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公開番号2024103899
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-02
出願番号2023007847
出願日2023-01-23
発明の名称黒鉛の精製方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人
主分類C01B 32/215 20170101AFI20240726BHJP(無機化学)
要約【課題】酸処理やアルカリ溶液処理を行うことなく、黒鉛含有原料から高純度の黒鉛を精製する。
【解決手段】黒鉛含有原料の懸濁液を強撹拌することにより、黒鉛成分を液中で凝集させつつ、その凝集体から不純物を分離させて液中に移動させる処理を行う凝集・分離促進処理と、この凝集・分離促進処理で生じた黒鉛成分の凝集体を分離・回収する浮遊選鉱処理を1サイクルとする精製工程(x)を1回または2回以上行う。さらに、必要に応じて、凝集・分離促進処理(但し、精製工程(x)を2回以上行う場合は、少なくとも1回の精製工程(x)における凝集・分離促進処理)前の黒鉛含有原料を湿式粉砕する。浮遊選鉱処理の前に、黒鉛含有原料の懸濁液を強撹拌して黒鉛の凝集と不純物の分離を促進させる凝集・分離促進処理を行うことにより、不純物を容易に分離・除去し、高純度の黒鉛を得ることが可能となる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
黒鉛含有原料から黒鉛成分を精製する方法であって、
黒鉛含有原料の懸濁液を強撹拌することにより、黒鉛成分を液中で凝集させつつ、その凝集体から不純物を分離させて液中に移動させる処理を行う凝集・分離促進処理と、該凝集・分離促進処理で生じた黒鉛成分の凝集体を分離・回収する浮遊選鉱処理を1サイクルとする精製工程(x)を1回または2回以上行うことを特徴とする黒鉛の精製方法。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
凝集・分離促進処理(但し、精製工程(x)を2回以上行う場合は、少なくとも1回の精製工程(x)における凝集・分離促進処理)前の黒鉛含有原料を湿式粉砕することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項3】
精製工程(x)を2回以上行い、少なくとも、最終の精製工程(x)または/および中間の精製工程(x)における凝集・分離促進処理前の黒鉛含有原料を湿式粉砕することを特徴とする請求項2に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項4】
凝集・分離促進処理した黒鉛含有原料の全量を浮遊選鉱処理することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項5】
凝集・分離促進処理した黒鉛含有原料を篩にかけ、その篩上を浮遊選鉱処理することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項6】
精製される黒鉛含有原料は事前処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項7】
凝集・分離促進処理は、油系バインダーを添加した水中で行うことを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項8】
酸による不純物の溶解処理およびアルカリによる不純物の溶解処理を行わないことを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項9】
黒鉛含有原料は、黒鉛含有鉱石、黒鉛含有耐火物、それらの中間精製物、低・中純度黒鉛の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
【請求項10】
凝集・分離促進処理では、黒鉛含有原料の懸濁液を撹拌動力密度80W/kg以上で強撹拌することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛の精製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛含有鉱石や黒鉛含有耐火物などの黒鉛含有原料から高純度の黒鉛を精製するための精製方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
一般に黒鉛含有鉱石を精製して高純度黒鉛を得る場合、黒鉛の原鉱石は黒鉛結晶を含んだ石であるため、これを粉砕した後、浮遊選鉱と磨鉱を繰り返すことにより精製を行う。黒鉛は疎水性物質であるため、浮遊選鉱では灯油などを補収材として使用し、水中での黒鉛の凝集と気泡への付着促進を図っている。しかしながら、黒鉛はある程度まで濃度が上昇すると、凝集が強固になり、凝集体中に捕捉された不純物(脈石成分)の除去が困難となり、それ以上純度を高めることが難しくなる。そこで、浮遊選鉱と磨鉱を繰り返すことで概ね95質量%程度の黒鉛純度まで精製した後、酸やアルカリに浸漬して不純物成分を溶解除去することで、95質量%以上の純度の高純度黒鉛を得ている(例えば特許文献1)。すなわち、原料を酸に浸漬して塩基性不純物を除去し、次いで、アルカリ溶液に浸漬して酸性不純物を除去することで高純度化を図っている。
【0003】
また、他の黒鉛含有原料から黒鉛を精製する方法として、例えば、製鉄所などで発生する黒鉛含有ダストを対象に、浮遊選鉱と磨鉱を繰り返した後、硫酸添加により黒鉛を高純度化する方法(特許文献2)、使用済みのマグネシアカーボンれんがを粉砕し、浮遊選鉱や酸処理により黒鉛を回収する方法(特許文献3)などが提案されているが、これらの方法も、酸による処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭57-88017号公報
特開昭58-223610号公報
特開2013-1606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術において黒鉛の精製に使用される酸やアルカリ溶液は、そのまま排出すると環境負荷が甚大であるため、通常は専用設備を設置し、中和処理を行った上で排出する必要があるため、製造コストが非常に高くなっていた。これに対し、酸やアルカリ溶液といった薬品を用いずに浮遊選鉱だけで黒鉛精製を行った場合、純度が95質量%未満の黒鉛しか得られない。電池用黒鉛に代表される黒鉛製品用の黒鉛には95質量%以上の純度が要求されており、従来技術では酸やアルカリ溶液の処理が必須とされ、黒鉛の価格高騰の一因となっている。
【0006】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、酸やアルカリ溶液による処理を行うことなく、黒鉛含有原料から高純度の黒鉛を精製することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、酸処理やアルカリ溶液処理によらない黒鉛の高純度化処理方法を鋭意研究した結果、以下に述べるような環境負荷が低く且つ容易に高純度黒鉛を得ることができる精製方法を開発したものである。
本発明者らは、当初、使用済みのマグネシアカーボンれんがから黒鉛を回収する方法を開発すべく研究を始め、その際、浮遊選鉱の繰り返し処理により黒鉛を高純度化する方法について検討を進めるなかで、耐火原料である黒鉛には、一般的な非晶質の炭素である煤(すす)やカーボンブラックとは違い、(i)一次粒径が大きい、(ii)結晶化が進んでいるため疎水性が強い、(iii)劈(へき)開性がある、という3つの特徴があることに注目した。すなわち、これらの特徴は、それぞれ、(1)撹拌による解砕・不純物分離効果が得られやすい、(2)水に対して分離凝集をしやすい、(3)強固に付着した不純物も除去されやすい、という点で撹拌による高純度化に有利に作用すると考え、黒鉛含有原料の懸濁液の撹拌条件を最適化すれば、酸やアルカリによる不純物の溶解分離などのようなコストと環境負荷の高い処理を行なわなくても、黒鉛の高純度化が実現できるのではないかという着想を得た。そして、このような着想に基づき、浮遊選鉱処理間の撹拌調整工程において強撹拌を試みた結果、黒鉛含有物の粉体を水中で強撹拌することにより黒鉛の凝集と不純物の分離が効果的に促進され、非常に高純度な黒鉛が得られることが判った。
【0008】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]黒鉛含有原料から黒鉛成分を精製する方法であって、
黒鉛含有原料の懸濁液を強撹拌することにより、黒鉛成分を液中で凝集させつつ、その凝集体から不純物を分離させて液中に移動させる処理を行う凝集・分離促進処理と、該凝集・分離促進処理で生じた黒鉛成分の凝集体を分離・回収する浮遊選鉱処理を1サイクルとする精製工程(x)を1回または2回以上行うことを特徴とする黒鉛の精製方法。
【0009】
[2]上記[1]の精製方法において、凝集・分離促進処理(但し、精製工程(x)を2回以上行う場合は、少なくとも1回の精製工程(x)における凝集・分離促進処理)前の黒鉛含有原料を湿式粉砕することを特徴とする黒鉛の精製方法。
[3]上記[2]の精製方法において、精製工程(x)を2回以上行い、少なくとも、最終の精製工程(x)または/および中間の精製工程(x)における凝集・分離促進処理前の黒鉛含有原料を湿式粉砕することを特徴とする黒鉛の精製方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの精製方法において、凝集・分離促進処理した黒鉛含有原料の全量を浮遊選鉱処理することを特徴とする黒鉛の精製方法。
【0010】
[5]上記[1]~[3]のいずれかの精製方法において、凝集・分離促進処理した黒鉛含有原料を篩にかけ、その篩上を浮遊選鉱処理することを特徴とする黒鉛の精製方法。
[6]上記[1]~[5]のいずれかの精製方法において、精製される黒鉛含有原料は事前処理されたものであることを特徴とする黒鉛の精製方法。
[7]上記[1]~[6]のいずれかの精製方法において、凝集・分離促進処理は、油系バインダーを添加した水中で行うことを特徴とする黒鉛の精製方法。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの精製方法において、酸による不純物の溶解処理およびアルカリによる不純物の溶解処理を行わないことを特徴とする黒鉛の精製方法。
(【0011】以降は省略されています)

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