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公開番号2024157267
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071525
出願日2023-04-25
発明の名称シリンダブロックのめっき処理装置
出願人スズキ株式会社
代理人弁理士法人東京国際特許事務所
主分類C25D 17/00 20060101AFI20241030BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】より均一なめっき被膜を形成可能なシリンダブロックのめっき処理装置を提供する。
【解決手段】
シリンダブロックのめっき処理装置1は、めっき処理装置本体Mと、処理液供給部31と、を備え、めっき処理装置本体Mは、シリンダブロックCが載置される載置部11と、シリンダボアCbに挿入配置される電極部21と、を備える。電極部21は、電極内流路P11を有するとともに、ボア内周面との間に、ヘッド合わせ面Cf1側の第1ボア開口縁からシリンダスカート端面Cf2側の第2ボア開口縁に至る電極外流路P12を形成する。ヘッド合わせ面Cf1に設置され、シリンダボアCbの全周に亘って延在しかつボア内周面Cfbよりも径方向内方に突出する環状突出部411を有するシール部材41をさらに備える。めっき処理液は、電極内流路P11を介して電極外流路P12に流入し、電極外流路P12を第1ボア開口縁から第2ボア開口縁へ向けて通過する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
シリンダヘッドに対する合わせ面であるヘッド合わせ面を一側端に有するとともに、クランクケースに対する合わせ面であるケース合わせ面側のシリンダスカート端面を他側端に有するシリンダブロックのボア内周面にめっき処理を施すシリンダブロックのめっき処理装置であって、
前記シリンダブロックが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シリンダブロックのシリンダボアに挿入配置される電極部と、を備えるめっき処理装置本体と、
前記めっき処理装置本体にめっき処理液を供給する処理液供給部と、を備え、
前記電極部は、
前記シリンダボアの軸方向に貫通する電極内流路を有するとともに、
前記ボア内周面との間に、前記電極内流路に連通し、前記ヘッド合わせ面側の第1ボア開口縁から前記シリンダスカート端面側の第2ボア開口縁に至る前記めっき処理液の電極外流路を形成し、
前記めっき処理装置本体は、前記ヘッド合わせ面に設置され、前記シリンダボアの全周に亘って延在しかつ前記ボア内周面よりも前記シリンダボアの径方向内方に突出する環状突出部を有するシール部材をさらに備え、
前記めっき処理装置本体において、前記めっき処理液は、前記電極内流路を介して前記電極外流路に流入し、前記電極外流路を前記第1ボア開口縁から前記第2ボア開口縁へ向けて通過する、シリンダブロックのめっき処理装置。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
前記環状突出部は、その全周に亘って形成され、前記第1ボア開口縁よりも前記シリンダボアの内方に延出するリブ部を有する、請求項1に記載のシリンダブロックのめっき処理装置。
【請求項3】
前記環状突出部と前記ボア内周面との内径差が2mm以上4mm以下である、請求項2に記載のシリンダブロックのめっき処理装置。
【請求項4】
前記シリンダブロックは、前記第1ボア開口縁に面取りが形成され、
前記シリンダボアの軸方向に定められる前記面取りの高さは、前記軸方向に定められる前記リブ部の高さよりも大きい、請求項2または3に記載のシリンダブロックのめっき処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロックのめっき処理装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
シリンダブロックのめっき処理装置として、シリンダブロックの載置台と、「陽極棒」と呼ばれる電極部と、を備え、シリンダブロックのシリンダボアに電極部を挿入配置し、ボア内周面と電極部との間に形成された環状の隙間(以下「処理液流路」という場合がある)にめっき処理液を流しながらシリンダブロックと電極部との間に電位差を形成することで、ボア内周面にめっき被膜を形成するものが存在する。
【0003】
このめっき処理装置は、シリンダブロック全体をめっき処理液に浸漬させるものと比較して、めっき処理に要する時間を短縮するとともに、手作業による負担を軽減することが可能である。さらに、めっき処理液の流路が外部に対して閉じた状況にあり、シリンダブロック全体をめっき処理液に浸漬させる必要もないことから、めっき処理液の持ち出しがなく、作業環境の改善およびめっき処理液の節減に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-122204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボア内周面と電極部とが互いに近接した位置関係にあると、シリンダボアの開口縁に電流が集中しやすく、ボア開口縁およびその近傍でめっき被膜が局部的に肥大化する、いわゆる「花咲き」と呼ばれるめっき不良が発生する。花咲きによる不良めっき部分は、その後のホーニング工程への移行前に除去する必要がある。ボア開口縁に二次電極を設置することによりボア開口縁近傍における花咲きの発生を抑制する技術も存在するが、二次電極にめっき被膜が付着し、これを使用の都度除去することが必要となるため、根本的な解決には至らないのが実情である。
【0006】
そこで、本発明は、花咲きの発生を抑制し、より均一なめっき被膜を形成可能なシリンダブロックのめっき処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明の一形態に係るシリンダブロックのめっき処理装置は、シリンダヘッドに対する合わせ面であるヘッド合わせ面を一側端に有するとともに、クランクケースに対する合わせ面であるケース合わせ面側のシリンダスカート端面を他側端に有するシリンダブロックのボア内周面にめっき処理を施すシリンダブロックのめっき処理装置であって、めっき処理装置本体と、前記めっき処理装置本体にめっき処理液を供給する処理液供給部と、を備え、めっき処理装置本体は、前記シリンダブロックが載置される載置部と、前記載置部に載置された前記シリンダブロックのシリンダボアに挿入配置される電極部と、を備える。前記電極部は、前記シリンダボアの軸方向に貫通する電極内流路を有するとともに、前記ボア内周面との間に、前記電極内流路に連通し、前記ヘッド合わせ面側の第1ボア開口縁から前記シリンダスカート端面側の第2ボア開口縁に至る前記めっき処理液の電極外流路を形成する。前記めっき処理装置本体は、前記ヘッド合わせ面に設置され、前記シリンダボアの全周に亘って延在しかつ前記ボア内周面よりもシリンダボアの径方向内方に突出する環状突出部を有するシール部材をさらに備え、前記めっき処理液は、前記電極内流路を介して前記電極外流路に流入し、前記電極外流路を前記第1ボア開口縁から前記第2ボア開口縁へ向けて通過する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電極内流路を通過しためっき処理液は、環状突出部と電極部との隙間を介して電極外流路に流入するため、シリンダブロックのヘッド合わせ面側のボア開口縁(第1ボア開口縁)は、電極外流路に流入するめっき処理液の流れに対して環状突出部の後方ないし背後に位置することとなる。これにより、第1ボア開口縁およびその近傍におい電極外流路を流れるめっき処理液とボア内周面との接触を適度に制限し、めっき被膜の過度な成長を回避し、花咲きの発生を抑制することが可能となる。よって、めっき被膜の均一形成を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一実施形態に係るめっき処理装置の全体的な構成を示す断面図である。
同上実施形態に係るめっき処理装置の構成を模式的に示す概略図である。
同上実施形態に係るシール部材(環状突出部)の構成をシリンダブロックとの関係のもとに示す(a)平面図および(b)断面図である。
同上実施形態に係る環状突起部の具体的な構成を示す断面図である。
同上実施形態の変形例に係るシール部材(環状突出部)の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
比較例に係るシール部材の構成を示す(a)平面図および(b)断面図である。
環状突起部の効果を複数の異なるシリンダボアとの内径差およびリブ部の突出高さについて示す説明図である。
花咲きが生じたボア開口縁およびその近傍を拡大視により示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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