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公開番号2024029609
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-06
出願番号2022131955
出願日2022-08-22
発明の名称超開花性ムギの生産方法
出願人国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構,国立大学法人 岡山大学,国立大学法人鳥取大学
代理人弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
主分類A01H 6/46 20180101AFI20240228BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】 開花性が飛躍的に高められたムギを提供すること。
【解決手段】 Sof1遺伝子の機能を抑制することにより、ムギの開花性を向上させることが可能であり、また、Sof1遺伝子の機能の抑制を指標にムギの開花性を評価することが可能であることを見出した。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
開花性が向上したムギの生産方法であって、ムギにおいて、下記(a)または(b)の内因性遺伝子の機能を人為的に抑制することを含む方法。
(a)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
(b)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
下記(a)または(b)の内因性遺伝子の機能が人為的に抑制された、開花性が向上したムギ。
(a)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
(b)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
【請求項3】
ムギの開花性を評価する方法であって、ムギにおける、下記(a)または(b)の内因性遺伝子またはその発現制御領域の塩基配列を解析することを含む方法。
(a)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
(b)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
【請求項4】
ムギの開花性を評価する方法であって、ムギにおける、下記(a)または(b)の内因性遺伝子の発現を解析することを含む方法。
(a)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
(b)配列番号:2、5、8または11に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする内因性遺伝子
【請求項5】
開花性が向上したムギを生産する方法であって、請求項2に記載のムギと他の任意のムギとを交配させることを含む方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、Sof1遺伝子を標的とした、開花性が向上したムギの生産方法および評価方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
世界の穀物の供給は、開発途上国を中心とした人口増加による食料の需要の増加に加え、異常気象の頻発や水資源の制約による生産量の減少などの諸要因によって逼迫するおそれがある。この問題の解決のための手段の一つとして、農業生産性を増大できる穀物の新品種の開発が求められている。
【0003】
雑種強勢は雑種第一代(F1)の個体の生産能力が両親の生産能力を上回る現象であり、様々な作物の新品種の開発に利用されてきた。しかしながら、遺伝的多様性の極めて高いオオムギでは雑種強勢効果が優れているにもかかわらず、元来自殖性で他家受粉による雑種種子の生産効率が低いという理由から雑種強勢技術が成熟してこなかった。
【0004】
そこで、他家受粉の効率を高めるために、穀物の開花性を制御する遺伝子の同定が試みられている。例えば、閉花性オオムギ品種の小さい鱗被は、染色体2Hの長腕にある単一の劣性遺伝子cleistogamy 1(cly1)によって制御されており(非特許文献1)、この遺伝子はシロイヌナズナAP2転写因子のオルソログであることが報告されている(非特許文献2)。オオムギの開花型Cly1遺伝子(Cly1.a)は、鱗被の幅と厚みを拡大させ、小花の中から外頴と内頴を外へ押し出し、機械的に開花させる働きをもつ(非特許文献2)。閉花型cly1.bと開花型Cly1.aの違いは、cly1の配列をコードするmicroRNA172(miR172)の特異的結合部位内の一塩基置換により生じ、Cly1.aをもつ野生種ではmiR172を介したcly1転写産物の切断が減少する。その結果、翻訳されたCLY1タンパク質が高蓄積し、抑制されていた鱗被が正常に発達するようになる(非特許文献2、3)。
【0005】
開花型Cly1.aを利用することにより、閉花性品種に開花性の形質を付与することが可能である。しかしながら、当該遺伝子によりもたらされる開花性のみでは他家受粉による雑種種子の生産効率を高めるには不十分であり、飛躍的な開花性の向上がいまなお求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Turuspekov, Y. et al., (2004) Theor. Appl. Genet., 109:480-487
Nair, S. K. et al., (2010) Proceedings of the National Academy of Sciences, 107(1):490-495
Anwar, N. et al., (2018) Annals of Botany, 122(2):251-265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開花性が飛躍的に高められたムギを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく、まず、開花型の野生オオムギ系統(OUH602)にガンマ線照射することにより開花性が向上した変異体のスクリーニングを行った。その結果、開花性が飛躍的に向上した超開花の形質を示す変異体を選抜することに成功した。次いで、選抜した突然変異体を開花型の栽培品種(Morex)と交配し、F2集団を用いたマップベースクローニングを行った。その結果、超開花の原因遺伝子は染色体7H上のマーカーHM7H234200とHM7H246100の間に存在し、この形質が単一の劣性遺伝子により支配されていることを見出した(この超開花の形質を支配する遺伝子を「sof1」と命名した)。この約3.1Mbの候補領域内には、43個のアノテーション付き遺伝子と5個のアノテーションなし偽遺伝子が存在することが判明した。
【0009】
次に、これら遺伝子の多型を調査するために、変異体の全ゲノムショットガン配列解析を行い、野生型オオムギ系統(OUH602)のゲノム配列と比較した。その結果、この標的領域内では、3つのホモ接合多型が検出され、そのうち2つは遺伝子間領域に存在する1bp挿入であり、残りの一つはHorvu_MOREX_7H01G238100遺伝子内に存在する22bp欠失であった。
【0010】
この遺伝子が超開花の形質の原因となるsof1であることを裏付けるために、閉花型の栽培品種(Golden Promise)のSof1遺伝子(上記22bp欠失の近傍領域)を標的として、CRISPR/Cas9法による変異の導入を行った。その結果、Sof1遺伝子内に5bpの欠失を持つ変異(sof1-2)が得られ、Golden Promiseが持つ鱗被より有意に長い鱗被を形成したことから、変異の効果が確認された。しかしながら、この変異体は、Golden Promiseが持つ閉花型cly1.b遺伝子の影響を受けて、超開花の形質を示す程度に十分な大きさの鱗被は形成しなかった。そこで、cly1.b遺伝子の影響を排除することを目的に、この変異体を開花型Cly1.a遺伝子を持つオオムギ品種Sv73528およびAdorraと交配した。その結果、得られた個体の鱗被は、Sv73528およびAdorraよりも有意に長く、超開花の形質を示した。以上から、sof1遺伝子が超開花の形質の原因遺伝子であることが判明した。さらに、本発明者らは、他の植物における相同遺伝子の探索を行った結果、コムギにおいても、当該オオムギ遺伝子に対応する遺伝子の存在が判明し、超開花の形質を示す変異体の取得にも成功した。
(【0011】以降は省略されています)

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