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公開番号
2024163805
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-22
出願番号
2023079704
出願日
2023-05-12
発明の名称
グルコース経路活性化による膵島細胞の増殖活性化
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/10 20060101AFI20241115BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】Mycl遺伝子による成熟膵島細胞の増殖を持続させ、継続的な増殖誘導を可能とする方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、Mycl遺伝子若しくはその遺伝子産物が導入された又は発現誘導された膵島細胞の増殖活性をグルコース刺激活性化経路賦活剤により促進及び/又は持続する方法を提供する。より具体的には、Mycl遺伝子が、(1)配列番号1又は3で表される塩基配列を含む核酸;又は(2)配列番号1又は3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつMycl遺伝子が発現誘導された場合に、膵島様細胞の増殖活性を持続及び/又は促進させる機能を有するポリペプチドをコードする核酸を含む上記方法が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
Mycl遺伝子若しくはその遺伝子産物が導入された又は発現誘導された膵島細胞の増殖活性をグルコース刺激活性化経路賦活剤により促進及び/又は持続する方法。
続きを表示(約 740 文字)
【請求項2】
グルコース刺激活性化経路賦活剤が、グルコース、スクロース、及びグルコキナーゼ活性化剤から群から少なくとも1種選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Mycl遺伝子が、
(1)配列番号1又は3で表される塩基配列を含む核酸;又は
(2)配列番号1又は3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつMycl遺伝子が発現誘導された場合に、膵島様細胞の増殖活性を持続及び/又は促進させる機能を有するポリペプチドをコードする核酸
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Mycl遺伝子産物が、
(1)配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;又は
(2)配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、並びに膵島様細胞の増殖活性を持続及び/又は促進させる機能を有するポリペプチド
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
Mycl遺伝子が一過的に発現する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
高グルコース培地と低グルコース培地を交互に適用する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
膵島細胞が、膵臓から単離された初代膵島細胞、培養膵島細胞、又は幹細胞由来である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
幹細胞が、iPS細胞、ES細胞、及び体性幹細胞からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、Mycl遺伝子若しくはその遺伝子産物が導入された又は発現誘導された膵島細胞の増殖をグルコースにより活性化される経路を調節することにより持続及び促進させる方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
世界における糖尿病及びその合併症に対する医療費は年間90兆円とされており、医療費圧迫が大きな社会問題となっている。糖尿病は網膜症、神経障害に加えて腎障害などの合併症を引き起こし、末期においては人工透析が必要となることもある。また、インスリン分泌がほとんど認められなくなった糖尿病末期の重症例においては、昏睡や死亡に至る可能性のある重症低血糖を繰り返し引き起こすなど、血糖コントロールが特に不良となる。重症低血糖の発症は、認知症を含めた脳障害の後遺症や予後悪化につながるため、重症低血糖の発症を回避することは臨床上の重要な課題となっている。糖尿病に対する治療法は、糖の吸収を抑える薬剤やインスリン製剤の投与等の対症療法が主流であり、そのほとんどが糖尿病そのものを治療するものではない。
【0003】
インスリン分泌が枯渇し、重症低血糖を何度も繰り返し引き起こす、血糖コントロールが特に不良な予後不良患者に対しては、膵臓移植、膵島移植が行われており、重症低血糖の発症抑制のみならず、インスリン離脱や良好な血糖コントロールの達成など、顕著な効果が認められている。しかしながら、ドナー不足や移植用膵島の分離施設が少ない等といった理由により、対象となる患者数は極めて限られており、単に重症低血糖の既往歴があるというだけの患者や、インスリン分泌が枯渇しているハイリスク群、さらには通常のI型糖尿病患者に対し、早期に介入するための治療選択肢として膵臓移植、膵島移植が提供されているわけではない。2020年にはドナー膵島移植が「同種死体膵島移植術」として保険収載されている。過去に比べ治療成績は向上してきているとはいえ、ドナー不足をはじめとして、ドナー膵島の個体差や膵島分離までの時間・方法のばらつきに起因する膵島の品質や収量確保に課題がある。これら課題により、移植できる患者数が限定される、予定されていた膵島移植が中止になる、インスリン離脱等の十分な治療効果を発揮するためには繰り返し移植が必要となるといった様々な問題が生じているのが実態である。多能性幹細胞由来のインスリン産生細胞を使った細胞移植医療の開発が進められているものの、多能性幹細胞由来のインスリン産生細胞は、機能的に未熟であることが大きな問題となっている。また、分化誘導工程が複雑なことから、多能性幹細胞から内胚葉、膵臓、膵島へ低コストで分化誘導するのは現状では困難である。
【0004】
これに対して、ドナー膵島細胞を十分量増殖させることができれば、比較的簡便な製造工程と品質管理により、安全で高品質な製品を比較的低コストで安定的に供給できるようになると期待される。また、高品質な膵島細胞を必要十分な量移植できるようになるため、1回の移植により十分な治療効果を発揮できる可能性がある。さらに、中間製品や最終製品を凍結保存することで計画的な移植治療が可能となり、膵島供給の不安定性に起因する移植中止リスクを最小化することができる。また、十分量の移植用膵島を安定的に供給することができれば、治療対象となる患者層が広がることが期待される。また、多能性幹細胞由来の膵島細胞を増殖させることができれば、移植用の多能性幹細胞由来膵島細胞製造の低コスト化が期待される。このような観点から、既存治療法と比較して、糖尿病の治療戦略に大きなインパクトを与えることが期待される。近年、Mycl遺伝子導入により、成熟膵島細胞の増殖誘導が可能となった。Myclによる膵島細胞の増殖誘導による移植医療の実現が期待されている(特許文献1)。Mycl遺伝子導入による成熟膵島細胞の増殖誘導は限定的で、増幅効率が限られることが問題あった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/117840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、Mycl遺伝子を発現させることで成熟膵島細胞に増殖活性を付与することが可能であるが、膵島増殖は一時的であり、数回の継代を経ると増殖活性が低下し、持続的な増幅はできなかった。そこで、本発明は、Mycl遺伝子による成熟膵島細胞の増殖を持続させ、継続的な増殖誘導を可能とする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、グルコース濃度依存的にMycl遺伝子による成熟膵島細胞の増殖を活性化すること、グルコキナーゼ活性化剤がMycl遺伝子による成熟膵島細胞の増殖を活性化すること、短期の高濃度グルコースによる刺激を繰り返すこと等、グルコースにより活性化される経路を調節することで膵島細胞を増殖させ、また、長期にわたって成熟膵島細胞の増幅が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の態様を有する。
[1]Mycl遺伝子若しくはその遺伝子産物が導入された又は発現誘導された膵島細胞の増殖活性をグルコース刺激活性化経路賦活剤により促進及び/又は持続する方法。
[2]グルコース刺激活性化経路賦活剤が、グルコース、スクロース、及びグルコキナーゼ活性化剤から群から少なくとも1種選択される、[1]に記載の方法。
[3]Mycl遺伝子が、
(1)配列番号1又は3で表される塩基配列を含む核酸;又は
(2)配列番号1又は3で表される塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつMycl遺伝子が発現誘導された場合に、膵島様細胞の増殖活性をグルコース濃度依存的に持続及び/又は促進させる機能を有するポリペプチドをコードする核酸
を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]Mycl遺伝子産物が、
(1)配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;又は
(2)配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、並びに膵島様細胞の増殖活性をグルコース濃度依存的に持続及び/又は促進させる機能を有するポリペプチド
を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[5]Mycl遺伝子が一過的に発現する、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]高濃度のグルコースと低濃度のグルコースを交互に適用する、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]膵島細胞が、膵臓から単離された初代膵島細胞、培養膵島細胞、又は幹細胞由来である、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]幹細胞が、iPS細胞、ES細胞、及び体性幹細胞からなる群から選択される、[7]に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グルコースにより活性化される経路を調節することによって膵島細胞を増殖させ、膵島様細胞の増殖活性を長期にわたって維持することにより、インスリン産生が望まれる糖尿病又はその関連疾患を治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
グルコースによる試験内でのMycl誘導膵島細胞の増殖活性化を示す。
グルコース濃度依存的なMycl誘導膵島細胞の増殖活性化を示す。
グルコキナーゼアクチベーター(GKA)によるMycl誘導膵島細胞の増殖効率の変化を示す。
グルコキナーゼインヒビター(GKI)によるMycl誘導膵島細胞の増殖効率の変化を示す。
グルコースによる生体内でのMycl誘導膵島細胞の増殖活性化を示す。
高グルコース濃度の培養条件下でのMycl誘導膵島細胞の増殖活性の低下を示す。
グルコースHigh-Lowによる持続的なMycl誘導膵島細胞の増殖活性を示す。
グルコースHigh-Lowによる持続的なMycl誘導膵島細胞の増殖活性を示す。
Mycl遺伝子発現による成熟ホルモン産生細胞の増殖促進を示す。
Mycl遺伝子発現とグルコースの協調によるβ細胞の効率的な増殖誘導を示す。
膵島細胞の長期培養による糖尿病マウスの回復を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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