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公開番号
2024119345
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-03
出願番号
2023026168
出願日
2023-02-22
発明の名称
転炉精錬方法
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
個人
主分類
C21C
5/35 20060101AFI20240827BHJP(鉄冶金)
要約
【課題】P濃度が0.01質量%以下の低りん鋼を低コストに、かつ安定して製造可能な転炉精錬方法を提供する。
【解決手段】脱炭吹錬において吹き付ける全酸素量の70%以上の酸素を吹き付けた時点から、前記酸素とともに粉状CaOの吹き付けを開始し、上吹きランスから吹き付ける粉状CaOの質量流量をA(kg/min)、前記粉状CaOとともに吹き付ける酸素の質量流量をB(kg/min)とした場合に、固気比(A/B)を0.5~1.25とし、かつ、前記粉状CaOの吹き付けを行っている間、縮合率γが25%以下となるように制御する。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
複数のノズルを有する上吹きランスから酸素を溶鉄に吹き付けて脱炭吹錬を行う転炉精錬方法であって、
前記脱炭吹錬において吹き付ける全酸素量の70%以上の酸素を吹き付けた時点から、前記酸素とともに粉状CaOの吹き付けを開始し、
前記上吹きランスから吹き付ける粉状CaOの質量流量をA(kg/min)、前記粉状CaOとともに吹き付ける酸素の質量流量をB(kg/min)とした場合に、固気比(A/B)を0.5~1.25とし、かつ、
前記粉状CaOの吹き付けを行っている間、以下の(1)式~(3)式で定義される縮合率γが25%以下となるように制御することを特徴とする転炉精錬方法。
γ=100×(X-X')/X ・・・(1)
X=PCD/2+H×tanθ ・・・(2)
X'=PCD/2+(-1.68×10
-8
×n+4.57×10
-8
)×H
2
+(-2.89×10
-5
×n+3.81×10
-5
×θ-2.33×10
-4
)×H ・・・(3)
式中において、PCDは、ナット座ピッチ直径(mm)を表し、θは前記ノズルの中心軸と鉛直方向との間のノズル傾斜角(deg)を表す。Hは前記溶鉄の静止浴面から前記上吹きランスのノズル先端までの距離(mm)を表し、nは前記ノズルの孔数を表す。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、低りん鋼を溶製するための転炉精錬方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、転炉を用いて溶銑を精錬するプロセスとして、1基の転炉でスラグを排滓(中間排滓)することなく脱りんと脱炭とを連続して行うプロセス(以下、第1のプロセス)と、第1の転炉で溶銑脱りんを行い、その後第1の転炉から出湯した溶銑を第2の転炉に装入し、第2の転炉で脱炭を行うプロセス(以下、第2のプロセス)と、1基の転炉で脱りんを行った後に、脱りんによって生成したスラグを排滓(中間排滓)したうえで、同一の転炉で引き続き脱炭を行うプロセス(以下、第3のプロセス)とが開発されている。
【0003】
第1のプロセスでは、中間排滓がないため、精錬時の熱ロスが少なく、生産性も高いものの、吹錬全体においてスラグ塩基度を高める必要があるため、副原料であるCaO源の使用量が多くなり、コストの面で不利である。また、低りん鋼を溶製する場合にはスラグ量を多くする必要があるところ、スロッピングによりスラグ量が減少するなどして狙い通りに低りん鋼を溶製することが難しい。
【0004】
第2のプロセスは、精錬能力が高く低りん鋼の溶製が第1のプロセスに比べ容易である一方で、2基の転炉を必要とするために、設備費が高くなるとともに、放散熱ロスが増大して鉄鉱石やスクラップの溶解能力が低下し易い。第3のプロセスは、第2のプロセスに比べ、全体の吹錬時間を短縮でき、脱りんに必要なフラックス量を低減でき、精錬時の熱ロスを低減できる。しかしながら、第3のプロセスでは、中間排滓量を安定的に制御することが難しく、例えば、精錬完了後の溶鋼中のP濃度を低濃度まで低減することが困難となる場合がある。
【0005】
また、近年では、P濃度がより低い低りん鋼を製造する要望も高く、そのためには、脱炭吹錬前に行われる脱りん吹錬のみでは不十分であり、脱炭吹錬においてもCaO源を供給してさらにP濃度を下げる必要がある。
【0006】
転炉吹錬では、脱りん反応を安定して進行させるために、生石灰(CaO)や、軽焼ドロマイト(CaO・MgO)等の精錬剤を添加する。ところが、CaOやMgOは、単体では融点が2000℃以上であるため、精錬剤の溶解が進まず、脱りん反応の進行を阻害する。そこで、投入するCaO源の一部あるいは全部を粉状CaOとして、上吹きランスから搬送用ガスを用いて転炉内の溶銑に吹き込む技術や吹き付ける技術が提案されている。
【0007】
この技術の特徴としては次のことが挙げられる。粉状CaOを酸素とともに上吹きランスから高温(2000℃超)の火点へ吹き付けることで、火点では上吹きした酸素と溶銑とが反応して高温のFeO系融体が生成され、さらにこのFeO系融体へ粉状CaOが到達することにより、CaO-FeO系融体が生成される。このように上吹きした粉状CaOは速やかに溶解し、かつ生成されたCaO-FeO系融体の脱りん能は非常に高いため、脱りん反応を高効率で進めることができる。また、粉状CaOを溶銑に吹き付けることで、湯面上スラグとバルクメタルとの間で起こるパーマネント反応だけではなく、粉状CaOが浴内を浮上途中に溶銑を脱りんするトランジトリー反応の効果も享受できると考えられている。以上のように、上吹きランスから粉状CaOを吹き付けることは脱りん反応を促進させるため、粉状CaOを吹き付ける条件を最適化するために様々な検討が行われている。
【0008】
特許文献1には、第1のプロセスにおいて、CaO源の溶解を促進して低りん化させるために、吹錬の全期間の90-100%の間に生石灰を追装する方法が開示されている。特許文献2には、第1のプロセスにおいて、脱りんを促進させるために、吹錬初期及び吹錬末期にCaO源を吹き付ける方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、第1のプロセス及び第2のプロセスの脱炭吹錬において、ランスノズルから噴出される気体噴流の溶鉄表面への動圧を制御したうえでCaO源の全量または一部を、ランスノズルを通して溶銑に吹き付ける方法が開示されている。さらに特許文献4には、第3のプロセスの脱炭吹錬において、吹錬初期にのみCaO源を吹き付ける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2016-79434号公報
特開2015-92018号公報
国際公開第2013/094634号
特開2020-105562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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