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公開番号2024157268
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071526
出願日2023-04-25
発明の名称シリンダブロックのめっき処理装置
出願人スズキ株式会社
代理人弁理士法人東京国際特許事務所
主分類C25D 17/00 20060101AFI20241030BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】より均一なめっき被膜を形成可能なシリンダブロックのめっき処理装置を提供する。
【解決手段】
めっき処理装置1は、載置部11および電極部21を備えるめっき処理装置本体Mと、めっき処理液を供給する処理液供給部31と、を備える。電極部21は、電極内流路P11を有するとともに、ボア内周面Cfbとの間に、ヘッド合わせ面Cf1側のボア開口縁からシリンダスカート端面Cf2側のボア開口縁に至る電極外流路P12を形成する。めっき処理装置本体Mは、ヘッド合わせ面Cf1に設置され、ボア内周面Cfbよりも径方向内方に突出する環状突出部411を有するシール部材41を備える。処理液供給部31は、電極内流路P11に対してその中心軸からずらして設置された送液ポンプ312を備え、環状突出部411と電極部21との間に定められる隙間gは、電極内流路P11に向かうめっき処理液の送液方向とは逆側の一側において他側よりも狭い。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
シリンダヘッドに対する合わせ面であるヘッド合わせ面を一側端に有するとともに、クランクケースに対する合わせ面であるケース合わせ面側のシリンダスカート端面を他側端に有するシリンダブロックのボア内周面にめっき処理を施すシリンダブロックのめっき処理装置であって、
前記シリンダブロックが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シリンダブロックのシリンダボアに挿入配置される電極部と、を備えるめっき処理装置本体と、
前記めっき処理装置本体にめっき処理液を供給する処理液供給部と、を備え、
前記電極部は、
前記シリンダボアの軸方向に貫通する電極内流路を有するとともに、
前記ボア内周面との間に、前記電極内流路に連通し、前記ヘッド合わせ面側のボア開口縁から前記シリンダスカート端面側のボア開口縁に至る前記めっき処理液の電極外流路を形成し、
前記めっき処理装置本体は、前記ヘッド合わせ面に設置され、前記シリンダボアの全周に亘って延在しかつ前記ボア内周面よりも前記シリンダボアの径方向内方に突出する環状突出部を有するシール部材をさらに備え、
前記処理液供給部は、前記電極内流路に対してその中心軸からずらして設置された送液ポンプを備え、前記送液ポンプにより、前記電極内流路に向けて径方向外方から内方に前記めっき処理液を送給し、
前記環状突出部と前記電極部との間に定められる隙間は、前記電極内流路に向かう前記めっき処理液の前記径方向に関する送液方向とは逆側の一側において他側よりも狭い、シリンダブロックのめっき処理装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
シリンダヘッドに対する合わせ面であるヘッド合わせ面を一側端に有するとともに、クランクケースに対する合わせ面であるケース合わせ面側のシリンダスカート端面を他側端に有するシリンダブロックのボア内周面にめっき処理を施すシリンダブロックのめっき処理装置であって、
前記シリンダブロックが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シリンダブロックのシリンダボアに挿入配置される電極部と、を備えるめっき処理装置本体と、
前記めっき処理装置本体にめっき処理液を供給する処理液供給部と、を備え、
前記電極部は、
前記シリンダボアの軸方向に貫通する電極内流路を有するとともに、
前記ボア内周面との間に、前記電極内流路に連通し、前記ヘッド合わせ面側のボア開口縁から前記シリンダスカート端面のボア開口縁に至る前記めっき処理液の電極外流路を形成し、
前記めっき処理装置本体は、
前記ヘッド合わせ面に設置され、前記シリンダボアの全周に亘って延在しかつ前記ボア内周面よりも前記シリンダボアの径方向内方に突出する環状突出部を有するシール部材をさらに備えるとともに、
前記電極外流路から前記シリンダボアの軸方向に続くボア外流路と、前記シリンダボアの中心軸に対する一側において前記ボア外流路に開口し、前記ボア外流路に流れる前記めっき処理液を、前記ボア外流路から径方向外方へ導出する流出口と、を形成し、
前記環状突出部と前記電極部との間に定められる隙間は、前記シリンダボアの中心軸に対する前記一側において他側よりも狭い、シリンダブロックのめっき処理装置。
【請求項3】
前記電極部は、前記シリンダボアと同軸に配置され、
前記シール部材は、前記環状突出部が前記シリンダボアに対して偏心して配置される、請求項1または2に記載のシリンダブロックのめっき処理装置。
【請求項4】
前記環状突出部は、前記シリンダボアと同軸に配置され、
前記電極部は、前記シリンダボアに対して偏心して配置される、請求項1または2に記載のシリンダブロックのめっき処理装置。
【請求項5】
前記シリンダブロックは、前記シリンダボアの中心軸が起立しかつ前記ヘッド合わせ面が上向きとなるように前記載置部に載置され、
前記電極部は、前記シリンダボアに挿入配置されて前記ボア内周面との間に上下方向に延びる前記電極外流路を形成し、
前記処理液供給部は、
前記載置部に対して水平方向の一側に配置された送液ポンプと、
前記電極内流路を前記送液ポンプの吐出口に繋ぐ供給配管と、
前記電極外流路を前記送液ポンプの吸入口に繋ぐ排出配管と、を備え、
前記供給配管は、
前記電極内流路に対して上下に連続する直進部と、
前記直進部に接続するとともに、径方向外方に湾曲して、前記径方向外方から内方へ向かう前記めっき処理液の供給を受ける湾曲部と、を有する、請求項1または2に記載のシリンダブロックのめっき処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロックのめっき処理装置に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
シリンダブロックのめっき処理装置として、シリンダブロックの載置台と、「陽極棒」と呼ばれる電極部と、を備え、シリンダブロックのシリンダボアに電極部を挿入配置し、ボア内周面と電極部との間に形成された環状の隙間(以下「処理液流路」という場合がある)にめっき処理液を流しながらシリンダブロックと電極部との間に電位差を形成することで、ボア内周面にめっき被膜を形成するものが存在する。
【0003】
このめっき処理装置は、シリンダブロック全体をめっき処理液に浸漬させるものと比較して、めっき処理に要する時間を短縮するとともに、手作業による負担を軽減することが可能である。さらに、めっき処理液の流路が外部に対して閉じた状況にあり、シリンダブロック全体をめっき処理液に浸漬させる必要もないことから、めっき処理液の持ち出しがなく、作業環境の改善およびめっき処理液の節減に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-122204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理液流路におけるめっき処理液の流れは、流路横断面全体に亘って均一であるのが好ましく、めっき処理液の流れに偏りがあると、流れが密である部分と疎である部分との間で金属イオンに濃淡が生じ、めっき被膜の形成に違いが生じる。めっき処理液を供給する送液ポンプが載置台に対して水平方向の一側に配置され、めっき処理液が載置台に対してこの一側の方向から供給され、処理液流路を通過した後、載置台から同じ一側の方向へ流出する場合等、めっき処理液の流出入に関わる経路に非対称性が存在する場合は、めっき処理液の流れに経路の非対称性に起因する偏りが生じる傾向にある。例えば、めっき処理液に流路横断面方向の慣性力が働く場合は、この慣性力の影響による偏りが生じる。シリンダボアの開口縁には電流が集中しやすく、ボア開口縁およびその近傍でめっき被膜が局部的に肥大化する、いわゆる「花咲き」と呼ばれるめっき不良が発生しやすい環境にあるところ、めっき処理液の流れに生じる偏りは、花咲きの局所的な発生ないし花咲きの偏在を助長する。
【0006】
そこで、本発明は、より均一なめっき被膜を形成可能なシリンダブロックのめっき処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明の一形態に係るシリンダブロックのめっき処理装置は、シリンダヘッドに対する合わせ面であるヘッド合わせ面を一側端に有するとともに、クランクケースに対する合わせ面であるケース合わせ面側のシリンダスカート端面を他側端に有するシリンダブロックのボア内周面にめっき処理を施すシリンダブロックのめっき処理装置であって、前記シリンダブロックが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シリンダブロックのシリンダボアに挿入配置される電極部と、を備えるめっき処理装置本体と、前記めっき処理装置本体にめっき処理液を供給する処理液供給部と、を備える。前記電極部は、前記シリンダボアの軸方向に貫通する電極内流路を有するとともに、前記ボア内周面との間に、前記電極内流路に連通し、前記ヘッド合わせ面側のボア開口縁から前記シリンダスカート端面側のボア開口縁に至る前記めっき処理液の電極外流路を形成し、前記めっき処理装置本体は、前記ヘッド合わせ面に設置され、前記シリンダボアの全周に亘って延在しかつ前記ボア内周面よりも前記シリンダボアの径方向内方に突出する環状突出部を有するシール部材をさらに備える。そして、前記処理液供給部は、前記電極内流路に対してその中心軸からずらして設置された送液ポンプを備え、前記送液ポンプにより、前記電極内流路に向けて径方向外方から内方に前記めっき処理液を送給する。ここで、前記環状突出部と前記電極部との間に定められる隙間は、前記電極内流路に向かう前記めっき処理液の前記径方向に関する送液方向とは逆側の一側において他側よりも狭い。
【0008】
本発明の他の形態に係るシリンダブロックのめっき処理装置は、シリンダヘッドに対する合わせ面であるヘッド合わせ面を一側端に有するとともに、クランクケースに対する合わせ面であるケース合わせ面側のシリンダスカート端面を他側端に有するシリンダブロックのボア内周面にめっき処理を施すシリンダブロックのめっき処理装置であって、前記シリンダブロックが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シリンダブロックのシリンダボアに挿入配置される電極部と、を備えるめっき処理装置本体と、前記めっき処理装置本体にめっき処理液を供給する処理液供給部と、を備える。前記電極部は、前記シリンダボアの軸方向に貫通する電極内流路を有するとともに、前記ボア内周面との間に、前記電極内流路に連通し、前記ヘッド合わせ面側のボア開口縁から前記シリンダスカート端面側のボア開口縁に至る前記めっき処理液の電極外流路を形成し、前記めっき処理装置本体は、前記ヘッド合わせ面に設置され、前記シリンダボアの全周に亘って延在しかつ前記ボア内周面よりも前記シリンダボアの径方向内方に突出する環状突出部を有するシール部材をさらに備えるとともに、前記電極外流路から前記シリンダボアの軸方向に続くボア外流路と、前記シリンダボアの中心軸に対する一側において前記ボア外流路に開口し、前記ボア外流路に流れる前記めっき処理液を、前記ボア外流路から径方向外方へ導出する流出口と、を形成する。ここで、前記環状突出部と前記電極部との間に定められる隙間は、前記シリンダボアの中心軸に対する前記一側において他側よりも狭い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シール部材の環状突出部と電極部との間の隙間を調整し、この隙間を介するめっき処理液の流れを周方向の一部において絞ることで、めっき処理液の流出入に関わる経路の非対称性がめっき処理液の流れに及ぼす影響を緩和し、めっき処理液の流れに生じる偏りを抑制することが可能となる。これにより、シリンダボアの開口縁およびその近傍における花咲きの局所的な発生ないし花咲きの偏在を抑制し、めっき被膜の均一形成を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の第1実施形態に係るめっき処理装置の全体的な構成を示す断面図である。
同上実施形態に係るめっき処理装置の構成を模式的に示す概略図である。
同上実施形態に係るシール部材(環状突出部)の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
同上実施形態の変形例に係るシール部材(環状突出部)の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
本発明の第2実施形態に係るめっき処理装置の構成を模式的に示す概略図である。
同上実施形態に係るシール部材(環状突出部)の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
同上実施形態の変形例に係るシール部材(環状突出部)の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
比較例に係るシール部材(環状突出部)の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
比較例に係るめっき処理装置本体におけるめっき処理液の流れを示す数値計算結果である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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