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公開番号2024157350
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071666
出願日2023-04-25
発明の名称固体炭素の析出方法、混合ガスの製造方法および固体炭素析出システム
出願人太平洋セメント株式会社,国立大学法人静岡大学
代理人デロイトトーマツ弁理士法人,個人,個人,個人
主分類C01B 32/05 20170101AFI20241030BHJP(無機化学)
要約【課題】より簡便に固体炭素を析出させることができ、CO2の固定化において原料ガスから析出される固体炭素の回収率を向上させることを可能とした固体炭素の析出方法、混合ガスの製造方法および固体炭素析出システムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素と水素とを含む原料ガスと、逆シフト反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記原料ガスから一酸化炭素および水を生成する第1工程と、前記生成された一酸化炭素を含むガスと、固体炭素析出反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記生成された一酸化炭素から固体炭素を析出する第2工程と、を含み、前記原料ガスは、H2/CO2モル比が4.5以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化炭素と水素とを含む原料ガスと、逆シフト反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記原料ガスから一酸化炭素および水を生成する第1工程と、
前記生成された一酸化炭素を含むガスと、固体炭素析出反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記生成された一酸化炭素から固体炭素を析出する第2工程と、を含み、
前記原料ガスは、H

/CO

モル比が4.5以上であることを特徴とする固体炭素の析出方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記第1工程を行う領域の温度が700℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体炭素の析出方法。
【請求項3】
前記第1工程で生じたガスから水素を分離する工程をさらに含み、
前記分離される水素量の調整の結果、前記生成された一酸化炭素を含むガスは、H

/COモル比が1.0以上2.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体炭素の析出方法。
【請求項4】
前記逆シフト反応を活性化させる触媒は、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnのうち少なくとも1以上を含有する、単体、化合物およびそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の固体炭素の析出方法。
【請求項5】
前記逆シフト反応を活性化させる触媒は、融点が700℃以上の材料を主原料とする構造体の表面上に担持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体炭素の析出方法。
【請求項6】
二酸化炭素と水素とを含む原料ガスと、逆シフト反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記原料ガスから一酸化炭素および水を生成する工程と、を含み、
前記原料ガスは、H

/CO

モル比が4.5以上であることを特徴とする混合ガスの製造方法。
【請求項7】
二酸化炭素と水素とを含む原料ガスから固体炭素を析出させる固体炭素析出システムであって、
前記原料ガスと、逆シフト反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記原料ガスから一酸化炭素および水を生成する第1反応器と、
前記生成された一酸化炭素と、固体炭素析出反応を活性化させる触媒とを接触させ、前記生成された一酸化炭素から前記固体炭素を析出する第2反応器と、
前記固体炭素析出システム内を流通する各ガスの流量を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記原料ガスにおけるH

/CO

モル比を指定された範囲に制御することを特徴とする固体炭素析出システム。
【請求項8】
前記第1反応器から排出されるガスから水素を分離する水素分離流路をさらに備え、
前記制御部は、前記第2反応器に供給する混合ガスにおけるH

/COモル比が指定された範囲となるように、前記水素分離流路のガス流量を含め、各ガス流量を制御することを特徴とする請求項7に記載の固体炭素析出システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、固体炭素の析出方法、混合ガスの製造方法および固体炭素析出システムに関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化ガスとして環境に悪影響を及ぼす二酸化炭素の削減・固定化は、世界的な急務である。それを受けて、各所において、CO

排出削減技術、CO

分離・回収技術、CO

有用資源化技術、CO

固定化技術など、多様な技術が実用化に向けて研究開発されている。
【0003】
二酸化炭素を有効利用する方法として、例えば、一酸化炭素やメタンに変換して燃料として利用する技術や固体炭素を析出させる技術が知られている。二酸化炭素を一酸化炭素に変換する技術として、例えば、逆シフト反応を利用して二酸化炭素および水素から一酸化炭素を生成する方法が知られている(特許文献1~5を参照)。
【0004】
特許文献1および2では、Ca,SrおよびBaの少なくとも1種と、TiおよびZrの少なくとも1種とを含む複合酸化物からなる逆シフト反応用触媒に対して、700℃以上の温度条件で、二酸化炭素と水素を含む原料ガスを接触させて合成ガスを製造する方法が開示されている。
【0005】
特許文献3および4では、二酸化炭素をおよび水素を含むガスを一酸化炭素および水蒸気を含むガスに変換可能な逆シフト触媒と、水蒸気を吸着する吸着材と、を有する反応容器が開示されている。
【0006】
特許文献5では、逆シフト反応用触媒を有するリアクタを通過した気体から水性ガスシフト反応によって水蒸気を除去し、水蒸気が除去された気体をリアクタの上流に還流することで、逆シフト反応用触媒による燃料生成率を向上させる燃料合成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2011/065194号
国際公開第2012/153762号
特開2021-070616号公報
特開2022-171010号公報
特開2022-143792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1~5では、逆シフト反応を生じさせる反応器に供給する原料ガスの組成比について十分に検討されていない。特許文献1~4では、原料ガスにおける水素と二酸化炭素との比として2~4が挙げられているものの、原料ガスの組成比とその結果については未検討である。そのため、原料ガスの組成比を含む条件について未だ改善の余地が残っている。
【0009】
また、逆シフト反応を用いて固体炭素を析出する方法についても十分に検討されていない。固体炭素析出方法として、例えばメタネーション反応、ドライリフォーミング反応および固体炭素析出反応を用いた方法が知られており、二酸化炭素および水素を含む原料ガスから3段階の反応を経て固体炭素を析出させる。3段階の反応では、反応器が3つ必要であることから設備コストがかかることに加え、固体炭素析出に係る工程が長いため安定した運転管理が難しい。そのため、より簡便な方法で二酸化炭素から固体炭素を析出させる技術が求められている。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、より簡便に固体炭素を析出させることができ、CO

の固定化において原料ガスから析出される固体炭素の回収率を向上させることを可能とした固体炭素の析出方法、混合ガスの製造方法および固体炭素析出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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