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公開番号2024054482
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-17
出願番号2022160718
出願日2022-10-05
発明の名称酸化チタン分散体
出願人株式会社日本触媒
代理人
主分類C09D 17/00 20060101AFI20240410BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】本発明は、沈降安定性に優れる酸化チタン分散体を提供することを目的とする。
【解決手段】ルチル型酸化チタン(A)及び水を含む酸化チタン分散体であって、該ルチル型酸化チタン(A)の、X線回折測定における回折角2θ=27.5°近傍に観察されるルチル型酸化チタン(110)面に帰属される回折ピークの強度Iaと、回折角2θ=36.1°近傍に観察されるルチル型酸化チタン(101)面に帰属される回折ピークの強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)が2.310以上である酸化チタン分散体である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ルチル型酸化チタン(A)及び水を含む酸化チタン分散体であって、
該ルチル型酸化チタン(A)の、X線回折測定における回折角2θ=27.5°近傍に観察されるルチル型酸化チタン(110)面に帰属される回折ピークの強度Iaと、回折角2θ=36.1°近傍に観察されるルチル型酸化チタン(101)面に帰属される回折ピークの強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)が2.310以上である酸化チタン分散体。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
ルチル型酸化チタン(A)の含有量が酸化チタン分散体100質量部に対して20~70質量部である請求項1に記載の酸化チタン分散体。
【請求項3】
更に分散剤(B)を含み、前記ルチル型酸化チタン(A)100質量部に対して2質量部以上9質量部以下の分散剤(B)を含む請求項1に記載の酸化チタン分散体。
【請求項4】
請求項1または4に記載の酸化チタン分散体を原料に用いた水性白色インク。
【請求項5】
更に脂環式構造含有単量体由来の構造単位を有する重合体を含む請求項4に記載の水性白色インク。
【請求項6】
更に架橋剤を含む請求項4に記載の水性白色インク。
【請求項7】
更にワックス成分を含む請求項4に記載の水性白色インク。
【請求項8】
請求項4に記載の水性白色インクを用いて得られる印刷物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタン分散体に関する。本発明の酸化チタン分散体は、特にインクジェット用インク原料として好適に使用することができる。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
インクは、溶媒の主成分として有機溶媒が用いられている有機溶媒系インクと溶媒の主成分として水が用いられている水性インクとの2種類のインクに大別される。
有機溶媒系インクは、人体に対する安全性に劣るとともに有機溶媒に基づく臭気が発生するため、近年、水性溶媒を用いた水性インクが着目されている。
さらに近年、多品種小ロットの印刷に対応するために製版不要なデジタル印刷方式である、インクジェット記録装置が使用されるようになってきている。
水性インクジェット用白色インクに用いる着色剤には無機顔料であるルチル型酸化チタンが多く用いられ、ルチル型酸化チタンを高濃度で含有する酸化チタン分散体(酸化チタンペースト、酸化チタンスラリーともいう)を調製し、当該酸化チタン分散体に水溶性有機溶剤、樹脂分散液、添加剤、水などを混合して白色インクを製造する方法が採用されている。
水性インクジェット用白色インクにおいては、インク粘度が低く、加えてルチル型酸化チタンの比重が大きいため、沈降安定性が悪く、顔料分散体または水性白色インク自身の沈降安定性向上について検討がなされてきた。
例えば特許文献1にはルチル型酸化チタンとポリマー分散剤を含有する水性インクにおいて、アニオン性基含有モノマー由来の構成成分を72質量%以上含む高酸価分散剤を使用することで再分散時の起泡が起こりにくい抑泡性に優れた水系白色インクを得ることができると示されている。
また例えば特許文献2には白色顔料組成物であって、平均粒径が15nm以上100nm以下である酸化チタン粒子、平均粒径が3nm以上100nm以下である酸化ケイ素粒子、及び樹脂を含み、前記白色顔料組成物を内部形状が柱状の容器に入れ、100Gの遠心力で10時間遠心分離した際に、前記白色顔料組成物全体の高さに対する厚さの割合が0.025以上である沈殿物が存在しない、白色顔料組成物が記載され、沈降安定性及び白色性をバランスよく向上可能な白色顔料組成物が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許6881836号
特開2019-112602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の水性白色インク及びその原料である酸化チタン分散体は、起泡性の少ない分散剤種類に関する発明であるが、使用しているルチル型酸化チタンによっては沈降安定性に課題があることがわかった。
また、特許文献2記載の白色顔料組成物は、一般的に用いられるルチル型酸化チタンの沈降安定性を発現させるために小さな粒子径が採用されており満足な白色度(隠ぺい性)が得られるものではなかった。
本発明の目的は、ルチル型酸化チタンの分散状態を安定させ、良好な沈降安定性を有する新規な酸化チタン分散体、及び水性白色インクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、上記のような問題点に鑑み検討を行い、ルチル型酸化チタン(A)及び水を含む酸化チタン分散体であって、該ルチル型酸化チタン(A)の、X線回折測定における回折角2θ=27.5°近傍に観察されるルチル型酸化チタン(110)面に帰属される回折ピークの強度Iaと、回折角2θ=36.1°近傍に観察されるルチル型酸化チタン(101)面に帰属される回折ピークの強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)が2.310以上である酸化チタン分散体が、良好な沈降安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、沈降安定性に優れる酸化チタン分散体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の酸化チタン分散体は、ルチル型酸化チタン(A)及び水を含み、X線回折測定における回折角2θ=20°超30°以下の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Iaと、回折角2θ=30°超45°の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)が2.310以上であることを特徴とする。
【0008】
<ルチル酸化チタン>
本開示のルチル型酸化チタン(A)としては、X線回折測定における回折角2θ=20°超30°以下の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Iaと、回折角2θ=30°超45°の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)が2.310以上であることが好ましい。
ルチル型酸化チタン(A)のX線回折測定における回折角2θ=20°超30°以下の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Iaと、回折角2θ=30°超45°の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)の下限値としては2.310以上が好ましく、上限値としては3.400以下であってよく、3.350以下、3.300以下であっても良い。X線回折測定における回折角2θ=20°超30°以下の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Iaと、回折角2θ=30°超45°の間に観察される最大の回折ピークのピーク強度Ibのピークの積分強度比(Ia/Ib)が前記範囲であると酸化チタン分散体とした際の沈降安定性が良好となることが期待できる。
本開示の酸化チタン分散体にはその他顔料を用いてもよいが顔料100質量部におけるルチル型酸化チタン(A)の含有量は80質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上がさらに好ましく、100質量部が特に好ましい。
本開示のルチル型酸化チタン(A)の一次粒子径としては、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましく、0.2μm以上がさらに好ましく、1μm以下が好ましく、0.4μm以下がさらに好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。ルチル型酸化チタン(A)の一次粒子径は走査型電子顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察から測定できる。
【0009】
本開示のルチル型酸化チタン(A)は、アルミニウム元素、ケイ素元素、ジルコニウム元素のいずれか少なくとも1つの元素を含んでいてもよい。
本開示のルチル型酸化チタン(A)におけるアルミニウム元素の含有量は、チタニウム元素100質量部に対する0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましく、5.0質量部以下が好ましく、4.5質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましい。
本開示のルチル型酸化チタン(A)におけるケイ素元素の含有量は、チタニウム元素100質量部に対する0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましく、5.0質量部以下が好ましく、4.5質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましい。
本開示のルチル型酸化チタン(A)におけるジルコニウム元素の含有量は、チタニウム元素100質量部に対する0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましく、1.0質量部以下が好ましく、0.75質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下がさらに好ましい。
本開示のルチル型酸化チタン(A)におけるアルミニウム元素、ケイ素元素、ジルコニウム元素の質量部の比率は、粗大粒子抑制や、沈降安定性向上の観点から、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.8 < Si/(Al+Zr) < 4.0 (1)
本開示のチタニウム元素100質量部におけるアルミニウム元素およびジルコニウム元素の質量部の合計量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましく、5.0質量部以下が好ましく、4.5質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましい。
本開示のルチル型酸化チタン(A)中に含まれる、ケイ素元素、アルミニウム元素、ジルコニウム元素の量は、蛍光X線を用いて測定することができる。蛍光X線による定量法については、標準試料を用いた検量線による分析方法が確立されている。
本開示のルチル型酸化チタン(A)は、表面処理されていることが好ましく、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、シランカップリング剤、多価アルコール、アミンなどを用いた表面処理方法が挙げられるが、生産性の観点から酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化亜鉛を用いた表面処理方法が好ましい。
本開示の酸化チタン分散体100質量部における酸化チタンの含有量は、低すぎると生産性が低下し、また酸化チタン分散体を原料として水性白色インクを調製した際に十分な水分散性樹脂をバインダーとして配合することが困難となり塗膜の耐擦過性等諸物性が低下する、また高すぎると粘度が高くなりビーズミルなどの分散処理が困難になる。これら観点から20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
【0010】
<水>
本開示の酸化チタン分散体は水を含む。
本開示の酸化チタン分散体中の液相成分100質量部における水分量は、酸化チタン分散体生産時の安全性の観点から、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上が好ましい。
本開示の酸化チタン分散体は水以外にも水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤としては、エチレングリコールやプロピレングリコールが好ましい。
上記水溶性有機溶剤の沸点は、酸化チタン分散体を原料としてインクを作成した際のインクの乾燥性の観点から240℃以下が好ましく、220℃以下がさらに好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
水性インクとした際の安全性およびインクの乾燥性の観点からラクタム環構造を有する水溶性有機溶剤は、酸化チタン分散体100質量部あたり10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、含まなくても良い。ラクタム環構造を有する水溶性有機溶剤としては、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンなどが挙げられる。
上記水溶性有機溶剤の沸点は、酸化チタン分散体を原料としてインクを作成した際のインクの乾燥性の観点から240℃以下が好ましく、220℃以下がさらに好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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