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公開番号2025148725
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-08
出願番号2024048987
出願日2024-03-26
発明の名称木材縦弾性係数推定システム
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類G01N 3/00 20060101AFI20251001BHJP(測定;試験)
要約【課題】木材の縦弾性係数を、低コストかつ簡便に、推定する。
【解決手段】木材の木口面画像を用いて木材の縦弾性係数を推定する、木材縦弾性係数推定システム1は、木材の木口面を撮影して木口面画像を取得する撮影装置2と、木口面画像または当該木口面画像を調整した調整画像を学習用画像として入力し、当該学習用画像に対応する木材の縦弾性係数を推定するように深層学習させた学習済モデル20に、縦弾性係数を推定する対象となる木材の木口面画像、または当該木口面画像を調整した調整画像を入力画像として入力して、木材の縦弾性係数を推定する、縦弾性係数推定部13と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
木材の木口面画像を用いて前記木材の縦弾性係数を推定する、木材縦弾性係数推定システムであって、
前記木材の木口面を撮影して前記木口面画像を取得する撮影装置と、
前記木口面画像または当該木口面画像を調整した調整画像を学習用画像として入力し、当該学習用画像に対応する前記木材の前記縦弾性係数を推定するように深層学習させた学習済モデルに、前記縦弾性係数を推定する対象となる前記木材の前記木口面画像、または当該木口面画像を調整した前記調整画像を入力画像として入力して、前記木材の前記縦弾性係数を推定する、縦弾性係数推定部と、
を備えることを特徴とする木材縦弾性係数推定システム。
続きを表示(約 210 文字)【請求項2】
前記木口面画像に対し、
前記木口面画像の明るさ成分を除去する明るさ成分除去処理と、
前記木口面画像内の前記木口面の輪郭を抽出して前記木口面を切り出し、形状の歪みを補正する歪み補正処理と、
のいずれか一方または双方を適用して、前記木口面画像を調整することで、前記調整画像を生成する、画像調整部を、更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の木材縦弾性係数推定システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の木口面画像を用いて前記木材の縦弾性係数を推定する木材縦弾性係数推定システムに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
木は成長する過程で二酸化炭素を吸収するため、木材を使用することにより、二酸化炭素を固定することができる。また、木は数十年のサイクルで再生産可能な資源である。このようなサステナビリティの観点から、木造建築の需要が高まっている。木材を構造材料として使用する場合には、その強度性能の指標として、縦弾性係数(いわゆるヤング率)を事前に測定する必要がある。
木材の縦弾性係数を測定するには、静的曲げ試験による測定と、打撃振動による弾性波伝播特性測定の、2つの方法が主に挙げられる。
【0003】
前者の静的曲げ試験による測定においては、機械的な外力によって、内部応力を生じさせた状態の適当な評点における変位量から、縦弾性係数を推定する。
これに関し、例えば特許文献1には、上下一対のローラから成り、該ローラで挟みつつ木材の搬入を行う第1挟持ローラ及び搬出を行う第2挟持ローラと、木材の下面を押圧して所定寸法変位させる変位付与ローラと、該変位付与ローラが木材に対し押圧した時の木材からの反力を検出するロードセルと、木材の反り量を測定する反り量測定手段とを具備し、木材の変位量、反力及び反り量に基づきヤング率を求める、木材のグレーディングマシンが記載されている。
【0004】
上記のような静的曲げ試験による測定においては、精度よく、木材の縦弾性係数を推定することができるが、一方で、測定に構造が複雑な測定装置を必要とするため、コストが嵩む。また、測定の際には、木材を測定装置まで運搬する必要がある。このため、測定を簡便に行うことが難しい。
【0005】
後者の打撃振動による弾性波伝播特性測定においては、木材の一端をハンマー等により打撃し、インパルス応力を印加して、その内部応力伝播における固有振動を振動プローブやマイク等によって計測し、固有振動スペクトルのピーク位置を基に、縦弾性係数を推定する。
これに関し、例えば特許文献2には、フレームに木材支持部を設けるとともにこのフレームに打撃手段と振動数感知手段とを設置し、この木材支持部に被判別木材を載置した状態で打撃手段によって被判別木材の木口面を打撃可能とするとともにこの打撃による被判別木材の振動数を振動数感知手段によって感知可能とし、この振動数から被判別木材のヤング率を求める木材の等級判別装置が記載されている。
また、特許文献3には、ハンマーにより木材の木口を打撃し、打撃音を集音マイクロホンにて捕らえ、制御装置が、打撃音の周波数と、木材の質量(重量)からヤング率を算出する、木材の等級判別装置が記載されている。
【0006】
上記のような打撃振動による弾性波伝播特性測定においては、静的曲げ試験による測定に比べると、測定装置の構造が比較的簡潔なものとなるため、コストを低減することができる。しかし、打撃時の終端条件等に起因する応力波伝播のばらつきを抑制するために、打撃架台を点支持のものとする必要があり、測定の際には、この打撃架台まで、木材を運搬する必要がある。したがって、静的曲げ試験による測定と同様に、測定を簡便に行うことが難しい。
木材の縦弾性係数を、低コストかつ簡便に、推定することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2002-214098号公報
特開平6-18388号公報
特開2001-289828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、木材の縦弾性係数を、低コストかつ簡便に、推定することができる、木材縦弾性係数推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、木材の縦弾性係数推定システムとして、先ず、静的曲げ試験または打撃振動による弾性波伝播特性測定値を正解値とし、その正解値ごとの木口面画像から木材の縦弾性係数を推定するための深層学習モデルを構築し、構築した深層学習モデルに木口面画像を入力することで、木材の縦弾性係数を低コストかつ簡便に推定できる点に着目し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明の木材縦弾性係数推定システムは、木材の木口面画像を用いて前記木材の縦弾性係数を推定する、木材縦弾性係数推定システムであって、前記木材の木口面を撮影して前記木口面画像を取得する撮影装置と、前記木口面画像または当該木口面画像を調整した調整画像を学習用画像として入力し、当該学習用画像に対応する前記木材の前記縦弾性係数を推定するように深層学習させた学習済モデルに、前記縦弾性係数を推定する対象となる前記木材の前記木口面画像、または当該木口面画像を調整した前記調整画像を入力画像として入力して、前記木材の前記縦弾性係数を推定する、縦弾性係数推定部と、を備えることを特徴とする。
上記のような構成によれば、学習済モデルは、木材の木口面を撮影した木口面画像、または木口面画像を調整した調整画像を、学習用画像として入力し、学習用画像に対応する、すなわち学習用画像として撮影された木材の、縦弾性係数を推定するように深層学習されている。このような学習済モデルに、縦弾性係数を推定する対象となる木材の木口面画像、または木口面画像を調整した調整画像を、入力画像として入力することで、この入力画像に撮影された木材の、縦弾性係数が推定される。
このような構成においては、複雑な構造の機材等を使用していないため、木材縦弾性係数推定システムを実現するに際し、コストを低減することができる。
また、縦弾性係数を推定するに際し、作業員に必要とされる作業は、基本的には、木材の木口面を撮影することのみである。すなわち、作業員は、縦弾性係数を推定するために、木材を専用の架台等へ運搬する必要が、特段には無い。このため、縦弾性係数を、簡便に、推定することができる。
このようにして、木材の縦弾性係数を、低コストかつ簡便に、推定することができる、木材縦弾性係数推定システムを提供することができる。
【0010】
本発明の一態様においては、木材縦弾性係数推定システムは、前記木口面画像に対し、前記木口面画像の明るさ成分を除去する明るさ成分除去処理と、前記木口面画像内の前記木口面の輪郭を抽出して前記木口面を切り出し、形状の歪みを補正する歪み補正処理と、のいずれか一方または双方を適用して、前記木口面画像を調整することで、前記調整画像を生成する、画像調整部を、更に備えている。
木材は屋外の自然日照下に置かれることも多く、撮影装置によって木材の木口面を撮影して木口面画像を取得する場合においては、日照角や時間によって、撮影時の日照条件が変化する。すると、木口面画像ごとに、その明るさにばらつきが生じ、これに起因して、木口面画像を用いて、学習モデルの学習、及び木材の縦弾性係数の推定を行うに際し、学習や推定における効率、精度が低減する可能性がある。
これに対し、画像調整部が、木口面画像に対し、木口面画像の明るさ成分を除去する明るさ成分除去処理を適用して、木口面画像を調整することで、調整画像を生成する場合には、木口面画像における、日照条件に起因した明るさのばらつきの影響を低減することができる。これにより、木口面画像を学習用画像または入力画像として用いて、学習モデルの学習や、木材の縦弾性係数の推定を行うに際し、学習や推定における効率、精度が低減することを、抑制可能である。
また、作業員がデジタルカメラ等を操作することによって木口面を撮影して木口面画像を取得する場合、例えば木口面に直交する方向に対して傾斜した方向から木口面を撮影すると、矩形状の木口面が例えば台形形状に歪んだ状態で、木口面画像が撮影される。更には、上記のようにして木口面を撮影すると、木口面画像には、木口面の全体が撮影されると同時に、木口面の外側の背景も撮影される。このような、歪みや背景の写り込みによっても、学習や推定における効率、精度が低減する可能性がある。
これに対し、画像調整部が、木口面画像内の木口面の輪郭を抽出して木口面を切り出し、形状の歪みを補正する歪み補正処理を適用して、木口面画像を調整することで、調整画像を生成する場合には、木口面画像内の背景の部分が除去され、なおかつ木口面の輪郭形状の歪みが補正される。これにより、木口面画像を学習用画像または入力画像として用いて、学習モデルの学習や、木材の縦弾性係数の推定を行うに際し、学習や推定における効率、精度が低減することを、抑制可能である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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