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公開番号
2024139633
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-09
出願番号
2023050675
出願日
2023-03-27
発明の名称
問題行動障害を検出する糞便中のバイオマーカー及び問題行動障害改善剤
出願人
学校法人藤田学園
,
株式会社農
,
伊藤忠製糖株式会社
代理人
個人
主分類
A61K
31/702 20060101AFI20241002BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】イヌの攻撃性等の問題行動を改善する改善剤/予防剤、問題行動障害の検査方法、検査キット、及び治療方法を提供することを課題とする。
【解決手段】問題行動障害、特に攻撃性を有するイヌの腸内細菌について解析を行ったところ、複数の細菌の存在比率が健常犬とは異なることが明らかとなった。特に、Nan遺伝子クラスターの存在比率が攻撃性と相関があることから、これを客観的な指標として攻撃性の検査を行うことができる。また、攻撃性の高いイヌにケストースを投与したところ、攻撃性だけではなく、興奮性、分離不安等、他の問題行動にも改善が認められた。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
ケストースを有効成分とするイヌの問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記問題行動障害が攻撃性、興奮性、及び分離不安であることを特徴とする請求項1記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項3】
経口投与されるものである請求項1又は2に記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項4】
少なくとも50mg/kg体重/日以上で有効成分であるケストースが投与されるものである請求項3記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項5】
イヌの腸内細菌叢を解析し、
Nan遺伝子クラスターを有する細菌の存在比率が所定値以上である場合には、
問題行動障害があると判断することを特徴とするイヌの問題行動障害の検査方法。
【請求項6】
前記所定値が健常犬の中央値であることを特徴とする請求項5記載のイヌの問題行動障害の検査方法。
【請求項7】
問題行動障害を判定するための検査キットであって、
Nan遺伝子クラスターの遺伝子を増幅することができるPCRプライマーセットと増幅試薬を含むことを特徴とする問題行動障害判定キット。
【請求項8】
イヌの問題行動障害を検査する方法であって、
糞便中のLachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella、Collinsella、Parasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus及びButyricoccusの占有率を検査し、
Lachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella、又はCollinsellaの少なくともいずれか1つの占有率が所定値よりも高い場合、
及び/又はParasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus又はButyricoccusの少なくともいずれか1つの占有率が所定値よりも低い場合には、
問題行動障害であることを判断する検査方法。
【請求項9】
ケストースを有効成分とする組成物を投与することを特徴とするイヌの問題行動障害治療法。
【請求項10】
前記問題行動障害が攻撃性、興奮性、及び分離不安であることを特徴とする請求項9記載のイヌの問題行動障害治療法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
イヌの問題行動障害を検出するための診断マーカー及び問題行動障害を予防、又は改善する予防改善剤に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
伴侶動物(companion animal)は、補助犬やセラピー犬に代表されるように、生活になくてはならない動物や、孤独感の減少等、生活をより豊かにするものとして、人間とのかかわりがますます重要視されている。しかし、伴侶動物もヒトと同様に、感情的、行動的な問題を引き起こす可能性がある。
【0003】
特にイヌは人間社会において最も身近な伴侶動物のひとつであり、生活になくてはならないものとなっている。しかしながら、イヌは時として、問題行動を起こすことがある。その代表的な行動が攻撃性である。イヌの攻撃性とはある個体が他の個体の自由度を減少させる物理的な行為またはその脅威として定義される問題行動のひとつである(非特許文献1)。具体的なイヌの攻撃行動としては、唸る、歯を見せる、脅迫的に吠える、突進する、噛むなどの行動となって表れる。
【0004】
イヌの攻撃性は、重大な場合には咬傷事故等につながることもあり、人との協調が著しく損なわれるだけではなく、危険性もあることから早期の対応が必要となる。対処方法としては、行動クリニックやトレーニングスクールでの訓練等、専門家によるトレーニング(行動療法)や、薬剤による治療(薬物療法)が行われている。しかしながら、攻撃性の治療を行う際に、2つの大きな課題が存在する。一つ目は「攻撃性の診断が難しいこと」であり、二つ目は「早期に明確な改善効果を発揮する治療が存在しないこと」である。
【0005】
現在のところ、攻撃性の診断は、獣医師が飼い主に対し質問を行い、攻撃性を判断する。しかしながら、攻撃性の要因が多様であり、かつその表現型も多様であることから、質問による診断は長年の経験や専門的な知識が要求されるため、適切に診断を行うことのできる獣医師は非常に少ない。また、一般的に飼い主は、攻撃性に関する知識が無いため、判断することは不可能である。
【0006】
攻撃性の治療には、上述のように、薬物療法と行動療法が存在する。しかし、薬物による治療には、抗不安薬を用いた薬物療法での攻撃性の亢進や、反対に効果を示さないなどの問題があることが報告されている(非特許文献2、3)。また、攻撃行動の治療として、拮抗条件付けや系統的脱感作等の行動療法も治療法とされているが(非特許文献4)、行動療法は熟練された獣医師が実施する必要があり、また、治療に時間を要するため、広く適用できる治療方法ではない(非特許文献5)。
【0007】
近年、攻撃性と腸内環境の関係性が報告されている。非特許文献6には、ピットブル系の犬種を対象とし、10頭の高い攻撃性を示すイヌと21頭の攻撃性を示さないイヌの糞便を用いて、腸内細菌叢の16Sアンプリコンシークエンスを行い、バイオインフォマティクス解析を実施したところ、攻撃性の高い犬と攻撃性を示さない犬の腸内細菌叢のβ多様性が異なっていたことが報告されている。これは、イヌの攻撃性が腸内細菌叢の構成と関連があることを示唆している。しかし、攻撃性を示す個体に特異的な腸内細菌の変化が特定されているわけではないため、診断に使うためには不十分である。
【0008】
特許文献1には、乳酸菌の亜種であるラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128(PS128乳酸菌)を投与することによって、恐れ、恐怖症、不安及び攻撃性などの感情的、行動的な問題を解決できることが開示されている。PS128乳酸菌を投与することによって、イヌの感情障害の評価(EDED)スケールが投与2週間で改善されたことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特表2022-518600号公報
特開2020-070245号公報
特開2020-097558号公報
【非特許文献】
【0010】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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