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公開番号
2024120605
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-05
出願番号
2023027506
出願日
2023-02-24
発明の名称
処理方法
出願人
内外化学製品株式会社
,
株式会社アーレスティ
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C23F
11/18 20060101AFI20240829BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】熱間工具鋼製の金型に対し冷却液を供給する処理方法であって、冷却孔の内部の温度が80℃以上となる部位においても、金型を構成する熱間工具鋼の腐食およびスケールの発生を効果的に防止しつつ、ダイカストによる鋳物の製造を効率よく行い、金型の長寿命化を図ることができる処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明の処理方法は、冷却液を流通する冷却孔を有する熱間工具鋼製の金型に対し、前記冷却液を供給する処理方法であって、前記冷却孔の内部の少なくとも一部が80℃以上の温度となり、前記冷却液が、モリブデン酸およびモリブデン酸の塩よりなる群から選択される少なくとも1種であるモリブデン酸類と、水溶性重合体と、水とを含むものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
冷却液を流通する冷却孔を有する熱間工具鋼製の金型に対し、前記冷却液を供給する処理方法であって、
前記冷却孔の内部の少なくとも一部が80℃以上の温度となり、
前記冷却液は、モリブデン酸およびモリブデン酸の塩よりなる群から選択される少なくとも1種であるモリブデン酸類と、水溶性重合体と、水とを含むものである処理方法。
続きを表示(約 780 文字)
【請求項2】
前記水溶性重合体が、構成モノマーとして、マレイン酸、マレイン酸の塩、アクリル酸およびアクリル酸の塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記冷却液中における前記モリブデン酸類の含有量が、MoO
4
2-
量で、10.0mg/L以上600.0mg/L以下である請求項1に記載の処理方法。
【請求項4】
前記冷却液中における前記水溶性重合体の含有量が、9.0mg/L以上500.0mg/L以下である請求項1に記載の処理方法。
【請求項5】
前記冷却液は、水に、前記モリブデン酸類および前記水溶性重合体を含む処理剤を添加したものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の処理方法。
【請求項6】
前記処理剤中における前記モリブデン酸類の含有量が、MoO
4
2-
量で、1.0質量%以上30.0質量%以下である請求項5に記載の処理方法。
【請求項7】
前記処理剤中における前記水溶性重合体の含有量が、0.9質量%以上25.0質量%以下である請求項5に記載の処理方法。
【請求項8】
前記処理剤が、前記モリブデン酸類および前記水溶性重合体に加えて、さらに、アゾール系化合物を含むものである請求項5に記載の処理方法。
【請求項9】
前記アゾール系化合物が、ベンゾトリアゾールおよびトリルトリアゾールよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項8に記載の処理方法。
【請求項10】
前記処理剤中における前記アゾール系化合物の含有量が、0.05質量%以上2.5質量%以下である請求項8に記載の処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
ダイカストは、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する鋳造方式である。
【0003】
近年、生産性向上によるコストダウンのために、ダイカストでは、ハイサイクル化が進められている。具体的には、冷却液を流通させるために金型に設けられる冷却孔をキャビティ面(溶融金属が接触する面)に近い領域に設けて、冷却液による冷却をより効果的に行う。このような場合、冷却液を流通する冷却孔の温度が、高くなりやすい。より具体的には、例えば、通水を間欠にする冷却方法や金型が高温で冷却水が冷却孔表面を十分に冷却できない場合、冷却孔の内部温度が80℃以上になることがある。このように冷却孔が高温になると、冷却孔の表面で冷却液の沸騰や蒸気膜の形成が起こりやすくなり、冷却孔では、腐食が発生しやすく、特に、鋳造の繰り返しによる熱応力の振幅による疲労現象により腐食を起点とした割れ、いわゆる、腐食疲労が起こりやすい。また、腐食がより発生しやすくなるとともに、冷却孔の表面には、スケールが生じやすくなる。特に、これらの現象が発生することにより、スケール下部にて腐食が発生しやすくなり、割れがキャビティ面に達して水漏れを生じやすくなる等、従来に比べて、金型の寿命が短くなる等の問題がある。
【0004】
また、焼入れ性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性等の観点からすると、ダイカストに用いられる金型の構成材料としては、熱間工具鋼が好ましい。
【0005】
熱間工具鋼は、上記のような優れた特性を有する一方で、軟鋼よりも腐食性が高い材料である。
【0006】
冷却孔内部の腐食を防止する方法として、冷却孔の表面にマグネタイト層を形成する方法(例えば、特許文献1参照)や、冷却液に防錆剤を添加してpH9以上のアルカリ性に調整する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
【0007】
しかしながら、金型の冷却孔の温度が80℃以上のような高温になる部位においては、上記のような従来の技術を適用した場合、冷却孔の表面で冷却液の沸騰や蒸気膜の形成により、スケールの発生が顕著なものとなり、また、スケールの発生が引き金となり、金型の腐食も発生しやすくなる。さらに、引用文献2に記載の方法では、大気中の炭酸ガスを取り込むことによるpHの低下が生じやすいため、冷却水のpHのモニタリングを常時行う必要があり、逐次の調整が必要であるため、処理が煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2016-204754号公報
特開2007-216252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、熱間工具鋼製の金型に対し冷却液を供給する処理方法であって、冷却孔の内部の温度が80℃以上となる部位においても、金型を構成する熱間工具鋼の腐食およびスケールの発生を効果的に防止しつつ、ダイカストによる鋳物の製造を効率よく行い、金型の長寿命化を図ることができる処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、下記(1)~(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 冷却液を流通する冷却孔を有する熱間工具鋼製の金型に対し、前記冷却液を供給する処理方法であって、
前記冷却孔の内部の少なくとも一部が80℃以上の温度となり、
前記冷却液は、モリブデン酸およびモリブデン酸の塩よりなる群から選択される少なくとも1種であるモリブデン酸類と、水溶性重合体と、水とを含むものである処理方法。
(【0011】以降は省略されています)
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