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公開番号2024118215
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-30
出願番号2023024528
出願日2023-02-20
発明の名称多孔質酸化スズ粒子
出願人株式会社豊田中央研究所,トヨタ自動車株式会社
代理人個人
主分類C01G 19/02 20060101AFI20240823BHJP(無機化学)
要約【課題】NbドープSnO2からなり、かつ、相対的に高い導電率を有する多孔質酸化スズ粒子を提供すること。
【解決手段】多孔質酸化スズ粒子は、NbドープSnO2からなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、導電率比が68.4未満である。但し、「導電率比」とは、多孔質酸化スズ粒子の全体の導電率(σtotal)に対する、多孔質酸化スズ粒子の内部の導電率(σbulk)の比(=σbulktotal)をいう。多孔質酸化スズ粒子は、Nbの濃度比が2.6未満であるものが好ましい。但し、「Nbの濃度比」とは、ICPで求めた多孔質酸化スズ粒子の平均のNb濃度(CICP)に対する、XPSで求めた多孔質酸化スズの表面のNb濃度(CXPS)の比(=CXPS/CICP)をいう。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
NbドープSnO
2
からなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、
導電率比が68.4未満である
多孔質酸化スズ粒子。
但し、前記「導電率比」とは、前記多孔質酸化スズ粒子の全体の導電率(σ
total
)に対する、前記多孔質酸化スズ粒子の内部の導電率(σ
bulk
)の比(=σ
bulk
/σ
total
)をいう。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
Nbの濃度比が2.6未満である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
但し、前記「Nbの濃度比」とは、ICPで求めた前記多孔質酸化スズ粒子の平均のNb濃度(C
ICP
)に対する、XPSで求めた前記多孔質酸化スズの表面のNb濃度(C
XPS
)の比(=C
XPS
/C
ICP
)をいう。
【請求項3】
IPCで求めた前記多孔質酸化スズ粒子の平均のNb濃度(C
ICP
)が0.1at%以上である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
【請求項4】
前記σ
total
が5×10
-5
S/cm以上である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
【請求項5】
比表面積が50m
2
/g以上である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
【請求項6】
細孔径が2nm以上20nm以下である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
【請求項7】
平均一次粒子径が0.05μm以上2.0μm以下である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
【請求項8】
細孔容量が0.1mL/g以上である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。
【請求項9】
平均結晶子径が2nm以上40nm以下である請求項1に記載の多孔質酸化スズ粒子。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質酸化スズ粒子に関し、さらに詳しくは、Nbがドープされた酸化スズからなり、かつ、相対的に高い導電率を有する多孔質酸化スズ粒子に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、電解質膜の両面に触媒層が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。触媒層の外側には、通常、ガス拡散層が配置される。さらに、ガス拡散層の外側には、ガス流路を備えた集電体(セパレータ)が配置される。PEFCは、通常、このようなMEA、ガス拡散層及び集電体からなる単セルが複数個積層された構造(燃料電池スタック)を備えている。
【0003】
PEFCにおいて、触媒層は、一般に、担体表面に白金などの触媒金属微粒子を担持させた電極触媒と、触媒層アイオノマとの混合物からなる。触媒担体には、従来、カーボンブラック、アセチレンブラックなどの炭素材料が主に用いられてきた。特に、近年、メソ孔を有するカーボン担体が注目されている(非特許文献1)。粒径と細孔径とが適切に制御された多孔質カーボン粒子を担体に用いると、アイオノマのスルホン酸基による触媒被毒の低減と、担体細孔内のクヌーセン拡散抵抗の低減とを両立でき、低負荷性能と高負荷性能との背反のないセル性能が得られることが分かっている(特許文献1)。
【0004】
しかし、カーボン担体は高電位に曝されると酸化腐食し、担体上に担持された触媒金属微粒子が脱落すること、及びこれによって電極性能が低下することが知られている。セルの初期性能と耐久性とを両立させるためには、カーボンに代わる高電位で安定な材料を用いて多孔質担体を作製する必要がある。そのため、カーボンの代替材料として、高電位で安定な導電性金属酸化物を担体材料として用いることが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、酸化物半導体からなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、比表面積が60m
2
/g以上である多孔質酸化物半導体粒子が開示されている。
同文献には、このような多孔質酸化物半導体粒子を固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いると、担体の酸化腐食による触媒金属微粒子の脱落が抑制され、触媒層内における物質移動が促進され、あるいは、触媒被毒による活性低下が抑制される点が記載されている。
【0006】
非特許文献2には、SbドープSnO
2
(ATO)からなる担体にPtを担持させた酸素還元触媒が開示されている。
同文献には、このような酸素還元触媒を0.3V以下の電位に曝すと、ATOからSbが溶出する点が記載されている。
【0007】
非特許文献3には、NbドープSnO
2
エアロゲル又はSbドープSnO
2
エアロゲルからなる固体高分子形燃料電池用触媒担体が開示されている。また、同文献では、エアロゲルの直流抵抗測定と電気化学インピーダンス測定とから、エアロゲル全体の導電率σ
global
と、粒子界面の抵抗を除いたバルク部分の導電率σ
bulk
とを求めている。
【0008】
同文献には、
(A)SbドープSnO
2
エアロゲルは、σ
global
とσ
bulk
がほぼ同等である(すなわち、粒子界面の抵抗がほとんど存在しない)点、及び、
(B)NbドープSnO
2
エアロゲルは、σ
global
がσ
bulk
よりも1桁又は2桁低い(すなわち、粒子界面の抵抗が存在する)点
が記載されている。
【0009】
非特許文献4には、NbドープSnO
2
からなる担体にPtが担持された固体高分子形燃料電池用触媒が開示されている。
同文献には、粒子界面の抵抗の起源に関し、
SnO
2
粒子表面から供給される電子によって酸素や水が還元され、
酸素種(O
2-
、O
-
、O
2
-
)や水酸化物(OH
-
)がSnO
2
粒子表面に化学吸着し、
この際にSnO
2
粒子界面近傍に電子の欠乏層が形成される
と説明されている。
【0010】
SbドープSnO
2
は、NbドープSnO
2
よりも高い導電率を示す。しかしながら、SbドープSnO
2
は、低電位に晒されるような使い方をした場合、ドープしたSbが溶出する場合がある。Sbが溶出すると、SbドープSnO
2
の導電率が低下する場合がある。また、溶出したSbがPt表面に吸着し、あるいは、電解質膜のスルホン酸基のプロトンと置換することで、セルの性能に悪影響を及ぼすことが懸念される。
(【0011】以降は省略されています)

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