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公開番号
2024140578
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023051769
出願日
2023-03-28
発明の名称
目的タンパク質の単離方法、及び目的タンパク質の単離キット
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
G01N
33/68 20060101AFI20241003BHJP(測定;試験)
要約
【課題】簡便に標的脂質に親和性を有する目的タンパク質を単離する技術を提供する。
【解決手段】標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、を有する単離方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、
前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、
前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、
前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、
前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、
を有する単離方法。
続きを表示(約 290 文字)
【請求項2】
前記工程4の後、更に、工程3及び工程4を繰り返して、前記複合体が濃縮された画分を得る工程5を有する、請求項1に記載の単離方法。
【請求項3】
前記細胞は、酵母細胞である、請求項1に記載の単離方法。
【請求項4】
前記目的タンパク質は、ナノボディである、請求項1に記載の単離方法。
【請求項5】
標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離キットであって、
前記目的タンパク質を含むディスプレイライブラリーと、リポソームを構成する脂質成分と、前記リポソームを標識する標識物と、
を有する単離キット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的タンパク質の単離方法、及び目的タンパク質の単離キットに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
真核生物の細胞内には細胞小器官(オルガネラ)が存在する(図1(A)参照。)。各オルガネラ膜は特有の膜脂質組成から構成されているが(図1(B)参照。)、ある特定の生理的、病的条件下ではオルガネラ膜脂質環境が劇的に変化する(図1(C)参照。)。オルガネラ膜脂質の変化は基本的な細胞機能だけでなく、恒常性維持に必須の生理的応答や細胞老化、神経変性疾患などの病態とも関連する可能性が報告されている。以上の理由から、オルガネラ膜脂質可視化ツールの拡充、さらにそれを簡便に開発するための方法論が求められている。
【0003】
図2(A)に示されるように、1000種類以上とも言われるオルガネラ膜脂質を解析する既存の方法としては、質量分析イメージング、ラマン分光法、脂質アナログなどのケミカルプローブ、脂質結合ドメインなどの脂質プローブ等が挙げられる。
これらはいずれも一長一短あり、特定のオルガネラ膜脂質を「高分解能で検出可能」、「簡便で培養細胞から個体レベルまで使用可能」、「エクソソーム単離などにも用いられる高い汎用性」という条件を満たすのは脂質結合ドメインなどの脂質プローブのみである(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Phosphatidylserine dynamics in cellular membranes. Kay JG, Koivusalo M, Ma X, Wohland T, Grinstein S. Mol Biol Cell. 2012 Jun;23(11):2198-212. doi: 10.1091/mbc.E11-11-0936. Epub 2012 Apr 11.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の脂質プローブは偶然に単離された脂質結合ドメインを転用しているだけであり(図2(B)参照。)、目的に応じて脂質プローブを開発するという確立された方法はこれまで存在しない。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、簡便に標的脂質に親和性を有する目的タンパク質を単離する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、を有する単離方法。
[2]前記工程4の後、更に、工程3及び工程4を繰り返して、前記複合体が濃縮された画分を得る工程5を有する、[1]に記載の単離方法。
[3]前記細胞は、酵母細胞である、[1]に記載の単離方法。
[4]前記目的タンパク質は、ナノボディである、[1]に記載の単離方法。
[5]標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離キットであって、前記目的タンパク質を含むディスプレイライブラリーと、リポソームを構成する脂質成分と、前記リポソームを標識する標識物と、を有する単離キット。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡便に標的脂質に親和性を有する目的タンパク質を単離する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
(A)各オルガネラ膜を有する真核生物細胞の図である。(B)各オルガネラ膜の構成図である。(C)各オルガネラ膜の説明図である。
(A)オルガネラ膜脂質を解析する既存の方法の説明図である。(B)従来の脂質プローブの開発方法の説明図である。(C)本実施形態における脂質プローブの開発方法の説明図である。
(A)本実施形態の目的タンパク質の単離方法の説明図である。(B)本実施形態において用いられる酵母細胞の説明図である。
(A)実施例1におけるFACS解析の結果を示す図である。(B)実施例1と同様の実験(リポソームは一種類のみを使用し、蛍光色素はATTO647を使用した。)でリポソームの量をふって、解離定数を求めた解析結果である。
実施例2におけるFACS解析の結果を示す図である。
(A、B)実施例2において単離されたナノボディの標的脂質含有リポソームとの結合をFACS解析した結果を示す図である。(C)実施例2において単離されたナノボディを用いた脂質プローブの概略図である。(D、E)脂質プローブを導入した酵母細胞の蛍光観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪目的タンパク質の単離方法≫
一実施形態において、本発明は、標的脂質に親和性を有する目的タンパク質の単離方法であって、前記目的タンパク質を含むライブラリー由来のタンパク質を細胞外表面に提示した細胞と、前記標的脂質を含む、第1の標識物で標識した第1のリポソームを混ぜて、前記第1のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程1と、前記第1の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程2と、前記画分に、前記標的脂質を含む、第2の標識物で標識した第2のリポソームを混ぜて、前記第2のリポソームと前記目的タンパク質との複合体を含む混合物を得る工程3と、前記第2の標識物による標識を指標に、前記混合物から前記複合体を含む画分を得る工程4と、を有する単離方法を提供する。
(【0011】以降は省略されています)
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