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公開番号2024025623
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-26
出願番号2022209942
出願日2022-12-27
発明の名称活性硫黄の定量方法
出願人株式会社島津製作所,国立大学法人東北大学,株式会社島津テクノリサーチ
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 27/62 20210101AFI20240216BHJP(測定;試験)
要約【課題】標準物質を入手し難い活性硫黄を十分な精度で簡便に定量する。
【解決手段】解析対象グループに含まれるシステイン等の基本化合物の既知濃度の標準物質を、LC-MS/MSにより測定する標準物質測定ステップ(S1)と、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるとの前提の下で上記測定結果に基いて、基本化合物及びそれ以外の活性硫黄を定量するための定量参照情報を求める定量参照情報取得ステップ(S2)と、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるように予め定められた分析条件の下で、検体中の各硫黄化合物をLC-MS/MSにより測定する検体測定ステップ(S4)と、その測定結果と定量参照情報を用いて各硫黄化合物を定量する定量ステップ(S5)と、を有する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
クロマトグラフ質量分析装置を用いて、検体中の活性硫黄を含む硫黄化合物を定量する方法であり、シスチン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、システイン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、酸化型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、及び、還元型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、のうちの少なくとも一つの解析対象であるグループに含まれる硫黄化合物を定量する方法であって、
解析対象であるグループに含まれる、シスチン、システイン、酸化型グルタチオン、又は還元型グルタチオンである基本化合物の既知濃度の標準物質を、クロマトグラフ質量分析装置により測定する標準物質測定ステップと、
同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるとの前提の下で、前記標準物質測定ステップにより得られた測定結果に基いて、前記解析対象であるグループに含まれる基本化合物及びそれ以外の活性硫黄を定量するための定量参照情報を求める定量参照情報取得ステップと、
検体中の、前記解析対象であるグループに含まれる各硫黄化合物をクロマトグラフ質量分析装置により測定するステップであって、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が前記所定の関係になるように予め硫黄化合物毎に定められた分析条件の下で測定を実行する検体測定ステップと、
前記検体測定ステップにより得られた測定結果と前記定量参照情報を用いて、前記解析対象であるグループに含まれる各硫黄化合物を定量する定量ステップと、
を有する、活性硫黄の定量方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記定量ステップでは、各グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度の比率を求める、請求項1に記載の活性硫黄の定量方法。
【請求項3】
前記定量参照情報取得ステップでは、前記定量参照情報として濃度と信号強度との関係を示す検量線を求め、前記定量ステップでは、前記定量参照情報を利用した外部標準法による絶対定量を行う、請求項1に記載の活性硫黄の定量方法。
【請求項4】
前記クロマトグラフ質量分析装置は液体クロマトグラフ-トリプル四重極型質量分析装置であって、前記検体測定ステップにおいて硫黄化合物毎に調整される前記分析条件は、多重反応モニタリングトランジション、コリジョンエネルギー、及び質量分解能を含む、請求項1に記載の活性硫黄の定量方法。
【請求項5】
クロマトグラフ質量分析装置を用いて、検体中の活性硫黄を含む硫黄化合物を定量する方法であって、シスチン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、システイン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、酸化型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、還元型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、硫酸及びそれに関連する無機硫黄化合物を含むグループ、及び、活性硫黄を安定化する誘導体化処理によって硫黄化合物から生成される副反応物を含むグループ、のうちの少なくとも一つの解析対象であるグループに含まれる複数の硫黄化合物を定量する方法であって、
所定の誘導体化試薬を用い、検体に対して活性硫黄を安定化する誘導体化処理を実施する前処理ステップと、
前記前処理ステップによる前処理のなされた検体中の、前記解析対象であるグループに含まれる各硫黄化合物をクロマトグラフ質量分析装置により測定するステップであって、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるように予め硫黄化合物毎に定められた分析条件の下で測定を実行する検体測定ステップと、
前記検体測定ステップにより得られた測定結果に基いて、前記解析対象であるグループに含まれる複数の硫黄化合物を相対定量する定量ステップと、
を有する、活性硫黄の定量方法。
【請求項6】
前記予め硫黄化合物毎に定められた分析条件は、複数の硫黄化合物の信号強度が略同一になるように定められたものである、請求項5に記載の活性硫黄の定量方法。
【請求項7】
クロマトグラフ質量分析装置を用いて、検体に含まれる活性硫黄を含む硫黄化合物を定量する方法であって、
硫黄原子の鎖状結合以外の構造が同じであって該鎖状結合を構成する硫黄原子の数が相違する複数の硫黄化合物を一つのグループとして、定量対象である目的硫黄化合物と同じグループに含まれ鎖状結合を構成する硫黄原子の数が1又は最小である硫黄化合物の既知濃度の標準物質を、クロマトグラフ質量分析装置により測定する標準物質測定ステップと、
同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるとの前提の下で、前記標準物質測定ステップにより得られた測定結果に基いて、当該グループに含まれる硫黄化合物を定量するための定量参照情報を求める定量参照情報取得ステップと、
クロマトグラフ質量分析装置を用い、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が前記所定の関係になるように予め硫黄化合物毎に定められた分析条件の下で、検体中の目的硫黄化合物の測定を実行する検体測定ステップと、
前記検体測定ステップにより得られた測定結果と前記定量参照情報を用いて、目的硫黄化合物を定量する定量ステップと、
を有する、活性硫黄の定量方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中の活性硫黄分子種(以下、単に「活性硫黄」という)を含む硫黄化合物を定量する方法に関し、さらに詳しくは、クロマトグラフ質量分析を利用した定量方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
活性硫黄は、システインのチオール(SH)基に過剰な(通常2個以上の)硫黄原子が付加したシステインパースルフィドに代表される、反応性の高い硫黄化合物の総称である。活性硫黄は、生体内の様々な臓器や血液中に多量に存在しており、生体内において活性酸素の消去能力を発揮する主要な抗酸化物質として機能することが知られている。このため、活性硫黄は、ヒトの老化防止、酸化ストレスが関与しているガンなどの様々な疾患・疾病に対する診断や予防・治療薬の開発など、医療に関連する種々の分野への応用が期待されている。
【0003】
こうしたことから、従来、生体内における活性硫黄を定量する手法の確立が要望されている。しかしながら、活性硫黄、とりわけ還元型の活性硫黄は特に反応性に富む化合物であるために、前処理や分析の過程で分解され易く、正確な定量が困難であった。
【0004】
還元型活性硫黄を含む活性硫黄の定量方法としては、例えば非特許文献1、2などに記載の、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた方法が知られている。この方法では、還元型の活性硫黄を親電子性アルキル化剤を用いて安定な誘導体に変換し、そのうえでLC-MS/MSによる多重反応モニタリング(MRM)測定によって活性硫黄を選択的に検出している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Tomoaki Ida、ほか15名、「Reactive cysteine persulfides and S-polythiolation regulate oxidative stress and redox signaling」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、May 27, 2014、Vol.111、No.21、pp.7606-7611(インターネット<URL:https://doi.org/10.1073%2Fpnas.1321232111>)
居原 秀、ほか2名、「活性硫黄研究の新展開」、生化学、91巻、3号、pp.388-398、2019年6月25日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に上記のような方法で定量を行うには、既知の濃度で目的の成分を含む標準物質が必要である。しかしながら、システインパースルフィドなどの化学的に不安定な活性硫黄については、標準物質が一般には提供されていない。そのため、一般のユーザーがこうした方法を用いて活性硫黄の定量解析を行うのは実際上困難である。
【0007】
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、一般的に入手が容易である標準物質を利用して、化学的に不安定である活性硫黄を含む種々の硫黄化合物を十分な精度で簡便に定量することができる定量方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る活性硫黄の定量方法の第1の態様は、クロマトグラフ質量分析装置を用いて、検体中の活性硫黄を含む硫黄化合物を定量する方法であり、シスチン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、システイン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、酸化型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、還元型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループのうちの少なくとも一つの解析対象であるグループに含まれる硫黄化合物を定量する方法であって、
解析対象であるグループに含まれる、シスチン、システイン、酸化型グルタチオン、又は還元型グルタチオンである基本化合物の既知濃度の標準物質を、クロマトグラフ質量分析装置により測定する標準物質測定ステップと、
同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるとの前提の下で、前記標準物質測定ステップにより得られた測定結果に基いて、前記解析対象であるグループに含まれる基本化合物及びそれ以外の活性硫黄を定量するための定量参照情報を求める定量参照情報取得ステップと、
検体中の、前記解析対象であるグループに含まれる各硫黄化合物をクロマトグラフ質量分析装置により測定するステップであって、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が前記所定の関係になるように予め硫黄化合物毎に定められた分析条件の下で測定を実行する検体測定ステップと、
前記検体測定ステップにより得られた測定結果と前記定量参照情報を用いて、前記解析対象であるグループに含まれる各硫黄化合物を定量する定量ステップと、
を有する。
【0009】
また、本発明に係る活性硫黄の定量方法の第2の態様は、クロマトグラフ質量分析装置を用いて、検体中の活性硫黄を含む硫黄化合物を定量する方法であって、シスチン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、システイン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、酸化型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、還元型グルタチオン及びそれに関連する活性硫黄を含むグループ、硫酸及びそれに関連する無機硫黄化合物を含むグループ、及び、活性硫黄を安定化する誘導体化処理によって硫黄化合物から生成される副反応物を含むグループ、のうちの少なくとも一つの解析対象であるグループに含まれる複数の硫黄化合物を定量する方法であって、
所定の誘導体化試薬を用い、検体に対して活性硫黄を安定化する誘導体化処理を実施する前処理ステップと、
前記前処理ステップによる前処理のなされた検体中の、前記解析対象であるグループに含まれる各硫黄化合物をクロマトグラフ質量分析装置により測定するステップであって、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるように予め硫黄化合物毎に定められた分析条件の下で測定を実行する検体測定ステップと、
前記検体測定ステップにより得られた測定結果に基いて、前記解析対象であるグループに含まれる複数の硫黄化合物を相対定量する定量ステップと、
を有する。
【0010】
また、本発明に係る活性硫黄の定量方法の第3の態様は、クロマトグラフ質量分析装置を用いて、検体に含まれる活性硫黄を含む硫黄化合物を定量する方法であって、
硫黄原子の鎖状結合以外の構造が同じであって該鎖状結合を構成する硫黄原子の数が相違する複数の硫黄化合物を一つのグループとして、定量対象である目的硫黄化合物と同じグループに含まれ鎖状結合を構成する硫黄原子の数が1又は最小である硫黄化合物の既知濃度の標準物質を、クロマトグラフ質量分析装置により測定する標準物質測定ステップと、
同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が所定の関係になるとの前提の下で、前記標準物質測定ステップにより得られた測定結果に基いて、当該グループに含まれる硫黄化合物を定量するための定量参照情報を求める定量参照情報取得ステップと、
クロマトグラフ質量分析装置を用い、同一グループに含まれる複数の硫黄化合物の濃度が同一である場合に該複数の硫黄化合物の信号強度が前記所定の関係になるように予め硫黄化合物毎に定められた分析条件の下で、検体中の目的硫黄化合物の測定を実行する検体測定ステップと、
前記検体測定ステップにより得られた測定結果と前記定量参照情報を用いて、目的硫黄化合物を定量する定量ステップと、
を有する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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