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公開番号2025062790
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-15
出願番号2023172048
出願日2023-10-03
発明の名称二酸化炭素の固定方法、及び、アルカリ土類金属の炭酸塩の製造方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人
主分類C01F 5/24 20060101AFI20250408BHJP(無機化学)
要約【課題】MgやCa等を含むケイ酸塩鉱物とCO2とを反応させて炭酸塩として固定化するCO2の固定を、工程管理がしやすく、高い処理効率で行うことができる、新たな技術的手段を提供すること。
【解決手段】アルカリ土類金属含有鉱石に機械的応力を加えるメカノケミカル処理を施し、アルカリ土類金属中のアルカリ土類金属含有鉱物を非晶質化する、非晶質化処理St1と、前記非晶質化処理St1を経た前記アルカリ土類金属含有鉱石を溶液に入れて溶液中に溶出させたマグネシウムを、二酸化炭素と反応させることによって、アルカリ土類金属の炭酸塩として前記二酸化炭素を固定する、二酸化炭素固定化処理St2と、を行う、二酸化炭素の固定方法とする。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
アルカリ土類金属含有鉱石に機械的応力を加えるメカノケミカル処理を施し、前記アルカリ土類金属含有鉱石中のアルカリ土類金属含有鉱物を非晶質化する、非晶質化処理と、
前記非晶質化処理を経た前記アルカリ土類金属含有鉱石を溶液に入れて、前記アルカリ土類金属含有鉱石から前記溶液中に溶出させたアルカリ土類金属を二酸化炭素と反応させることによって、アルカリ土類金属の炭酸塩として前記二酸化炭素を固定する、二酸化炭素固定化処理と、を行う、
二酸化炭素の固定方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記メカノケミカル処理が、前記アルカリ土類金属含有鉱石をボールミルに投入して行う処理である、
請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項3】
前記ボールミルの回転数を10rpm以上とし、且つ、前記ボールミルによる処理時間を処理時間80分以上とする、
請求項2に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項4】
前記アルカリ土類金属が、マグネシウムであって、
前記アルカリ土類金属含有鉱物が、マグネシウムケイ酸塩であって、
前記アルカリ土類金属の炭酸塩が、炭酸マグネシウムである、
請求項1から3の何れかに記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属含有鉱石のマグネシウム濃度が5質量%以上である、
請求項4に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項6】
前記アルカリ土類金属含有鉱石中のマグネシウムとケイ素の質量比率(Mg/Si)が0.5以上である、
請求項4に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項7】
前記アルカリ土類金属が、カルシウムであって、
前記アルカリ土類金属含有鉱物が、カルシウムケイ酸塩であって、
前記アルカリ土類金属の炭酸塩が、炭酸カルシウムである、
請求項1から3の何れかに記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項8】
アルカリ土類金属含有鉱石に機械的応力を加えるメカノケミカル処理を施し、前記アルカリ土類金属含有鉱石中のアルカリ土類金属含有鉱物を非晶質化する非晶質化処理と、
前記非晶質化処理を経たアルカリ土類金属含有鉱石を溶液に入れて、前記アルカリ土類金属含有鉱石から前記溶液中に溶出させたアルカリ土類金属を二酸化炭素と反応させてアルカリ土類金属の炭酸塩として二酸化炭素を固定することによって、前記溶液中に前記アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する、二酸化炭素固定化処理と、
を行う、
アルカリ土類金属の炭酸塩の製造方法。
【請求項9】
前記メカノケミカル処理を、前記アルカリ土類金属含有鉱石をボールミルに投入して行う、
請求項8に記載のアルカリ土類金属の炭酸塩の製造方法。
【請求項10】
前記ボールミルの回転数を10rpm以上とし、且つ、前記ボールミルによる処理時間を80分以上とする、
請求項9に記載のアルカリ土類金属の炭酸塩の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の固定方法、及び、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化の急速な進行に伴い、排出される二酸化炭素の排出量の削減と併せて、排出された二酸化炭素を鉱物等に固定化することによる炭素隔離利用技術(CCSU,Carbon Capture,Storage,and Utilization)の実用化が求められている。炭素隔離利用技術(CCSU)の具体的実現手段としては、海水深くに二酸化炭素を圧入する方法、或いは、二酸化炭素を地中に圧入して貯蔵する等、各種の二酸化炭素の固定方法が検討されている。しかし、これらの何れの方法も、二酸化炭素の処理に多くの費用を要して経済的ではなく、又、その後の環境に与える影響が不明瞭であり実用化には未だ多くの問題を抱えている。
【0003】
一方、上記の炭素隔離利用技術(CCSU)の一つとして、マグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)等を含むケイ酸塩鉱物と二酸化炭素(CO

)とを反応させて炭酸塩として固定化する技術(炭酸塩鉱物化技術(Mineral Carbonation Technology))が注目を浴びている(特許文献1参照)。炭酸マグネシウム(MgCO

)や炭酸カルシウム(CaCO

)等の炭酸塩は、常温・常圧で非常に安定であり、環境変化による影響を受けにくいため、長期に亘ってCO

を安定的に鉱物中に固定し続けることができるからである。そして、尚且つ、上記方法によるCO

の固定化に伴って生成されるMgCO

やCaCO

は、何れも、中和剤、ゴム、プラスチックの増強剤、農薬、肥料、飼料の材料等、広範な工業分野で利用可能であり、尚且つ、カーボンニュートラルな材料であることから、今後の更なる需要の増加が見込まれている。
【0004】
ここで、上記の炭酸塩鉱物化技術(Mineral Carbonation Technology)の実施においては、マグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)を、CO

と反応させるための溶液中に十分に溶出させる必要がある。しかしながら、MgやCaは、これらを含有する各種の鉱石中において、その多くが、複雑な結晶構造を有するケイ酸塩化合物(例えば、Mg

Si



(OH)

、Mg

Si


10
(OH)

、CaSiO

、Ca

SiO

、Ca

SiO

等の化合物)として含有されている。従って、溶液へのMg
2+
やCa
2+
の溶出は容易には進行しない。従って、上記の炭酸塩鉱物化技術(Mineral Carbonation Technology)の実施に際しては、これらの鉱石に対してMg
2+
やCa
2+
の溶出を促進させるための何らかの前処理を行うことが必要とされていた。
【0005】
このように炭酸塩鉱物化技術(Mineral Carbonation Technology)を実施する際に必要となる前処理として、従来、上記鉱石を加熱することによって、当該鉱石に含有されているMgやCaの溶液中への溶出を促進する技術が提案されている(特許文献2、3参照)。しかしながら、一般的に、処理対象となる鉱石の多くは、高湿度環境下で掘り出され、不定量の物理吸着水分を含んだ状態で供されることとなる場合が多く、又、MgやCaの溶出を促進するための加熱処理による反応は吸熱反応であることもあって、これらの加熱処理は、適切な反応を進行させるための温度管理の難易度が高く、高い処理効率で前処理を進めることができる方法ではなかった。又、上記の加熱処理に要するエネルギーコストの増加や当該加熱処理に伴うCO

排出量の増大も懸念されるところとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平10-249153号公報
特表2012-500718号公報
特表2013-505124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものであり、MgやCa等を含むケイ酸塩鉱物とCO

とを反応させて炭酸塩として固定化するCO

の固定を、工程管理がしやすく、高い処理効率で行うことができる、新たな技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、溶液中にアルカリ土類金属を溶出させてCO

と反応させる処理に先行して、アルカリ土類金属含有鉱石に機械的応力を加えることによって、当該鉱石中のアルカリ土類金属含有鉱物(アルカリ土類金属ケイ酸塩等)の結晶構造を変化させるという特有の非晶質化処理を行うことによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下のものを提供する。
【0009】
(1) アルカリ土類金属含有鉱石に機械的応力を加えるメカノケミカル処理を施し、前記アルカリ土類金属含有鉱石中のアルカリ土類金属含有鉱物を非晶質化する、非晶質化処理と、前記非晶質化処理を経た前記アルカリ土類金属含有鉱石を溶液に入れて、前記アルカリ土類金属含有鉱石から前記溶液中に溶出させたアルカリ土類金属を二酸化炭素と反応させることによって、アルカリ土類金属の炭酸塩として前記二酸化炭素を固定する、二酸化炭素固定化処理と、を行う、二酸化炭素の固定方法。
【0010】
(1)の二酸化炭素の固定方法によれば、アルカリ土類金属含有鉱石に機械的応力を加えることによる非晶質化処理を行うことによって、当該鉱石から溶液中にアルカリ土類金属を十分に溶出させることができる。これにより、工程管理が容易なプロセスによって高い処理効率でCO

をアルカリ土類金属の炭酸塩として固定することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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