TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024169627
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2024165053,2023556623
出願日2024-09-24,2022-10-27
発明の名称治療薬組成物
出願人国立大学法人愛媛大学,株式会社テクノネットワーク四国,株式会社セルフリーサイエンス
代理人個人,個人,個人
主分類C07D 495/14 20060101AFI20241128BHJP(有機化学)
要約【課題】新規標的タンパク質分解誘導化合物、該化合物を含む癌治療用組成物、特に重篤な催奇性を引き起こさない癌治療用組成物を提供する。
【解決手段】SALL4とPLZFの両方のタンパク質の分解を低減したサリドマイド誘導体が重篤な催奇性を回避できる標的タンパク質分解誘導化合物のE3 ligase binderになるという上記知見により、SALL4とPLZFの両方のタンパク質の分解能を低減したサリドマイド誘導体を見出し、さらに該誘導体を含む標的タンパク質分解誘導化合物が抗ガン作用を有することを確認して、本発明を完成した。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬組成物、特に、新規標的タンパク質分解誘導化合物、該化合物を含む癌治療用組成物、より詳しくは、催奇性を回避した癌治療用組成物に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願2021-175996号優先権を請求する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
(サリドマイド薬害)
サリドマイドは、半世紀以上前に妊婦における睡眠導入剤として世界中で使用された薬剤である。しかし、服用した妊婦から生まれた胎児の四肢に重篤な催奇性を示したことから、サリドマイド薬禍といわれるほどの世界規模の薬害問題を引き起こした。
しかし、サリドマイドは、ハンセン病や多発性骨髄腫に対する薬効が認められ、現在、サリドマイドやサリドマイド誘導体 (レナリドミド及びポマリドミド) は厳格な安全管理のもと、多発性骨髄腫などの血液がんに対する治療薬として年間約1兆円の規模で使用されている非常に有効な薬剤である。
サリドマイドやサリドマイド誘導体 (Immunomodulatory drug /IMiD)は、タンパク質分解酵素であるE3ユビキチンリガーゼの構成因子のひとつであるセレブロン(CRBN)へ結合することにより、様々なタンパク質の分解を誘導し、その結果、多様な薬理作用および副作用を示すことが明らかとなっている。
【0003】
胎児の四肢発生に重要な役割を果たすタンパク質SALL4 (Sal-like protein 4)が、 IMiD 依存的にCRBNによって分解誘導されることが報告されている。また、最近、本発明者らは、サリドマイドが体内で代謝されて生じる水酸化体(5位水酸化サリドマイド)が、サリドマイドよりも効率的にSALL4に作用するメカニズムを構造解析によって明らかにした(参照:非特許文献1)。
しかしながら、サリドマイドやサリドマイド誘導体によって引き起こされる催奇性のメカニズムに関しては未解明な点が多く残されており、SALL4以外の原因タンパク質の存在が示唆されていた。
【0004】
(標的タンパク質分解誘導化合物)
ユビキチン・プロテアソームシステム(Ubiquitin Proteasome System:UPS)を利用して、細胞内の標的タンパク質の分解(Targeted Protein Degradation,TPD)を誘導する低分子化合物としてPROTAC(標的タンパク質分解誘導化合物:Proteolysis Targeting Chimera,PROTAC)が知られている(参照:非特許文献2)。
標的タンパク質分解誘導化合物(PROTAC化合物)は、E3ユビキチンリガーゼと標的タンパク質とを結びつけ三元複合体を形成する。該形成により、標的がポリユビキチン化され、プロテアソームによる分解を受ける。標的タンパク質分解誘導化合物は、ポリユビキチン化反応後該複合体から離脱し、新たな標的とE3リガーゼとの結合を繰り返すことにより触媒的に作用する。この触媒作用により、細胞内で標的タンパク質がユビキチン化後プロテアソーム消化により枯渇して細胞死に致し、各種の疾患(例、癌)に効果を有する。
【0005】
(先行特許)
特許文献1は、「6-ヒドロキシレナリドミド、その塩、又はその溶媒和物を含む、医薬組成物」を開示している。
特許文献2は、「イミド系タンパク質分解モジュレーター」を開示している。
しかし、これらの文献は、本発明の標的タンパク質分解誘導化合物を開示又は示唆をしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-20873号公報
特表2017-513862号公報
【非特許文献】
【0007】
(2020) Structural bases of IMiDselectivity that emerges by 5-hydroxythalidomide Nat Commun 11: 4578
https://www.funakoshi.co.jp/contents/63923
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、サリドマイド催奇性に関わるタンパク質として新たに PLZF(promyelocytic leukemia zinc finger) を見出し、サリドマイド催奇性の分子メカニズム、さらに、PLZFはサリドマイドやサリドマイド誘導体、そして 5位水酸化サリドマイドによって CRBN依存的に分解することを明らかにした。さらに、本発明者らは、次に、サリドマイド感受性の動物種であるニワトリ胚を対象にPLZFの遺伝子ノックダウン実験を行った結果、ニワトリ胚の四肢発達においてPLZF は重要な役割を果たすことを確認し、さらに、ニワトリ胚へサリドマイドや5位水酸化サリドマイドを投与することによって、ニワトリ胚の肢芽においてPLZFが減少している一方で、SALL4は減少しないことを確認した。加えて、ニワトリ胚へPLZFを過剰発現することによって、サリドマイド投与に伴って引き起こされる繊維芽細胞増殖因子のFgf8やFgf10の発現減少が、回復することを明らかにした。これにより、CRBNによるサリドマイド依存的なPLZFの分解がサリドマイド催奇性に直接関与していることを確認し、ヒトやサル、ウサギのようなサリドマイドに対して感受性の高い生物種(哺乳類)においてはサリドマイドが体内の代謝酵素により5位水酸化サリドマイドへ代謝されることと、SALL4とPLZFの両方のタンパク質が分解されることによって、重篤な催奇性が引き起こされることを確認した。
これにより、本発明では、新規標的タンパク質分解誘導化合物、該化合物を含む癌治療用組成物、特に重篤な催奇性を引き起こさない癌治療用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、SALL4とPLZFの両方のタンパク質の分解を低減したサリドマイド誘導体が重篤な催奇性を回避できる標的タンパク質分解誘導化合物のE3 ligase binderになるという上記知見により、SALL4とPLZFの両方のタンパク質の分解能を低減したサリドマイド誘導体を見出し、さらに該誘導体を含む標的タンパク質分解誘導化合物が抗ガン作用を有することを確認して、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
1.以下の構成を有する標的タンパク質分解誘導化合物、
「セレブロンバインダ」-「リンカー」-「標的タンパク質バインダ」、
ここで、該セレブロンバインダは、以下の一般式(1)で示される化合物、その塩、又はその溶媒和物のいずれか1から選択される、標的タンパク質分解誘導化合物。
JPEG
2024169627000001.jpg
36
72
(ここで、R

は水素、F、Br、Cl、CH
3
、OCH
3、
I、CF
3
又はOCF
3
であり、R
L1
及びR
L2
は、水素、官能基又は原子であるが、いずれか1は官能基又は原子である。)
2.以下の構成を有する、前項1に記載の標的タンパク質分解誘導化合物、
前記セレブロンバインダは、以下の一般式(1)で示される化合物、その塩、又はその溶媒和物のいずれか1から選択され、
JPEG
2024169627000002.jpg
36
72
(ここで、R

は水素、F、Br、Cl、CH
3
、OCH
3、
I、CF
3
又はOCF
3
であり、R
L1
及びR
L2
は、水素、官能基又は原子であるが、いずれか1は官能基又は原子である。)
並びに、前記標的タンパク質バインダは、JQ-1又はBirabresibである、
標的タンパク質分解誘導化合物。
3.以下の構成を有する、前項1又は2に記載の標的タンパク質分解誘導化合物、
前記セレブロンバインダは、以下の一般式(7)で示される化合物、その塩、又はその溶媒和物のいずれか1から選択され、
JPEG
2024169627000003.jpg
36
79
(ここで、R
L1
及びR
L2
は、水素、官能基又は原子であるが、いずれか1は官能基又は原子である。)
並びに、前記標的タンパク質バインダは、Birabresib 又はJQ-1である、標的タンパク質分解誘導化合物。
4.以下の構成を有する、前項1又は2に記載の標的タンパク質分解誘導化合物、
前記セレブロンバインダは、以下の一般式(8)で示される化合物、その塩、又はその溶媒和物のいずれか1から選択され、
JPEG
2024169627000004.jpg
36
79
(ここで、R
L1
及びR
L2
は、水素、官能基又は原子であるが、いずれか1は官能基又は原子である。)
並びに、前記標的タンパク質バインダは、Birabresib又は JQ-1である、標的タンパク質分解誘導化合物。
5.以下の構成を有する、前項1又は2に記載の標的タンパク質分解誘導化合物、
前記セレブロンバインダは、以下の一般式(6)で示される化合物、その塩、又はその溶媒和物のいずれか1から選択され、
JPEG
2024169627000005.jpg
36
72
(ここで、R
L1
及びR
L2
は、水素、官能基又は原子であるが、いずれか1は官能基又は原子である。)
並びに、前記標的タンパク質バインダは、Birabresib又は JQ-1である、標的タンパク質分解誘導化合物。
6.以下の構成を有する、前項1又は2に記載の標的タンパク質分解誘導化合物、
前記セレブロンバインダは、以下の一般式(3)で示される化合物、その塩、又はその溶媒和物のいずれか1から選択され、
JPEG
2024169627000006.jpg
36
72
(ここで、R
L1
及びR
L2
は、水素、官能基又は原子であるが、いずれか1は官能基又は原子である。)
並びに、前記標的タンパク質バインダは、Birabresib 又はJQ-1である、標的タンパク質分解誘導化合物。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

三浦工業株式会社
揮発性有機化合物群の捕集材
1か月前
公立大学法人大阪
被験者候補抽出システム、被験者候補抽出装置、被験者候補抽出方法及びプログラム
2か月前
国立大学法人愛媛大学
破骨細胞分化阻害剤、及びin vitroにおいて破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化を抑制する方法
1か月前
国立大学法人愛媛大学
ダイヤモンド膜等を形成するためのデバイスおよびその形成方法
1か月前
国立大学法人愛媛大学
新規鉄酸化細菌、その鉄酸化細菌を含む資材、及びその鉄酸化細菌を用いたヒ素含有液体中におけるヒ素の除去方法
1か月前
株式会社トクヤマ
グルコンアミド誘導体
2か月前
日産化学株式会社
ピリジン化合物の製造方法
1か月前
ダイキン工業株式会社
シラン化合物
2か月前
日本特殊陶業株式会社
メタン製造装置
26日前
株式会社トクヤマ
グルコンアミド誘導体の製造方法
2か月前
金剛化学株式会社
ボルチオキセチンの製造方法
1か月前
四国化成工業株式会社
エポキシ化合物およびその利用
1か月前
ユニチカ株式会社
ビスマレイミドおよびその製造方法
1か月前
artience株式会社
四塩基酸無水物の製造方法
4日前
国立大学法人京都大学
細胞質送達ペプチド
2か月前
日産化学株式会社
ピラゾール化合物及び有害生物防除剤
7日前
四国化成工業株式会社
イソフタル酸化合物およびその利用
1か月前
四国化成工業株式会社
テレフタル酸化合物およびその利用
1か月前
株式会社トクヤマ
サフィナミド若しくはその塩の製造方法
4日前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
1か月前
旭化成株式会社
トリオキサンの製造方法
7日前
小川香料株式会社
化合物及び香料組成物
2か月前
小川香料株式会社
化合物及び香料組成物
2か月前
株式会社カネカ
プロピレンオキサイド(PO)製造システム
1か月前
ダイキン工業株式会社
SF5含有シラン化合物
2か月前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の保存溶液
4日前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
20日前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
1か月前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
1か月前
株式会社半導体エネルギー研究所
有機金属錯体、発光デバイス
1か月前
JFEスチール株式会社
メタノール合成方法
1か月前
旭化成株式会社
ホルムアルデヒドの製造方法
1か月前
株式会社トクヤマ
精製第4級アンモニウム化合物水溶液の製造方法
2か月前
株式会社半導体エネルギー研究所
有機化合物、および発光デバイス
11日前
公立大学法人大阪
カルボン酸化合物の製造方法
今日
出光興産株式会社
プロピレンの製造方法
1か月前
続きを見る