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公開番号2024142097
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023054092
出願日2023-03-29
発明の名称メタン変換回収用装着型装置
出願人日本ハム株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類B01D 53/14 20060101AFI20241003BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】本発明は、家畜から発生するメタンを利用可能な形で回収することを目的とする。
【解決手段】家畜から発生するメタンを酸化反応して、液体へと変換し回収する装着型装置を提供することにより、メタンをメタノール又はギ酸として回収することが可能になる。これにより、大気中に放出されるメタン量を低減するとともに、資源として価値があるメタノール又はギ酸として回収することができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
吸引ポンプと、メタンを酸化反応によってメタノール又はギ酸を含む液体に変換する反応容器と、前記液体を保管する貯蔵容器とを具備し、呼気中のメタンをメタノール又はギ酸に変換して回収する、装着型装置。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記反応容器が、フルオラス溶媒及び二酸化塩素を含む反応水溶液を含む、請求項1に記載の装着型装置。
【請求項3】
前記反応容器が、第一区画と、第一区画内に配置され、下向きの開口部を介して第一区画と連通している第二区画とを含み、第一区画にフルオラス溶媒を保持し、第二区画に反応水溶液を保持し、開口部よりも高い位置にフルオラス溶媒と反応水溶液との界面が位置する、請求項2に記載の装着型装置。
【請求項4】
前記反応容器の側壁又は底面に、フルオラス溶媒相の液面より下側に流路に接続された通気口を設け、通気口からメタン含有気体が供給されて、フルオラス溶媒に溶解する、請求項3に記載の装着型装置。
【請求項5】
前記流路がフルオラス溶媒の液面より高い位置を通るように形成されたサイホン流路を形成する、請求項4に記載の装着型装置。
【請求項6】
UV照射部をさらに含む、請求項2に記載の装着型装置。
【請求項7】
前記反応容器の壁面、底面、及び上面の少なくとも1部が、透明の部材で構成され、透明部材を介して、前記UV照射部からUVが照射される、請求項6に記載の装着型装置。
【請求項8】
前記反応容器の側壁又は上面に排気口を設ける、請求項3に記載の装着型装置。
【請求項9】
貯蔵容器に吸収剤を配置し、生成したメタノール含有水相を吸収させる、請求項3に記載の装着型装置。
【請求項10】
第一区画の液面より上部に、気液隔離部材を配置する、請求項3に記載の装着型装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜のげっぷを含む呼気中(以下、呼気)に含まれるメタンを、液体に変換して回収する、装着型装置に関する。より具体的に、吸引ポンプと、メタンを酸化反応によってメタノール又はギ酸を含む液体に変換する反応容器と、前記液体を保管する貯蔵容器とを含む装着型装置に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
メタン(CH

)は、二酸化炭素(CO

)と並ぶ温室効果ガスとして知られている。これらの温室効果ガスは赤外線領域に強い吸収をもち、大気中に放出されると、地表から放射されるエネルギーを吸収し、その一部を下層の地表に向かって放出する。これにより、地表から放出されたエネルギーの一部が温室効果ガスによって再び地表に戻されるため、地球温暖化が起こる。メタンは、CO

の21~72倍の温室効果を発揮するとされており、CO

に比べて大気中の含有量は少ないものの、温暖化への寄与が懸念されている。
【0003】
メタンは、天然ガスやメタンハイドレートとして大量に埋蔵されているほか、火山活動や自然の生態系からも放出されている。生態系からの放出として、湖沼からの放出に加え、動物、特に反芻動物の消化管に含まれるメタン生成細菌によっても生成される。メタンは、草食動物の呼気に含まれ、また糞からも排出される。畜産分野から放出されるメタンは、大気中のメタンガスの21%を占めるともいわれており、地球温暖化への影響が指摘されている。持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも畜産分野に対策を求める声が上げられている。
【0004】
これまで、家畜からのメタン発生を減少させるため、細菌や飼料を工夫し、メタン排出量を抑制する試みがされている。一例として、システインを用いる方法(特許文献1)、ビタミン、微量元素、アミノ酸、微生物などのサプリメントを利用する方法(特許文献2)、乳酸菌を利用する方法(特許文献3)、アルカリゲネス菌を利用する方法(特許文献4)などが報告されている。また、メタンの約95%が呼気とげっぷを介して牛の口と鼻孔から排出されることから、ウシの鼻付近に触媒を取り付けることで、生成したメタンを温室効果の少ない二酸化炭素に変換分解する装置について開発が進められている(特許文献5)。以上のように、畜産分野では、発生するメタンの放出の抑制に注力して研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平7-322828号公報
特表2022-521565号公報
特開2009-201354号公報
国際公開第2011/145516号
国際公開第2022/180375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、畜産分野で発生するメタンの放出を抑制することについて試みられている一方で、メタンを利用することについてはいまだ研究が進められていない。本発明は、家畜から発生するメタンを利用可能な形で回収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、家畜から発生するメタンを利用することについて鋭意研究を行い、家畜から発生するメタンを液体に変換して回収する装着型装置を着想した。具体的に、呼気中のメタンを、温室効果ガスではないメタノール又はギ酸を含む液体に変換して回収することで、回収及び貯蔵が難しい気体のメタンを液体の有用物質として回収することが可能になった。
そこで本発明は以下に関する:
[1] 吸引ポンプと、メタンを酸化反応によってメタノール又はギ酸を含む液体に変換する反応容器と、前記液体を保管する貯蔵容器とを具備し、呼気中のメタンをメタノール又はギ酸に変換して回収する、装着型装置。
[2] 前記反応容器が、フルオラス溶媒及び二酸化塩素を含む反応水溶液を含む、項目1に記載の装着型装置。
[3] 前記反応容器が、第一区画と、第一区画内に配置され、下向きの開口部を介して第一区画と連通している第二区画とを含み、第一区画にフルオラス溶媒を保持し、第二区画に反応水溶液を保持し、開口部よりも高い位置にフルオラス溶媒と反応水溶液との界面が位置する、項目2に記載の装着型装置。
[4] 前記反応容器の側壁又は底面に、フルオラス溶媒相の液面より下側に流路に接続された通気口を設け、通気口からメタン含有気体が供給されて、フルオラス溶媒に溶解する、項目3に記載の装着型装置。
[5] 前記流路がフルオラス溶媒の液面より高い位置を通るように形成されたサイホン流路を形成する、項目4に記載の装着型装置。
[6] UV照射部をさらに含む、項目2に記載の装着型装置。
[7] 前記反応容器の壁面、底面、及び上面の少なくとも1部が、透明の部材で構成され、透明部材を介して、前記UV照射部からUVが照射される、項目6に記載の装着型装置。
[8] 前記反応容器の側壁又は上面に排気口を設ける、項目3に記載の装着型装置。
[9] 貯蔵容器に吸収剤を配置し、生成したメタノール又はギ酸を吸収させる、項目3に記載の装着型装置。
[10] 第一区画の液面より上部に、気液隔離部材を配置する、項目3に記載の装着型装置。
[11] 貯蔵容器と、反応容器とが一体となって形成される、項目1に記載の装着型装置。
[12] 前記反応容器が、メタンからメタノール及び/又はギ酸への酸化反応を触媒するゼオライトを充填して含む、項目1に記載の装着型装置。
[13] 前記反応容器の上流に脱水部をさらに含む、項目12に記載の装着型装置。
[14] 脱水部が、珪藻土、シリカゲルを含む物理的乾燥剤、無水無機塩を含む化学的乾燥剤からなる群から選択される、項目13に記載の装着型装置。
[15] 脱水部が、前記反応容器中に配置される 、項目13に記載の装着型装置。
[16] UV照射部をさらに含む、項目12に記載の装着型装置。
[17] 前記反応容器の少なくとも一部が透明部材から構成され、透明部材を介して、前記UV照射部からUVが照射される、項目15に記載の装着型装置。
[18] 前記反応容器が、メタンからメタノール及び/又はギ酸への酸化反応を触媒するゼオライトを含む、1又は複数のカラムを並列及び/又は直列に配置することで構成される、項目12に記載の装着型装置。
[19] 前記酸化反応は、前記反応容器内における反応温度が40℃未満である、項目1に記載の装着型装置。
[20] 前記装着型装置の反応容器が、ウシ首又は肩付近に取り付けられ装着具で固定される、項目1に記載の装置。
[21] 前記貯蔵容器とウシ背部との間に吸収パッドを含む、項目2に記載の装着型装置。
[22] 連結管を介して前記反応容器に連結された回収部をさらに含む、項目1に記載の装着型装置。
[23] 前記連結管が首に沿って頭頂部又は頬部を介して配置され、前記回収部が鼻腔又は口付近に配置される、項目22に記載の装置。
[24] ウシの呼気中のメタンを液体に変換して回収する装着型のシステムであって、
ウシの鼻又は口付近に装着される回収部、
メタンを、酸化反応によってメタノール又はギ酸を含む液体に変換する反応容器、
貯蔵容器、
回収部と反応容器とを連結する連結管、
前記回収部に陰圧を付与し、ウシの呼気を吸入し、そして反応容器へと吐出する吸引ポンプ、及び
前記吸引ポンプを駆動する電源
を含む、前記システム。
[25] 前記反応容器と貯蔵容器とが、1つの容器として形成される、項目24に記載のシステム。
【発明の効果】
【0008】
メタンを回収することで、畜産分野からの温室効果ガスの発生を抑制することが可能になるとともに、回収されたメタノール又はギ酸は資源として利用することができる。気体のメタンを、メタノール又はギ酸を含む液体に変換することで、小さい容積の貯蔵容器に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は本発明に係る装着型装置及びシステムを簡略化して示す模式図である。
図2は、溶液型反応によりメタンをメタノール又はギ酸に変換する装着型装置1における反応容器2及び貯蔵容器3を簡略化して示す模式図である。(A)は、反応容器2及び貯蔵容器3が別個に存在する態様を示す。(B)は、UV照射部17及び気液隔離部材を備えた態様を示す。(C)は反応容器2及び貯蔵容器3が一体に形成された態様を示す。(B)、(C)では、反応容器2に水を添加しフルオラス溶媒14と水相による二相を形成させている。
図3は、固相型反応によりメタンをメタノール又はギ酸に変換する装着型装置1における反応容器2及び貯蔵容器3を簡略化して示す模式図である。
図4は、本発明に係る装着型装置1を牛に装着させた模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は家畜の呼気中に含まれるメタンを、メタノール又はギ酸を含む液体に変換して回収する、装着型装置(以下、本発明に係る装着型装置と呼ぶ)、又は当該装着型装置を含むシステムに関する。
(【0011】以降は省略されています)

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