発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、電子商取引の顧客の分析を行う情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。 続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】 【0002】 EC(Electronic Commerce)ビジネスにおいて、顧客ロイヤルティを基に顧客を分類し、顧客に対してその分類に適した販売促進を行うことが一般に行われている。また、顧客ロイヤルティに関連して顧客購買を分析する種々の技術が提案されている(非特許文献1~5)。 【0003】 非特許文献1では、購入金額の高い顧客を顧客ロイヤルティが高い顧客とし、3段階の顧客ランクを定義する方法を用いている。この方法は比較的簡易である一方で、例えば10000円の高額商品を月1回購入する顧客Aと、2500円の商品を毎週購入(月4回購入)して月の合計の購入額が10000円になる顧客Bのどちらが顧客ロイヤルティがより高いかを判断することは難しい。 【0004】 また、非特許文献2では、購入金額(Monetary)に加えて、購入頻度(Frequency)と最後の購買からの経過時間(Recency)を用いたRFM分析によって、顧客を分類する方法が提案されている。R、F、Mの各変数は、顧客購買行動分析において一般的に使われる特徴変数であり、顧客を購買行動の特徴に応じた分類には有効であると考えられている。しかし、例えば、上記の顧客Bに加えて、異なる商品を毎週購入(月4回購入)して月の合計の購入額が10000円になる顧客Cが存在し、顧客Bも顧客Cも、直近の購入日が7日前である場合、表1に示すように、RFM分析では、顧客Bと顧客Cは共に(R,F,M)=(7,4,10000)となり区別できない。なお、表1において、Recency欄は直近の購入日が何日前であるかを示し、Frequency欄は月あたりの購入回数を示し、Monetary欄は月の合計の購入額(円)を示す。 TIFF 2024165146000002.tif 45 170 【0005】 そこで、非特許文献3~5では、上記のRFM分析では十分な分析ができない場合にRFM分析を拡張する技術が提案されている。例えば、非特許文献3では、銀行の顧客セグメンテーションでRFMに顧客期間を変数に加え、非特許文献4では、RFMに購入商品目を変数に加え、非特許文献5では、RFMに会員期間の長さと利益を変数に加えることで、RFM分析の拡張が提案されている。しかし、これらの技術では、RFM分析に加える変数によってR、F、Mの各変数との関連性は異なるため、変数を加えることで分析精度が変わらなかったり、分析結果が加えた変数に必要以上に影響を受けたりするなど、分析精度が低下する可能性もある。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0006】 Hisatetsu Iizuka, Daisuke Yonemura, and Hideki Toyoda. Behavioral analysis by customer rank (in japanese). Operations Research: The Science of Management, 48:94-99, 2003. Ching-Hsue Cheng and You-Shyang Chen. Classifying the segmentation of customer value via rfm model and rs theory. Expert systems with applications, 36(3):4176-4184, 2009. Mehdi Bizhani and Mohammad Jafar Tarokh. Behavioral segmentation of bank’s point-of-sales using rf* m* approach. In Proceedings of the 2010 IEEE 6th International Conference on Intelligent Computer Communication and Processing, pages 81-86. IEEE, 2010. Takamasa Tanaka, Tomohiro Hamaguchi, Takumi Saigo, and Kazuhiko Tsuda. Classifying and understanding prospective customers via heterogeneity of supermarket stores. Procedia computer science, 112:956-964, 2017. Kuanchin Chen, Ya-Han Hu, and Yi-Cheng Hsieh. Predicting customer churn from valuable b2b customers in the logistics industry: a case study. Information Systems and e-Business Management, 13:475-494, 2015. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上述のように、顧客ロイヤルティの定義は多様であり複雑であり、また顧客ロイヤルティに関連して顧客購買を精度よく分析することは困難であった。 【0008】 そこで、本件開示の技術は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、顧客購買の分析精度を高めて顧客により適切な商品をリコメンドする技術を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本件開示の情報処理装置は、電子商取引の顧客の購買行動を特徴付ける要因である複数の特徴変数を取得する取得部と、前記顧客のうち前記複数の特徴変数が所定の条件を満たすコア顧客を特定する特定部と、特徴量空間における前記コア顧客の重心を算出する算出部と、前記特徴量空間において、前記コア顧客の前記重心と前記コア顧客以外の他の顧客それぞれの座標との距離に応じて前記他の顧客をクラスタに分類する分類部と、前記クラスタごとに、前記クラスタ内の顧客の購入商品に基づいて、前記クラスタ内の顧客ごとに推奨商品を決定する決定部と、を有する。これにより、特徴量空間におけるコア顧客との距離に応じて顧客をクラスタに分けてクラスタごとに顧客の推奨商品を決定することで、情報処理装置における推奨商品の決定に伴う処理負荷を軽減しつつ、顧客により適切な商品のリコメンドを行うことができる。 【0010】 また、上記の情報処理装置において、前記所定の条件は、顧客による前記電子商取引において取り扱われる商品の購入数、顧客により購入された商品の商品カテゴリ数、顧客による前記電子商取引において取り扱われる商品の購入頻度、顧客による前記電子商取引において取り扱われる商品の購入金額の少なくとも1つが所定の範囲の値であるという条件である。これにより、顧客の購買行動をより強く反映した推奨商品の決定を行うことが期待できる。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する