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公開番号
2025160733
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-23
出願番号
2024063492
出願日
2024-04-10
発明の名称
推定方法
出願人
大成建設株式会社
代理人
弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類
E02D
1/02 20060101AFI20251016BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約
【課題】地盤中の二相流体に関する毛管圧曲線の推定に要する計算時間を短縮する推定方法を提案する。
【解決手段】本発明は、地盤試料のX線CT画像から土粒子の画像及び空隙の画像を抽出することで地盤を再現した3次元地盤モデルの空隙42、及び前記3次元地盤モデルの土粒子41の下方に第1流体(水43)を充填させ、前記3次元地盤モデルの土粒子41の上方に第2流体(空気44)を充填させた解析モデル4に、所定の重力値を付与して前記第1流体を排出させる排出工程と、定常状態における毛管圧をベルヌーイの定理により計算するとともに、前記定常状態における前記第1流体の体積含有率を計算する計算工程とを備え、前記重力値を変化させて、前記排出工程と前記計算工程を繰り返し行う、推定方法である。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
地盤試料のX線CT画像から土粒子の画像及び空隙の画像を抽出することで地盤を再現した3次元地盤モデルの空隙及び前記3次元地盤モデルの土粒子の下方に第1流体を充填させ、前記3次元地盤モデルの土粒子の上方に第2流体を充填させた解析モデルに、所定の重力値を付与して前記第1流体を排出させる排出工程と、
定常状態における毛管圧を下記式(1)により計算するとともに、前記定常状態における前記第1流体の体積含有率を計算する計算工程とを備え、
前記重力値を変化させて、前記排出工程と前記計算工程を繰り返し行うことを特徴とする推定方法。
ρgz + P = 一定・・・式(1)
式(1)中、ρは前記第1流体の密度[ML
-3
]であり、gは重力加速度[LT
-2
]を基準とする前記重力値であり、zは前記3次元地盤モデルに設定した基準面からの高さ[L]であり、Pは前記毛管圧[ML
-1
T
-2
]である。
続きを表示(約 59 文字)
【請求項2】
前記3次元地盤モデルの上端部及び下端部に同一圧力を設定する、請求項1に記載の推定方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、地盤中流体の挙動の研究が盛んである。特に、界面を形成する2以上の流体の挙動を扱う事例が多く知られている。例えば、水及び空気からなる二相流体が混在する地盤中の不飽和領域ついて検討した事例がある。地盤中の流体挙動については、ダルシー則に基づいた数値解析で検討することが多い。数値解析をする場合には、対象の地盤中の2種類の流体の関係を示すパラメータ、つまり、二相流パラメータを与えることが必要になる。二相流パラメータには、例えば、毛管圧曲線や相対浸透率曲線があるが、これらに限定されない。
【0003】
水及び空気の二相流体については、二相流パラメータを与えるための試験方法が基準化されている。しかし、試験は容易でない。例えば、試験の実施には、高度な技術及び経験が必要となる。また、対象の試料(土粒子)の透水性が低い場合、試験に長時間を要する。また、流体の種類や、検討する温度圧力条件次第では、試験の実施難易度が跳ね上がる。
【0004】
特許文献1には、岩石の屑についての測定値から地下の貯留槽の岩石の毛管圧曲線を評価する方法について開示されている。特許文献1の発明は、岩石の切削片の浸透率kを測定するステップと、初期状態で液体(たとえば食塩水)により飽和している切削片を遠心分離して飽和率の関数として毛管圧曲線Pcを測定するステップと、測定した毛管圧曲線をパラメータ化するステップとを有する。
しかし、特許文献1の発明によれば、遠心分離をするため、対象の地盤の本来の性質を損ねてしまう。このため、測定した毛管圧曲線の信頼性は低下している。このような毛管圧曲線を用いて、ダルシー則に基づいた数値解析をしても解析結果の信頼性が低下してしまう、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2005-525574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通り、試験は容易でないものの、信頼性の高い毛管圧曲線を何としてでも手に入れたいという要望がある。このような事情に対し、毛管圧曲線を計算により推定する取り組みが進められている。しかし、推定の計算に多大な時間を要するという問題点があった。
このような観点から、本発明は、地盤中の二相流体に関する毛管圧曲線の推定に要する計算時間を短縮する推定方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、地盤試料のX線CT画像から土粒子の画像及び空隙の画像を抽出することで地盤を再現した3次元地盤モデルの空隙、及び前記3次元地盤モデルの土粒子の下方に第1流体を充填させ、前記3次元地盤モデルの土粒子の上方に第2流体を充填させた解析モデルに、所定の重力値を付与して前記第1流体を排出させる排出工程と、定常状態における毛管圧を下記式(1)により計算するとともに、前記定常状態における前記第1流体の体積含有率を計算する計算工程とを備え、前記重力値を変化させて、前記排出工程と前記計算工程を繰り返し行う、推定方法である。
ρgz + P = 一定・・・式(1)
式(1)中、ρは前記第1流体の密度[ML
-3
]であり、gは重力加速度[LT
-2
]を基準とする前記重力値であり、zは前記3次元地盤モデルに設定した基準面からの高さ[L]であり、Pは前記毛管圧[ML
-1
T
-2
]である。
かかる構成によれば、重力値を変化させることで、式(1)で計算した毛管圧Pを、通常重力下における別の値の高さ(式(1)中の高さzとは異なる値を示す高さ)における毛管圧として取り扱うことができる。例えば、重力加速度g
0
のn倍の重力値を解析モデルに付与した場合における高さzでの毛管圧は、通常の重力加速度g
0
を付与した場合における高さn×zでの毛管圧と同等となる。よって、重力値を変化させる度に毛管圧と体積含有率との関係をプロットすることで、毛管圧曲線を推定できる。推定した毛管圧曲線は、地盤試料の寸法、つまり、3次元地盤モデルの寸法を超える範囲に拡がった曲線となる。換言すれば、所望の信頼性を示す程度に十分な範囲に亘る毛管圧曲線を取得するために、3次元地盤モデルの寸法を十分小さくすることができる。3次元地盤モデルの寸法を小さくすれば、毛管圧曲線の推定の計算量を低減でき、計算時間を短縮できる。また、試験の実施そのものが極めて困難となる流体の種類、温度、圧力の条件下であっても毛管圧曲線を推定できる。
【0008】
また、前記3次元地盤モデルの上端部及び下端部に同一圧力を設定する、ことが好ましい。
これにより、第1流体及び第2流体の両方について、3次元地盤モデルの上下を導通する流れを発生させない境界条件を作り出すことができる。そのため、地盤試料中の第1流体及び第2流体の移動を忠実に再現できる。また、3次元地盤モデルの上下を導通する流れに起因するクーラン数の制約も発生しづらくなるため、計算時間の長期化を抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地盤中の二相流体に関する毛管圧曲線の推定に要する計算時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施形態の推定装置の機能構成図である。
解析モデルの説明図である。
本実施形態の推定方法を示すフローチャートである。
推定した毛管圧曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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