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公開番号2024034666
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022139065
出願日2022-09-01
発明の名称一液式スラスタ
出願人株式会社IHIエアロスペース
代理人個人,個人
主分類F02K 9/96 20060101AFI20240306BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】小電力で触媒層の触媒全体を常温から触媒反応温度まで短時間に実質的に均一に加熱することができ、かつ触媒層の初期温度(反応開始温度)を正確に設定することができる一液式スラスタを提供する。
【解決手段】一液式スラスタ100が、円筒形の触媒層10、スラスタ本体20、ヒータ30、及び、熱電対40、を備える。触媒層10は、液体推進薬1を触媒分解させる触媒Cからなる。スラスタ本体20は、触媒層を内部に保有する中空円筒形の燃焼室22を有する。ヒータ30の発熱部32aと熱電対40の温度検出部42aが、燃焼室の円筒形外周面22aに固定されている。またヒータの発熱部32aと熱電対40は、円筒形外周面22aに互いに軸方向に間隔を隔てて螺旋状に巻き付けられており、かつ円筒形外周面に同一のピッチでロウ付けされている。
【選択図】図1



特許請求の範囲【請求項1】
液体推進薬を触媒分解させる触媒からなる円筒形の触媒層と、
前記触媒層を内部に保有する中空円筒形の燃焼室を有するスラスタ本体と、
前記燃焼室の円筒形外周面に発熱部が固定されたヒータと、
前記円筒形外周面に温度検出部が固定された熱電対と、を備え、
前記ヒータの前記発熱部は、前記円筒形外周面の前記触媒層の全長を囲む範囲に、螺旋状に巻き付けられて前記円筒形外周面にロウ付けされており、
前記熱電対は、前記ヒータの前記発熱部から軸方向に間隔を隔てて前記円筒形外周面に、前記発熱部と同一のピッチで螺旋状に巻き付けられてロウ付けされている、一液式スラスタ。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記ヒータは、前記燃焼室の前記円筒形外周面に一巻き以上巻き付け可能な外径のヒータシースと、該ヒータシースの末端部に設けられたヒータ電力入力部とを有するシースヒータであり、
前記ヒータシースは、その先端部近傍に設けられた前記発熱部と、該発熱部と前記ヒータ電力入力部の間に位置する電力供給部とからなる、請求項1に記載の一液式スラスタ。
【請求項3】
前記発熱部は、前記円筒形外周面に密着するように予め螺旋状に曲げられており、その曲げ部が前記円筒形外周面にロウ付けされている、請求項2に記載の一液式スラスタ。
【請求項4】
前記熱電対は、前記燃焼室の前記円筒形外周面に前記ヒータの隙間で巻き付け可能な外径の熱電対シースと、該熱電対シースの末端部に設けられた出力端子部とを有するシース熱電対であり、
前記熱電対シースは、その先端部近傍に設けられた温度検出部と、該温度検出部と前記出力端子部の間に位置する補償導線部とからなる、請求項1に記載の一液式スラスタ。
【請求項5】
前記温度検出部は、前記ヒータと異なる位置で前記円筒形外周面にロウ付けされ、
前記温度検出部の近傍の前記補償導線部は、前記ヒータから離れて、前記円筒形外周面に螺旋状に巻き付けられてロウ付けされている、請求項4に記載の一液式スラスタ。
【請求項6】
前記ヒータと前記熱電対の螺旋部の巻方向と軸方向のピッチは、同一であり、
前記ピッチは、一定又は上流側と下流側で相違する、請求項1に記載の一液式スラスタ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙飛行体等に用いる一液式スラスタに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
「一液式スラスタ」とは、単一の液体推進薬を燃料として使用する推進装置である。一液式スラスタは化学反応に依存し、反応によって推力を生み出す。液体推進薬を構成する化学物質の分子の化学結合が解き放たれることにより結合エネルギーに相当するエネルギーが解放され、高温のガスが噴出する事によりその反動で推進する。
かかる一液式スラスタは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
一液式スラスタ(以下、「スラスタ」)は、液体推進薬を触媒分解させるための触媒からなる触媒層を有する。しかし触媒の活性はその温度に依存するため、スラスタを作動させる前に、触媒層を予め加熱(予熱)し触媒の活性を高めておく必要がある。
この目的で、例えば特許文献2が開示されている。
【0004】
特許文献2の「触媒分解式スラスタ」は、液体推進薬を触媒分解させるための触媒を有する触媒層と、触媒層を加熱するための加熱装置と、触媒層に対して液体推進薬を供給するインジェクタとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5137192号公報
特開2010-229852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2において、加熱装置として、例えば電熱線をテープ状に加工したテープヒータが開示されている。また、加熱装置の施工は、触媒層付近の反応器(以下、「燃焼器」)の外側に、テープヒータを巻きつけ、燃焼器の熱伝達を利用して、触媒層を加熱している。
しかし、従来の加熱装置には、以下の問題点があった。
【0007】
(1)安定した触媒反応を達成するためには、液体推進薬と触媒の接触時間を十分確保し、触媒全体を実質的に均一に予熱し、かつ触媒の初期温度(反応開始温度)を正確に設定する必要がある。
特許文献2の触媒層は、薄い円板状であり直径と比較して厚さが薄く、液体推進薬との接触時間が短い。また、円板状触媒層の外周部のみを加熱しているため、触媒層全体の均一予熱は困難である。
また、触媒層の外周部外側には加熱装置(テープヒータ)があるため、触媒層の上流側又は下流側でしか温度計測ができない。そのため、触媒層の初期温度(反応開始温度)の正確な設定は困難である。
さらに、触媒反応の開始後、スラスタの作動中も反応器温度を継続して計測する必要がある。触媒層の上流側又は下流側に例えば熱電対の温度計測部を固定しても、ロケットでの打ち上げ時の振動負荷、或いは繰り返し使用時の熱膨張と振動により、固定箇所(例えばロウ付け)が剥がれてしまう可能性がある。
また、液体推進薬と触媒の接触時間を確保するため、触媒層の厚さを厚くし、テープヒータで触媒層全体を囲むと、熱電対等の取り付けが困難になる。
【0008】
(2)宇宙飛行体等に用いる一液式スラスタは、数千回から累積1万回以上、繰り返して使用できることが要求される。そのため、限られた電力範囲内で出来るだけ短時間に触媒層を加熱でき、かつ損傷が生じない頑強性が要求される。
特許文献2では、円板状触媒層の外周部のみを加熱しているため、その他の箇所からの放熱が大きく、熱効率が低い。
【0009】
(3)スラスタの作動により反応室(以下、「燃焼室」)は短時間に高温となる。例えば、燃焼室は反応開始後60秒間に約160℃から約700℃以上まで加熱される。
従来のテープヒータ(又は、リボンヒータ)は、リボンのような帯状のクロスのなかに発熱線が縫い込まれたものであり、700℃以上の耐熱性を有するテープヒータには、例えば耐熱温度が高いシリカガラスクロスが用いられている。
しかし、燃焼器を構成する金属(例えば、ステンレス)の線膨張率は、シリカガラスクロスの線膨張率より大きい。
そのため、数千回から累積1万回以上の使用に耐えるためには、高温時(700℃以上)にテープヒータに過大な引張応力が発生しないように、加熱前(例えば常温時)にはテープヒータを緩く巻きつける必要がある。
【0010】
(4)スラスタはこれを作動させる前に、触媒層の触媒全体を常温から触媒反応温度(例えば、約160℃)まで短時間(例えば、10分以内)に加熱する必要がある。
しかし、従来の加熱装置(例えば、テープヒータ)は、燃焼器外面に緩く巻きつけられているため、テープヒータから燃焼器への伝熱損失(すなわち放熱)が大きく短時間加熱のための必要電力が過大になる。
(5)この問題を解決するため、リング状又は棒状の加熱体を燃焼器と同等の線膨張率を有する金属で構成し、その内部にヒータを組み込み、加熱体を燃焼器の外面に固定(例えば、締結)することも考えられる。
しかし、この場合、加熱体の大きさが加熱範囲より狭いと、触媒全体の加熱ができず、加熱に時間がかかる。また、加熱体を大きくして触媒層全体を囲むと、加熱体の熱容量が過大となり、短時間加熱が困難になる。
(【0011】以降は省略されています)

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