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公開番号2024034953
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022139544
出願日2022-09-01
発明の名称鋼材及び鋼部品
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240306BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】面疲労強度及び曲げ疲労強度に優れる鋼材及び鋼部品を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.28~0.45%、Si:0.05~0.30%、Mn:0.75~1.50%、P:0.030%以下、S:0.100%以下、Cr:1.30~1.90%、V:0.02~0.40%、Al:0.070%以下、及びN:0.0250%以下であり、Si、Mn、Cr、及びVが下記式(1)を満たし、かつAl及びNが下記式(2)を満たし、残部がFe及び不純物である化学組成を有する、鋼材。
25.0≦(Mn+3Cr+2V)/Si ・・・ 式(1)
1.20≦Al/N≦3.00 ・・・ 式(2)
ただし、上記式(1)及び上記式(2)中の各元素記号は当該元素の質量%での含有量である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C :0.28~0.45%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:0.75~1.50%、
P :0.030%以下、
S :0.100%以下、
Cr:1.30~1.90%、
V :0.02~0.40%、
Al:0.070%以下、及び
N :0.0250%以下であり、
Si、Mn、Cr、及びVが下記式(1)を満たし、かつAl及びNが下記式(2)を満たし、残部がFe及び不純物である化学組成を有する、鋼材。
25.0≦(Mn+3Cr+2V)/Si ・・・ 式(1)
1.20≦Al/N≦3.00 ・・・ 式(2)
ただし、上記式(1)及び上記式(2)中の各元素記号は当該元素の質量%での含有量である。
続きを表示(約 2,600 文字)【請求項2】
質量%で、
C :0.28~0.45%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:0.75~1.50%、
P :0.030%以下、
S :0.100%以下、
Cr:1.30~1.90%、
V :0.02~0.40%、
Al:0.070%以下、及び
N :0.0250%以下であり、
Si、Mn、Cr、及びVが下記式(1)を満たし、かつAl及びNが下記式(2)を満たし、
さらに下記A群~下記E群からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不純物である化学組成を有する、鋼材。
[A群]Bi:0.100%以下、
Pb:0.09%以下、
Sn:0.100%以下、
Sb:0.0100%以下、及び
Te:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[B群]Mo:0.30%以下、
W:0.50%以下、及び
B:0.0100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[C群]Cu:0.50%以下、
Ni:0.50%以下、及び
Co:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[D群]Ti:0.100%以下、及び
Nb:0.030%以下からなる群より選択される1種又は2種
[E群]Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、及び
REM:0.020%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
25.0≦(Mn+3Cr+2V)/Si ・・・ 式(1)
1.20≦Al/N≦3.00 ・・・ 式(2)
ただし、上記式(1)及び上記式(2)中の各元素記号は当該元素の質量%での含有量である。
【請求項3】
前記化学組成が、前記A群を含有する請求項2に記載の鋼材。
【請求項4】
前記化学組成が、前記B群を含有する請求項2に記載の鋼材。
【請求項5】
前記化学組成が、前記C群を含有する請求項2に記載の鋼材。
【請求項6】
前記化学組成が、前記D群を含有する請求項2に記載の鋼材。
【請求項7】
前記化学組成が、前記E群を含有する請求項2に記載の鋼材。
【請求項8】
芯部が、質量%で、
C :0.28~0.45%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:0.75~1.50%、
P :0.030%以下、
S :0.100%以下、
Cr:1.30~1.90%、
V :0.02~0.40%、
Al:0.070%以下、及び
N :0.0250%以下であり、
Si、Mn、Cr、及びVが下記式(1)を満たし、かつAl及びNが下記式(2)を満たし、残部がFe及び不純物である化学組成を有し、
表層に形成された、少なくともFe及びNを含む窒素化合物層の厚さが5μm以下であり、
表面から深さ0.10mm位置でのビッカース硬さが700HV以上であり、
表面から深さ0.10mmまでの領域における平均のN濃度が2.00原子%以上である、鋼部品。
25.0≦(Mn+3Cr+2V)/Si ・・・ 式(1)
1.20≦Al/N≦3.00 ・・・ 式(2)
ただし、上記式(1)及び上記式(2)中の各元素記号は当該元素の質量%での含有量である。
【請求項9】
芯部が、質量%で、
C :0.28~0.45%、
Si:0.05~0.30%、
Mn:0.75~1.50%、
P :0.030%以下、
S :0.100%以下、
Cr:1.30~1.90%、
V :0.02~0.40%、
Al:0.070%以下、及び
N :0.0250%以下であり、
Si、Mn、Cr、及びVが下記式(1)を満たし、かつAl及びNが下記式(2)を満たし、
さらに下記A群~下記E群からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不純物である化学組成を有し、
表層に形成された、少なくともFe及びNを含む窒素化合物層の厚さが5μm以下であり、
表面から深さ0.10mm位置でのビッカース硬さが700HV以上であり、
表面から深さ0.10mmまでの領域における平均のN濃度が2.00原子%以上である、鋼部品。
[A群]Bi:0.100%以下、
Pb:0.09%以下、
Sn:0.100%以下、
Sb:0.0100%以下、及び
Te:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[B群]Mo:0.30%以下、
W:0.50%以下、及び
B:0.0100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[C群]Cu:0.50%以下、
Ni:0.50%以下、及び
Co:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[D群]Ti:0.100%以下、及び
Nb:0.030%以下からなる群より選択される1種又は2種
[E群]Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、及び
REM:0.020%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
25.0≦(Mn+3Cr+2V)/Si ・・・ 式(1)
1.20≦Al/N≦3.00 ・・・ 式(2)
ただし、上記式(1)及び上記式(2)中の各元素記号は当該元素の質量%での含有量である。
【請求項10】
前記芯部の化学組成が、前記A群を含有する請求項9に記載の鋼部品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼材及び鋼部品に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
自動車や各種産業機械などに使用される鋼部品、例えばトランスミッションの歯車やCVT(Continuously Variable Transmission)のプーリー、軸受などの動力伝達部品には、高い面疲労強度や曲げ疲労強度、耐摩耗性等が要求される。そのため、これらの部品には、JIS規格のSCr420、SCM420やSNCM420といった機械構造用合金鋼が素材として用いられ、所定形状に加工された後、浸炭焼入れ処理により部品表層に硬化層が付与され、疲労強度の向上が図られてきた。
【0003】
近年、CO

排出量の削減のため、自動車産業では内燃機関に代わり動力の電動化が推進されてきている。そのため、歯車等の鋼部品、特に動力伝達部品に要求される特性が今後劇的に変化する可能性がある。例えば電気自動車(EV)では、動力源であるモータの直下にトルクの確保のため減速機を組み込む例が多く見られる。これらユニットの小型化は、車体の軽量化や設計自由度の向上に繋がるため、今後さらに需要が伸びる領域であると考えられる。しかし、例えば、モータを小型化しつつ出力を確保するためにその回転数を上げること、そして歯車を小型化することの両方を勘案すると、EVの減速機ではガソリン車の変速機以上に、歯車同士の接触による歯面での摩擦発熱が懸念される。そのため今後、高温環境下での疲労強度の確保が歯車等の鋼部品の課題になることが示唆される。
【0004】
浸炭焼入れは、鋼部品をオーステナイト域まで加熱して、部品表層のC(炭素)濃度を高濃度にした後急冷することで、部品表層に硬質なマルテンサイトを生成させる方法であり、高い面疲労強度が得られる。一方で、浸炭焼入れは、部品の芯部まで焼入れる熱処理であり、処理後の歪(熱処理歪)が大きくなりやすいため、後工程での研削コストが嵩む。加えて、C濃度の高いマルテンサイト組織で硬化された部品を高温環境下で使用すると、セメンタイトが析出しマルテンサイト組織中のC濃度が低下するため、部品の硬さが低くなる。そのため摩擦熱に関する上記課題の顕在化に伴い、浸炭部品では疲労強度、特に面疲労強度の確保が困難になる可能性がある。
【0005】
このような背景から近年では、浸炭焼入れ処理よりも熱処理歪が小さい表面硬化熱処理である窒化や高周波焼入れが注目されるようになってきている。
【0006】
窒化は、鋼部品をA1点以下のフェライト温度域に加熱し、部品表層のN(窒素)濃度を高濃度にして窒素化合物を析出させる方法であり、当該窒素化合物を含む硬化層により部品表層の硬度を上昇させることができる。窒化は相変態を伴わないため、熱処理歪を小さくできる。また、窒化は450~600℃程度の温度域での窒素化合物の析出を利用した処理であるため、その硬化層は浸炭焼入れで形成された硬化層に比べ熱的安定性が高い。窒化によって生成される硬化層は、窒素の拡散層と、拡散層よりも部品表面側に生成する厚さ数μm~数十μmの窒素化合物層で構成される。拡散層は、侵入した窒素や炭素の固溶強化、窒化物の粒子分散強化機構により硬化された層である。窒化化合物層は主に、Fe

N、Fe

N(ε相)とFe

N(γ’相)の鉄窒化物で構成されており、母相(非窒化層)に比べて硬さが極めて高い。
しかしながら、窒化は、比較的低温で熱処理するため、硬化層深さが小さく、浸炭焼入れと比較して面疲労強度が劣る。このことから、窒化は、高疲労強度が求められる部品への適用は困難である。さらに、窒化部品は、脆性な化合物層や当該化合物層表面近傍に形成される空隙の存在により、面疲労強度が低下しやすい。
【0007】
高周波焼入れ処理は、鋼部品を短時間でオーステナイト域まで急速加熱して焼入れを施す熱処理であり、浸炭焼入れに比べて焼入れ歪が小さい。しかしながら高周波焼入れは、浸炭焼入れとは異なり、部品表層のC濃度を高める熱処理方法ではないため、高い面疲労強度が要求される部品には適さない。
【0008】
以上のことから、自動車や各種産業機械などに使用される鋼部品に対し、単なる窒化あるいは高周波焼入れを施すだけでは、鋼部品の軽量化、小型化及び高応力負荷に対応できるだけの面疲労強度の向上を発現させることはできない。そこで最近では、窒化や高周波焼入れの欠点である疲労強度、特に面疲労強度を高めるための手法として、窒化と高周波焼入れを組み合わせた複合熱処理が試みられている。
【0009】
特許文献1には、自動車、建設機械及び産業機械等に使用される歯車、転動部品等の機械構造部品用として用いられる窒化処理用鋼の特性を改善することが開示されている。
【0010】
特許文献2には、軟窒化特性及び被削性の優れた機械構造用部品の製造法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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