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公開番号2024123563
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031087
出願日2023-03-01
発明の名称液体金属対流装置、汚染水浄化システム及び汚染水浄化方法
出願人国立大学法人東京工業大学
代理人個人
主分類C22B 5/02 20060101AFI20240905BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】汚染水を浄化すると共に汚染水から有価資源の分離回収をも行うための液体金属対流装置、汚染水浄化システム及び汚染水浄化方法を提供する。
【解決手段】液体金属対流装置1は、液体金属対流ループを構成し、冷媒として液体錫を収容して矢印に示すごとく対流循環させるようにする。液体金属対流装置1は、高温配管11、低温配管12、汚染水接触室13、低温配管12の第1の場所に設けられたアルカリ金属分離回収ユニット14、低温配管12の第2の場所に設けられた重金属分離回収ユニット15及び高温配管11の第3の場所に設けられたガス成分高温脱離ユニット16よりなる。汚染水接触室13の両端に高温配管11、低温配管12がループ状に接続されている。高温配管11は少なくとも下部の一方側において、太陽光を直接受けると共にパラボラ・ディッシュ型コレクタ2によって太陽熱を集めて加熱される。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
上方が大気開放又は減圧された状態で、液体金属を汚染水に直接接触するための汚染水接触室と、
前記汚染水接触室に接続され、前記汚染水接触室の前記液体金属を前記汚染水接触室から自然対流循環させるための液体金属対流部と
を具備する液体金属対流装置。
続きを表示(約 910 文字)【請求項2】
前記液体金属対流部は前記汚染水接触室の下部端部に接続された配管を具備し、前記汚染水接触室と前記配管とが前記液体金属の対流ループを構成するようにした請求項1に記載の液体金属対流装置。
【請求項3】
前記液体金属対流部は前記汚染水接触室の底部に接続されたタンクを具備し、前記タンク内に前記液体金属の対流を構成するようにした請求項1に記載の液体金属対流装置。
【請求項4】
さらに、前記液体金属対流部の下流側の第1の場所に前記液体金属に溶解したアルカリ金属を分離回収するためのアルカリ金属分離回収ユニットを具備する請求項1に記載の液体金属対流装置。
【請求項5】
さらに、前記液体金属対流部の下流側の第2の場所に前記液体金属に溶解した重金属を分離回収するための重金属分離回収ユニットを具備する請求項1に記載の液体金属対流装置。
【請求項6】
さらに、前記液体金属対流部の上流側の第3の場所に前記液体金属に溶解したガス成分を分離回収するためのガス成分高温脱離ユニットを具備する請求項1に記載の液体金属対流装置。
【請求項7】
前記重金属分離回収ユニットは前記重金属の溶解度に従い前記液体金属対流部の所定位置に析出された前記重金属を分離回収する請求項5に記載の液体金属対流装置。
【請求項8】
前記アルカリ金属分離回収ユニットは前記アルカリ金属の塩化物又は酸化物の生成反応式のギブズ自由生成エネルギーに従い前記液体金属対流部の所定位置に析出された前記塩化物又は酸化物を分離回収する請求項4に記載の液体金属対流装置。
【請求項9】
前記汚染水接触室内の前記液体金属に汚染水を噴霧させ、該汚染水が前記液体金属に直接接触するようにした請求項1に記載の液体金属対流装置。
【請求項10】
請求項1に記載の液体金属対流装置と、
前記液体金属対流部の少なくとも下方側の一部を加熱するための加熱手段と
を具備する汚染水浄化システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は汚染水たとえば地下水から有価資源の分離回収をも行うための液体金属対流装置、汚染水浄化システム及び汚染水浄化方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
水不足を緩和するために、汚染水たとえば地下水、工業排水を飲料水、工業用水等に浄化する汚染水浄化方法がある。
【0003】
地球上の限られた水資源と共に生活する中で地下水需要は日々増加している。地下水利用を促進する上で汚染水たとえば硝酸汚染水、砒素汚染水の浄化が求められている。たとえば、アフリカ、インド等において窒素肥料による地下水の硝酸汚染は激しい。人が硝酸を摂取すると、メトヘモグロビン血症、発癌を促す可能性がある。また、南アフリカの鉱山地帯、インド、バングラディシュの産業廃棄地域等において砒素汚染は激しい。人が砒素を摂取すると、慢性砒素症、発癌を促す可能性がある。
【0004】
従来の硝酸汚染浄化方法としては、イオン交換樹脂法、生物学的脱窒法がある。イオン交換樹脂法は、通常、イオン交換樹脂に汚染水を通すことにより樹脂内の塩化物イオンと汚染水内の硝酸イオンとを交換し浄化する。生物学的脱窒法は、硝酸で呼吸を行う微生物の脱窒菌を利用して硝酸を窒素ガスへ還元する(参照:非特許文献1)。除去効率が高くかつ比較的安価な生物学的脱窒法が多く採用されている。その他、電気透析法、逆浸透膜法がある。
【0005】
従来の砒素汚染水浄化方法としては、イオン交換樹脂法がある。その他、吸着法、化学的沈殿法がある。吸着法は吸着剤に汚染水を通水し砒素を吸着する。化学的沈殿法は、砒酸カルシウム又は砒酸第二鉄を試薬として砒素を難溶性の化合物に変換して沈殿させる(参照:非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Abascal, E., Gomez-Coma, L., Ortiz, I. and Ortiz, A., Global diagnosis of nitrate pollution in groundwater and review of removal technologies, Science of The Total Environment, Vol.810 (2022), 152233.
Alka, S., Shahir, S., Ibrahim, N., Ndejiko, M.J., Vo, D.-N. and Manan, F.A., Arsenic removal technologies and future trends: A mini review, Journal of Cleaner Production, Vol.278 (2021), 123805.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来の汚染水浄化方法では、いずれも、浄水(蒸留水)が生成されると共に、汚染物質が濃縮された廃液、廃棄物が生成されるという課題がある。硝酸汚染水浄化法としての電気透析法、逆浸透膜法、砒素汚染水浄化方法としての化学的沈殿法は大量の排水が生じる。また、硝酸汚染水浄化法及び砒素汚染水浄化方法としてのイオン交換樹脂法、砒素汚染水浄化方法としての吸着法においては、吸着剤としての樹脂、膜は浄化性能維持のために交換、再生処理が定期的に必要になる。このとき、吸着剤の再生処理においては、大量の再生排水が発生するので、たとえば硝酸汚染水浄化における強塩基性陰イオン交換樹脂を再生する場合、樹脂量の約4~8倍もの再生用水が必要となる。さらに、硝酸汚染浄化方法としての生物学的脱窒法においては、廃液、廃棄物(汚泥)は少ないものの、脱窒菌の硝酸呼吸のために、硝酸汚染水に加えた有機物、脱窒菌の流出、反応過程において亜硝酸が生成されて自動化及び浄化時間の短縮が困難である。一方、工業化の加速により鉱物資源の需要が増え、新しい供給源が模索されている。汚染水は有価資源として豊富な天然鉱物を含有しており、特に、マグネシウム、リチウム等のアルカリ金属、砒素やカドミウム、鉛、ビスマス、錫などの重金属、ストロンチウム、モリブテン等のレアメタル、プラチナや金などの貴金属は今後の技術開発、市場価格の上昇次第で汚染水から回収する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る液体金属対流装置は、上方が大気開放又は減圧された状態となり、液体金属を汚染水に直接接触するための汚染水接触室と、汚染水接触室に接続され、汚染水接触室の液体金属を汚染水接触室から自然対流循環させるための液体金属対流部とを具備するものである。これにより、液体金属を部分的に加熱させて蒸留水を蒸発させると共に、液体金属に汚染水のアルカリ金属、重金属、貴金属、及びガス成分を溶解させ、溶解したアルカリ金属、重金属及びガス成分の少なくとも1つを回収するようにした。
【0009】
また、本発明に係る汚染水浄化システムは、上述の液体金属対流装置と、液体金属対流部の少なくとも下方側の一部を加熱するための加熱手段とを具備するものである。
【0010】
さらに、本発明に係る汚染水浄化方法は、液体金属をループ状又はタンク状に収容する段階と、液体金属を部分的に加熱させて液体金属を自然対流循環させる段階と、自然対流循環された液体金属に汚染水を直接接触させて蒸留水を蒸発させると共に、液体金属に汚染水のアルカリ金属、重金属及びガス成分を溶解させる汚染水接触段階と、液体金属に溶解したアルカリ金属、重金属、ガス成分の少なくとも1つを回収する有価資源回収段階とを具備するものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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