TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024145002
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023057216
出願日2023-03-31
発明の名称浸透固化処理工法の注入管理方法、注入管理システム、これらを用いた地盤改良工法およびコンピュータプログラム
出願人五洋建設株式会社
代理人個人,個人
主分類E02D 3/12 20060101AFI20241004BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】浸透固化処理工法において有効注入圧力を精度よく推定し、割裂注入を防止し、薬液注入速度を最適化し施工の生産性を向上できる浸透固化処理工法の注入管理方法、注入管理システム、これらを用いた地盤改良工法およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】この浸透固化処理工法の注入管理方法は、改良対象地盤に設置された薬液の注入管の薬液注入口から離れて改良対象範囲内に水圧計を設置するステップと、水圧計による注入中の間隙水圧と薬液注入口における薬液の有効注入圧力との関係をシミュレーションしデータベース化するステップS05と、改良対象地盤へ薬液の注入を開始し、水圧計で測定した注入中の間隙水圧をデータベースで参照し、間隙水圧から有効注入圧力を推定するステップS08と、を含み、推定した有効注入圧力が限界注入圧を超えないように薬液の注入速度を制御する。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
浸透固化処理工法による改良対象地盤に設置された薬液の注入管の薬液注入口から離れて改良対象範囲内に水圧計を設置するステップと、
前記水圧計による注入中の間隙水圧と前記薬液注入口における薬液の有効注入圧力との関係をシミュレーションしデータベース化するステップと、
前記改良対象地盤へ薬液の注入を開始し、前記水圧計で測定した注入中の間隙水圧を前記データベースで参照し、前記間隙水圧から有効注入圧力を推定するステップと、を含み、
前記推定した有効注入圧力が限界注入圧を超えないように前記薬液の注入速度を制御する浸透固化処理工法の注入管理方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記改良対象地盤において前記薬液の粘度の経時変化を計測し、
前記計測した薬液の粘度の経時変化を考慮して前記有効注入圧力を推定する請求項1に記載の浸透固化処理工法の注入管理方法。
【請求項3】
前記水圧計を設置する前に前記水圧計設置のための孔を用いて現場透水試験を行い、前記改良対象地盤の透水係数を決定する請求項1に記載の浸透固化処理工法の注入管理方法。
【請求項4】
前記水圧計設置のための孔と隣接して別の水圧計設置のための孔を形成する際に、前記決定された透水係数に基づいて前記別の水圧計設置のための孔の位置を決める請求項3に記載の浸透固化処理工法の注入管理方法。
【請求項5】
前記推定した有効注入圧力Pと前記薬液注入を行うポンプの元圧P
pump
とから管内損失(P
pump
-P)の経時変化を記録し、前記水圧計を設置していない前記薬液注入口における有効注入圧力の推定を前記管内損失に基づいて行う請求項1に記載の浸透固化処理工法の注入管理方法。
【請求項6】
浸透固化処理工法による改良対象地盤に設置された薬液の注入管の薬液注入口から離れて改良対象範囲内に設置された水圧計による注入中の間隙水圧と、前記薬液注入口における薬液の有効注入圧力と、の関係をシミュレーションしデータベース化するための手段と、
前記改良対象地盤への薬液の注入開始後に前記水圧計で測定された注入中の間隙水圧が前記データベースで参照されて前記間隙水圧から有効注入圧力を推定するための手段と、
前記推定した有効注入圧力が限界注入圧を超えないように前記薬液の注入速度を制御するための手段と、を備える浸透固化処理工法の注入管理システム。
【請求項7】
前記改良対象地盤において前記薬液の粘度の経時変化を計測するための手段を備え、
前記計測した薬液の粘度の経時変化を考慮して前記有効注入圧力を推定する請求項6に記載の浸透固化処理工法の注入管理システム。
【請求項8】
前記推定した有効注入圧力Pと前記薬液注入を行うポンプの元圧P
pump
とから管内損失(P
pump
-P)の経時変化を記録するための手段を備え、
前記水圧計を設置していない前記薬液注入口における有効注入圧力の推定を前記管内損失に基づいて行う請求項6に記載の浸透固化処理工法の注入管理システム。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれかに記載の浸透固化処理工法の注入管理方法または請求項6乃至8のいずれかに記載の浸透固化処理工法の注入管理システムを用いて浸透固化処理工法による対象地盤の改良を行う地盤改良工法。
【請求項10】
請求項6乃至8のいずれかに記載の浸透固化処理工法の注入管理システムにおける前記各手段としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透固化処理工法の注入管理方法、注入管理システム、これらを用いた地盤改良工法およびコンピュータプログラムに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
既設構造物直下の地震による液状化の対策工法として、地表面から地盤内を削孔し、薬液を注入し浸透させることで地盤を固化し改良する浸透固化処理工法が公知である。この浸透固化処理工法は、地盤内の土粒子間の間隙水を薬液に置き換えることで地盤の液状化を防止する工法である。地盤を構成する土粒子骨格を壊すことなく浸透注入を実施することで地盤の隆起や薬液の逸走を防止しつつ品質の高い地盤改良を行うことができる(非特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1は、シェル型浸透固化処理工法において薬液及び薬液浸透域拡張液を注入する注入位置の周囲であって、薬液浸透域の拡張予定半径より外側に拡張液検知手段として電気伝導度又は塩分濃度を計測する計測器を配置し、拡張液検知手段が薬液浸透域拡張液を検知した際には、薬液浸透域拡張液が薬液浸透域から漏れ出したと判断し、その判断に基づき薬液及び薬液浸透域拡張液の注入を管理する薬液注入工法の施工管理方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、非アルカリ性シリカグラウトを用いて注入孔間隔、注入ステージ、注入量、注入速度、注入時間に対応し、注入範囲外への逸脱を低減するための地盤注入工法の注入外管理方法を開示し、注入地盤データ・削孔データ、注入装置データ、計測装置と計測データ、環境データなどのいずれかのデータを現場集中管理装置に蓄積し、施工現場からのデータを既存のデータと共に解析し、その結果を施工現場にフィードバックする。環境データとしては地下水のpH、地盤の変位、構造物の位置や変位等がある。
【0005】
特許文献3は、地盤内に設置された注入外管と注入外管に圧入管と吸入管を介して接続された圧入装置および吸入装置を備え、注入外管、圧入装置および吸入装置による可塑状ゲル注入材の圧入と吸入の繰り返しによって、周辺地盤の土粒子間の結合が解放され、塊状ゲル体の周囲に形成された空隙に可塑状ゲル注入材が圧入されて、塊状ゲル体が徐々に拡大して周辺地盤が締め固められるようにした地盤注入装置において、圧入管または改良範囲近傍の地盤内に水圧計が備えられ、可塑状ゲル注入材の圧入・吸引によって乗じた間隙水圧の上昇を観測し、最適な圧入速度、周波数で効率的な改良を行うことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-155506号公報
特開2021-185301号公報
特開2017-119997号公報
【非特許文献】
【0007】
山崎浩之・前田健一・高橋邦夫・善功企・林健太郎「溶液型注入固化材による液状化対策工法の開発」港湾技研資料,No.905,6-7頁(1998年)
一般財団法人沿岸技術研究センター「浸透固化処理工法技術マニュアル(改訂版)」44-45頁,136-137頁 (2020年)
公益社団法人地盤工学会「土質試験 基本と手引き 第二回改訂版」100頁 (2010年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
浸透固化処理工法における薬液の注入形態は、地盤の透水性や注入速度・圧力により変化し、注入速度の上昇につれ、浸透・割裂浸透・割裂へと推移する。割裂が大きく進展し、注入形態として浸透注入よりも割裂注入が発達すると、改良体が均質でなくなり十分な改良効果が得られなくなるため、注入は割裂浸透までの緩やかな注入速度で行うことが一般的である。そこで、限界注入速度試験を行い、浸透注入が可能であり、ほぼ良好な固結状態が得られる最大の注入速度を求めている。
【0009】
図1に、浸透固化処理工法の実施のための一般的な薬液注入システムを示す。図1の薬液注入システムは、薬液の全自動ミキサー1と、薬液注入ポンプ2と、薬液の流量および薬液注入ポンプ2による元圧P
pump
を検出する流量計検出部3と、ホースプラーコントローラー4と、ホースプラー5と、を備え、グラウトホース6,パッカーホース7,二重管注入ホース8を用いて、地盤内に設置された二重注入管9の注入パッカー10,10間の薬液注入口11から薬液を地盤内に注入する。薬液は、薬液注入ポンプ2から元圧P
pump
で送られ、薬液注入口11から有効注入圧力Pで地盤内に注入される。この注入経路において二重管注入ホース8や注入管9等により圧力の管内損失(損失圧力P
loss
)が生じる。
【0010】
理論的背景(非特許文献1参照)
割裂とは、注入孔先端にかかる圧力(有効注入圧)に対して、土が抵抗できず破壊する現象と捉えることができる。このような現象はハイドロリック・フラクチャリング現象とよばれ次の数1の式(1)の条件が成立したときに発生する。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許