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公開番号2024088446
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-02
出願番号2022203625
出願日2022-12-20
発明の名称鋼板およびその製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人ブライタス
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240625BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】高い強度を有し、かつ低温靱性に優れる鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.040~0.160%、Si:0.01~0.50%、Mn:0.70~2.50%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、O:0.0050%以下、Al:0.001~0.100%、N:0.0010~0.0080%、Nb:0.003~0.050%、B:0.0001~0.0050%、残部:Feおよび不純物であり、Ceqが0.25~0.60%かつBF´が0%超であり、C断面において、1/4tの位置における金属組織が、面積%で、70%以上のベイナイトを含み、かつ、ベイナイトを構成するベイニティックフェライトの平均粒径が10μm以下であり、前記ベイニティックフェライトのうち、粒内方位差が5°未満であるベイニティックフェライトの割合が面積%で1%以上30%未満である鋼板。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
鋼板の化学組成が、質量%で、
C :0.040~0.160%、
Si:0.01~0.50%、
Mn:0.70~2.50%、
P :0.030%以下、
S :0.020%以下、
Al:0.001~0.100%、
N :0.0010~0.0080%、
Nb:0.003~0.050%、
B :0.0001~0.0050%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で定義されるCeqが0.25~0.60%であり、
下記(ii)式で算出されるB

´が0%超であり、
前記鋼板の圧延方向に垂直な断面において、前記鋼板の厚さをtとした時に、前記鋼板の表面から1/4tの位置における金属組織が、
面積%で、70%以上のベイナイトを含み、かつ、
前記ベイナイトを構成するベイニティックフェライトの平均粒径が10μm以下であり、
前記ベイニティックフェライトのうち、粒内方位差が5°未満であるベイニティックフェライトの割合が、面積%で、1%以上30%未満である、
鋼板。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・(i)


´=B-(N-Ti×(14/47.867))×(10.811/14) ・・・(ii)
但し、上記式中の元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、下記A群、B群、C群およびD群から選択される1種または2種以上を含有するものである、
請求項1に記載の鋼板。
[A群]Ti:0.050%以下、Cu:1.50%以下、Ni:2.50%以下、Cr:1.00%以下、Mo:1.00%以下、およびV:0.150%以下からなる群から選択される1種または2種以上
[B群]Mg:0.0100%以下、Ca:0.0100%以下、およびREM:0.0100%以下からなる群から選択される1種または2種以上
[C群]Zr:0.0100%以下、およびTe:0.0100%以下からなる群から選択される1種または2種
[D群]W:1.00%以下、およびSn:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種
【請求項3】
前記化学組成が、質量%で、前記A群を含有する、
請求項2に記載の鋼板。
【請求項4】
前記化学組成が、質量%で、前記B群を含有する、
請求項2に記載の鋼板。
【請求項5】
前記化学組成が、質量%で、前記C群を含有する、
請求項2に記載の鋼板。
【請求項6】
前記化学組成が、質量%で、前記D群を含有する、
請求項2に記載の鋼板。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の鋼板の製造方法であって、
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼片に対して、加熱工程、熱間圧延工程および加速冷却工程を順に施す、鋼板の製造方法において、
前記加熱工程では、前記鋼片を950~1200℃の加熱温度まで加熱し、
前記熱間圧延工程は、粗圧延と仕上圧延とを含み、
前記粗圧延は、前記鋼片の表面温度がT
rex
+10℃以上の範囲で実施し、
前記粗圧延における累積圧下率を10~75%とし、かつパス間時間を15秒以下とし、
前記仕上圧延は、前記鋼片の表面温度がT
rex
+10℃以上の温度で圧延開始し、T
rex
以上の温度域での累積圧下率を10%以上、T
rex
未満での累積圧下率を55~80%として、かつパス間時間を15秒以下とし、Ar

+30℃以上の温度で圧延終了し、
前記仕上圧延完了から、前記加速冷却工程における冷却開始までの時間を30秒以上50秒以下とし、
前記加速冷却工程では、冷却開始から冷却終了までの平均冷却速度が5~50℃/秒となる条件で、550℃以下の冷却停止温度まで水冷する、
鋼板の製造方法。
但し、Ar

は下記(iii)式で求められ、T
rex
は下記(iv)式で求められる。なお、下記式中の元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。
Ar

=910-310×C+65×Si-80×Mn-20×Cu-55×Ni-15×Cr-80×Mo ・・・(iii)

rex
=-91900[Nb*]2+9400[Nb*]+770 ・・・(iv)
但し、下記(v)式で求められる固溶Nb量(質量%)を、sol.Nbとした時に、
Nb≧sol.Nbの場合は、[Nb*]=sol.Nb
Nb<sol.Nbの場合は、[Nb*]=Nb
とする。
sol.Nb=(10
(-6770/(T+273)+2.26)
)/(C+12/14×N) ・・・(v)
なお、上記式中のTは加熱工程における鋼片の加熱温度(℃)を表す。
【請求項8】
前記加速冷却工程の後に、350~650℃の温度範囲まで加熱する焼戻し工程をさらに施す、
請求項7に記載の鋼板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
鋼板の用途として、船舶、高層建築物、その他の建築物、橋梁、海洋構造物、LNG貯蔵タンクその他の大型タンク、ラインパイプ等の溶接構造物が挙げられる(例えば、特許文献1~5参照)。近年、コンテナ船の積載重量増大等のため、溶接構造物の大型化が進められている。これに伴い、鋼板には板厚の厚肉化および高強度化が求められている。加えて、上記のような溶接構造物では、一層の安全性および信頼性の観点から、低温靱性のさらなる向上が課題になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2019-023322号公報
特開2019-023323号公報
特開2019-023324号公報
特開2019-035107号公報
国際公開第2019/069771号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、強度と低温靱性との間には、いわゆるトレードオフの関係が存在するため、高強度化と低温靱性の向上とを両立することは容易ではなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決し、高い強度を有し、かつ低温靱性に優れる鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題に対して詳細な検討を行った結果、以下の知見を得るに至った。
【0007】
上述のように、強度と低温靱性との間には、いわゆるトレードオフの関係が存在する。そこで、本発明者らは高強度化と低温靱性の向上とを両立する方法について検討を行った。その結果、金属組織をベイナイト主体とすることで高強度化するとともに、ベイナイト組織を微細化すること、および特定の粒内方位差を有するベイニティックフェライトを生成させることで、靱性の低下を抑制できることが分かった。
【0008】
また、仕上圧延において再結晶温度域で所定の圧下率で圧延を行い、オーステナイトを再結晶させて、引き続き未再結晶温度域で所定の圧下率で圧延を行い、仕上圧延終了温度を高く制御することで、仕上圧延終了後オーステナイトを部分再結晶させることができ、特定の粒内方位差を有するベイニティックフェライトの生成と、ベイナイト組織の微細化を達成できることを見出した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記の鋼板およびその製造方法を要旨とする。
【0010】
(1)鋼板の化学組成が、質量%で、
C :0.040~0.160%、
Si:0.01~0.50%、
Mn:0.70~2.50%、
P :0.030%以下、
S :0.020%以下、
Al:0.001~0.100%、
N :0.0010~0.0080%、
Nb:0.003~0.050%、
B :0.0001~0.0050%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で定義されるCeqが0.25~0.60%であり、
下記(ii)式で算出されるB

´が0%超であり、
前記鋼板の圧延方向に垂直な断面において、前記鋼板の厚さをtとした時に、前記鋼板の表面から1/4tの位置における金属組織が、
面積%で、70%以上のベイナイトを含み、かつ、
前記ベイナイトを構成するベイニティックフェライトの平均粒径が10μm以下であり、
前記ベイニティックフェライトのうち、粒内方位差が5°未満であるベイニティックフェライトの割合が、面積%で、1%以上30%未満である、
鋼板。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・(i)


´=B-(N-Ti×(14/47.867))×(10.811/14) ・・・(ii)
但し、上記式中の元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。
(【0011】以降は省略されています)

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