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公開番号2024059537
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-01
出願番号2023000595
出願日2023-01-05
発明の名称無機フィラー分散液、超疎水性絶縁耐摩耗塗料及び製造方法
出願人天津大呂電力科技股フン有限公司,TIANJIN DALV ELECTRIC POWER TECHNOLOGY CO., LTD.
代理人SK弁理士法人,個人,個人
主分類C09D 17/00 20060101AFI20240423BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】絶縁性及び耐摩耗性を有する塗料を得るための無機フィラー分散液、該塗料およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】無機フィラー分散液はまず、ナノ及びサブミクロン無機フィラーの混合物を疎水性シランカップリング剤で一次改質し、次に一次改質されたマイクロナノ無機フィラーと疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤及び触媒とを有機溶媒内で反応させ、二次改質された無機フィラー分散液を得る。当該二次改質された無機フィラー分散液とヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン等の成分とを研磨した後に塗料前スラリーを得て、補強成分として潜在性硬化剤等の成分及び溶媒と均一に混合し、単一成分の超疎水性絶縁耐摩耗塗料を得る。当該二次改質された無機フィラー分散液で製造された塗料は優れた超疎水性、絶縁性及び耐摩耗性を有し、研磨後も優れた超疎水性を有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
無機フィラー分散液であって、ナノ無機フィラーとサブミクロン無機フィラーとの混合物であるマイクロナノ無機フィラーを含み、
ここで、前記ナノ無機フィラーはシリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土及びアタパルジャイトのうちの少なくとも1つを含み、前記ナノ無機フィラーの粒径は5nm~50nmであり、前記サブミクロン無機フィラーはシリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土及びアタパルジャイトのうちの少なくとも1つを含み、前記サブミクロン無機フィラーの粒径は100nm~500nmであり、前記マイクロナノ無機フィラーにおいて、前記ナノ無機フィラーの質量百分率は25%~50%であり、前記サブミクロン無機フィラーの質量百分率は50%~75%であり、
前記マイクロナノ無機フィラーを疎水性シランカップリング剤で順に一次改質し、及び有機溶媒において疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤で二次改質して、無機フィラー分散液を形成し、
ここで、前記疎水性シランカップリング剤はイソオクチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つとトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランとの組み合わせであり、前記有機溶媒は高沸点溶媒及び低沸点溶媒の混合溶媒であり、前記高沸点溶媒の沸点は120℃~250℃であり、前記低沸点溶媒の沸点は70℃~110℃であり、前記疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤はヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ末端ポリブタジエンポリウレタン又はヒドロキシ末端ポリプロピレングリコールである、ことを特徴とする無機フィラー分散液。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記疎水性シランカップリング剤の添加量は前記マイクロナノ無機フィラーの質量合計の0.5%~3.0%であり、
前記疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤の添加量は前記一次改質されたマイクロナノ無機フィラーの質量合計の5%~20%である、ことを特徴とする請求項1に記載の無機フィラー分散液。
【請求項3】
無機フィラー分散液の製造方法であって、前記製造方法は請求項1~2のいずれか一項に記載の無機フィラー分散液を製造するために用いられ、
前記マイクロナノ無機フィラーをエタノール内に分散し、アンモニア水を加えて体系pHを8~10に調整し、さらに前記疎水性シランカップリング剤を加え、60℃~70℃で2.5~3.5時間撹拌し、固液分離し、得られた固体を乾燥して、一次改質されたマイクロナノ無機フィラーを得るステップS1と、
前記一次改質されたマイクロナノ無機フィラーを前記有機溶媒内に分散し、前記疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤及び触媒を加え、115℃~125℃で2.5~3.5時間撹拌して、二次改質された無機フィラー分散液を得るステップS2と、を含み、
ここで、前記触媒はジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸第一スズ又はジブチル錫ジアセテートのうちのいずれか1つである、ことを特徴とする無機フィラー分散液の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒の添加量は前記一次改質されたマイクロナノ無機フィラーの質量合計の5~7倍である、ことを特徴とする請求項3に記載の無機フィラー分散液の製造方法。
【請求項5】
超疎水性絶縁耐摩耗塗料であって、質量配合比で、
固形分が10%~20%である、350~360部の請求項1~2のいずれか一項に記載の無機フィラー分散液、
55~70部のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
45~60部の炭酸カルシウム、
15~35部の硫酸バリウム、
10~15部の気相シリカ、
0.4~0.7部の消泡剤、
1.5~2.5部の分散剤、
40~50部の潜在性硬化剤、
0.8~1.5部の基材湿潤剤、
2~3部の付着力促進剤、及び
10~15部の溶媒を含む、ことを特徴とする超疎水性絶縁耐摩耗塗料。
【請求項6】
超疎水性絶縁耐摩耗塗料の製造方法であって、前記製造方法は請求項5に記載の超疎水性絶縁耐摩耗塗料を製造するために用いられ、
設計量の前記ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、前記炭酸カルシウム、前記硫酸バリウム、前記気相シリカ、前記消泡剤及び前記分散剤を秤量して前記無機フィラー分散液内に加え、撹拌して均一に分散させ、研磨し、塗料前スラリーを得るステップS1と、
前記潜在性硬化剤、前記基材湿潤剤、前記付着力促進剤、前記溶媒を前記塗料前スラリー内に加え、撹拌して均一に分散させ、超疎水性絶縁耐摩耗塗料を得るステップS2と、を含む、ことを特徴とする超疎水性絶縁耐摩耗塗料の製造方法。
【請求項7】
S1内の前記塗料前スラリーの平均粒径は25ミクロン以下であり、
S2内の前記潜在性硬化剤はビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン又はフェニルトリス(メチルエチルケトキシミオ)シランである、ことを特徴とする請求項6に記載の超疎水性絶縁耐摩耗塗料の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は無機フィラー及び超疎水性絶縁耐摩耗塗料の技術分野に関し、具体的には無機フィラー分散液、超疎水性絶縁耐摩耗塗料及び製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、特別高圧、高圧送電線路の建設はグリッドの発展、エネルギー輸送及び経済発展等の面で重要な意義を持ち、送電変電設備の正常運転はさらに電力システムの安全安定を維持する重要な前提である。しかし、送電変電設備は長期にわたって複雑で変化が多い自然環境に暴露し、各種の安全事故を頻発させる。例えば、工業汚物、大気塵埃、鳥類糞等の汚染物は碍子表面に付着して汚染フラッシュ事故を引き起こしやすく、凍雨が送電線路、鉄塔表面に凝固すると送電線路の断線、鉄塔の倒壊等の問題を引き起こしやすい。
【0003】
以上の問題を解決するために、そのうち非常に効果的な方法の1つは送電変電設備表面の疎水性を向上させ、送電変電設備が外部汚染物の影響を受けにくいようにすることである。例えば、送電変電設備の表面を超疎水表面に形成させる。超疎水表面とは、水接触角が150°より大きく、ロール角が10°より小さい表面を意味する。水滴が超疎水表面にある時に迅速に転がり滑り落ちることができ、同時に超疎水表面の各種汚染物を洗い流して溶出することができ、超疎水表面の清浄度を向上させる。凍雨、氷等の物質も超疎水表面に安定的に付着しにくく、それは重力作用で超疎水表面から極めて滑り落ちやすい。
【0004】
送電変電設備にとって、その表面に超疎水表面を形成するだけでなく、その材料の絶縁性及び耐摩耗性や耐食性に優れることが要求される。従来市販の疎水性材料は、送電変電設備の要求を満たすことが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明の実施例の目的は無機フィラー分散液、超疎水性絶縁耐摩耗塗料及び製造方法を提供することであり、サブミクロン無機フィラーとナノ無機フィラーの混合物を二次改質して無機フィラー分散液を得て、この無機フィラー分散液を補強成分として塗料に加え、得られた塗料は優れた超疎水性、絶縁性及び耐摩耗性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記発明の目的を達成するために、本発明の実施例の第1の態様により提供される無機フィラー分散液は、ナノ無機フィラーとサブミクロン無機フィラーとを混合してなるマイクロナノ無機フィラーを含み、前記ナノ無機フィラーはシリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土及びアタパルジャイトのうちの少なくとも1つを含み、前記サブミクロン無機フィラーはシリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土及びアタパルジャイトのうちの少なくとも1つを含み、ここで、前記マイクロナノ無機フィラーを疎水性シランカップリング剤で順に一次改質し、及び有機溶媒において疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤で二次改質して、無機フィラー分散液を形成し、前記有機溶媒は高沸点溶媒及び低沸点溶媒の混合溶媒であり、そのうち、前記高沸点溶媒の沸点は120℃~250℃であり、前記低沸点溶媒の沸点は70℃~110℃である。
【0007】
無機フィラーに対して疎水改質を行う方法は従来の技術に既に報告されているが、実験検証により、一方では、改質後の無機フィラーは全ての塗料体系に適用するものではなく、異なる塗料体系において生成可能な疎水効果は同じではなく、例えば、樹脂体系に適用し且つ塗膜に疎水性を備えさせることができる改質無機フィラーはシリコーン塗料体系に適用する場合、疎水性能が低下する場合があり、他方では、改質疎水フィラーを含有する塗料は、実際には良好な超疎水性と耐摩耗性とを両立させることができない。
【0008】
本発明は、疎水性シランカップリング剤及び疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤を利用してマイクロナノ無機フィラーを改質し、疎水性シランカップリング剤はマイクロナノ無機フィラーに低表面エネルギーを付与し、それが自己凝集を発生する確率を低下させることができ、また、それと塗料体系との非相溶性を向上させ、製造された無機フィラー分散液内の二次改質された無機フィラー分散液を塗膜体相と界面に濃化させ、さらに塗膜表面に超疎水マイクロナノ構造を形成させることができる。疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤を利用して一次改質されたマイクロナノ無機フィラーを二次改質し、一方では、得られた二次改質された無機フィラー分散液の疎水性を向上させることができ、他方では、疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤はさらに、その後の超疎水塗料の製造に用いられる潜在性硬化剤と反応することができ、それにより、二次改質された無機フィラー分散液を硬化反応に関与させることで、塗膜表面に効率よく担持され、安定した超疎水性耐摩耗マイクロナノ塗膜を形成することができる。
【0009】
第1の態様と結び付けて、前記疎水性シランカップリング剤はイソオクチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つとトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランとの組み合わせである。ここで疎水性シランカップリング剤は、弱アルカリ性(例えばpH8~10)、60℃~70℃の環境において、マイクロナノ無機フィラーの表面を修飾するために用いられてもよい。前記疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤はヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ末端ポリブタジエンポリウレタン又はヒドロキシ末端ポリプロピレングリコールである。
【0010】
第1の態様と結び付けて、前記疎水性シランカップリング剤の添加量は前記マイクロナノ無機フィラーの質量合計の0.5%~3.0%であり、前記疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤の添加量は前記一次改質されたマイクロナノ無機フィラーの質量合計の5%~20%であり、前記疎水性シランカップリング剤及び前記疎水性末端ヒドロキシル基封鎖剤の添加量はさらに改質効果に応じて調整されてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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