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公開番号2025171412
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-20
出願番号2024076739
出願日2024-05-09
発明の名称ニトリルゴム分解菌
出願人国立大学法人福島大学,NOK株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 1/20 20060101AFI20251113BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ニトロブタジエンゴム分解微生物および酵素を提供すること。
【解決手段】一つの局面において、本開示は、ニトロブタジエンゴムを分解する能力を有する新たな微生物を提供する。一つの局面において、本開示は、ニトロブタジエンゴム分解微生物に関する酵素を提供する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、Gordonia属またはBrevundimonas属の微生物である。一つの実施形態では、本開示は、本開示のニトロブタジエンゴムを分解する能力を有する微生物または酵素を使用する方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
Gordonia属またはBrevundimonas属の微生物であって、アクリロニトリル-ブタジエンゴムを分解する能力を有する、微生物。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記微生物が、J1A(受託番号P-03989の株)、J1C(受託番号P-03990の株)またはその近縁株である、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
配列番号1または2の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する16S rDNAを含む、請求項1に記載の微生物。
【請求項4】
受託番号P-03989およびP-03990の株からなる群から選択される株である、請求項1に記載の微生物。
【請求項5】
請求項1に記載の微生物の菌体、培養上清、破砕物、その抽出物またはそれらの組み合わせを含む、アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解剤。
【請求項6】
配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解酵素。
【請求項7】
請求項6に記載のアクリロニトリル-ブタジエンゴム分解酵素をコードする核酸。
【請求項8】
発現ベクターである、請求項7に記載の核酸。
【請求項9】
請求項7に記載の核酸を有する、請求項1に記載の微生物。
【請求項10】
アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解微生物を取得する方法であって、
候補微生物をアクリロニトリル-ブタジエンゴムを唯一の炭素源として含む環境で培養する工程、および
培養後に見出されたコロニーから微生物を単離する工程
を含む、方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、アクリロニトリル-ブタジエンゴムを分解する能力を有する微生物、その関連酵素およびその使用に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、自動車部品など多くの工業製品に使用されるが、環境中でほとんど分解しない難分解性プラスチックである。現在、多くの廃棄ゴムが、埋め立て処分されており、埋め立て場は逼迫している。そのため、アクリロニトリル-ブタジエンゴムを分解できる新たな微生物が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、鋭意研究した結果、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(本明細書において、「ニトロブタジエンゴム」、「ニトリルゴム」または「NBR」とも記載する)を分解する能力を有する新規微生物を見出した。本開示は、このように見出された微生物およびその誘導株、その関連酵素ならびにその使用を提供する。また、本開示は、NBRを分解する能力を有する微生物を取得するための方法も提供する。
【0004】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
Gordonia属またはBrevundimonas属の微生物であって、アクリロニトリル-ブタジエンゴムを分解する能力を有する、微生物。
(項目2)
前記微生物が、J1A(受託番号P-03989の株)、J1C(受託番号P-03990の株)またはその近縁株である、上記項目のいずれかの微生物。
(項目3)
配列番号1または2の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する16S rDNAを含む、上記項目のいずれかの微生物。
(項目4)
受託番号P-03989およびP-03990の株からなる群から選択される株である、上記項目のいずれかの微生物。
(項目5)
項目1に記載の微生物の菌体、培養上清、破砕物、その抽出物またはそれらの組み合わせを含む、アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解剤。
(項目6)
配列番号4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解酵素。
(項目7)
上記項目のいずれかのアクリロニトリル-ブタジエンゴム分解酵素をコードする核酸。
(項目8)
発現ベクターである、上記項目のいずれかの核酸。
(項目9)
項目7に記載の核酸を有する、上記項目のいずれかの微生物。
(項目10)
アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解微生物を取得する方法であって、
候補微生物をアクリロニトリル-ブタジエンゴムを唯一の炭素源として含む環境で培養する工程、および
培養後に見出されたコロニーから微生物を単離する工程
を含む、方法。
(項目11)
アクリロニトリル-ブタジエンゴム分解剤を作製する方法であって、
上記項目のいずれかの方法で取得した微生物を使用して組成物を調製する工程
を含む、方法。
(項目12)
アクリロニトリル-ブタジエンゴムを分解する方法であって、
上記項目のいずれかの微生物の菌体、培養上清、破砕物、その抽出物またはそれらの組み合わせをアクリロニトリル-ブタジエンゴムと接触させる工程
を含む、方法。
(項目13)
前記接触させる工程の前にアクリロニトリル-ブタジエンゴムを変性させる工程を含まない、上記項目のいずれかの方法。
(項目14)
以下の式:
TIFF
2025171412000001.tif
40
104
のα、βおよびγの結合のうちの1つまたは複数を切断することでアクリロニトリル-ブタジエンゴムを分解する、上記項目のいずれかの方法。
(項目15)
有機分子を製造する方法であって、
上記項目のいずれかの微生物の菌体、培養上清、破砕物、その抽出物またはそれらの組み合わせをアクリロニトリル-ブタジエンゴムと接触させる工程、および
有機分子を分離する工程
を含む、方法。
(項目16)
前記有機分子が、4-シアノ-1-シクロヘキセン、カーボンブラック、エステル、アルデヒド、ケトン、有機酸、エーテルおよびアルコールのうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかの方法。
(項目17)
配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、アクリロニトリル-ブタジエンゴムにおけるジスルフィド架橋分解酵素。
(項目18)
配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、エステル結合切断酵素。
【0005】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の微生物および酵素は、NBRを分解し得るので、石油製品の廃棄物の処理などにおいて利用でき、環境負荷を低下させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
普通寒天培地上で生育したJ1A株のコロニー像である。
J1A株の16S rDNA塩基配列に基づく簡易分子系統樹である。左上の線はスケールバー、系統枝の分岐に位置する数字はブートストラップ値、株名の末尾のTはその種の基準株を示す。
普通寒天培地上で生育したJ1C株のコロニー像である。
J1C株の16S rDNA塩基配列に基づく簡易分子系統樹である。左上の線はスケールバー、系統枝の分岐に位置する数字はブートストラップ値、株名の末尾のTはその種の基準株を示す。
NBRなしの条件での培養時とNBRありの条件での培養時との遺伝子(alkB、duf1、cyp1、est1およびodr1)発現の比較を示す。
BGシート表面のSEM観察結果である。a:新品、b:酵素無し、c:J1A ppt W培地、d:J1A ppt NB培地。
BGシート表面のFT-IR分析結果である。
GC-MSによる分析結果である。a:GCの分析結果、b:保持時間20~40分の部分の拡大図、c:27.7分のピークのMS分析結果。
MALDI-Tof-MSによる液相成分の分析結果である。
DEAE-650Mクロマトグラフィー精製の各画分の分解活性とタンパク質濃度を示す。上:十字シート、下:白シート。
各精製工程、画分のSDS-PAGE分析結果である。M:マーカー、破砕:菌体破砕液、可溶:可溶化サンプル。
酵素反応後の沈殿物の写真である。a:9番目のFrによる十字シートの分解生成物、b:9番目のFrによる白シートの分解生成物。
白色沈殿物のFT-IR分析結果である。
Phenyl-650Mクロマトグラフィー精製の各画分の分解活性とタンパク質濃度を示す。上:十字シート、下:白シート。
疎水性相互作用クロマトグラフィー精製段階のSDS-PAGE分析の結果である。M:マーカー、破砕:菌体破砕液、可溶:可溶化サンプル、DEAE:5~11番目のDEAE精製Frを合わせたもの。
各処理サンプルの
13
C-NMR測定結果を示す。上段:未処理品、中段:Ctrl処理、下段:酵素処理。サンプル容器由来のピークを菱形で示す。
各処理サンプルのFE-EPMA測定結果を示す。左:Ctrl処理、右:酵素処理。下部にそれぞれの元素の存在量の数値を示す。
組換え発現DUFによるサンプル分解を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0009】
(定義等)
本明細書において「分解」とは、対象となった物質(例えば、NBR)がそれより小さな分子になることを指す。NBRの分解を判定するために、必ずしもこの小さな分子を検出することは必要ではなく、NBR重量の減少、NBRの改変(酸化など)、プラスチックを唯一の炭素源とする環境における微生物の増殖などを検出することで分解が判定され得る。NBRが改変される場合など、NBRの分解により必ずしもNBR重量が減少するとは限らない。
【0010】
本明細書で使用される「近縁株」は、好ましくは、限定を意図するものではないが、対象となる微生物のDNAに実質的に相同な領域を含む遺伝子(例えば、16S rDNA)を含む。例えば、近縁株は、当該分野で公知のコンピュータ相同性プログラムによってアラインメントを行って元となる株の全ゲノムの配列と比較した際、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%または少なくとも99.9%同一である全ゲノム配列、および/または元となる株の16S rDNAの配列と比較した際、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%または少なくとも99.9%同一である16S rDNAを有する。これは、遺伝子の変異、置換、欠失および/または付加によって改変された微生物であり、その近縁株は、元の微生物の生物学的機能を、必ずしも同じ度合いでなくてもよいが示すことが好ましい。例えば、遺伝子の変異は、任意の公知の変異剤、UV、プラズマ、ゲノム編集技術などを使用して導入することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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