり、
前記アクセプター(A)は、ベンゾチアジアゾールである、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ホット励起子有機発光分子は、下記の化学式(3)のBCzP-BTである、
請求項3に記載の製造方法。
TIFF
2024177109000017.tif
33
170
【請求項5】
前記コポリマー分子は、下記の化学式(4)に示すポリスチレン-ポリアクリル酸ブロック共重合体(PS-PAA)、ポリスチレン無水マレイン酸共重合体(PSMA)、およびポリ(イソブチレン-alt-無水マレイン酸)(PIMA)のうちの一つである、
請求項1に記載の製造方法。
TIFF
2024177109000018.tif
37
170
【請求項6】
前記ホット励起子有機発光分子と前記コポリマー分子は、ナノ共沈法によりホット励起子ナノ粒子を合成する、
請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ホット励起子ナノ粒子は、ナノボール、ナノチューブ、ナノロッド、およびナノオニオンのうちの一つである、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記クエンチャー分子は、ブラックホールクエンチャー、ダーククエンチャー、およびアミン反応性クエンチャーのうちの一つである、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
ホット励起子有機発光分子とコポリマー分子とが重合されたホット励起子ナノ粒子であって、クエンチャー分子修飾を有するオリゴヌクレオチド鎖が修飾されたホット励起子ナノ粒子である、
電気化学発光ナノプローブ。
【請求項10】
ホット励起子有機発光分子とコポリマー分子とが重合されたホット励起子ナノ粒子であって、クエンチャー分子修飾を有するオリゴヌクレオチド鎖が修飾されたホット励起子ナノ粒子である電気化学発光ナノプローブが滴下された動作電極である、
電気化学発光センサ。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気化学発光ナノプローブの製造方法、電気化学発光ナノプローブ、電気化学発光センサ、電気化学発光検出方法、および電気化学発光検出用キットに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセンス(EL)とは発光材料が電界によって、電流電圧の励起を受けて発光する現象であり、直接的に電気エネルギーを光エネルギーに変換する過程である。有機エレクトロルミネセンスとは、有機発光物質から作製された薄膜素子が電界の励起により発光する現象をいう。有機エレクトロルミネセンス素子の発光原理は、外部電圧の駆動で、電極から注入された電子及び正孔は有機物中で複合してエネルギーを放出し、エネルギーを有機発光物質の分子に伝達し、それを励起させ、基底状態から励起状態に遷移し、励起分子が励起状態から基底状態に戻る時に放射遷移して発光現象を発生することである。励起状態は、スピン多重性の違いによって、一重項(S)励起子と三重項(T)励起子とに分けることができる。励起状態の分子は最低エネルギーの一重項励起状態S

又は三重項励起状態T

であってもよく、より高い一重項励起状態(S

、S

、S

、…)又は三重項励起状態(T

、T

、T

、…)であってもよい。S

励起状態にある分子が放射遷移によりS

基底状態に戻る場合、「蛍光発光」を発生する。T

励起状態にある分子が放射遷移によりS

基底状態に戻ると、「燐光発光」を発生する(図19参照)。図19は、混成局所-電荷移動励起状態(HLCT)性質を有するホット励起子材料の発光原理を示す模式図である。
【0003】
電気化学発光(electrochemiluminescence、ECL)技術は電気化学的原理を利用して電極表面で電気化学反応を行って励起状態を生成して特異的な発光を起こす方法である。電気化学発光過程における励起状態は、電気活性物質と電極との間で電子伝達して形成された中間体ラジカルの間で電子移動反応が起こることにより生じる。
【0004】
電気化学発光系は発光試薬に応じて金属錯体電気化学発光系と有機化合物電気化学発光系(以下、「有機発光材料」ということもある)、例えば有機フルオレン等の芳香族炭化水素、BODIPY誘導体、フルオレン系ポリマー及び様々な有機ナノ材料等に分けることができる。一般的な電気化学発光金属錯体には、例えばトリス(ビピリジン)ルテニウム(II)錯体イオン(Ru(bpy)

2+
)があり、それは燐光発光系に属し、それをECL発光プローブとして用いる場合、励起子利用率は100%に達することができるため、トリス(ビピリジン)ルテニウム(II)錯体イオン(Ru(bpy)

2+
)に基づく電気化学発光検出方法は、電気化学発光検出の標準方法となる。一方、上記有機発光材料は蛍光発光系に属し、励起子利用率は25%しか達成できない。
【0005】
励起状態では、現在、電気化学発光分野で使用される有機発光材料は、主に二種類の伝統的な励起状態方式、すなわち局所励起状態(locally-excited、LE)及び電荷移動励起状態(charge-transfer、CT)が存在する。この二種類の励起状態の電子正孔分布及びその形成された励起子の束縛エネルギー特性により、局所励起状態の励起子利用率が低くて放射遷移速度/量子収率(Φ
PL
)が高く、電荷移動励起状態の励起子利用率が高くて放射遷移速度/量子収率が低く、両者が高い励起子利用率及び高い放射遷移速度/量子収率を同時に両立させることができず、その発光効率及び強度が理想的な最適なレベルに達することができない。これにより、下流の応用、例えば電気化学発光の効率を制限する。
【0006】
2012年、馬於光と楊兵等は、革新的に逆項間交差(RISC)の光物理現象を有機エレクトロルミネセンス材料の設計に応用し、一連の異なる光色のドナー・アクセプター型蛍光材料を成功に発展させた。効果的な高位の逆項間交差過程により、そのエレクトロルミネセンス素子の励起子利用率を大幅に向上させる。ここで、高位の三重項状態(T

、n≧2)と一重項状態(S

、m≧1)との間の変換過程をホット励起子(ホットエキシトン)過程と呼ばれ、ホット励起子過程に基づいて実現された発光メカニズムはホット励起子メカニズムと呼ばれ、明らかなホット励起子逆項間交差を有する発光材料はホット励起子材料と呼ばれる。ホット励起子材料は一般的に大きいT

-T

エネルギー準位及び小さいT

-S

状態エネルギー準位を有する。大きいT

-T

エネルギー準位はT

からT

への内部変換を抑制することができ、小さいT

-S

エネルギー準位はT

からS

への逆項間交差速度を向上させることができる。T

からS

への項間交差とT

からT

への内部変換は相互に競合するため、理論的には、逆項間交差速度が十分に高く、内部変換が完全に抑制され、全ての高位の三重項励起子が一重項励起子に変換され、ホット励起子材料の励起子利用率が100%に達することができる(非特許文献1、図19参照)。これにより、ホット励起子材料は独立した「ホット励起子」チャネルにより逆系間交差(hRISC)を実現して一重項S

励起子の生成割合を増加させることができる。同時に、S

状態励起子はCT状態の高い励起子利用率を有し、またLE状態の高放射発光特性を有するため、ホット励起子材料は混成局所-電荷移動励起状態(Hybrid Locally-excited and Charge-transfer、HLCT)性質を有し、高い励起子利用率と高い量子収率を同時に有することができる。混成局所-電荷移動励起状態とは局所励起状態(LE)の性質を含有するだけでなく、電荷移動(CT)励起状態特性を含むが、局所励起状態と電荷移動励起状態との間は簡単な混合ではなく、混成した後に形成された単一励起状態である。
【0007】
現在、ホット励起子材料は主に半導体材料の分野に用いられ、例えば有機エレクトロルミネセンスダイオード(OLED)の分野に用いられ(非特許文献2参照)、それは第一世代の有機発光材料(蛍光材料)、第二世代の有機発光材料(燐光材料)、第三世代の有機発光材料(熱活性化遅延蛍光、TADF)材料に続く新規な発光材料である。
【0008】
ホット励起子材料が優れた光学的性質を有するため、生物検出における応用が望まれている。特許文献1ではホット励起子材料を蛍光検出に用いる試みが行われているが、現在ECL検出分野の成功例はまだ存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
中国特許出願公開第110981821号明細書
【非特許文献】
【0010】
徐玉偉,「ホット励起子発光材料の高位の逆項間交差過程及び光電性能研究」,華南理工大学博士学位論文,2020年
Xiaojie Chen, Dongyu Ma et al., “Hybridized Local and Charge-Transfer Excited-State Fluorophores through the Regulation of the Donor-Acceptor Torsional Angle For Highly Efficient Organic Light-Emitting Diodes”,CCS Chem. 2022, 4, 1284-1294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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