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公開番号2024147488
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-16
出願番号2024007484
出願日2024-01-22
発明の名称亜鉛の分離回収方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人
主分類C22B 19/20 20060101AFI20241008BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】亜鉛含有ダスト中の亜鉛を少ない薬剤量、かつ選択性よく分離する方法を提供する。
【解決手段】亜鉛ダストおよび鉄ダストを含有する亜鉛含有ダストから亜鉛を分離回収する方法であって、亜鉛含有ダストスラリーに酸化剤を添加して酸化還元電位を調整する酸化還元電位調整工程と、酸化還元電位調整工程において酸化還元電位が調整された調整亜鉛含有ダストスラリーのpHを調整して亜鉛を浸出させ、亜鉛浸出液および亜鉛浸出残渣を得る亜鉛浸出工程と、亜鉛浸出液と亜鉛浸出残渣とを分離する第一固液分離工程と、分離された亜鉛浸出液のpHを調整して亜鉛を亜鉛沈殿物として沈殿させる亜鉛沈殿工程と、沈殿した亜鉛沈殿物を回収する第二固液分離工程とを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
亜鉛ダストおよび鉄ダストを含有する亜鉛含有ダストから亜鉛を分離回収する方法であって、
前記亜鉛含有ダストを含有する亜鉛含有ダストスラリーに酸化剤を添加して酸化還元電位を調整する酸化還元電位調整工程と、
前記酸化還元電位調整工程において酸化還元電位が調整された調整亜鉛含有ダストスラリーのpHを調整して亜鉛を浸出させ、亜鉛浸出液および亜鉛浸出残渣を得る亜鉛浸出工程と、
前記亜鉛浸出液と前記亜鉛浸出残渣とに固液分離する第一固液分離工程と、
分離された前記亜鉛浸出液のpHを調整して亜鉛を亜鉛沈殿物として沈殿させる亜鉛沈殿工程と、
pHが調整された前記亜鉛浸出液を前記亜鉛沈殿物とろ液とに固液分離して、分離された前記亜鉛沈殿物を回収する第二固液分離工程と、
を有する亜鉛の分離回収方法。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記酸化還元電位調整工程において、前記亜鉛含有ダストスラリーの酸化還元電位を、前記鉄ダストの表面にヘマタイトを形成させる酸化還元電位に調整する、請求項1に記載の亜鉛の分離回収方法。
【請求項3】
前記酸化還元電位調整工程において、前記亜鉛含有ダストスラリーの酸化還元電位を280mV以上に調整する、請求項2に記載の亜鉛の分離回収方法。
【請求項4】
前記亜鉛浸出工程において、前記調整亜鉛含有ダストスラリーのpHを3以上5以下に調整する、請求項1~3のいずれか一項に記載の亜鉛の分離回収方法。
【請求項5】
前記亜鉛沈殿工程において、前記亜鉛浸出液のpHを8以上11以下に調整する、請求項1~3のいずれか一項に記載の亜鉛の分離回収方法。
【請求項6】
前記亜鉛含有ダストが製鉄工程で発生する製鉄ダストである、請求項1~3のいずれか一項に記載の亜鉛の分離回収方法。
【請求項7】
前記亜鉛含有ダストが製鋼工程で発生する製鋼ダストである、請求項1~3のいずれか一項に記載の亜鉛の分離回収方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛の分離回収方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
転炉、溶銑予備処理炉、電気炉等の製鋼炉から発生する亜鉛含有ダストは、鉄ダストを多く含むため、製鉄工程への有望なリサイクル源である。ただし、亜鉛含有ダストを全量リサイクルすると、亜鉛が製鉄所内を循環し続けるため原料由来の亜鉛分だけ蓄積し、蓄積量が過大になると高炉で操業トラブルの原因となる。そのため、亜鉛含有ダストのリサイクル時には、事前に亜鉛を分離する必要がある。
【0003】
亜鉛含有ダストからの亜鉛分離技術として、特許文献1には、亜鉛を含有する製鋼ダストを反応容器において空気を吹き込んで撹拌しながら水と接触混合し、水の水素イオン濃度をpH3から6に調整して該ダスト中の亜鉛分を溶液側に浸出させた後、亜鉛を溶解した水と鉄分含有ダストとを分離し、引き続き前記亜鉛を溶解した水の水素イオン濃度をpH7から9に調整することによって亜鉛分を沈殿分離する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2000-309831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、亜鉛含有ダスト中の鉄形態の大部分が酸に易溶な金属鉄やウスタイトの状態であり、水の水素イオン濃度を酸性側に低減する。そのため、ダストの主成分である鉄が2~4%程度溶液に浸出しており、鉄の浸出によって水の水素イオンが消費されるため、水の水素イオン濃度を制御する際に添加する酸の量が大幅に増加する。また、亜鉛を沈殿分離する際に溶液に浸出していた鉄も一緒に沈殿するため、回収する亜鉛の純度が大幅に低減するデメリットがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて開発されたもので、亜鉛含有ダスト中の亜鉛を少ない薬剤量で、かつ選択性よく分離する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため、薬剤量を低減しつつ、選択性良く亜鉛を分離する方法について検討を重ねた。その結果、事前に亜鉛含有ダストを含有する亜鉛含有ダストスラリーの酸化還元電位を増加させてダスト表面の鉄を酸化して酸に不溶なマグネタイトやヘマタイトにすることによって、鉄の溶解に消費される酸の量を抑制しつつ、亜鉛分離能を向上可能な技術に思い至った。その要旨は次のとおりである。
【0008】
[1]亜鉛ダストおよび鉄ダストを含有する亜鉛含有ダストから亜鉛を分離回収する方法であって、
前記亜鉛含有ダストを含有する亜鉛含有ダストスラリーに酸化剤を添加して酸化還元電位を調整する酸化還元電位調整工程と、
前記酸化還元電位調整工程において酸化還元電位が調整された調整亜鉛含有ダストスラリーのpHを調整して亜鉛を浸出させ、亜鉛浸出液および亜鉛浸出残渣を得る亜鉛浸出工程と、
前記亜鉛浸出液と前記亜鉛浸出残渣とに固液分離する第一固液分離工程と、
分離された前記亜鉛浸出液のpHを調整して亜鉛を亜鉛沈殿物として沈殿させる亜鉛沈殿工程と、
pHが調整された前記亜鉛浸出液を前記亜鉛沈殿物とろ液とに固液分離して、分離された前記亜鉛沈殿物を回収する第二固液分離工程と、
を有する亜鉛の分離回収方法。
【0009】
[2]前記酸化還元電位調整工程において、前記亜鉛含有ダストスラリーの酸化還元電位を、前記鉄ダストの表面にヘマタイトを形成させる酸化還元電位に調整する、前記[1]に記載の亜鉛の分離回収方法。
【0010】
[3]前記酸化還元電位調整工程において、前記亜鉛含有ダストスラリーの酸化還元電位を280mV以上に調整する、前記[2]に記載の亜鉛の分離回収方法。
(【0011】以降は省略されています)

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