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公開番号2024129773
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-27
出願番号2023144066
出願日2023-09-06
発明の名称リサイクルされたリチウムイオン電池からのドープされたカソード材料前駆体
出願人アセンド エレメンツ,インコーポレイテッド
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C01G 53/00 20060101AFI20240919BHJP(無機化学)
要約【課題】 リサイクルされたリチウムイオン電池からのドープされたカソード材料前駆体を提供する。
【解決手段】 電池リサイクルプロセスは、消耗されたLiイオン電池からの電荷材料金属を含むリサイクル流を集め、及びリサイクルシーケンス内の共沈段階でドーピング物質を使用して、同等の又は改善されたサイクル寿命を有するリサイクル電池電荷材料と、より少ないクラック欠陥を有するリサイクル電荷材料前駆体とを生成する。共沈プロセスでは、混合された電荷材料金属の溶液が製造され、電荷材料金属の比率がリサイクル電池の仕様に基づいて調整され、及び比較的少量のドーピング塩が添加される。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
リサイクルされたリチウムイオン電池の流れから、ドープされたカソード材料前駆体を製造する方法であって、
前記リサイクルされたリチウムイオン電池の流れからブラックマスを浸出させて、ある比率の金属元素を含む浸出液を得ることと、
前記金属元素の前記比率を、追加の金属塩を用いて、選択された比率に調整することと、
1種以上のドーパント塩を前記浸出液に添加することと、
前記浸出液から前記金属元素及びドーパント塩を共沈させて、前記選択された比率の金属元素を有する、前記ドープされたカソード材料前駆体を形成することと
を含む方法。
続きを表示(約 570 文字)【請求項2】
前記ドーパント塩は、Mg、Ca、Al、Fe、Nb、Cu、Cr、Zn及びZrからなる群から選択されるドーパント金属を含む塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドープされたカソード材料前駆体は、0.5~5000ppmの前記ドーパント金属を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドーパント塩は、Mg塩又はAl塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ドーパント塩は、硝酸アルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドープされたカソード材料前駆体は、1~100ppmのAlを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属元素は、ニッケル、マンガン及びコバルトの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属元素は、ニッケル、マンガン及びコバルトである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドープされたカソード材料前駆体は、60%超のニッケルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ドープされたカソード材料前駆体は、60%未満のニッケルを含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【背景技術】
【0001】
背景
リチウムイオン(Liイオン)電池は、急加速のために電気モーターが必要とされる電気自動車(EV)及び電動工具などの高放電用途における二次(充電式)電池のための好ましい化学物質である。Liイオン電池は、集電体(典型的には銅又はアルミニウムの平面シート)に塗布又は堆積された電荷材料と、導電性粉末と、バインダーとを含む。電荷材料は、典型的には、黒鉛又は炭素であるアノード電荷材料と、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルト、アルミニウム、鉄及びリンなど、所定の比率の金属を含むカソード電荷材料とを含み、Liイオンセルのいわゆる「電池化学組成」を規定する。好ましい電池化学組成は、ベンダー及び用途によって異なり、Liイオン電池のリサイクルの取り組みは、典型的には、リサイクルされた電荷材料製品における電池化学組成の所定のモル比に従う。構成製品の純度は、リサイクルされたセルの品質及び性能に大きく関係し、多くの場合、純度99.5%を意味するいわゆる「電池グレード」の材料に依存する。
続きを表示(約 3,000 文字)【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
電池のリサイクルプロセスでは、消耗されたLiイオン電池からの電荷材料金属を含むリサイクル流が集められて、リサイクルシーケンスの共沈段階でドーピング物質を使用して、より少ないクラック欠陥を有するリサイクル電池電荷材料前駆体と、同等の又は改善されたサイクル寿命を有するリサイクル電池電荷材料とを生成する。共沈プロセスでは、混合された電荷材料金属の溶液は、リサイクル電池の仕様に基づく電荷材料金属の比率を有し、及び比較的少量のドーパント塩を含むように調整される。ドープされた電荷材料前駆体は、pH調整、電荷材料金属とドーパント塩との共沈からもたらされ、これは、その後、リチウムと共に焼結されて、所定の化学組成(比率)を有するリサイクル電池のためのドープされたカソード活性電荷材料を形成する。性能特性を向上させるために、焼結前に追加のドーピング塩を添加することもできる。
【0003】
本明細書に記載の構成は、一部には、EV及び他の産業向けのLiイオン電池のリサイクルが、消耗されたカソード電荷材料(カソード材料)の形態で電荷材料金属を大量に生成するという観察に基づいている。残念ながら、電池をリサイクルする従来のアプローチは、これらのリサイクルされるカソード材料の履歴及び品質が未知であるため、得られるカソード材料前駆体及びそれから調製されるカソード材料の性能にばらつきが生じ得るという欠点がある。例えば、クラックなどのカソード材料前駆体の表面特性及びカソード材料のサイクル寿命は、それらを製造するためのリサイクル材料の供給源及び特性によって変動し得る。
【0004】
したがって、本明細書の構成は、電荷材料をドーピング物質と共に共沈及び焼結するためにドーピング物質、特にドーパント塩をリサイクル電池電荷材料に添加することにより、サイクル寿命及び表面クラックを含む性能問題を実質的に克服する。ドーピング物質は、典型的には、共沈前に浸出液に少量添加される別の金属塩であり、リサイクルされる電池電荷材料の金属と異なる金属を含む。典型的なドーパント塩は、マグネシウム又はアルミニウムを含み、これらは、驚くべきことに、カソード材料前駆体の表面形態を改善し、カソード材料のサイクル寿命、すなわち電池が再充電され得る回数も改善することが見出された。
【0005】
更に詳細には、本明細書の構成は、リサイクルされたリチウムイオン電池の流れからブラックマスを浸出させることによって得られる、少なくとも1種のドーパント塩と、選択された又は所定の比率の金属元素との共沈混合物に基づいて、リサイクルされたリチウムイオン電池の流れから調製されるドープされたカソード材料前駆体を生成する。共沈反応により、ドーパントを含む粒状形態の電荷材料(典型的には水酸化物形態)が得られ、これは、新しい/リサイクルされた電池の製造において利用可能なカソード活物質(CAM)の形成のための前駆体(pCAM、前駆体カソード活物質)として使用することができる。共沈前に、金属元素の比率を、選択された比率に調整するために追加の金属塩が提供され、所望の性能の改善を得るために1種以上のドーパント塩が個別に(前若しくは後に)又は比率の調整中に添加される。析出した混合物に追加のドーパント塩が添加され得る。前駆体から、リチウム塩を組み込む焼結プロセスを使用して、対応するCAMを生成することができる。このようにして、ドープされたカソード活物質前駆体及びドープされたカソード活物質は、リサイクルされたリチウムイオン電池の流れから調製され、比率が調整された金属塩と、1種以上のドーパント塩と、リチウム塩との焼結された組み合わせを含む。
【0006】
図面の簡単な説明
前述した特徴及び他の特徴は、添付の図面に示される、本明細書に開示の特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。添付の図面において、異なる図面全体を通して同様の参照文字が同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書の構成における使用に適したリサイクル環境のコンテキスト図である。
図1のリサイクルプロセスにおいて電荷材料の性能を向上させるためにドーパントを導入するためのフローチャートである。
図2のプロセスから得られる電荷材料前駆体粒子の表面形態を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図2のプロセスから得られる電荷材料前駆体粒子の表面形態を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図2のフローチャートに従ってドーピングを行った結果得られた充電サイクルの改善のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下では、NMC電池などの電池をリサイクルする方法及びアプローチの例を示す。Liイオン電池は、カソード材料を形成するために使用される金属イオンの種類及び比率を既定する、いわゆる電池化学組成を採用している。アノード材料は、ほとんどの場合、炭素又は黒鉛に基づく配合物である。本明細書における構成は、一例としてNMC電池化学組成を採用している。しかしながら、開示されるアプローチは、任意の適切な電池化学組成を用いて実施することができる。具体的な比率は、リサイクルされた電荷材料の製造業者又は受領者によって設定され、電荷材料及び電荷材料前駆体は、製造業者の所定の仕様を満たすように生成することができる。
【0009】
図1は、本明細書の構成における使用に適したリサイクル環境のコンテキスト図である。図1を参照すると、リサイクルシナリオ100は、典型的には、EVからのLiイオン電池102を配置することから始まる。Liイオン電池102は、電荷材料が十分な充電を受け入れる能力が大幅に低下するまでの充電サイクル数が有限である。これに、車両の故障、衝突による損傷などにより早期に寿命が終了した電池が加わる。この集合的な寿命後のリサイクル流は、使用済みセルと電荷材料とを含む、消耗された電池の豊富な供給に寄与する。電池は、放電され、物理的に破砕、細断及び微粉砕することによって粒状のブラックマス104に撹拌され、このブラックマスは、電荷材料及び任意の付随するケーシング並びに銅及びアルミニウムの集電体を含む。カソード材料金属塩のカソード材料と、炭素及び黒鉛のアノード材料との両方を含むブラックマスは、溶解した電荷材料金属の浸出液106を形成するために使用される。
【0010】
浸出液には、硫酸浸出による硫酸塩などのNi、Mn及びCoの塩が含まれるが、他の電荷材料金属及び/又は浸出酸を採用することもできる。浸出液106は、流入するリサイクル流の構成組成に基づくNi、Mn及びCoのモル比を有する。モル比は、硫酸塩などの追加のNi、Mn及びCoの塩(典型的には新鮮な材料のバージン又は対照の形態)で調整され、目標比に調整された溶液108が得られる。
(【0011】以降は省略されています)

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