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公開番号2024122906
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-09
出願番号2024025659
出願日2024-02-22
発明の名称膜タンパク質の安定化のための液体組成物および方法
出願人学校法人東京薬科大学,国立大学法人大阪大学,国立大学法人 名古屋工業大学
代理人弁理士法人フィールズ国際特許事務所,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 1/00 20060101AFI20240902BHJP(有機化学)
要約【課題】膜タンパク質を安定化するための液体組成物および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、特定のアニオンと特定のカチオンとを含む液体組成物を提供する。本発明にかかる液体組成物において、カチオンとアニオンとの好ましい具体的な組合せは、例えば:
コリニウムカチオン(Ia)とリン酸二水素アニオン(IIa)、
コリニウムカチオン(Ia)とクエン酸二水素アニオン(IIb)、
コリニウムカチオン(Ia)とチオシアネートアニオン(IIc)、
アセチルコリンカチオン(Ib)と塩素イオン、
1-(2-Hydroxyethyl)-3-methylimidazoliumカチオン(Ic)とリン酸二水素アニオン(IIa)等である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(a)下記:
TIFF
2024122906000017.tif
34
153
(式中、Xは、窒素原子またはリン原子であり、


、R

、R

およびR

は、水素またはC1~C4炭化水素基である(但し、R

、R

、R

およびR

のすべてがアルキルであるカチオンを除く)。)
から選択されるカチオンと、
(b)下記:
TIFF
2024122906000018.tif
100
165
から選択されるアニオン
とを含み、
前記カチオンおよび前記アニオンの対1つに対して水分子が3~13個含まれる、液体組成物。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
式(I)中、Xは、窒素原子またはリン原子であり、


、R

およびR

は、水素またはC1~C4アルキルであるか、または、R

、R

およびR

が一緒に五員または六員環を形成しており、当該環は、C1~C4アルキルで置換されていてもよく、


は、鎖内に少なくとも1つの酸素原子を有するC1~C4炭化水素基である、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記カチオンが、以下:
TIFF
2024122906000019.tif
36
160
(式中、Xは、窒素原子またはリン原子であり、


、R

およびR

は、水素またはC1~C4アルキルであり、

41
は、C1~C4アルキレンであり、R
42
は、水素、C1~C2アルキルもしくはC1~C4アシルである。)
から選択されるか、または、以下:
TIFF
2024122906000020.tif
42
155
(式中、Xは、窒素原子またはリン原子であり、
環Aは、五員または六員の複素環であり、さらに1つ以上の窒素原子および/またはリン原子を含んでいてもよく、


は、鎖内に少なくとも1つの酸素原子を有するC1~C4炭化水素基であり、


は、C1~C4アルキルである。)
から選択される、請求項1または2に記載の液体組成物。
【請求項4】
前記カチオンが、下記:
TIFF
2024122906000021.tif
48
140
(式中、X

およびX

は同じであっても異なっていてもよく、窒素原子またはリン原子であり、
環Aは、五員または六員の複素環であり、


は、鎖内に少なくとも1つの酸素原子を有するC1~C4炭化水素基であり、


は、C1~C4アルキルである。)
から選択される、請求項3に記載の液体組成物。
【請求項5】
前記カチオンが、下記:
TIFF
2024122906000022.tif
96
163
から選択される、請求項1または2に記載の液体組成物。
【請求項6】
膜タンパク質を更に含む、請求項1または2に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記膜タンパク質が、αヘリックス膜貫通型タンパク質である、請求項6に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記αヘリックス膜貫通型タンパク質が、1~17個の膜貫通ドメインを有する、請求項7に記載の液体組成物。
【請求項9】
カチオンとアニオンとを含む液体組成物に、膜タンパク質を添加することを含む、膜タンパク質を安定化する方法であって、
(a)前記カチオンが、下記:
TIFF
2024122906000023.tif
33
149
(式中、Xは、窒素原子またはリン原子であり、


、R

、R

およびR

は、水素またはC1~C4炭化水素基である(但し、R

、R

、R

およびR

のすべてがアルキルであるカチオンを除く)。)
から選択され、
(b)前記アニオンが、下記:
TIFF
2024122906000024.tif
105
164
から選択され、
前記液体組成物中に、前記カチオンおよび前記アニオンの対1つ当たりに対して水分子が3~13個含まれる、方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、膜タンパク質を安定化するための液体組成物および方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
膜タンパク質は、主に細胞膜上に存在し、生物学的に重要な役割を果たしており、創薬研究において特に重要なターゲットと考えられているが、生体外での取り扱いが難しく、研究範囲が限定されている。具体的に、膜タンパク質は、発現量が少なく、水溶性タンパク質とは異なり、溶液への溶解性が低く、溶液中で十分な安定性を得ることが難しい。
【0003】
界面活性剤などを用いて単離した膜タンパク質を安定化させるために、リポソームおよび脂質ナノディスクなどを使用することが提案されている(非特許文献1および非特許文献2)。
【0004】
しかしながら、リポソームの作製には、減圧濃縮および透析などの操作が必要であることに加え、液体窒素を用いた凍結と、融解とを繰り返す操作を必要とし、調製に特別な技術と数日間に亘る時間とを要する。リポソームはまた、小胞の大きさによっては、物理化学的測定が困難なこともある。さらに、膜タンパク質のリポソームへの取り込み効率の評価にも多段階の操作が必要とされる。また、リポソーム中での膜タンパク質の配向については、単一状態になっていないものもあり、制御が容易ではない。
【0005】
脂質ナノディスクは、ヒト由来リポプロテインAを改変したタンパク質とリン脂質とから構成される円板状粒子である。脂質ナノディスクの調製には、ナノディスクを構成するタンパク質の発現および精製などに日数を要し、煩雑な操作および熟練した技術が必要である。また、ナノディスクへの膜タンパク質の再構成において、ディスクとリン脂質とのモル比を調整する必要がある。さらに、再構成操作の後、膜タンパク質が取込まれたナノディスクと、膜タンパク質を含まない空のナノディスクとが混在することがあり、空のナノディスクおよび/または過剰な膜タンパク質の除去のために更なる操作が必要になることがある。
【0006】
このように、膜タンパク質を生体外で安定に存在させるための技術には改善の余地があり、従来の手法に代わる、膜タンパク質の安定化のための簡便な手法が必要とされていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Methods Enzymol,464,211,2009
Nature commun,12,2202,2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、膜タンパク質を安定化するための液体組成物および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、これまでに、100℃以下に融点を有するイオン液体(Ionic liquid;IL)にわずかな水を添加して調製される液体(以下「水和イオン液体(Hydrated ionic liquid;Hy IL)」と称する。)に、水溶性タンパク質を溶解することができ、溶解後の水溶性タンパク質の保存安定性および熱安定性が飛躍的に向上することを報告している(参考文献1および2)。この研究では、水和イオン液体中に溶解した水溶性タンパク質の熱安定性について、赤外吸収スペクトルからアミドバンドの変化を観測した。
【0010】
次いで、本発明者らは、水溶性タンパク質とは構造および特性が大きく異なる膜タンパク質について、水和イオン液体の適用を検討したところ、驚くべきことに、水和イオン液体中に膜タンパク質の高次構造を保持したまま溶解させることができることを見出した。具体的には、本発明者らは、鋭意研究の結果、特定のカチオンと特定のアニオンとを含み、かつ、イオンペアに対してわずかな水を含む水和イオン液体に、膜タンパク質を、高次構造を保持したまま良好に溶解することができることを見出し、本発明を成すに至った。さらに、本発明者らは、水和イオン液体中に溶解した膜タンパク質は、保存安定性および熱安定性の少なくとも1つが向上していることを見出した。
(【0011】以降は省略されています)

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