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公開番号2024131621
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023041999
出願日2023-03-16
発明の名称微小振動体の実装構造
出願人株式会社デンソー,トヨタ自動車株式会社,株式会社ミライズテクノロジーズ
代理人弁理士法人ゆうあい特許事務所
主分類G01C 19/5691 20120101AFI20240920BHJP(測定;試験)
要約【課題】三次元曲面を有する微小振動体が異なる材料で構成された実装基板に搭載された実装構造において、対向する微小振動体の表面電極と実装基板の電極との距離の温度変動が低減する。
【解決手段】微小振動体2が搭載される実装基板3は、第1基板4と第2基板7とが接着されている。第1基板4は、微小振動体2よりも線膨張係数が大きい材料で構成されている。第2基板7は、微小振動体2とは反対側に配置されると共に、微小振動体2との線膨張係数の差が第1基板4よりも小さい材料で構成されている。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
環状曲面を有する曲面部(21)と、前記曲面部から前記曲面部の内側中心に延設された接続部(22)とを有する微小振動体(2)と、
前記曲面部のうち前記接続部とは反対側の端部をリム(211)として、前記リムと対向すると共に、前記リムを囲みつつ、互いに距離を隔てて配置される複数の電極部(52)を有する実装基板(3)と、を備え、
前記微小振動体は、前記接続部が前記実装基板に接合されると共に、前記曲面部が他の部材と接触しない中空状態であり、
前記実装基板は、前記微小振動体が接合される搭載面(4a)に前記複数の電極部が形成されている第1基板(4)と、前記第1基板のうち前記搭載面とは反対側の他面(4b)に接着される第2基板(7)とを有してなり、
前記第1基板は、前記微小振動体よりも線膨張係数が大きい材料により構成されると共に、前記複数の電極部を構成する上部基板(5)と前記上部基板の下地となる下部基板(6)とが積層されてなり、
前記第2基板は、前記微小振動体との線膨張係数の差が前記第1基板よりも小さい材料により構成されている、微小振動体の実装構造。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記第1基板のうち前記複数の電極部が形成されている電極形成部(62)は、前記第2基板に接着されている固定部(8)と、前記固定部から前記リムに向かって延設された延設部(9)とを有してなり、
前記複数の電極部は、前記延設部に形成されており、
前記延設部は、前記第2基板とは隙間を隔てて配置されている、請求項1に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項3】
前記固定部は、平行配置された一組の第1アンカー(81)と、平行配置された一組の第2アンカー(82)とを有し、
前記延設部は、前記一組の第1アンカーのそれぞれから延伸された2つの延伸部(91)と、前記一組の第2アンカーを繋ぐレバー(92)と、前記電極部が形成された電極直下部(93)とを有し、
前記2つの延伸部は、前記第1基板の平面方向のうち前記微小振動体が接合される部位を中心軸とする径方向に沿って、前記レバーに接続されており、
前記レバーは、前記中心軸に対する周方向に沿って延設されると共に、前記径方向に変位可能となっており、
前記電極直下部は、前記一組の第1アンカーおよび前記一組の第2アンカーよりも前記微小振動体に近い位置に配置され、前記レバーのうち前記2つの延伸部が接続された部分の間に前記径方向に沿って接続されている、請求項2に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項4】
前記一組の第2アンカーは、前記一組の第1アンカーよりも前記電極直下部に近い位置に配置されており、
前記電極形成部は、正の線膨張係数である材料で構成されている、請求項3に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項5】
前記一組の第1アンカーは、前記一組の第2アンカーよりも前記電極直下部に近い位置に配置されており、
前記電極形成部は、負の線膨張係数である材料で構成されている、請求項3に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項6】
前記延伸部、前記一組の第1アンカー、前記一組の第2アンカーおよび前記レバーは、前記第1基板のうち前記微小振動体の直下に位置する領域に配置されている、請求項4または5に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項7】
前記電極形成部は、前記電極部が形成された部位とは異なる部位に温度調節素子(67)が配置されている、請求項2に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項8】
前記第2基板は、複数の接着部(10)を介して前記第1基板に部分的に接合されており、
前記複数の接着部は、前記他面のうち前記微小振動体の前記接続部を囲む枠体部(51)を投影した部分である第1投影部(4ba)と前記複数の電極部を投影した部分である第2投影部(4bb)との間に配置された第1接着部(101)と、前記第2投影部よりも前記微小振動体が接合される部位を中心軸とする径方向の外側の領域に配置されている第2接着部(102)とを有する、請求項2に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項9】
前記第1接着部および前記第2接着部は、それぞれ、前記中心軸に対する周方向に沿って、島状に複数配置されており、
前記第2接着部は、前記第1接着部を通る前記径方向の延長線上に配置されている、請求項8に記載の微小振動体の実装構造。
【請求項10】
前記第1接着部および前記第2接着部は、それぞれ、前記中心軸に対する周方向に沿った1つの環状形状である、請求項8に記載の微小振動体の実装構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元曲面形状を有する微小振動体の実装構造に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、車両の自動運転のシステム開発が進められており、この種のシステムでは、高精度の自己位置の推定技術が必要である。例えば、いわゆるレベル3の自動運転向けに、GNSS(Global Navigation Satellite Systemの略)とIMU(Inertial Measurement Unitの略)とを備える自己位置推定システムの開発が進められている。IMUは、例えば、3軸のジャイロセンサと3軸の加速度センサから構成される6軸の慣性力センサである。将来的に、いわゆるレベル4以上の自動運転を実現するためには、現状よりもさらに高感度のIMUが求められる。
【0003】
このような高感度のIMUを実現するためのジャイロセンサとしては、BRG(Bird-bath Resonator Gyroscopeの略)が有力視されており、ワイングラスモードで振動する略半球形状の三次元曲面を有する微小振動体が実装基板に搭載されてなる。この微小振動体は、振動の状態を表すQ値が10

以上に達するため、従来よりも高感度が見込まれる。
【0004】
この種の微小振動体と実装基板との実装構造としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。この実装構造は、微小振動体のうち略半球形の三次元曲面の頂点付近からその半球の内側中心に向かって延設された柱状の接合部が、実装基板のうち略環状枠体に囲まれた接合領域に挿入されている。この実装構造は、微小振動体の全面を覆う表面電極と実装基板の接合領域に形成された配線とが接合されており、実装基板の当該配線を介して微小振動体の表面電極に所定の電圧を印加可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
中国特許出願公開第107036705号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の実装構造は、例えば、微小振動体が石英ガラス、実装基板が珪ホウ酸ガラスといったように、異なる材料で構成されている。この実装構造は、温度が高い環境におかれると、微小振動体と実装基板との線膨張係数差に起因し、微小振動体の表面電極と実装基板のうちこれと対向する電極との間の距離が変化し、これらの電極間の静電容量が変化してしまう。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、微小振動体が異なる材料で構成された実装基板に搭載されてなり、対向する微小振動体の表面電極と実装基板の電極との距離の温度変化に伴う変化量が低減された微小振動体の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の微小振動体の実装構造は、環状曲面を有する曲面部(21)と、曲面部から曲面部の内側中心に延設された接続部(22)とを有する微小振動体(2)と、曲面部のうち接続部とは反対側の端部をリム(211)として、リムと対向すると共に、リムを囲みつつ、互いに距離を隔てて配置される複数の電極部(52)を有する実装基板(3)と、を備え、微小振動体は、接続部が実装基板に接合されると共に、曲面部が他の部材と接触しない中空状態であり、実装基板は、微小振動体が接合される搭載面(4a)に複数の電極部が形成されている第1基板(4)と、第1基板のうち搭載面とは反対側の他面(4b)に接着される第2基板(7)とを有してなり、第1基板は、微小振動体よりも線膨張係数が大きい材料により構成されると共に、複数の電極部を構成する上部基板(5)と上部基板の下地となる下部基板(6)とが積層されてなり、第2基板は、微小振動体との線膨張係数の差が第1基板よりも小さい材料により構成されている。
【0009】
この実装構造は、三次元曲面を有する微小振動体と、微小振動体のうちリムを囲みつつ、互いに距離を隔てて配置される複数の電極部を有する第1基板、および第1基板に接着される第2基板によりなる実装基板とを有してなる。この実装構造は、第1基板が微小振動体よりも線膨張係数が大きい材料により構成され、第2基板が第1基板よりも微小振動体との線膨張係数の差が小さい材料で構成されている。これにより、温度変化により高温または低温になった場合、第1基板は、微小振動体との線膨張係数の差が小さい第2基板により拘束され、熱膨張もしくは収縮が抑制され、複数の電極部の位置変化が抑制される。このため、この実装構造は、温度変化に伴う複数の電極部と微小振動体のリムとの対向距離、すなわち電極間距離の変動が低減される。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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