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公開番号
2024142865
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2023055229
出願日
2023-03-30
発明の名称
構造物の免震支承構造、免震構造物の構築方法及び免震構造物の改修方法
出願人
五洋建設株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
E01D
19/04 20060101AFI20241003BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約
【課題】地震動により大きな外力が作用した場合であっても、構造物への衝撃が少なく、ゴム支承が破断せず、早期に復旧が可能な免震構造物の免震支承構造、免震構造物の構築方法及び免震構造物の改修方法の提供。
【解決手段】構造物の免震支承構造は、積層ゴム支承10と構造体3との間にすべり支承11が介在され、すべり支承11は、積層ゴム支承10の端部に固定された荷重伝達部材18を介して突設された滑動凸部19と、表面部に滑動凹部21が形成された台座部20と、荷重伝達部材18の水平方向移動を規制するストッパー部材22,22…とを備え、ストッパー部材22が荷重伝達部材18に所定の外力以上の水平力が作用すると固定解除されるようにしている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
互いに水平方向で相対移動可能な構造体間に複数のゴム材が積層構造を成す揺動可能な積層ゴム支承が介在されてなる構造物の免震支承構造において、
前記積層ゴム支承と一方の前記構造体との間にすべり支承が介在され、
該すべり支承は、前記積層ゴム支承の端部に固定された荷重伝達部材と、該荷重伝達部材を介して前記積層ゴム支承の端部に突設された滑動凸部と、前記構造体に固定され、表面部に前記滑動凸部が滑動可能に挿入される滑動凹部が形成された台座部と、前記荷重伝達部材の周囲に配置され、前記荷重伝達部材の水平方向移動を規制するストッパー部材とを備え、
該ストッパー部材は、前記荷重伝達部材に所定の外力以上の水平力が作用すると固定解除されるように前記台座部に固定されていることを特徴としてなる構造物の免震支承構造。
続きを表示(約 2,100 文字)
【請求項2】
前記積層ゴム支承と他方の前記構造体との間に前記すべり支承部が介在されている請求項1に記載の構造物の免震支承構造。
【請求項3】
前記ストッパー部材は、前記荷重伝達部材の周囲に配置されたストッパー本体が固定用棒材を介して前記台座部に固定され、該固定用棒材が前記荷重伝達部材に所定の外力以上の水平力が作用すると破断するようにした請求項1又は2に記載の構造物の免震支承構造。
【請求項4】
前記滑動凹部は、外縁側より中央部が深い半球状、円弧状又はすり鉢状に形成されている請求項1又は2に記載の構造物の免震支承構造。
【請求項5】
前記台座部上の前記ストッパー部材より外側に前記所定の外力以上の耐力を有する滑落防止用ストッパー部材が固定されている請求項1又は2に記載の構造物の免震支承構造。
【請求項6】
前記上部構造体である複数の杭体に支持された杭支持構造物の上部工であって、前記下部構造体である杭体毎に前記積層ゴム支承及び前記すべり支承部が介在されている請求項1又は2に記載の構造物の免震支承構造。
【請求項7】
互いに水平方向で相対移動可能な構造体間に複数のゴム材が積層構造を成す揺動可能な積層ゴム支承が介在されてなる免震構造物の構築方法において、
表面部に滑動凹部が形成される台座部を下方の構造体に固定した後、
前記積層ゴム支承の下端部に荷重伝達部材を介して突設された滑動凸部を前記滑動凹部内に滑動可能に挿入して下側すべり支承を形成した後、
昇降可能な仮受け装置で支持させつつ、上方の構造体を前記積層ゴム支承上に配置し、前記積層ゴム支承の上端を前記上部構造体に接続し、
前記荷重伝達部材の周囲に前記荷重伝達部材に所定の外力以上の水平力が作用すると固定解除されるストッパー部材を前記台座部に固定し、
しかる後、前記仮受け装置を撤去することを特徴としてなる免震構造物の構築方法。
【請求項8】
前記下側すべり支承を介して前記下方の構造体に接続された前記積層ゴム支承の上端部に上側すべり支承用荷重伝達部材を介して上側すべり支承用滑動凸部を突設させておくとともに、
前記上方の構造体に表面部に滑動凹部が形成されてなる上側すべり支承用台座部を固定しておき、
前記仮受け装置で支持させつつ、前記上方の構造体を前記上側すべり支承用滑動凸部上に配置し、前記上側すべり支承用滑動凸部を前記上側すべり支承用台座部に形成された前記滑動凹部内に挿入して上側すべり支承を形成した後、
前記上側すべり支承用荷重伝達部材の周囲に該上側すべり支承用荷重伝達部材に所定の外力以上の水平力が作用すると固定解除されるストッパー部材を前記上側すべり支承用台座部に固定する請求項7に記載の免震構造物の構築方法。
【請求項9】
互いに水平方向で相対移動可能な構造体間に複数のゴム材が積層構造を成す揺動可能な積層ゴム支承が介在されてなる免震構造物の構築方法において、
表面部に滑動凹部が形成される台座部を上方の構造体に固定するとともに、
前記積層ゴム支承の上端部に荷重伝達部材を介して滑動凸部を突設させてなる支承ユニットの前記積層ゴム支承の下端を下方の構造体に固定し、
昇降可能な仮受け装置で支持させつつ、前記上方の構造体を前記支承ユニット上に配置し、前記滑動凸部を前記滑動凹部内に挿入して上側すべり支承を形成するとともに、
前記荷重伝達部材の周囲に該荷重伝達部材に所定の外力以上の水平力が作用すると固定解除されるストッパー部材を前記台座部に固定し、
しかる後、前記仮受け装置を撤去することを特徴としてなる免震構造物の構築方法。
【請求項10】
互いに相対移動可能な上部構造体と下部構造体上に設置された台座部との間に介在された支承装置を新たな免震支承装置に交換する免震構造物の改修方法において、
前記上部構造体と前記下部構造体との間に昇降可能な仮受け装置を設置し、前記下部構造体に前記仮受け装置を介して前記上部構造体を支持させた状態で、前記支承装置を前記上部構造体から取り外した後、
前記仮受け装置で前記上部構造体を所定の高さまで持ち上げ、前記支承装置を撤去し、
しかる後、前記台座部の上面部に滑動凹部を形成し、
複数のゴム材が積層構造を成す揺動可能な積層ゴム支承の下端に荷重伝達部材を介して突設された滑動凸部を前記滑動凹部内に滑動可能に挿入して下側すべり支承を形成した後、
前記荷重伝達部材の周囲に前記荷重伝達部材に所定の外力以上の水平力が作用すると固定解除されるストッパー部材を前記台座部に固定するとともに、
前記仮受け装置で支持させつつ、前記上部構造体を前記積層ゴム支承の上端に当接するまで下降させ、前記積層ゴム支承の上端を前記上部構造体に固定し、
しかる後、前記仮受け装置を撤去することを特徴としてなる免震構造物の改修方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁等の構造物における地震動による負担を軽減するための構造物の免震支承構造、免震構造物の構築方法及び免震構造物の改修方法に関する。
続きを表示(約 1,200 文字)
【背景技術】
【0002】
高架道路や橋梁等の構造物、特に、B種の橋等の利用状況等から特に重要な構造物においては、兵庫県南部地震以降、レベル1の地震動によって構造物の健全性が損なわれないようにすることのみならず、レベル2の地震動による損傷が限定的なものに留まり、構造物としての機能の回復が速やかに行い得る性能等を満足するような設計が求められている。
【0003】
橋脚や基礎、上部構造等では、このような設計の要求に対応すべく高耐力化が進められているが、構造物の耐力のみでは要求を満足できない場合や施工条件や環境によって高耐力化が困難な場合があった。
【0004】
そこで、高架道路や橋梁等の構造物では、上記設計の要求に対応すべく構造物の免震化が広く行われている。
【0005】
この種の高架道路や橋梁等の構造物の免震構造としては、橋脚等の下部構造体と橋桁等の上部構造体との間にゴム材と鋼板とを積層させてなる高減衰積層ゴム支承(HDR)や鉛プラグ入り積層ゴム支承(LRB)等の積層ゴム支承を介在させた免震支承構造が一般的に用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
この免震支承構造は、ゴム材と鋼板とを積層させてなるゴム支承で鉛直荷重を保持しながら地震力のような水平荷重に対しゴム材が変形することで水平力を分散するとともに、地震動によるエネルギーを吸収するようになっている。また、このような免震支承構造は、高架道路や橋梁等の構造物の長周期化の役割も担っている。
【0007】
一方、近年の地震規模が巨大化しており、東北地方太平洋沖地震や熊本地震では、想定外の大きな地震力が作用したことや断層変位のような大きな変位が生じたこと等を要因の一つとしてゴム支承が破断する現象が発生している。
【0008】
この種の免震支承構造では、一般に、「せん断ひずみ」を基準に設計・照査され、レベル2地震動に対する設計上の許容変位に相当するせん断ひずみを250%以内として設計されることが多いが、せん断ひずみ250%を超えると直ちに破断するものではなく、実際には、せん断ひずみ250%を超えるとゴムの剛性が高くなる現象(ハードニング)が生じてせん断ひずみ300~400%以上になると破断するおそれがある。
【0009】
そこで、近年では、免震支承構造を補うために、ダンパー等を用いた制震構造やすべり支承等の制震と免震の中間的な役割を担う構造と免震支承構造とを組み合わせて併用する事例も多い。
【0010】
ダンパー等を用いた制震構造は、橋脚と橋桁とをダンパーを介して連結し、地震動が発生した際に、内部のピストンが移動する際に特殊充填材(ビンガム流体材料やオイル材など)の抵抗・流出入などによりエネルギーを吸収するようになっている。
(【0011】以降は省略されています)
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