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公開番号
2024158198
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023073186
出願日
2023-04-27
発明の名称
モデルフリーポジカスト制御
出願人
CKD日機電装株式会社
代理人
主分類
G05B
13/02 20060101AFI20241031BHJP(制御;調整)
要約
【課題】
ポジカスト制御(むだ時間要素をコントローラに用いた制振制御)はモデルベース制御であり、設計には制御対象のモデルが必要である。本発明では、制御対象の応答データをもとにポジカストコントローラのパラメータ値を定め、制振制御を行う方法を提供する。
【解決手段】
ポジカスト制御では、制御量が目標値に一致するのは、コントローラに整定時間として設定した時刻以降である。この整定時間以降の制御出力データを目標値に一致させるような数値的最適化によって、ポジカストコントローラのパラメータ値が容易に定まり、制振制御を行うことができる。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
ポジカスト制御で想定される整定時間以降における、制御の対象の挙動に関するデータに注目した数値計算によって、ポジカストコントローラのパラメータ値を定めることを特徴とするモデルフリー制振制御方式
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御系の設計法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
ポジカスト制御(特許文献1、非特許文献1)は、むだ時間要素をコントローラとして利用したフィードフォワードの制振制御法である。数1の2次振動系の制御を例にその概要を述べる。
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ただしsはラプラス演算子、jは虚数単位である。目標値を数2のステップ信号とする。
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フィードフォワードコントローラを数3とする。
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ここで必要なむだ時間要素の個数は、制御対象の次数と目標値の次数で決まる。制御系を図1に示す。
【0003】
数3の零点を数1の極の位置に設定することにより、数1の極を極零消去することができる。その条件が数4である。
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フィードフォワード制御誤差を数5で定義する。数2の極 s = 0 に関して数6を満たせば、最終値の定理より数7となり、定常偏差が残らない。
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なお信号はラプラス領域sでは大文字、時間領域tでは小文字で表す。オイラーの公式(数8)により数4を変形し、数6と共にまとめると数9を得る。
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数9左辺の正方行列の逆行列を両辺にかければ数3のコントローラパラメータKが求まり、数10の数値例では数11となる。この場合の応答を図2に示す。時刻L
2
後に数1のすべての極が極零消去されるので、L
2
が整定時間となる。L
2
の値は設計者が選べるが、早く整定させればその分制御入力は大きくなる。
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【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
O.J.M. Smith, Dead Beat Response, Resonant Load, Control System and Method, US Patent 3051883, Aug.28, 1962
【非特許文献】
【0005】
O.J.M. Smith, Posicast Control of Damped Oscillatory Systems, Proceedings of the IRE, pp.1249-1255, 1957
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポジカスト制御はモデルベース制御であり、設計には制御対象のモデルが必要である。本発明は、制御対象の応答データからポジカストコントローラのパラメータを定め、制振制御を行うモデルフリーな方式を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
制御対象は次数のみ既知とし、それ以外は上記と同じ設定で本発明の方式を説明する。まず数12のステップ信号で制御対象のステップ応答を測定し、Y
S
で表す(図3上段)。ここでステップ信号の高さcは、状況に応じた値を選んでよい。
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数12を数3のポジカストコントローラに通すと(図3下段)、時間領域では数13の信号となる。
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重ね合わせの原理より、数13に対する線形制御対象の応答も数14の線形結合で表される。
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時不変な制御対象では、y
S
(t - L
1
)とy
S
(t - L
2
)は、数12のステップ信号に対する応答y
S
(t)を単に時間的に平行移動すればよい。ここで想定した役割を数14が果たすのは時刻L
2
以降である。言い換えると、出力yが目標値に一致するのは時刻L
2
以降である。したがってデータを時刻L
2
以降のものに限定した数15の回帰モデルを考える。
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【0008】
データペアがN個あるとき、数16の評価関数を最小にするパラメータKの最小2乗推定値は、数17を数18で表すとき、数19で与えられる。ただしA
+
はAの疑似逆行列である。
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【0009】
数1のステップ応答のシミュレーションデータを図4上段に示す。t= 0.1(数3のポジカストコントローラに設定した整定時間L
2
)以降のデータを、Δt= 0.0001の間隔で20点取り、数19に用いた結果が数20である。ここではシミュレーションデータの誤差が元々小さいため、モデルベースの数11の値にほとんど一致している。
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このときの応答を図5に示す。ポジカストコントローラに設定した整定時間以降の応答データをもとに制振制御が行えることがシミュレーションからも確認できる。
【0010】
ステップ目標値の代わりにS次目標値(台形信号の積分)を用いることもできる。S次目標値r
C
に対する数1の応答データy
C
を図4下段に示す。この場合は、数17のr
S
,y
S
をr
C
,y
C
に置き換え、さらにS次目標値の整定時間T
S
の遅れも加えた数21を用いる。
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数21を用いた場合の応答例を図6に示す。L
2
+ T
S
= 0.1 + 0.1 [sec]が整定時間となる。
(【0011】以降は省略されています)
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