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公開番号2024092474
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-08
出願番号2022208424
出願日2022-12-26
発明の名称電縫鋼管の渦流探傷装置、電縫鋼管の渦流探傷方法及び電縫鋼管
出願人日鉄鋼管株式会社
代理人弁理士法人まこと国際特許事務所
主分類G01N 27/90 20210101AFI20240701BHJP(測定;試験)
要約【課題】電縫鋼管の造管工程において、造管速度が変化する場合であっても安定した欠陥検出能を得ることができる渦流探傷装置等を提供する。
【解決手段】渦流探傷装置100は、電縫鋼管Pに誘起された渦電流を検出することで得られる探傷信号を出力する差動型の検出コイル1と、探傷信号が入力される探傷器2と、を備える。探傷器は、探傷信号が入力されるカットオフ周波数可変型のハイパスフィルタと、電縫鋼管の造管速度が入力され、造管速度に応じたハイパスフィルタのカットオフ周波数を設定するカットオフ周波数設定手段26と、を具備する。カットオフ周波数設定手段は、ハイパスフィルタのカットオフ周波数をF、電縫鋼管の造管速度をV、検出コイルの長さをL、0.1≦K≦0.4の所定の係数をKとしたときに、以下の式(1)に基づいて、カットオフ周波数Fを設定する。
F=K・V/L ・・・(1)
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
造管速度が変化する電縫鋼管の造管工程において、前記電縫鋼管を渦流探傷する渦流探傷装置であって、
前記電縫鋼管に誘起された渦電流を検出することで得られる探傷信号を出力する差動型の検出コイルと、
前記検出コイルに接続され、前記探傷信号が入力される探傷器と、を備え、
前記探傷器は、前記探傷信号が入力されるカットオフ周波数可変型のハイパスフィルタと、前記電縫鋼管の造管速度が入力され、前記造管速度に応じた前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を設定するカットオフ周波数設定手段と、を具備し、
前記カットオフ周波数設定手段は、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数をF[Hz]、前記電縫鋼管の造管速度をV[mm/sec]、前記検出コイルの長さをL[mm]、0より大きく1より小さい所定の係数をKとしたときに、以下の式(1)に基づいて、前記カットオフ周波数Fを設定し、
前記係数Kの値は、性能評価装置を用いて予め決定されており、
前記性能評価装置は、
人工欠陥が設けられた、所定の軸周りに回転可能な回転体と、
前記人工欠陥による渦電流の変化を検出可能な、前記検出コイルとコイルデザインが同一である差動型の性能評価用検出コイルと、
前記回転体の回転速度を制御する回転制御手段と、
前記人工欠陥の周速度を検出する周速度検出手段と、を備え、
前記検出コイルに代えて前記性能評価用検出コイルが前記探傷器に接続されると共に、前記探傷器の前記カットオフ周波数設定手段に前記周速度検出手段によって検出された前記人工欠陥の周速度が入力される状態で、前記回転制御手段が、前記人工欠陥の周速度の変化パターンが前記電縫鋼管の造管速度の変化パターンと合致するように、前記回転体の回転速度を制御した場合に、前記ハイパスフィルタを通過した前記人工欠陥に対応する探傷信号の大きさの変動が所定の範囲内となるように、前記係数Kの値が決定されている、
ことを特徴とする電縫鋼管の渦流探傷装置。
F=K・V/L ・・・(1)
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
造管速度が変化する電縫鋼管の造管工程において、前記電縫鋼管を渦流探傷する渦流探傷装置であって、
前記電縫鋼管に誘起された渦電流を検出することで得られる探傷信号を出力する差動型の検出コイルと、
前記検出コイルに接続され、前記探傷信号が入力される探傷器と、を備え、
前記探傷器は、前記探傷信号が入力されるカットオフ周波数可変型のハイパスフィルタと、前記電縫鋼管の造管速度が入力され、前記造管速度に応じた前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を設定するカットオフ周波数設定手段と、を具備し、
前記カットオフ周波数設定手段は、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数をF[Hz]、前記電縫鋼管の造管速度をV[mm/sec]、前記検出コイルの長さをL[mm]、0.1以上0.4以下の所定の係数をKとしたときに、以下の式(1)に基づいて、前記カットオフ周波数Fを設定する、
ことを特徴とする電縫鋼管の渦流探傷装置。
F=K・V/L ・・・(1)
【請求項3】
造管速度が変化する電縫鋼管の造管工程において、渦流探傷装置を用いて、前記電縫鋼管を渦流探傷する渦流探傷方法であって、
前記渦流探傷装置は、前記電縫鋼管に誘起された渦電流を検出することで得られる探傷信号を出力する差動型の検出コイルと、前記検出コイルに接続され、前記探傷信号が入力される探傷器と、を備え、
前記探傷器は、前記探傷信号が入力されるカットオフ周波数可変型のハイパスフィルタと、前記電縫鋼管の造管速度が入力され、前記造管速度に応じた前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を設定するカットオフ周波数設定手段と、を具備し、
前記カットオフ周波数設定手段によって、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数をF[Hz]、前記電縫鋼管の造管速度をV[mm/sec]、前記検出コイルの長さをL[mm]、0より大きく1より小さい所定の係数をKとしたときに、以下の式(1)に基づいて、前記カットオフ周波数Fを設定するカットオフ周波数設定工程と、
人工欠陥が設けられた、所定の軸周りに回転可能な回転体と、前記人工欠陥による渦電流の変化を検出可能な、前記検出コイルとコイルデザインが同一である差動型の性能評価用検出コイルと、前記回転体の回転速度を制御する回転制御手段と、前記人工欠陥の周速度を検出する周速度検出手段と、を備える性能評価装置を用いて、前記係数Kの値を予め決定する係数決定工程と、を有し、
前記係数決定工程では、前記検出コイルに代えて前記性能評価用検出コイルを前記探傷器に接続すると共に、前記探傷器の前記カットオフ周波数設定手段に前記周速度検出手段によって検出された前記人工欠陥の周速度を入力する状態で、前記回転制御手段によって、前記人工欠陥の周速度の変化パターンが前記電縫鋼管の造管速度の変化パターンと合致するように、前記回転体の回転速度を制御した場合に、前記ハイパスフィルタを通過した前記人工欠陥に対応する探傷信号の大きさの変動が所定の範囲内となるように、前記係数Kの値を決定する、
ことを特徴とする電縫鋼管の渦流探傷方法。
F=K・V/L ・・・(1)
【請求項4】
造管速度が変化する電縫鋼管の造管工程において、渦流探傷装置を用いて、前記電縫鋼管を渦流探傷する渦流探傷方法であって、
前記渦流探傷装置は、前記電縫鋼管に誘起された渦電流を検出することで得られる探傷信号を出力する差動型の検出コイルと、前記検出コイルに接続され、前記探傷信号が入力される探傷器と、を備え、
前記探傷器は、前記探傷信号が入力されるカットオフ周波数可変型のハイパスフィルタと、前記電縫鋼管の造管速度が入力され、前記造管速度に応じた前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を設定するカットオフ周波数設定手段と、を具備し、
前記カットオフ周波数設定手段によって、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数をF[Hz]、前記電縫鋼管の造管速度をV[mm/sec]、前記検出コイルの長さをL[mm]、0.1以上0.4以下の所定の係数をKとしたときに、以下の式(1)に基づいて、前記カットオフ周波数Fを設定するカットオフ周波数設定工程を有する、
ことを特徴とする電縫鋼管の渦流探傷方法。
F=K・V/L ・・・(1)
【請求項5】
請求項3又は4に記載の渦流探傷方法によって渦流探傷された電縫鋼管。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電縫鋼管の溶接部等に存在する欠陥を検出する渦流探傷装置、渦流探傷方法及びこの渦流探傷方法によって渦流探傷された電縫鋼管に関する。特に、本発明は、電縫鋼管の造管工程において、造管速度が一定ではなく変化する場合であっても、安定した欠陥検出能を得ることができる渦流探傷装置、渦流探傷方法及び電縫鋼管に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
電縫鋼管(電気抵抗溶接鋼管、ERW鋼管ともいう)は、公知のように、電縫鋼管を製造する造管工程において、コイルから巻き出された板材(フープ材と称される)をロールで管状に成形し、管状に成形された板材の端部同士を突き合わせて電気抵抗溶接することで製造される。この電気抵抗溶接は、高周波電力が印加されたインダクションコイルを用いて、板材の端部に渦電流を生成し、この渦電流によって加熱(誘導加熱)された板材の端部をロールで圧接する方法である。電気抵抗溶接によって鋼管の内外面に押し出された溶鋼は、冷却してビードとして鋼管に残存するため、このビードは溶接直後に切削工具で切削される。
【0003】
上記の造管工程で得られた電縫鋼管には、二次加工工程として、一般的に、冷間抽伸工程が実行される。冷間抽伸工程は、鋼管内にプラグやマンドレルを挿入した状態で、ダイスに鋼管を通して引き抜く冷間抽伸を行う工程である。この冷間抽伸工程は、造管工程後の鋼管を素材として、種々の寸法を有する電縫鋼管を製造するのに適したものであり、内外面にビードの切削痕が残る造管工程後の鋼管に比べて、冷間抽伸工程後の電縫鋼管は、外径・肉厚寸法が均一で、表面粗さが改善されるという利点がある。
【0004】
ここで、造管工程において、突き合わせた板材の端部間にスケールが侵入すると、溶接部に欠陥(溶接欠陥)が生じる場合がある。侵入するスケールは、造管工程で使用する冷却水に含有される場合や、板材の成形の際に雰囲気中に浮遊している場合が考えられる。造管工程で生じた溶接欠陥が、次工程である冷間抽伸工程等の二次加工工程まで残存すると、二次加工工程において、この溶接欠陥に応力集中が生じることで、鋼管に割れが生じる可能性がある。鋼管に割れが生じると、鋼管の歩留まりが低下する他、二次加工工程にトラブルが発生してその修復に多大な工数が掛かるおそれがある。このため、造管工程において、溶接欠陥を精度良く検出可能とすることが望まれている。
【0005】
従来、造管工程では、一般的に、貫通型で且つ差動型の検出コイルを用いた電縫鋼管の渦流探傷が行われている。
しかしながら、造管工程における造管速度(溶接直後の電縫鋼管の長手方向への送り速度に相当)は、渦流探傷の際、一定ではなく、変化するのが一般的である。
図1は、造管速度が変化する例を模式的に示す図である。図1に示すように、溶接条件の変更や、ビード切削工具の交換や位置の微調整等の条件出しを行う場合には、造管速度は0又は低速であり、造管後の管の品質を確認する場合には、造管速度は中速であり、品質確認後は高速で造管が行われる。また、1本の電縫鋼管の造管が完了したり、昼休みや就業時間外となった場合には、造管が停止し、造管速度が0となる。このように、造管速度が、低速から高速に変化する、或いは、高速から低速に変化する状況で渦流探傷を行うと、検出コイルから出力される探傷信号のうち、欠陥に対応する探傷信号の大きさが、造管速度の変化に応じて変化することで、安定した欠陥検出能が得られないおそれがある。
【0006】
例えば、特許文献1には、探傷信号が入力される周波数フィルタを用いた渦流探傷装置(渦電流探傷装置)が提案されているものの、上記の問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
実開昭58-83253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、電縫鋼管の造管工程において、造管速度が一定ではなく変化する場合であっても、安定した欠陥検出能を得ることができる渦流探傷装置、渦流探傷方法及び電縫鋼管を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行った。まず、本発明者らは、差動型の検出コイルを用いた渦流探傷の場合、欠陥に対応する探傷信号の中心周波数f

[Hz]が、以下の式(A)に基づいて簡易的に計算できることに着目した。


=V/L ・・・(A)
上記の式(A)において、V[mm/sec]は電縫鋼管の造管速度であり、L[mm]は検出コイルの長さである。検出コイルの長さとは、検出コイルを構成する一対の検出コイル要素の各長さをL1、L2とし、一対の検出コイル要素の間隙の長さをL3とした場合に、L=L1+L2+L3で表される寸法である。
なお、欠陥が検出コイルに接近する際、欠陥による渦電流の変化が検出コイルに影響を与えるため、検出コイルから出力される探傷信号には低周波の信号成分が生じる。一方、検出コイルを構成する一対の検出コイル要素のうち、先行する(先に欠陥が到達する)検出コイル要素の中心に欠陥が到達した時点から、後続の検出コイル要素の中心に欠陥が到達する時点までにおいて、検出コイルから出力される探傷信号の大きさは、最大値から最小値へと(或いは、最小値から最大値へと)直線的に変化するため、高周波の信号成分が生じる。このため、欠陥に対応する探傷信号の中心周波数f

は上記の式(A)に基づいて簡易的に計算可能であるが、欠陥に対応する探傷信号の周波数帯域は、中心周波数f

のみではなく、幅広い帯域を有する。したがって、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、中心周波数f

よりも小さな値に設定する必要がある。
【0010】
そして、本発明者らは、探傷信号が入力されるハイパスフィルタとして、カットオフ周波数可変型のハイパスフィルタを用い、このハイパスフィルタのカットオフ周波数F[Hz]を、上記の中心周波数f

に、0<K<1の所定の係数Kを乗算した値であるK・f

に設定すれば、造管速度Vが変化したとしても、ハイパスフィルタを通過した欠陥に対応する探傷信号の大きさの変動が所定の範囲内となり、安定した欠陥検出能が得られることを見出した。すなわち、ハイパスフィルタのカットオフ周波数F[Hz]を以下の式(B)に基づいて設定すればよいことを見出した。
F=K・f

・・・(B)
なお、上記の式(A)及び式(B)から、以下の式(1)が成立する。
F=K・V/L ・・・(1)
(【0011】以降は省略されています)

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