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公開番号
2024133715
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-02
出願番号
2024112698,2020086587
出願日
2024-07-12,2020-05-18
発明の名称
鋼板およびその製造方法
出願人
株式会社神戸製鋼所
代理人
個人
,
個人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20240925BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】高い降伏強度、低降伏比および低温靭性に優れた鋼板を、板厚が厚い場合であっても実現することのできる鋼板、および該鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】所定の成分組成を満たし、所定の式(1)で表されるPcmが0.30以下であり、所定の式(2)で表されるDhが21.7以上であり、ベイナイトおよび島状マルテンサイトMAのうちの1以上で構成される硬質組織の全鋼組織に占める分率が、23.3面積%~29.4面積%であり、かつその平均円相当直径が5.2μm以下である鋼板。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
C:0.040質量%~0.060質量%、
Si:0.20質量%~0.30質量%、
Mn:1.80質量%~2.00質量%、
P:0質量%超、0.010%質量%以下、
S:0質量%超、0.003質量%以下、
Al:0.040質量%~0.080質量%、
Cu:0.40質量%~0.50質量%、
Ni:1.40質量%~1.50質量%、
Cr:0.90質量%~1.10質量%、
Mo:0.17質量%~0.23質量%、
V :0質量%~0.005質量%、
Nb:0質量%~0.005質量%、
Ti:0.010質量%~0.020質量%、
B :0.0005質量%~0.0020質量%、
N :0.0030質量%~0.0065質量%、および
Ca:0.0005質量%~0.0035質量%を含有し、
残部が鉄および不可避不純物からなり、
下記式(1)で表されるPcmが0.30以下であり、下記式(2)で表されるDhが21.7以上であり、
ベイナイトおよび島状マルテンサイトMAのうちの1以上で構成される硬質組織の全鋼組織に占める分率が、23.3面積%~29.4面積%であり、かつその平均円相当直径が5.2μm以下である鋼板。
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B] ・・・(1)
Dh=DI×([C]+0.91×[Mn]+0.97×[Cr]+0.88×[Mo]) ・・・(2)
式(2)において、
DI=1.16×([C]/10)
0.5
×(0.7×[Si]+1)×(5.1×([Mn]-1.2)+5)×(0.35×[Cu]+1)×(0.36×[Ni]+1)×(2.16×[Cr]+1)×(3×[Mo]+1)×(1.75×[V]+1)×(200×[B]+1) ・・・(3)
式(1)~(3)において、[元素記号]は、それぞれ、質量%で示した鋼中の元素の含有量を示し、含まない元素はゼロとする。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板およびその製造方法に関する。特には、高降伏強度および良好な低温靭性と共に、より低い降伏比を示す鋼板と、その製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
建築用鋼板には、建築物の安全性を確保するための特性として、(i)高い降伏強度がまず求められる。昨今の建築物の高層化、大スパン化の流れから、鋼板にはより大きな荷重がかかるよう設計されることが増えると想定される。平常時における建築物の変形を防止するため、鋼板には高い降伏強度が求められている。
【0003】
また地震などによる非常時(降伏応力を超える荷重が付加される場合)、部材が塑性変形することにより、地震等のエネルギーを吸収し安全性を確保できると考えられる。建築物が倒壊するまでの塑性変形能が高いほど、すなわち降伏比(降伏強度/引張強度)が低いほど、エネルギー吸収量は多くなるため、鋼板には低降伏比が要求されている。
【0004】
更に、塑性設計された鋼板であっても、低温靭性に優れていない場合には塑性変形せずに脆性破壊することもありうる。そのため、安全性確保の観点から、亀裂の発生進展を防止するため所定の低温靭性が要求される。
【0005】
主に建築構造物等に使用される鋼板として、例えば特許文献1には、所定の成分組成を有し、所定の(1)式で規定される焼入れ性指数DIが8inch以上であると共に、下記(A)、(B)および(C)の要件を満足することを特徴とする引張強さ780MPa以上の低降伏比厚肉円形鋼管用鋼板が開示されている。
(A)板厚1/4部位におけるミクロ組織において、ベイナイトが90面積%以上である、
(B)板厚1/4部位におけるミクロ組織において、方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた領域の平均円相当直径dが4μm以下である、
(C)板厚1/4部位におけるミクロ組織において、平均円相当直径が0.5~3μmで、ビッカース硬さHvが700以上の島状マルテンサイトを3~10面積%で含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2013-57105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高降伏強度と良好な低温靭性と共に、より低い降伏比を実現することが求められているが、これまでの技術では困難であった。
【0008】
更に従来の技術では、上記の高降伏強度、良好な低温靭性およびより低い降伏比を、板厚がより厚い鋼板においても安定して得ることが困難であった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い降伏強度、低降伏比および低温靭性に優れた鋼板、および該鋼板の製造方法を実現することにある。更には、板厚が厚い場合であっても上記特性を実現することのできる鋼板、および該鋼板の製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様1は、
C:0.040質量%~0.060質量%、
Si:0.20質量%~0.30質量%、
Mn:1.80質量%~2.00質量%、
P:0質量%超、0.010質量%以下、
S:0質量%超、0.003質量%以下、
Al:0.040質量%~0.080質量%、
Cu:0.40質量%~0.50質量%、
Ni:1.40質量%~1.50質量%、
Cr:0.90質量%~1.10質量%、
Mo:0.17質量%~0.23質量%、
V :0質量%~0.005質量%、
Nb:0質量%~0.005質量%、
Ti:0.010質量%~0.020質量%、
B :0.0005質量%~0.0020質量%、
N :0.0030質量%~0.0065質量%、および
Ca:0.0005質量%~0.0035質量%を含有し、
残部が鉄および不可避不純物からなり、
下記式(1)で表されるPcmが0.30以下であり、下記式(2)で表されるDhが21.7以上であり、
ベイナイトおよび島状マルテンサイトMAのうちの1以上で構成される硬質組織の全鋼組織に占める分率が、23.3面積%~29.4面積%であり、かつその平均円相当直径が5.2μm以下である鋼板である。
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B] ・・・(1)
Dh=DI×([C]+0.91×[Mn]+0.97×[Cr]+0.88×[Mo]) ・・・(2)
式(2)において、
DI=1.16×([C]/10)
0.5
×(0.7×[Si]+1)×(5.1×([Mn]-1.2)+5)×(0.35×[Cu]+1)×(0.36×[Ni]+1)×(2.16×[Cr]+1)×(3×[Mo]+1)×(1.75×[V]+1)×(200×[B]+1) ・・・(3)
式(1)~(3)において、[元素記号]は、それぞれ、質量%で示した鋼中の元素の含有量を示し、含まない元素はゼロとする。
(【0011】以降は省略されています)
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