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公開番号2024032103
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-12
出願番号2022135561
出願日2022-08-29
発明の名称強化繊維基材、およびこれを用いた積層体
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08J 5/04 20060101AFI20240305BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】樹脂注入成形法に用いる場合であっても、FRPの板厚方向の導電性を均等に高めつつ、好ましい機械特性を発現可能な強化繊維基材、およびこれを用いた樹脂注入成形用に好ましい積層体を提供する。
【解決手段】平行に引き揃えられた強化繊維からなる少なくとも1層以上の強化繊維層20を導電性繊維30で固定した強化繊維基材1であって、導電性繊維30が強化繊維基材1を厚み方向に貫通する貫通部を有し、無負荷状態における強化繊維の見かけ体積含有率が25%以上50%以下である、強化繊維基材とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
平行に引き揃えられた強化繊維からなる少なくとも1層以上の強化繊維層を導電性繊維で固定した強化繊維基材であって、前記導電性繊維が前記強化繊維基材を厚み方向に貫通する貫通部を有し、無負荷状態における強化繊維の見かけ体積含有率が25%以上50%以下であることを特徴とする、強化繊維基材。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記強化繊維の剛軟度が10mN・cm以上200mN・cm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の強化繊維基材。
【請求項3】
前記貫通部を40,000か所/m

以上有することを特徴とする、請求項1または2に記載の強化繊維基材。
【請求項4】
前記強化繊維基材の両表面において、前記導電性繊維の配向方向と前記強化繊維の配向方向との成す角度が30度以上90度以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の強化繊維基材。
【請求項5】
前記導電性繊維がマルチフィラメントであることを特徴とする、請求項1または2に記載の強化繊維基材。
【請求項6】
前記導電性繊維の直交断面形状の円形度が0.8未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の強化繊維基材。
【請求項7】
前記導電性繊維の直交断面形状が直線部を有する、請求項1または2に記載の強化繊維基材。
【請求項8】
前記導電性繊維が金属被覆合成繊維、樹脂被覆金属繊維、および導電性合成繊維からなる群より選ばれる少なくとも1つの導電性繊維であることを特徴とする、請求項1または2に記載の強化繊維基材。
【請求項9】
前記導電性繊維の少なくとも一部分の軟化点が80℃以上180℃以下であることを特徴とする、請求項8に記載の強化繊維基材。
【請求項10】
請求項1または2に記載の強化繊維基材を2枚以上積層した積層体であって、全ての隣接する2枚の前記強化繊維基材の層間において、一方の前記強化繊維基材における前記導電性繊維の配向方向と他方の前記強化繊維基材における導電性繊維の配向方向との成す角度が30度以上90度以下であることを特徴とする、積層体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、強化繊維基材、およびこれを用いた積層体に関する。具体的には、板厚方向の導電性に優れる強化繊維基材、および、板厚方向の導電性に優れつつ機械強度にも優れる樹脂注入成形用に好ましい積層体に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたFRP(Fiber Reinforced Plastics)は、軽量かつ高強度という特性から、航空、宇宙、自動車用途などに広く用いられている。FRPの生産性と高強度を両立する成形法として、例えばレジン・トランスファー・モールディング法(Resin Transfer Molding:RTM)やVaRTM法(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)等の注入成形法が挙げられる。RTM法は、マトリックス樹脂を予備含浸していないドライな強化繊維基材からなる強化繊維積層体を、成形型に配置して、液状で低粘度のマトリックス樹脂を注入することにより、後からマトリックス樹脂を含浸・固化させてFRPを製造する成形法である。
【0003】
注入成形法は、FRPの生産性には優れるが、マトリックス樹脂が低粘度である必要があるため、プリプレグに用いられる高粘度のマトリックス樹脂から成形されたFRPに比べて、力学特性を十分に発揮できない場合がある。そこで、上記に対する解決手段として、規定の目付を有する強化繊維の一方向層と規定の厚みを有する熱可塑性繊維ウェブ(不織布)が合わされた中間材料が提案されている(例えば特許文献1)。不織布を層間に配することで、構造体の耐衝撃性を特徴付けるのに一般的に用いられている衝撃後圧縮(CAI)試験における機械特性を改善することができる。
【0004】
一方で、熱可塑性繊維の不織布は導電性を有しないことから、強化繊維が導電性を有する場合(例えば炭素繊維を強化繊維とした場合)であっても、不織布によって強化繊維層同士の接触が阻害され、積層体の板厚方向の導電性が低下する場合がある。また、強化繊維が導電性を有しない場合は、積層体の板厚方向の導電性は著しく低いものとなる。板厚方向の導電性は、航空機の耐雷性に影響を及ぼすことが知られており、銀をコーティングした不織布を導電ステッチ糸と組み合わせて使用することで、繊維強化樹脂の板厚方向の導電性を向上させる技術が開示されている(例えば非特許文献1)。非特許文献1では、±45度に引き揃えた2軸の強化繊維層をステッチ糸で0度方向に変則トリコット編(トリコット編とチェーン編の組み合わせ編)し、一体化した強化繊維基材が開示されている。また、同様の技術として、例えば特許文献2に開示されるように、ポリマーと導電性材料との混合物からなる複合粒子を不織布に分散させたハイブリッドベール(複合不織布)が提案されている。加えて同文献において、金属をコーティングした不織布を複合不織布に用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2012-506499号公報
特表2019-504128号公報
【非特許文献】
【0006】
Composites Part A,2017,Vol.100,352-360 ところが、特許文献2のように不織布に複合粒子を分散させた構成では、強化繊維が導電性を有しない場合には積層体全体の板厚方向の導電性を向上できない問題があった。また、強化繊維が導電性を有する場合も、注入成形法における樹脂注入によって複合粒子が流される問題があった。複合粒子が流されると、複合粒子がFRP外部へ流出して板厚方向の導電性が低下する場合や、例え複合粒子がFRP内部に残存しても、位置によって複合粒子の残存密度に差が生じ、局所的に板厚方向の導電性が低下する場合や、板厚方向の導電性にムラを生じる場合があった。さらに、板厚方向の導電性を発現するためには、複合粒子に含まれる導電性粒子が厚み方向に連続的に接続する必要があるが、製品形状や繊維体積含有率(Vf)によって接触状態が変化するため、導電パスが不均一になる場合があった。この導電パスの不均一性は、耐雷性を低下させる恐れがある。
【0007】
また、銀などの金属を不織布にコーティングして層間の導電性を高める方法も、強化繊維が導電性を有しない場合には積層体全体の板厚方向の導電性を向上できない問題があった。また、強化繊維が導電性を有する場合であっても、不織布の繊維配向や疎密が影響し、均等な導電パスが形成されない問題がある。非特許文献1でも、不織布の製造時に繊維が配向し、不織布に疎密が生じることが指摘されている。さらに、熱可塑性樹脂の不織布が金属でコーティングされることで、従来の目的である機械特性の改善が不十分になる恐れもある。
【0008】
一方、導電性のステッチ糸を単に用いる従来の方法も、ある強化繊維基材の導電性のステッチ糸と厚み方向に隣接する別の強化繊維基材の導電性のステッチ糸が十分に接触しなければ、強化繊維積層体の厚み方向に導電パスを形成できない問題がある。特に、製品形状に賦形するために強化繊維基材を変形させると、導電性のステッチ糸の接触が不十分になりやすく、板厚方向の導電性の部分的な低下や不均一性を招く恐れがある。これは、賦形時の変形によって強化繊維基材の厚みが薄くなることや、導電性のステッチ糸が強化繊維に埋没することによる。また、製品形状によっては所定の成形圧力よりも低い圧力で成形される領域が生じる場合があり、特にこのような場合は導電性のステッチ糸同士の接触が不十分となる場合がある。
【0009】
また、導電性のステッチ糸を単に用いた従来の強化繊維基材と金属を不織布にコーティングした従来の導電性不織布を組み合わせて使用する従来の方法は、積層する基材や不織布の枚数が増えて手間が増えるばかりか、シート状基材と不織布の賦形性の差異によって製品形状への賦形時に皺を生じる恐れや、熱可塑性繊維による機械特性向上効果を損なう恐れがある。さらに、前述の通り、ステッチ糸の接触が不十分となり、板厚方向の導電性の部分的な低下や不均一性を招く恐れがある。
【0010】
他方、不織布を層間に配置しない従来のFRPは、強化繊維が導電性を有する場合に層間で強化繊維同士が接触して板厚方向の導電性が保たれるものの、前述の通り力学特性の発現が不十分な場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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