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公開番号2024065290
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-15
出願番号2022174068
出願日2022-10-31
発明の名称筆記具用水性顔料インキ組成物
出願人ぺんてる株式会社
代理人
主分類C09D 11/16 20140101AFI20240508BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】筆記具のペン先や塗布部の復元性が良好で顔料の分散安定性に優れた水性インキ組成物を提供すること。
【解決手段】顔料と、ヒドロキシプロピルセルロースと、非イオン性界面活性剤と、高分子分散剤と、水と、を含んでなり、前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の量が、質量基準で0.40倍以上2.50倍以下のインキ組成物とした。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
顔料と、ヒドロキシプロピルセルロースと、非イオン性界面活性剤と、高分子分散剤と、水と、を含んでなり、前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の量が、質量基準で0.40倍以上2.50倍以下であることを特徴とする、筆記具用水性顔料インキ組成物。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
前記ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が0.2重量%以上0.5重量%以下、前記非イオン性界面活性剤の含有量が0.2重量%以上0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の筆記具用水性顔料インキ組成物。
【請求項3】
前記顔料が、2種類以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用水性顔料インキ組成物。
【請求項4】
前記2種類以上の顔料が、それぞれ異なる色相を持つことを特徴とする請求項3に記載の水性顔料インキ組成物。
【請求項5】
25℃回転速度60rpmでの粘度が2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下である、請求項1に記載の筆記具用水性顔料インキ組成物。
【請求項6】
インキ収容部と、筆穂と、インキ収容部に収容された請求項1に記載のインキ組成物のインキの流量を制御するための櫛歯状の機構を備えてなる筆ペン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具用の水性顔料インキ組成物、特に筆ペン等の筆記具または塗布具に充填して使用したときに、ペン先や塗布部の復元性が良好な水性インキ組成物に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、筆ペン等の筆記具に用いられる水性インキには、着色剤として主に水溶性の染料が用いられてきた。染料は、複数色を用いて色合いを調整しやすく、より複雑な色合いに調整する際に使用することができる。しかし、これらの染料インキの筆跡は、耐光性、耐水性が劣り、にじんだり、判読不能になることがあった。特に筆ペンは、近年文字書きだけではなくアート用などに用途が広がり、水彩絵の具などの画材と併用する等の為に耐水性に優れた水性インキが求められている。そこで、近年、これらの物性に優れた顔料を着色剤として使用する試みが行われ、多種の用途に使用されている。また、染料で調整できるような複雑な色合いを顔料でも調整できるよう、複数色の顔料を用いて色調を調整する試みが行われている。
【0003】
市販の筆ペンのペン先としては、主に、テーパーを有する筆毛を束ねた毛筆タイプや、内部に毛細管構造を施したウレタンやエラストマー等の合成樹脂を、筆に類似する形状に切削・成形されたプラスチック芯タイプであったり、収束させた繊維に接着剤を浸透させり固着し、芯形状に切削・成型した繊維芯タイプなどがある。
筆ペン・塗布具の軸筒の内部にインキを貯蔵する構造としては、主に、インキを含浸させた吸蔵体を軸筒内部に収容した中綿式と、インキを自由状態で直接軸筒内部に収容した直液式と、がある。
中綿式のメリットは、部品点数が少なく比較的安価で、インキが吸蔵体に保持されているためペン先側に過剰に供給されにくく、気圧の変化に影響されにくいためにインキ漏れが発生しにくい点である。中綿式のデメリットは、インキ残量が減少するとともに吐出量低下によるカスレが発生しやすく、インキ残量の確認もしにくい点である。
直液式のメリットは、基本的にインキ残量の確認が可能であり、インキ残量にかかわらずインキ吐出が安定しているためカスレが発生しにくい点である。直液式のデメリットは、例えば気温の上昇に伴いインキの収容空間内の内圧が上昇することにより、自由状態のインキが意図せず収容空間外に流出することで、ペン先への過剰供給によるボテやインキ漏れなどが発生しやすい点である。
インキをペン先に供給する機構としては、軸筒内部に収容したインキを加圧可能なタイプや、インキがペン先に供給される過程で流量を制御可能なタイプなどがある。
インキを加圧可能なタイプとしては、インキを収容する空間を形成している軸筒を可撓性のある比較的軟質な部材で成形することで使用者が軸筒を直接押圧することによりインキを加圧可能としたり、軸筒の先端や後端などに設けたノック機構によりインキを加圧可能としたりする機構がある。
インキを加圧可能なタイプのメリットは、25℃において1.0mPa・s以上50mPa・s未満程度の程度のインキ粘度に対応可能で比較的粒子径の大きい光輝性顔料や白色顔料を含む光輝性インキや隠蔽性インキなどにも対応可能であり、インキ粘度の高くなりやすい樹脂エマルションなどを添加した高耐水性・耐擦過性や紙以外の非吸収面に描画できる特徴のあるインキにも対応でき、また、インキの吐出量を使用者が細かく調整可能な点である。インキを加圧可能なタイプのデメリットは、扱いに習熟が必要であり、初心者には扱いが困難な点である。例えば、十分な吐出量が得られずカスレが発生したり、逆に吐出量が多すぎてボテや裏移りなどが発生したりする。また、軸筒を直接押圧するタイプのデメリットは、携帯に不向きであり輸送中などに軸筒が意図せず押圧されてキャップ内にインキが漏れることでキャップを外した際に汚れが生じることがある点である。そして、ノック機構により加圧可能なタイプのデメリットは、構造が複雑なため高価になりやすく、また一般的に使い切りタイプとなってしまうものであるため、描画用として多色展開されたものでは初心者にはまとめて購入することは負担が大きい点である。
インキの流量を制御可能なタイプとしては、インキの収容空間からペン先までのインキの流路に、毛管力を作用させてインキを一時的に保持可能な機構を配置したものがある。例えば、径方向に延びる棒又は板が流路に沿って櫛歯状に複数配置されることで、各棒又は各板の間に生じた微細な空間に毛管力を作用させる機構や、繊維をランダムに収束させた吸蔵体の繊維間の微細な空間に毛管力を作用させる機構などがある。
インキの流量を制御可能なタイプのメリットは、インキのペン先への過剰な供給を防止できインキの流量をほぼ一定に保てるため、初心者でもカスレやボテが発生しにくく、また、インキ漏れも発生にしくいため携帯性にも優れ、インキの収容形態をカートリッジ式にすることで繰り返しの使用もしやすい点である。インキの流量を制御可能なタイプのデメリットは、インキを一時的に保持可能な機構内にインキが残留してしまうことで、インキの使い切りが困難な点である。
【0004】
筆ペンに耐水性や耐光性に優れた顔料インキを適用する場合は、インキ粘度が十分に低く抑えられないとペン先からインキが出渋ったり、早書きでかすれるなど安定した吐出が得られない。低粘度で経時的に安定な顔料分散性を得るためには高分子分散剤を使用することが有効であるが、ペン先が乾燥し水分が蒸発した際、筆ペンのペン先は表面積が大きいため、インキに含まれる水分が蒸発しやすく、ペン先で顔料と高分子分散剤が硬い皮膜を形成させ再筆記できなくなってしまうため、顔料インキの高粘度化を防ぎ耐ペン先乾燥性を保持する顔料インキを得るのは困難であった。
【0005】
上記ペン先耐乾燥性に関しては、ペン先が乾燥してしまった後に、特に軸筒押圧や、ノック機構による加圧により強制的にインキをペン先に供給する機構を持たないインキの流量を制御可能なタイプの筆ペンではキャップを締めてペン本体内の水分をペン先に補給させてインキを再度低粘度化させるしかなく、顔料インキではペン先で顔料とその分散剤が硬い皮膜を形成してしまうと、再筆記できなかったりカスレが生じ、復元性がなくなってしまうことがある。
【0006】
更に、複数色の顔料で調色したインキでは、顔料それぞれで親水性の度合いが異なるため、ペン先から水分が蒸発すると徐々に表面の親水性が近い同色の顔料同士で凝集し、顔料がまだらに固まってしまい、インキをペン先に補給して再筆記しても色相が変化したり筆跡の色味がまだらになってしまうという問題がある。このような顔料インキをインキの流量を制御可能なタイプの直液式構造に適用するには、初期のインキ粘度を25℃回転速度60rpmで2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下と非常に低く設定しその粘度でも顔料が経時的に安定に分散されていることが必要であり、このような顔料インキを用いた筆ペンで筆記や描画を行うと流量制御機構やインキ貯蔵部面でインキが減少した分の空気交換が必要なためそれらの部材との適切な濡れ性と低粘度を備えたインキ設計と、複数の顔料が低粘度で経時的に安定な分散性を分散剤や界面活性剤成分にて両立させる必要がある。
【0007】
特許文献1には蒸気圧0.0001~2.3kPaの水溶性有機溶剤を使用したキャップオフ性能に優れた筆記具用水性顔料インキがマーキングペンに使用できることが記載されているが、酸化チタンと複数の樹脂を含む粘度が10mPa・s以上の比較的高粘度のインキであり、毛筆タイプの筆ペンのようなペン先の表面積が大きい筆ペンでは、キャップオフ性能は多少向上しても、一度ペン先が完全に乾燥してしまうと顔料分散に用いた高分子量酸性ポリマーのアルキロールアンモニウム塩、凝集コントロールに用いたカルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等の樹脂と顔料が硬い皮膜を形成し再筆記できないものであった。耐乾燥性を良くするために前記溶剤の添加量を増やすと筆跡ににじみが生じてしまうものであった。
【0008】
特許文献2には抱水性油剤と非イオン性界面活性剤を使用した耐ドライアップ性能に優れた筆記具用水性インキが記載されているが、実際に使用されている着色剤は染料であり、着色剤に顔料を用いると抱水性油剤をインキ中で安定化させるための非イオン性界面活性剤が必ずしも顔料を分散させるのに好適な構造や物性を持たないためインキの分散安定性が悪くなり、経時安定性が悪化しインキが高粘度化してしまう。このためペン先が乾燥するとペン先に硬い皮膜を形成し、再びキャップを締めてもペン先に水分が補給されず、再筆記できないものであった。
【0009】
特許文献3には、高分子凝集剤であるヒドロキシプロピルセルロースと非イオン性界面活性剤を用いて、高分子凝集剤が顔料粒子間のゆるい橋かけ作用により顔料が分離しない顔料分散性に優れたマーキングペン用水性顔料インキが記載されているが、ゆるい橋かけによる作用を奏するには5.0mPa・s以上の粘度が必要であり、インキの流量を制御可能なタイプの直液式構造に適用するとカスレが発生しやすいものであり、このペン先から水分が蒸発して乾燥すると、顔料の親水度の違いから顔料がペン先でまだらにかたまってしまい、再筆記すると色相が変化したり筆跡の色味がまだらになってしまうものであった。
【0010】
特許文献4には、酸性顔料と塩基性顔料を使用した複合顔料と、非イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤を用いた分散安定性や経時安定性に優れたインキが記載されているが、特定の色には好適な酸性顔料と塩基性顔料があるものの、その他のインキ色では必ずしも条件に合う色相の酸性顔料と塩基性顔料が得られることは少なく汎用性に乏しいものであり、また水溶性樹脂として多糖類を使用することで低剪断速度において粘度を高めて顔料分散性を向上させている。多糖類と高分子分散剤を併用したインキはペン先が乾燥すると被膜が固くなりインキの流量を制御可能なタイプの直液式構造に適用するとキャップを締めてペン先に水分を補給しようとしてもインキが低粘度化しないため、カスレが生じることがあるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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