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公開番号
2024105603
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-06
出願番号
2024080118,2022015802
出願日
2024-05-16,2020-02-04
発明の名称
CARライブラリおよびscFvの製造方法
出願人
国立大学法人愛媛大学
代理人
弁理士法人レクシード・テック
主分類
C40B
40/08 20060101AFI20240730BHJP(コンビナトリアル技術)
要約
【課題】CAR-T細胞において機能しうるscFvのスクリーニングに用いるCARライブラリ、およびそれを用いたscFvの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリは、第1のCARをコードする核酸を含み、前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、所定の条件を満たす。
【選択図】図44
特許請求の範囲
【請求項1】
第1のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含み、
前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、
前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす、CARライブラリ;
条件1:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
続きを表示(約 1,700 文字)
【請求項2】
前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1記載のCARライブラリ。
【請求項3】
前記第1の膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通ドメインを含む、請求項1または2記載のCARライブラリ。
【請求項4】
前記第1のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、請求項1から3のいずれか一項に記載のCARライブラリ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第1の発現工程と、
前記第1の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第1の接触工程と、
前記第1の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む、scFvの製造方法。
【請求項6】
前記第1の候補scFvに基づき、第2のCARライブラリを調製する調製工程を含み、
前記第2のCARライブラリは、第2のCARをコードする核酸を含み、
前記第2のCARは、第2の抗原結合ドメインと、第2の膜貫通ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第2の抗原結合ドメインは、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含み、
前記第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含み、
前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、下記条件3または条件4を満たし、
さらに、前記第2のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第2の発現工程と、
前記第2の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第2の接触工程と、
前記第2の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第2のscFvを、前記標的抗原に結合する第2の候補scFvとして第2の選抜工程とを含む、請求項5記載の製造方法;
条件3:
前記第1の発現工程におけるCARライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件4:
前記第1の発現工程におけるCARライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【請求項7】
前記第2の接触工程を複数回実施する、請求項6記載のscFvの製造方法。
【請求項8】
前記第2の選抜工程において、前記標的抗原のモノマーまたはマルチマーを用いて、前記標的抗原に結合する免疫細胞を検出し、
検出された免疫細胞に発現するscFvを、前記第2の候補scFvとして選抜する、請求項6または7記載のscFvの製造方法。
【請求項9】
前記第2のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、請求項6から8のいずれか一項に記載のscFvの製造方法。
【請求項10】
前記第1の接触工程を複数回実施する、請求項5から9のいずれか一項に記載のscFvの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、CARライブラリおよびscFvの製造方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【背景技術】
【0002】
がん特異的抗原または標的抗原に結合する一本鎖抗体(scFv:single chain Fv)を発現するT細胞(キメラ抗原受容体発現T細胞、CAR-T細胞)を用いた、がんの治療が試みられている。
【0003】
scFvのスクリーニングは、生体から単離されたB細胞を用いたハイブリドーマを用いた方法、またはファージディスプレイ法により実施される。具体的に、前者は、抗原免疫後に、生体から単離したB細胞を用いてハイブリドーマのライブラリを作成する。そして、標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選抜し、前記ハイブリドーマが産生する抗体の抗原認識部位の配列を決定することにより実施される。
【0004】
また、後者は、scFvをコードするポリヌクレオチドを含むscFvのライブラリを作成後、各scFvをファージに発現させる。そして、標的抗原に結合するファージを選抜し、前記ファージにおけるポリヌクレオチドを同定することにより実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いずれの方法も標的抗原に結合するscFvを選抜できるが、CAR-T細胞において機能するscFvかは不明である。このため、前記選抜後、標的抗原結合性のscFvをそれぞれT細胞に発現させ、機能するかを検討する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvのスクリーニングに用いるCARライブラリ、およびそれを用いたscFvの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリは、第1のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含み、
前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、
前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす;
条件1:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0008】
本発明のscFvの製造方法(以下、「第1のスクリーニング方法」ともいう)は、前記本発明のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第1の発現工程と、
前記第1の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第1の接触工程と、
前記第1の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvのスクリーニングに用いるCARライブラリ、およびそれを用いたscFvの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図2は、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図3は、実施例1におけるA2/NY-ESO-1
157
テトラマー陽性細胞の割合を示すグラフである。
図4は、実施例1におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図5は、実施例1におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図6は、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図7Aは、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図7Bは、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図8は、実施例2におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図9は、実施例2におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図10は、実施例2におけるA2/NY-ESO-1
157
テトラマー陽性細胞の割合を示すグラフである。
図11は、実施例2におけるペプチド濃度が10μg/mLの場合におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図12は、実施例2におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図13は、実施例3におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図14は、実施例4におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図15は、実施例4におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図16は、実施例5におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、3M4E5LH CARを発現するT細胞の結果を示し、(B)は、L1-3M4E5H CARを発現するT細胞の結果を示す。
図17は、実施例6におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図18は、実施例6におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図19は、実施例6におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図20は、実施例7におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、3M4E5LH CARを発現するT細胞の結果を示し、(B)は、3M4E5H-L1 CARを発現するT細胞の結果を示す。
図21は、実施例7におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果Cを示す。
図22は、実施例8におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図23は、実施例8におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図24は、実施例8におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図25は、実施例9におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図26は、実施例9におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図27は、実施例10におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図28は、実施例10におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図29は、実施例10におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図30は、実施例10におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図31は、実施例10におけるCD19ダイマー陽性細胞の相対割合を示すグラフである。
図32は、実施例10における標的細胞量を変化させた際のCD69発現量の相対値を示すグラフである。
図33は、実施例10におけるサイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。
図34は、実施例11における生体における抗腫瘍活性に関する図である。
図35は、実施例12における構造的親和性の指標値と、機能的親和性の指標値との関係性を示すグラフである。
図36は、実施例13における細胞傷害性を示すグラフであるである。
図37は、実施例14における生体における全生存率に関する図である。
図38は、実施例14における生体における全生存率に関する図である。
図39は、実施例15における細胞の増殖比を示すグラフである。
図40は、実施例15におけるサイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。
図41は、実施例15における細胞傷害活性を示すグラフである。
図42は、実施例15における共培養前後のCD8陽性CAR-T細胞およびCD4陽性CAR-T細胞中のCD45RA/CD62L陽性細胞の分布を示すドットプロットである。
図43は、実施例15における各CAR-T細胞の分裂割合と、共培養前後のCD45RA陽性CD62L陽性CCR7陽性細胞の割合と、CD45RA陰性CD62L陽性CCR7陽性と、CD45RA陽性CD62L陰性PD1陽性細胞の割合とを示すグラフである。
図44は、実施例15における本発明のスクリーニング方法により、
in
vivo
での抗腫瘍効果に優れるscFvを取得できるメカニズムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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