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公開番号
2024117000
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-28
出願番号
2023022903
出願日
2023-02-16
発明の名称
桟橋検査方法、学習済モデル生成方法、及び桟橋検査装置
出願人
五洋建設株式会社
代理人
弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類
G01N
25/72 20060101AFI20240821BHJP(測定;試験)
要約
【課題】桟橋の下部工である梁を含む下面におけるコンクリートの浮きを精度よく検知できる技術を提供する。
【解決手段】桟橋検査方法(S1)は、桟橋の下面に冷却ガスを噴射して当該桟橋の下面を冷却する工程(S10)と、桟橋(2)の下面の冷却状況を判別し、冷却が充分でないと判別した箇所を再度冷却する工程(S20)と、桟橋(2)の下面を冷却してから所定の時間が経過した後に、赤外線カメラにより得られる桟橋(2)の下面の温度分布画像を取得する工程(S30)と、温度分布画像を用いて桟橋(2)の下面のコンクリートの浮きを検知する工程(S40)と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
桟橋の下面に冷却ガスを噴射して当該桟橋の下面を冷却する工程と、
前記桟橋の下面の冷却状況を判別し、冷却が充分でないと判別した箇所を再度冷却する工程と、
前記桟橋の下面を冷却してから所定の時間が経過した後に、赤外線カメラにより得られる当該桟橋の下面の温度分布画像を取得する工程と、
前記温度分布画像を用いて前記桟橋の下面のコンクリートの浮きを検知する工程と、
を含むことを特徴とする桟橋検査方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記冷却する工程において、前記冷却ガスを噴射する手段を有する点検船と前記冷却ガスを収容した容器を搭載した搬送船とを連結し、前記点検船で前記搬送船を曳航した状態で所定の速度で航行させながら、前記桟橋の下面に向けて前記冷却ガスを噴射する、
請求項1に記載の桟橋検査方法。
【請求項3】
前記検知する工程において、赤外線カメラにより得られる温度分布画像データとコンクリートの浮きの有無との相関関係を機械学習させた学習済モデルに、前記温度分布画像を取得する工程において取得された前記温度分布画像を入力して得られる情報に基づき、前記コンクリートの浮きを検知する、
請求項1又は2に記載の桟橋検査方法。
【請求項4】
前記検知する工程において、前記学習済モデルへの入力は、前記温度分布画像データに加えて、前記桟橋のコンクリート設計強度、前記桟橋のコンクリートのかぶり厚さ、鉄筋配置図、前記冷却する工程における冷却条件、外気温、及び気象条件の少なくともいずれかを含む、
請求項3に記載の桟橋検査方法。
【請求項5】
前記冷却条件は、前記冷却ガスの噴射時間長、前記冷却ガスを噴射してからの経過時間、及び前記冷却ガスの温度の少なくともいずれかを含む、
請求項4に記載の桟橋検査方法。
【請求項6】
前記冷却する工程において、入力情報として前記桟橋の下面の冷却に関する冷却条件を取得し、
前記検知する工程における前記学習済モデルへの入力情報には、前記温度分布画像及び前記冷却条件が含まれる、
請求項3に記載の桟橋検査方法。
【請求項7】
前記取得する工程において、前記桟橋の下面の輪郭が重畳された温度分布画像を取得し、
前記検知する工程において、前記輪郭が重畳された温度分布画像を用いて前記浮きを検知する、
請求項1又は2に記載の桟橋検査方法。
【請求項8】
前記検知する工程において、前記温度分布画像において所定の温度変化を表示する箇所を前記浮きとして検知する、
請求項1又は2に記載の桟橋検査方法。
【請求項9】
桟橋の下面に冷却ガスを噴射して当該桟橋の下面を冷却する冷却部と、
赤外線カメラにより得られる当該桟橋の下面の温度分布データを取得するデータ取得部と、
前記赤外線カメラによる温度分布データに基づき前記桟橋の下面の冷却状況を判別し、冷却が充分でないと判別した箇所を再度冷却する再冷却部と、
前記桟橋の下面を冷却してから所定の時間が経過した後に、前記赤外線カメラにより得られる当該桟橋の下面の温度分布画像を取得する画像取得部と、
前記温度分布画像を送信する通信部と、
前記温度分布画像を用いて前記桟橋の下面のコンクリートの浮きを検知する検知部と、
を備えることを特徴とする桟橋検査装置。
【請求項10】
前記温度分布画像に前記桟橋の下面の輪郭を重畳する重畳部をさらに有する
請求項9に記載の桟橋検査装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、桟橋を検査する技術に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
海水(汽水を含む)上に設けられた桟橋の下面は塩化物イオンの侵入等を原因とする鉄筋腐食により、表層のかぶりコンクリートの浮き・剥落が発生しやすく、施設維持管理上の課題となる場合がある。従来、桟橋の下面の梁・スラブの鉄筋腐食に起因するコンクリートの「浮き」は専門技術者が潮の状態を見て小型船舶に搭乗し、桟橋下部で打検ハンマーを用いて打音調査を実施することで、その存在および範囲を把握している。
【0003】
また、特許文献1には、構造物の非破壊検査方法として、構造物の背後に冷媒又は熱媒を供給しながら赤外線サーモグラフィーによって構造物の表面温度分布を計測し、得られた熱画像の経時的変化を解析することにより構造物の健全性を推測することが記載されている。また、特許文献2には、水際構造物を航行装置を有する水上に浮かぶ浮体に搭載した水中カメラ及び空中カメラで撮影することにより水際構造物の水中部分及び空中部分の点検を行うことや、水中カメラ及び空中カメラとして可視光カメラのほか近赤外線カメラや遠赤外線カメラを採用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-189410号公報
特開2020-105726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、桟橋下面を点検対象物に加熱処理や冷却処理を行わないで水面上の浮体からカメラによる画像を用いて点検した場合、コンクリートの剥離は視認できてもコンクリート内部の浮きを検知することは出来ない。また、建物の外壁面やトンネル内の内壁のように加熱や冷却を与える作業条件が良好であれば点検対象物体に均等に加熱又は冷却による温度変化を与えることができるが、桟橋下面のように海面から上方に向けて均一な加熱又は冷却材の吹き付け作業をするのが困難な環境条件では、検知対象に対し加熱又は冷却手段を用いて適切に温度変化を生じさせ、浮きや剥離等の欠陥を精度良く検知することが難しいという課題がある。特許文献1及び2に記載の技術でも、桟橋の下面のコンクリートの浮きを精度よく検知することはできない。
【0006】
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みたものである。本発明の一態様は、桟橋の下部工である梁を含む下面におけるコンクリートの浮きを精度よく検知できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る桟橋検査方法は、桟橋の下面に冷却ガスを噴射して当該桟橋の下面を冷却する工程と、前記桟橋の下面の冷却状況を判別し、冷却が充分でないと判別した箇所を再度冷却する工程と、前記桟橋の下面を冷却してから所定の時間が経過した後に、赤外線カメラにより得られる当該桟橋の下面の温度分布画像を取得する工程と、前記温度分布画像を用いて前記桟橋の下面のコンクリートの浮きを検知する工程と、を含む。
【0008】
上記の構成によれば、点検対象物の冷却手段による温度変化のばらつきが少なく、桟橋の下面のコンクリートの浮き箇所を精度よく検知することができる。
【0009】
上記桟橋検査方法における前記冷却する工程において、前記冷却ガスを噴射する手段を有する点検船と前記冷却ガスを収容した容器を搭載した搬送船とを連結し、前記点検船で前記搬送船を曳航した状態で所定の速度で航行させながら、前記桟橋の下面に向けて前記冷却ガスを噴射してもよい。
【0010】
上記の構成によれば、点検船と搬送船とを所定の速度で航行させることにより冷却のばらつきを小さくすることができ、これにより桟橋の下面のコンクリートの浮き箇所をより精度よく検知することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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