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公開番号2025161165
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-24
出願番号2024064121
出願日2024-04-11
発明の名称重合体粒子の製造方法
出願人デンカ株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C08F 2/38 20060101AFI20251017BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】RAFT剤を用いた重合をミニエマルション重合で行う際に、高せん断処理及び乳化助剤の添加を行わない場合であっても、分子量分散の小さな重合体を製造することが可能な重合体粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、ラジカル重合性モノマー及びRAFT剤を含有する溶液を、乳化剤を含有する水溶液中に分散し、ミニエマルションを調製して、上記ラジカル重合性モノマーをミニエマルション重合させる重合工程、を有し、上記RAFT剤の配合量が、上記ラジカル重合性モノマーの全量100モルに対して、0.20モル以上であり、上記乳化剤の配合量が、上記ラジカル重合性モノマーの全量100モルに対して、2.20~10.00モルである、重合体粒子の製造方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ラジカル重合性モノマー及びRAFT剤を含有する溶液を、乳化剤を含有する水溶液中に分散し、ミニエマルションを調製して、前記ラジカル重合性モノマーをミニエマルション重合させる重合工程、を有し、
前記RAFT剤の配合量が、前記ラジカル重合性モノマーの全量100モルに対して、0.20モル以上であり、
前記乳化剤の配合量が、前記ラジカル重合性モノマーの全量100モルに対して、2.20~10.00モルである、重合体粒子の製造方法。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記RAFT剤の分配係数LogP
ow
が、3.50以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記重合工程は、前記ミニエマルションに対する動的光散乱法によって得られる散乱強度基準の累積粒度分布において、小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの分散相の粒子径が500nm以下となるように調整した状態で行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記重合工程は、前記ミニエマルションに対する動的光散乱法によって得られる散乱強度基準の累積粒度分布において、小粒径からの積算値が全体の10%、50%及び90%に達したときの分散相の粒子径をそれぞれD10、D50及びD90としたときに、(D90-D10)/D50の値が1.00以下となるように分散相の分布を調整した状態で行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記重合工程において、前記ミニエマルションに対する動的光散乱法によって得られる散乱強度基準の累積粒度分布が単峰性である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記乳化剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記RAFT剤の配合量が、前記ラジカル重合性モノマーの全量100モルに対して、2.00モル以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記RAFT剤は、アリール基及びアリーレン基の少なくとも一方の置換基を有するトリチオカルボナートである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ラジカル重合性モノマーが、芳香族ビニル化合物、及びシアン化ビニル化合物の少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項10】
前記重合工程で得られる重合体の粒子をシード粒子として、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを反応させるシード重合工程を更に有する、請求項1又は2に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、重合体粒子の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
高分子の重合度、及び高分子の分子鎖中におけるモノマーの配列等を制御することが可能な精密重合法として、リビングラジカル重合が知られている。リビングラジカル重合としては、ニトロキシドを利用する重合法(NMP法)、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、及び可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法が知られている。
【0003】
RAFT重合法は、酸素に対する耐性が高いこと、金属触媒を使用する必要がないこと等の特徴を有する。RAFT重合法においては、チオカルボニルチオ基等の特定の官能基を有する連鎖移動剤(RAFT剤ともいう)が用いられ、重合の成長末端と、連鎖移動剤が有するチオカルボニルチオ基等の特定の官能基との間で、活性種であるラジカルの交換を繰り返しながら連鎖的にモノマーと反応することで重合が進行する。RAFT重合法は上述のような特徴を有することから、リビングラジカル重合を工業的に利用する方法として注目されている。
【0004】
また近年、環境問題への配慮から、有機溶媒等の揮発性有機化合物の使用を低減することが可能な乳化重合(エマルション重合)、ミニエマルション重合、及び懸濁重合へのリビングラジカル重合の適用が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2019/022227号
特開2022-015395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ミニエマルション重合を行う際、一般的には、水溶液中に疎水性モノマーを加え撹拌し得られるエマルションに対して、さらに超音波などの強いせん断力を加え、モノマー油滴(分散相)が細分化することによって、微細な分散相(例えば、500nm以下)が分散されたミニエマルションを形成させる工程が必要になる。またミニエマルションでは分散相が微細であるために、高せん断力印加の条件を調整して分散粒径の均一化を図ったとしても、分散相間のわずかな粒径の相違が残存し、比較的大きな分散相によって微細な分散相が吸収され、微細な分散相が消失する、いわゆるオストワルド熟成が発生しやすい。これによって、分散相の粒子径の分布が広がる又は粗大化するといったことが生じる。そこで、このオストワルド熟成の発生を低減するために、ヘキサデカン等の疎水性の高い化合物を乳化助剤として添加し、分散相の安定化を図ることが行われている。乳化助剤は、一般にモノマー油滴中に溶解することから、オストワルド熟成による分散粒子の粗大化が進行しようとした場合に、粗大粒子中で乳化助剤の濃度が相対的に希釈されるため、分散相間で乳化助剤の濃度不均衡が生じ、これをもとの均衡状態へと戻すような平衡圧力が発生する。これによって、オストワルド熟成に対抗し、分散相の安定化を図っている。しかし、強いせん断力を加える装置の大型化は容易でなく、またミニエマルション重合によって調製される重合体粒子の用途等によってはヘキサデカン等の成分の混入を避けることが望ましい場合があり、工業規模への利用を想定すると改善の余地がある。
【0007】
また、強いせん断をかけずに分散相を均一なミニエマルション化させることは容易でなく、乳化助剤を添加せずに重合を進行させた場合には、分散相の粒度のばらつきを反映し、得られる重合体の分子量分散が大きくなる傾向にあり、リビングラジカル重合の特徴を生かせない。
【0008】
本開示は、RAFT剤を用いた重合をミニエマルション重合で行う際に、高せん断処理及び乳化助剤の添加を行わない場合であっても、分子量分散が狭い重合体を製造することが可能な重合体粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らの検討によって、RAFT剤の配合量及び乳化剤の配合量を調整することによって、通常の撹拌条件下であっても、分散相をミニエマルション化させることが可能であり、ミニエマルション重合によって分子量分散の小さな重合体を製造できることを見出した。本開示は、これらの知見に基づいてなされたものである。
【0010】
本開示は、下記[1]を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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