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公開番号2024166035
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-28
出願番号2023189871
出願日2023-11-07
発明の名称亜酸化チタン材料及び亜酸化チタン材料の製造方法
出願人堺化学工業株式会社
代理人弁理士法人WisePlus
主分類C01G 23/04 20060101AFI20241121BHJP(無機化学)
要約【課題】高い導電性を有し、かつ、加熱処理によっても酸化反応の進行が抑制された耐熱性の高い亜酸化チタンを提供する。
【解決手段】熱重量分析において、50~900℃の温度範囲における重量変化の幅が0.30~3.40%であり、かつ、粉末を63MPaの圧力で圧粉した際の25℃における体積抵抗率が1×100Ω・cm~8×103Ω・cmであることを特徴とする亜酸化チタン材料。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
熱重量分析において、50~900℃の温度範囲における重量変化の幅が0.30~3.40%であり、かつ、粉末を63MPaの圧力で圧粉した際の25℃における体積抵抗率が1×10

Ω・cm~8×10

Ω・cmであることを特徴とする亜酸化チタン材料。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記亜酸化チタン材料は、熱重量分析において、50~400℃の温度範囲における重量変化の幅が0~1.20%であることを特徴とする請求項1に記載の亜酸化チタン材料。
【請求項3】
前記亜酸化チタン材料は、ニオブ元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の亜酸化チタン材料。
【請求項4】
前記亜酸化チタン材料は、結晶構造がルチル型であることを特徴とする請求項1に記載の亜酸化チタン材料。
【請求項5】
粒度分布測定における体積基準90%径D
90
と体積基準10%径D
10
との比(D
90
/D
10
)が3.0未満であることを特徴とする請求項1に記載の亜酸化チタン材料。
【請求項6】
粒度分布におけるメジアン径が1.0~20μmであることを特徴とする請求項1に記載の亜酸化チタン材料。
【請求項7】
硫酸チタニル及び/又はオキシ塩化チタン、ニオブ元素含有化合物、酸、並びに、無機塩類を混合して加水分解する第一工程と、
該第一工程で得られた加水分解物を還元焼成する第二工程とを含み、
該第一工程において、硫酸チタニル及び/又はオキシ塩化チタンに含まれるチタン元素100モル%に対して、ニオブ元素含有化合物に含まれるニオブ元素の量が0.5モル%を超えて15モル%以下となる量のニオブ元素含有化合物を用いることを特徴とする亜酸化チタン材料の製造方法。
【請求項8】
前記第二工程は、水素濃度が4体積%未満の雰囲気下で加水分解物を還元焼成する工程であることを特徴とする請求項7に記載の亜酸化チタン材料の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、亜酸化チタン材料及び亜酸化チタン材料の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
酸素欠損を有する亜酸化チタンは、その自由電子の存在から低い体積抵抗率、即ち高い導電率を発現することが知られており、導電性材料として利用されている。また亜酸化チタンは黒色であることから化粧料の顔料等としても利用されている。
従来の亜酸化チタンとして、白色度、赤色度、黄色度が特定の範囲であって、熱重量分析によって測定された酸素欠損量が0.1質量%以上、1.5質量%以下である酸化チタンを主構成物質として含む導電性粒子(特許文献1参照)、低次酸化チタンの粒子の表面にガスバリヤー性薄膜を形成してなる低次酸化チタン粉末(特許文献2参照)、化粧料の顔料として使用される、二酸化チタン粉末をアンモニアガス雰囲気中で500~1000℃で加熱還元して得られる黒色系の色彩を有する酸化チタン(特許文献3参照)、及びチタンアルコキシドを還元ガス雰囲気中へ噴霧供給して分解還元反応を行うことにより製造される有色酸化チタン(特許文献4参照)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2019-179590号公報
特開平8-59240号公報
特開昭58-180413号公報
特開平4-46016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に酸化チタンへの酸素欠損の導入は、高温雰囲気下での還元焼成によってなされるが、酸化チタンへの十分な酸素欠損の導入は容易ではなく、過去の報告においても10

-10

Ω・cm程度の体積抵抗率を示す亜酸化チタンが得られるに留まっている。また、酸素欠損を有する酸化チタン(亜酸化チタン)は大気雰囲気下では酸化反応が進行して導電性が低下することがある。さらに、亜酸化チタンを導電性・誘電性材料として使用する場合、その実施形態の1つとして樹脂と複合化して用いることが想定されるが、その場合、樹脂を可塑化するために100~300℃程度に加熱して混練されるため、樹脂との複合化の過程で亜酸化チタンの導電性、誘電性が損なわれてしまうことが想定される。また、誘電加熱における被加熱体用途も当該亜酸化チタンの想定される用途の1つであるが、高い誘電率を有する亜酸化チタン自身がマイクロ波等の電波により加熱されるため、これによっても亜酸化チタンの導電性、誘電特性が損なわれてしまうことが想定される。これら亜酸化チタンの大気雰囲気下における酸化反応に対して、特許文献1において外部環境の影響が小さい導電性酸化チタンが開示されているが、十分な導電性を示さないため、実用性は低い。
これらの理由により、亜酸化チタンは使用環境が制限されるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、高い導電性を有し、かつ、加熱処理によっても酸化反応の進行が抑制された耐熱性の高い亜酸化チタンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記公知文献や周知技術から、亜酸化チタンの耐熱性の低さはその結晶構造の安定性、すなわち酸素欠損量に依存するとの仮説を立てた。酸素欠損量が多いほど、化学組成がTiO

から乖離し、酸化チタンの熱力学的に安定な結晶構造とされるアナタース型やルチル型の結晶構造を維持できなくなり、非晶質化の他、熱力学的に不安定なマグネリ相等の結晶構造が形成されると考えられる。
そこで、ルチル型の結晶構造を維持しつつ、十分な導電性及び誘電特性を有する程度に酸素欠損が導入することができれば、加熱処理によっても導電性、誘電特性が変化しない耐熱性に優れた亜酸化チタンを得ることができるとの考えに至った。
ここで、還元の程度が不十分な場合は十分な導電性や誘電特性を示さず、還元の程度が強すぎる場合は耐熱性の低い材料となるため、適度な還元による酸素欠陥の導入が重要である。通常、酸化チタン粒子を還元焼成して亜酸化チタンを得る場合、ある一定の閾値となる還元条件まではほとんど酸素欠損は導入されず、閾値となる還元条件を超えた場合は結晶構造の変化を伴う大幅な酸素欠損の導入が起こる。そのため、従来の方法では、還元の度合いを十分な導電性を確保する上で必要最小程度に制御しつつ、目的とする亜酸化チタンを得ることは困難であった。さらに粒子表面の還元反応が優先的に進行することで、粒子表面と粒子内部で結晶相が不均一な粒子が形成されることも、耐熱性が低下する一因であった。
そこで、発明者らは1)前駆体材料としてチタン酸凝集体を用いること、2)当該チタン酸凝集体にニオブ元素を均一に混合しておくこと、これらを満たす前駆体材料を用いることにより亜酸化チタン材料を合成するに至った。
1)前駆体材料としてチタン酸凝集体を用いることにより、粒子内部まで十分に還元性ガスが浸透し、粒子全体を均一に還元焼成でき、粒子全体が均一なルチル型の結晶構造を有することとなり、熱力学的に安定な材料となる。なお、還元反応の進行に伴い、凝集体を構成する一次粒子は焼結し、最終的に凝集体の形状を維持した亜酸化チタン材料が得られる。
2)チタン酸凝集体にニオブ元素を均一に混合しておくことにより、還元焼成時にチタン元素の4価から3価への還元反応を促進し、温和な条件で適度な酸素欠損を導入でき、十分な導電性や誘電特性をもったルチル型の結晶構造を有する亜酸化チタン材料が得られる。
以上の材料設計のもと、高い導電性を有し、かつ耐熱性の高い亜酸化チタンについて検討し、硫酸チタニル及び/又はオキシ塩化チタンと所定の割合のニオブ元素含有化合物と酸と無機塩類を混合して加水分解した後、得られた加水分解物を還元焼成すると、優れた導電性を有するとともに耐熱性にも優れた亜酸化チタン材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の亜酸化チタン材料は、特許文献1に記載の導電性酸化チタンに比べて体積抵抗率が低く、優れた導電性を示す材料である。
【0007】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]熱重量分析において、50~900℃の温度範囲における重量変化の幅が0.30~3.40%であり、かつ、粉末を63MPaの圧力で圧粉した際の25℃における体積抵抗率が1×10

Ω・cm~8×10

Ω・cmであることを特徴とする亜酸化チタン材料。
【0008】
[2]前記亜酸化チタン材料は、熱重量分析において、50~400℃の温度範囲における重量変化の幅が0~1.20%であることを特徴とする[1]に記載の亜酸化チタン材料。
【0009】
[3]前記亜酸化チタン材料は、ニオブ元素を含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の亜酸化チタン材料。
【0010】
[4]前記亜酸化チタン材料は、結晶構造がルチル型であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の亜酸化チタン材料。
(【0011】以降は省略されています)

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