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公開番号
2024112759
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-21
出願番号
2023156554
出願日
2023-09-21
発明の名称
A/Dコンバータ
出願人
ローム株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
H03M
1/10 20060101AFI20240814BHJP(基本電子回路)
要約
【課題】A/Dコンバータにより正確に動作させることを可能とする技術を提供する。
【解決手段】アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するA/Dコンバータ1,2は、デジタル入力に応じたアナログの出力信号を生成する容量性D/Aコンバータ10,40と、アナログの出力信号と比較基準電圧とを比較し、比較結果を出力する比較器20,60と、比較結果に基づいてデジタル入力を生成する制御回路30,62と、を備える。容量性D/Aコンバータは、デジタル信号に応じたアナログの出力信号を生成する変換回路と、変換回路の出力信号を変化させる補正回路とを有する。変換回路は、下位側回路と、上位側回路と、スケーリングキャパシタと、を含む。制御回路は、補正回路に入力されるデジタル信号を逐次的に変化させ、逐次的に生成される比較結果に基づいて、補正回路に変換回路の出力信号を補正させるためのデータを取得する。
【選択図】図7
特許請求の範囲
【請求項1】
アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するA/Dコンバータであって、
デジタル入力に応じたアナログの出力信号を生成する容量性D/Aコンバータと、
前記アナログの出力信号と比較基準電圧とを比較し、比較結果を出力する比較器と、
前記比較結果に基づいて前記デジタル入力を生成する制御回路と、を備え、
前記容量性D/Aコンバータは、MおよびNをそれぞれ1以上の整数とするとき、(M+N)ビットのデジタル信号に応じた前記アナログの出力信号を生成する変換回路と、入力されるデジタル信号に応じて前記変換回路の出力信号を変化させる、アレイ状に配置された複数の補正キャパシタを含む補正回路とを有し、
前記変換回路は、前記(M+N)ビットのデジタル信号の下位Mビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第1キャパシタを有する下位側回路と、前記(M+N)ビットのデジタル信号の上位Nビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第2キャパシタを有する上位側回路と、前記下位側回路と前記上位側回路との間に配置されたスケーリングキャパシタと、を含み、
前記複数の補正キャパシタの共通ノードは、前記複数の第1キャパシタの共通ノードおよび前記複数の第2キャパシタの共通ノードの一方に接続され、
前記制御回路は、前記補正回路に入力されるデジタル信号を逐次的に変化させ、逐次的に生成される前記比較結果に基づいて、前記補正回路に前記変換回路の出力信号を補正させるためのデータを取得する、
A/Dコンバータ。
続きを表示(約 2,000 文字)
【請求項2】
前記複数の補正キャパシタの共通ノードは、前記複数の第1キャパシタの共通ノードに接続され、
前記補正回路は、入力されるデジタル信号に応じて、前記複数の補正キャパシタのそれぞれについて、共通ノードとは反対側の端部がオープンになるまたはグランドに接続されることによって、前記変換回路の出力信号を変化させる、
請求項1に記載のA/Dコンバータ。
【請求項3】
前記容量性D/Aコンバータは、前記複数の補正キャパシタの共通ノードに接続され、前記複数の補正キャパシタの共通ノードの電荷をリセット可能に配置されたリセットスイッチをさらに有する、
請求項2に記載のA/Dコンバータ。
【請求項4】
前記リセットスイッチは、一端が前記複数の補正キャパシタの共通ノードに接続され、他端がグランドに接続されるように配置されており、
前記複数の補正キャパシタの共通ノードの電荷量は、前記リセットスイッチがオンになることによってリセットされる、
請求項3に記載のA/Dコンバータ。
【請求項5】
前記制御回路は、前記リセットスイッチがオフの状態における前記容量性D/Aコンバータの出力信号に基づいて、前記リセットスイッチがオンの状態で、前記複数の補正キャパシタの共通ノードとグランドとの間における前記補正回路の容量値を切り替える、
請求項4に記載のA/Dコンバータ。
【請求項6】
前記複数の第2キャパシタの共通ノードに一端が接続され、他端に前記比較基準電圧が供給される基準スイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記容量性D/Aコンバータが第1の状態にあるとき前記基準スイッチがオンとなり、そのあと、前記基準スイッチがオンからオフに切り替わり、前記容量性D/Aコンバータが前記第1の状態が第2の状態に切り替わったときにおける前記容量性D/Aコンバータの出力電圧および前記比較基準電圧に基づいて、前記補正回路の容量値を切り替えるためのデジタル入力を前記容量性D/Aコンバータに入力し、
前記第1の状態は、すべてのビットを0とした前記Mビットのデジタル入力が前記下位側回路に入力され、最下位のビットを1とし、残りのビットを0とした前記Nビットのデジタル入力が前記上位側回路に入力される状態であり、
前記第2の状態は、すべてのビットを1とした前記Mビットのデジタル入力が前記下位側回路に入力され、すべてのビットを0とした前記Nビットのデジタル入力が前記上位側回路に入力される状態である、
請求項5に記載のA/Dコンバータ。
【請求項7】
前記補正回路は、前記補正回路の容量値を基準容量値から上げるための加算用回路と、前記補正回路の容量値を前記基準容量値から下げるための減算用回路と、を有し、
前記加算用回路は、アレイ状に配置された複数の補正キャパシタを有し、
前記減算用回路は、アレイ状に配置された複数の補正キャパシタを有し、
前記基準容量値は、前記加算用回路がその最小の容量値をとり、前記減算用回路がその最大の容量値をとるときの前記補正回路の容量値である、
請求項2に記載のA/Dコンバータ。
【請求項8】
前記複数の補正キャパシタの共通ノードは、キャパシタを介して前記複数の第2キャパシタの共通ノードに接続される、
請求項1に記載のA/Dコンバータ。
【請求項9】
前記制御回路は、前記補正回路が前記比較器のオフセットを打ち消すように、前記補正回路に入力されるデジタル信号を逐次的に変化させ、逐次的に生成される前記比較結果に基づいて、前記比較器のオフセットデータを取得し、
前記補正回路は、前記オフセットデータに応じたデジタル信号に基づいて、前記比較器のオフセットを補正するように、前記変換回路の出力信号を変化させる、
請求項8に記載のA/Dコンバータ。
【請求項10】
前記変換回路は、第1のデジタル信号に応じた第1の出力信号を生成し、前記第1のデジタル信号とは異なるコードを有する第2のデジタル信号に応じた第2の出力信号を生成し、
前記制御回路は、前記変換回路に前記第1のデジタル信号が入力されているとき、前記補正回路が前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との差分を打ち消すように、前記補正回路に入力されるデジタル信号を逐次的に変化させ、逐次的に生成される前記比較結果に基づいて、前記第2キャパシタの容量誤差データを取得し、
前記補正回路は、前記容量誤差データに応じたデジタル信号に基づいて、前記第2キャパシタの容量誤差に応じた前記変換回路の出力信号の誤差を補正するように、前記変換回路の出力信号を変化させる、
請求項9に記載のA/Dコンバータ。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、A/Dコンバータに関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
アナログ信号をデジタル信号に変換する逐次比較型ADC(A/Dコンバータ)が知られている。逐次比較型ADCでは、標本化したアナログ入力信号と、容量性DAC(D/Aコンバータ)から出力される信号とを比較器によって逐次比較し、その比較結果に基づいてデジタル信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-192099号公報
【0004】
[概要]
しかしながら、容量性DACに生じる寄生容量、容量性DACのキャパシタの容量誤差および比較器のオフセットなどにより、比較器による比較を正確にできないことがあった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、A/Dコンバータにより正確に動作させることを可能とする技術を提供することにある。
【0006】
本開示のある態様のA/Dコンバータは、アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換する。A/Dコンバータは、デジタル入力に応じたアナログの出力信号を生成する容量性D/Aコンバータと、アナログの出力信号と比較基準電圧とを比較し、比較結果を出力する比較器と、比較結果に基づいてデジタル入力を生成する制御回路と、を備える。容量性D/Aコンバータは、MおよびNをそれぞれ1以上の整数とするとき、(M+N)ビットのデジタル信号に応じたアナログの出力信号を生成する変換回路と、入力されるデジタル信号に応じて変換回路の出力信号を変化させる、アレイ状に配置された複数の補正キャパシタを含む補正回路とを有する。変換回路は、(M+N)ビットのデジタル信号の下位Mビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第1キャパシタを有する下位側回路と、(M+N)ビットのデジタル信号の上位Nビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第2キャパシタを有する上位側回路と、下位側回路と上位側回路との間に配置されたスケーリングキャパシタと、を含む。複数の補正キャパシタの共通ノードは、複数の第1キャパシタの共通ノードおよび複数の第2キャパシタの共通ノードの一方に接続される。制御回路は、補正回路に入力されるデジタル信号を逐次的に変化させ、逐次的に生成される比較結果に基づいて、補正回路に変換回路の出力信号を補正させるためのデータを取得する。
【0007】
本開示の別の態様のA/Dコンバータは、アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換する。A/Dコンバータは、デジタル入力に応じたアナログの第1の出力信号およびアナログの第2の出力信号を生成する容量性D/Aコンバータと、第1の出力信号と第2の出力信号とを比較し、比較結果を出力する比較器と、比較結果に基づいてデジタル入力を生成する制御回路と、を備える。容量性D/Aコンバータは、MおよびNをそれぞれ1以上の整数とするとき、(M+N)ビットのデジタル信号に応じた第1の出力信号を生成する第1変換回路と、入力されるデジタル信号に応じて第1の出力信号を変化させる、アレイ状に配置された複数の補正キャパシタを含む第1補正回路と、(M+N)ビットのデジタル信号に応じた第2の出力信号を生成する第2変換回路と、入力されるデジタル信号に応じて第2の出力信号を変化させる、アレイ状に配置された複数の補正キャパシタを含む第2補正回路と、を有する。第1変換回路は、(M+N)ビットのデジタル信号の下位Mビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第1キャパシタを有する下位側回路と、(M+N)ビットのデジタル信号の上位Nビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第2キャパシタを有する上位側回路と、当該下位側回路と当該上位側回路との間に配置されたスケーリングキャパシタと、を含む。第2変換回路は、(M+N)ビットのデジタル信号の下位Mビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第3キャパシタを有する下位側回路と、(M+N)ビットのデジタル信号の上位Nビットの変換を担う、アレイ状に配置された複数の第4キャパシタを有する上位側回路と、当該下位側回路と当該上位側回路との間に配置されたスケーリングキャパシタと、を含む。第1補正回路が有する複数の補正キャパシタの共通ノードは、複数の第1キャパシタの共通ノードおよび複数の第2キャパシタの共通ノードの一方に接続される。第2補正回路が有する複数の補正キャパシタの共通ノードは、複数の第3キャパシタの共通ノードおよび複数の第4キャパシタの共通ノードの一方に接続される。制御回路は、第1補正回路および第2補正回路のそれぞれに入力されるデジタル信号を逐次的に変化させ、逐次的に生成される比較結果に基づいて、第1補正回路に第1の出力信号を補正させ、第2補正回路に第2の出力信号を補正させるためのデータを取得する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、第1実施形態に係る逐次比較型ADCの構成を示すブロック図である。
図2は、参考技術1に係る容量性DACの回路図である。
図3は、参考技術2に係る容量性DACの回路図である。
図4は、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図5は、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図6Aは、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図6Bは、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図6Cは、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図6Dは、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図6Eは、参考技術2に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図7は、本開示の一実施形態に係る容量性DACの回路図である。
図8Aは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図8Bは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図9Aは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図9Bは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図10Aは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図10Bは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図11Aは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図11Bは、同実施形態に係る容量性DACの動作の一例を説明するための図である。
図12は、同実施形態に係る容量性DACを駆動する制御回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図13は、各種の信号が入力される容量性DACの信号線を示す図である。
図14Aは、参考技術1に係る容量性DACを用いた場合の逐次比較型ADCにおける各コードのDNLの一例を示す図である。
図14Bは、本開示の一実施形態に係る容量性DACを用いた場合について、α補正回路の容量値を最適化したあとにおける逐次比較型ADCにおける各コードのDNLの一例を示す図である。
図15は、第2実施形態に係る逐次比較型ADCのブロック図である。
図16は、第2実施形態に係る容量性DACの回路構成を説明するための図である。
図17は、サンプリング時における容量性DACの状態を説明するための図である。
図18Aは、2回目の逐次比較において第1補正回路および第2補正回路に入力されるデジタル信号を示す図である。
図18Bは、3回目の逐次比較において第1補正回路および第2補正回路に入力されるデジタル信号を示す図である。
図18Cは、8回目の逐次比較において第1補正回路および第2補正回路に入力されるデジタル信号を示す図である。
図18Dは、9回目の逐次比較において第1補正回路および第2補正回路に入力されるデジタル信号を示す図である。
図19は、比較器のオフセット、比較データ、反転データおよび取得されるオフセットデータとの関係を示す図である。
図20は、第1変換回路および第1補正回路の回路図である。
図21は、抽出できる容量誤差と、容量誤差を抽出するために変換回路に入力されるデジタル信号の2つのコードを示す図である。
図22は、サンプリング時における容量性DACの状態を説明するための図である。
図23は、1回目の逐次比較における容量性DACの状態を説明するための図である。
図24は、容量誤差、オフセット加算後の反転データおよび容量誤差データの関係を示す図である。
図25Aは、サンプリング時における第1変換回路の状態を説明するための図である。
図25Bは、1回目の逐次比較における第1変換回路の状態を説明するための図である。
各逐次比較における第1補正回路の補正値を示す図である。
図27Aは、サンプリング時における第2変換回路の状態を説明するための図である。
図27Bは、1回目の逐次比較における第2変換回路の状態を説明するための図である。
図28は、各逐次比較における第2補正回路の補正値を示す図である。
図29は、第1補正回路および第2補正回路を使用しない逐次比較型ADCについて、各コードのDNLを計算した結果を示す図である。
図30は、第1補正回路および第2補正回路を使用しない逐次比較型ADCについて、各コードのINLを計算した結果を示す図である。
図31は、本実施形態に係る逐次比較型ADCについて、各コードのDNLを計算した結果を示す図である。
図32は、本実施形態に係る逐次比較型ADCについて、各コードのINLを計算した結果を示す図である。
【0010】
[詳細な説明]
(概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
(【0011】以降は省略されています)
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