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公開番号2024089468
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-03
出願番号2022204854
出願日2022-12-21
発明の名称尿素結合化合物の製造方法、および尿素結合化合物の製造装置
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C07C 273/18 20060101AFI20240626BHJP(有機化学)
要約【課題】穏和な反応条件下で、脱水剤又は化学的な水和剤を使用せずとも、副生水を反応場からへ除去しつつ、選択率が高く、かつ高効率で尿素結合化合物を製造する尿素結合化合物の製造方法、および尿素結合化合物の製造装置の提供。
【解決手段】酸化セリウムおよび沸点が100℃超である溶媒の存在下で、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンとを、反応温度100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成し、かつ前記副生水を蒸発により反応場から除去する尿素結合化合物の製造方法尿素結合化合物の製造方法、および製造装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
酸化セリウムおよび沸点が100℃超の溶媒の存在下で、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンとを、反応温度100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成し、かつ前記副生水を蒸発により反応場から除去する尿素結合化合物の製造方法。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
蒸発した前記副生水を前記二酸化炭素の気流によって前記反応場から除去する請求項1に記載の尿素結合化合物の製造方法。
【請求項3】
前記アミンが、アニリンである請求項1に記載の尿素結合化合物の製造方法。
【請求項4】
前記アミンが、ブチルアニリンである請求項1に記載の尿素結合化合物の製造方法。
【請求項5】
前記アミンが、メチレンジアニリン、及びジアミノトルエンの少なくとも1種である請求項1に記載の尿素結合化合物の製造方法。
【請求項6】
酸化セリウムおよび沸点が100℃超の溶媒が存在する反応器に、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンと、を供給し、反応温度が100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で、前記二酸化炭素と前記アミンとを反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成する反応工程と、
前記反応工程における前記反応器から、気相として排出された、未反応の前記二酸化炭素、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を冷却して、気相として、未反応の前記二酸化炭素と、液相として、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒と、に分離する第1の冷却工程と、
前記第1の冷却工程で、液相として分離された、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を蒸留により、気相として、前記副生水と、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、に分離する第1の蒸留工程と、
前記反応工程における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を蒸留して、気相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、液相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の蒸留工程、又は、前記反応工程における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を冷却して、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、固相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の冷却工程と、
を有し、
前記第1の冷却工程で分離された未反応の前記二酸化炭素と、前記第1の蒸留工程で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、前記第2の蒸留工程又は前記第2の冷却工程で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、を前記反応工程で再利用する、
尿素結合化合物の製造方法。
【請求項7】
前記反応工程における前記反応器から、前記液相と共に固相として排出された固体触媒を前記液相と分離する分離工程と、
前記分離工程で分離した固体触媒を再生する触媒再生工程と、
をさらに有し、
前記触媒再生工程で再生された固体触媒を、前記反応工程で再利用する請求項6に記載の尿素結合化合物の製造方法。
【請求項8】
酸化セリウムおよび沸点が100℃超の溶媒が存在する反応器を有し、前記反応器に、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンと、を供給し、反応温度が100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で、前記二酸化炭素と前記アミンとを反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成する反応塔と、
前記反応塔における前記反応器から、気相として排出された、未反応の前記二酸化炭素、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を冷却して、気相として、未反応の前記二酸化炭素と、液相として、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒と、に分離する第1の冷却塔と、
前記第1の冷却塔で、液相として分離された、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を蒸留により、気相として、前記副生水と、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、に分離する第1の蒸留塔と、
前記反応塔における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を蒸留して、気相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、液相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の蒸留塔、又は、前記反応塔における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を冷却して、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、固相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の冷却塔と、
を備え、
前記第1の冷却塔で分離された未反応の前記二酸化炭素と、前記第1の蒸留塔で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、前記第2の蒸留塔又は第2の冷却塔で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、を前記反応塔で再利用する、
尿素結合化合物の製造装置。
【請求項9】
前記反応塔における前記反応器から、前記液相と共に固相として排出された固体触媒を前記液相と分離する分離塔と、
前記分離塔で分離した固体触媒を再生する触媒再生塔と、
をさらに備え、
前記触媒再生塔で再生された固体触媒を、前記反応塔で再利用する請求項8に記載の尿素結合化合物の製造装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は,尿素結合化合物の製造方法、および尿素結合化合物の製造装置に関するものである。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
尿素結合化合物は、-NH-C(=O)-NH-構造を持つ化合物の総称である。
尿素結合化合物は、医薬品、肥料、ポリウレタン(その原料であるイソシアネート化合物)等の原料として、非常に有用な化合物である。
【0003】
従来の尿素結合化合物の製造方法としては、ホスゲンをカルボニルソースとしてアミンと直接反応させる方法が主流である。この方法は、極めて有害で腐食性の高いホスゲンを用いるため、その輸送や貯蔵等の取扱に細心の注意が必要であり、製造設備の維持管理及び安全性の確保のために多大なコストがかかっていた。また、本方法で製造する場合、原料や触媒中に塩素などのハロゲンが含まれており、得られる尿素結合化合物中には、簡単な精製工程では取り除くことのできない微量のハロゲンが含まれる。このように、微量に存在するハロゲンを極微量にするために、徹底的な精製工程が必須となる。さらに、最近では、人体に極めて有害なホスゲンを利用することから、本製造方法での製造設備の新設が許可されないなど行政指導が厳しくなされてきており、ホスゲンを用いない新たな製造方法が強く望まれている。
【0004】
従来の尿素結合化合物の製造方法としては、酸化セリウム触媒を用いて、二酸化炭素とアミンから尿素結合化合物の製造方法が知られている(非特許文献1参照)。しかし、副生する水を除去するために、脱水剤を使用していたり、二酸化炭素の反応性を高めるために反応圧力を0.5~5MPaの高圧にしていたりした。
その他、従来の尿素結合化合物の製造方法としては、1)有機第一級アミンと二酸化炭素とを用いて、尿素結合の熱解離温度より低温で、尿素結合を有する化合物(A)を製造する方法(特許文献1)、2)インジウムを含むイオン性液体系複合触媒システム下でアミン、二酸化炭素及びアルキレンオキシド化合物を反応させ、ウレア及びカルバメート類化合物を同時に製造する方法(特許文献2)も知られている。いずれも、反応圧力が8MPaという高圧であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
WO2019/221210号公報
特開2015-93870号公報
【非特許文献】
【0006】
Journal of Catalysis 343 (2016) 75-85
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記文献を含め、穏和な反応条件下で、二酸化炭素とアミンを、固体触媒の存在下で反応させて、脱水剤又は化学的な水和剤を使用せずとも、副生水を反応場から除去して、選択率が高く、かつ高収率で尿素結合化合物を合成する報告例はなかった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、穏和な反応条件下で、脱水剤又は化学的な水和剤を使用せずとも、副生水を反応場から除去しつつ、選択率が高く、かつ高収率で尿素結合化合物を製造する尿素結合化合物の製造方法、および尿素結合化合物の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決する手段は、次の態様が含まれる。
<1>
酸化セリウムおよび沸点が100℃超の溶媒の存在下で、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンとを、反応温度100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成し、かつ前記副生水を蒸発により反応場から除去する尿素結合化合物の製造方法。
<2>
蒸発した前記副生水を前記二酸化炭素の気流によって前記反応場から除去する<1>に記載の尿素結合化合物の製造方法。
<3>
前記アミンが、アニリンである<1>に記載の尿素結合化合物の製造方法。
<4>
前記アミンが、ブチルアニリンである<1>に記載の尿素結合化合物の製造方法。
<5>
前記アミンが、メチレンジアニリン、及びジアミノトルエンの少なくとも1種である<1>に記載の尿素結合化合物の製造方法。
<6>
酸化セリウムおよび沸点が100℃超の溶媒が存在する反応器に、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンと、を供給し、反応温度が100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で、前記二酸化炭素と前記アミンとを反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成する反応工程と、
前記反応工程における前記反応器から、気相として排出された、未反応の前記二酸化炭素、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を冷却して、気相として、未反応の前記二酸化炭素と、液相として、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒と、に分離する第1の冷却工程と、
前記第1の冷却工程で、液相として分離された、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を蒸留により、気相として、前記副生水と、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、に分離する第1の蒸留工程と、
前記反応工程における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を蒸留して、気相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、液相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の蒸留工程、又は、前記反応工程における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を冷却して、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、固相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の冷却工程と、
を有し、
前記第1の冷却工程で分離された未反応の前記二酸化炭素と、前記第1の蒸留工程で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、前記第2の蒸留工程又は前記第2の冷却工程で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、を前記反応工程で再利用する、
尿素結合化合物の製造方法。
<7>
前記反応工程における前記反応器から、前記液相と共に固相として排出された固体触媒を前記液相と分離する分離工程と、
前記分離工程で分離した固体触媒を再生する触媒再生工程と、
をさらに有し、
前記触媒再生工程で再生された固体触媒を、前記反応工程で再利用する<6>に記載の尿素結合化合物の製造方法。
<8>
酸化セリウムおよび沸点が100℃超の溶媒が存在する反応器を有し、前記反応器に、二酸化炭素と、沸点が100℃超である少なくとも1種のアミンと、を供給し、反応温度が100℃以上、かつ前記アミンおよび前記溶媒の沸点以下の条件下で、前記二酸化炭素と前記アミンとを反応させて、尿素結合化合物及び副生水を生成する反応塔と、
前記反応塔における前記反応器から、気相として排出された、未反応の前記二酸化炭素、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を冷却して、気相として、未反応の前記二酸化炭素と、液相として、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒と、に分離する第1の冷却塔と、
前記第1の冷却塔で、液相として分離された、未反応の前記アミン、前記副生水および前記溶媒を蒸留により、気相として、前記副生水と、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、に分離する第1の蒸留塔と、
前記反応塔における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を蒸留して、気相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、液相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の蒸留塔、又は、前記反応塔における前記反応器から、液相として排出された、前記尿素結合化合物、未反応の前記アミンおよび前記溶媒を冷却して、液相として、未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、固相として、前記尿素結合化合物と、に分離する第2の冷却塔と、
を備え、
前記第1の冷却塔で分離された未反応の前記二酸化炭素と、前記第1の蒸留塔で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、前記第2の蒸留塔又は第2の冷却塔で分離された未反応の前記アミンおよび前記溶媒と、を前記反応塔で再利用する、
尿素結合化合物の製造装置。
<9>
前記反応塔における前記反応器から、前記液相と共に固相として排出された固体触媒を前記液相と分離する分離塔と、
前記分離塔で分離した固体触媒を再生する触媒再生塔と、
をさらに備え、
前記触媒再生塔で再生された固体触媒を、前記反応塔で再利用する<8>に記載の尿素結合化合物の製造装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、穏和な反応条件下で、脱水剤又は化学的な水和剤を使用せずとも、副生水を反応場から除去しつつ、選択率が高く、かつ高収率で尿素結合化合物を製造する尿素結合化合物の製造方法、および尿素結合化合物の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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