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公開番号2025143634
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-02
出願番号2024042959
出願日2024-03-19
発明の名称上面増厚床版の非破壊評価方法及び非破壊評価システム
出願人大成建設株式会社,国立大学法人大阪大学
代理人園田・小林弁理士法人
主分類G01N 29/04 20060101AFI20250925BHJP(測定;試験)
要約【課題】上面増厚床版において、アスファルト層を破壊せずに、コンクリート層とコンクリート系補修層との間の一体性を精度よく評価する。
【解決手段】上面増厚床版の健全な部分の、アスファルト層の表面を打撃した際に、上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた加速度センサで計測して基準波形を取得し、上面増厚床版の検査対象となる部分の、アスファルト層の表面を打撃した際に、上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた加速度センサで計測して検査波形を取得し、基準波形を調整した調整基準波形と、検査波形を調整した調整検査波形との間で、波形形状が近いほど絶対値が大きくなるように設定された相互相関関数を計算し、相互相関関数の最大ピーク値を基に、コンクリート層とコンクリート系補修層との間の一体性を評価することを含む。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
コンクリート層、コンクリート系補修層、及びアスファルト層が順に積層されて形成された上面増厚床版において、前記アスファルト層を破壊せずに、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間の一体性を評価する、上面増厚床版の非破壊評価方法であって、
前記上面増厚床版の健全な部分の、前記アスファルト層の表面を打撃した際に、前記上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた加速度センサで計測して基準波形を取得し、
前記上面増厚床版の検査対象となる部分の、前記アスファルト層の前記表面を打撃した際に、前記上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた前記加速度センサで計測して検査波形を取得し、
前記基準波形を調整した調整基準波形と、前記検査波形を調整した調整検査波形との間で、波形形状が近いほど絶対値が大きくなるように設定された相互相関関数を計算し、前記相互相関関数の最大ピーク値を基に、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間の一体性を評価する
ことを含むことを特徴とする、上面増厚床版の非破壊評価方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記検査波形を取得する際には、前記加速度センサは、打撃がなされる打撃点に対し、前記基準波形を取得する際に前記加速度センサが前記打撃点に対して設けられた方向及び距離と、同一の、前記方向及び前記距離に設けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の上面増厚床版の非破壊評価方法。
【請求項3】
前記加速度センサは、前記基準波形と前記検査波形を取得する双方の場合において、複数が設けられ、
前記打撃点に対して同一の前記方向及び前記距離に設けられた前記加速度センサによって取得された前記基準波形と前記検査波形をそれぞれ調整した、前記調整基準波形と前記調整検査波形を対象として、前記相互相関関数を計算し、
前記加速度センサが設けられた前記方向及び前記距離に応じて、複数の前記相互相関関数を計算し、複数の前記相互相関関数の各々の、前記最大ピーク値の絶対値のなかで、最も小さい値が、閾値よりも小さい場合に、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間が剥離し、一体性が低いと評価する
ことを特徴とする、請求項2に記載の上面増厚床版の非破壊評価方法。
【請求項4】
前記加速度センサは、前記基準波形と前記検査波形を取得する双方の場合において、第1加速度センサ、第2加速度センサ、第3加速度センサ、及び第4加速度センサを備え、
前記第1加速度センサと第2加速度センサは、前記表面上で、前記打撃点を通過する第1仮想直線上に、前記打撃点を挟んで互いに反対側に設けられ、
前記第3加速度センサと第4加速度センサは、前記表面上で、前記第1仮想直線に直交して前記打撃点を通過する第2仮想直線上に、前記打撃点を挟んで互いに反対側に設けられ、
前記第1加速度センサ、前記第2加速度センサ、前記第3加速度センサ、及び前記第4加速度センサの各々と、前記打撃点との距離は、等しい
ことを特徴とする、請求項3に記載の上面増厚床版の非破壊評価方法。
【請求項5】
打撃は複数回行い、前記基準波形と、前記検査波形は、それぞれ、前記加速度センサで複数回取得し、
前記基準波形と前記検査波形の各々に関し、複数回取得された、複数の波形の各々を、エネルギー正規化したうえで、複数の前記波形の間で平均を計算して、前記調整基準波形と前記調整検査波形を計算する
ことを特徴とする、請求項1に記載の上面増厚床版の非破壊評価方法。
【請求項6】
前記コンクリート系補修層は、繊維補強セメント系の材料により形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の上面増厚床版の非破壊評価方法。
【請求項7】
コンクリート層、コンクリート系補修層、及びアスファルト層が順に積層されて形成された上面増厚床版において、前記アスファルト層を破壊せずに、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間の一体性を評価する、上面増厚床版の非破壊評価システムであって、
前記上面増厚床版の、前記アスファルト層の表面を打撃した際に、前記上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた加速度センサで計測して波形を取得する、波形取得部と、
前記上面増厚床版の健全な部分に対して前記波形取得部により得られた基準波形を調整した調整基準波形と、前記上面増厚床版の検査対象となる部分に対して前記波形取得部により得られた検査波形を調整した調整検査波形と、の間で、波形形状が近いほど絶対値が大きくなるように設定された相互相関関数を計算し、前記相互相関関数の最大ピーク値を基に、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間の一体性を評価する、非破壊評価部と、
を備えることを特徴とする、上面増厚床版の非破壊評価システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、上面増厚床版の非破壊評価方法及び非破壊評価システムに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
コンクリート系の構造物は、経年によって、劣化や耐久性の低下が生じ得る。構造物が、例えば道路を形成するような床版である場合には、劣化や耐久性の低下に伴い、床版の形状等が変化して、交通に影響を及ぼすこともある。このような異常を早期に検出することを目的として、コンクリート系の構造物を、非破壊で検査することが、行われている。
【0003】
コンクリート系の構造物を非破壊検査するに際し、打音法が、広く用いられている。打音法においては、検査者が構造物の表面をハンマー等で打撃し、これにより生じる音を検査者が聞き分けることで、打撃した部分における異常の有無を判断する。打音法においては、異常の有無の判定精度が、検査者の技量や経験、感覚に依存する。このため、客観的で、定量的な判定を行うことが難しい。
【0004】
これに対し、コンクリート系の構造物の非破壊検査の他の方法として、インパクトエコー法が挙げられる。インパクトエコー法においては、鋼球を用いて構造物の表面を打撃して、弾性波を発生させ、センサにより、床版の内部を伝播した弾性波を計測して、これを分析することで、構造物の内部の状態が推定される。インパクトエコー法においては、打音法とは異なり、検査者の技量や経験、感覚に依存しない。このため、客観的、かつ定量的な評価が可能である。
【0005】
これに関連し、特許文献1には、コンクリート内部の剥離探査方法が開示されている。特許文献1の剥離探査方法においては、コンクリート表面を鋼球により打撃し、この打撃により発生する振動波形を加速度計により測定して、測定波形を振幅値の最大値の共通化により標準化し、この標準化した測定波形の振幅値の絶対値を算出し、一定時間内での上記絶対値を加算して振幅加算値を算出し、この振幅加算値を基準値と比較して、振幅加算値が基準値より大きくなる場合に剥離部があると評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2014-211333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような、道路を形成するような床版を、補強、補修するに際し、例えば道路がアスファルトで舗装されている場合に、アスファルトを一旦撤去して既設のコンクリート層を露出させ、コンクリート層の上面を切削した後に、コンクリート層の上に、繊維補強コンクリート等によりコンクリート系補修層を形成し、その上に再度アスファルト層を設けるようにして、上面増厚床版を構築することがある。このような上面増厚床版においては、上面増厚床版を構築した時点で、あるいはその後の経年劣化によって、コンクリート層と、コンクリート系補修層との間に、剥離が生じることがある。
【0008】
ここで、上面増厚床版においては、コンクリート系補修層がアスファルト層によって覆われているため、例えば特許文献1に開示された方法を上面増厚床版に適用する場合には、鋼球により、アスファルト層の表面を打撃することになる。しかし、アスファルト層はコンクリートよりも柔らかいため、コンクリート層とコンクリート系補修層の間の剥離の有無による、標準化した測定波形の波形の差異が、曖昧で、不明瞭なものとなる。このため、コンクリート層とコンクリート系補修層の間の剥離の有無を判定する際に、測定波形の振幅値の絶対値を比較する対象となる基準値を、剥離が有る場合と無い場合とが、明確に区別され得るように、適切に決定することは、容易ではない。したがって、特許文献1の方法を、コンクリート層、コンクリート系補修層、及びアスファルト層が順に積層されて形成された上面増厚床版に適用して、コンクリート層とコンクリート系補修層との間の一体性を精度よく評価するのは、難しい。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、コンクリート層、コンクリート系補修層、及びアスファルト層が順に積層されて形成された上面増厚床版において、アスファルト層を破壊せずに、コンクリート層とコンクリート系補修層との間の一体性を精度よく評価することができる、上面増厚床版の非破壊評価方法及び非破壊評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、コンクリート層、コンクリート系補修層、及びアスファルト層が順に積層されて形成された上面増厚床版において、前記アスファルト層を破壊せずに、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間の一体性を評価する、上面増厚床版の非破壊評価方法であって、前記上面増厚床版の健全な部分の、前記アスファルト層の表面を打撃した際に、前記上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた加速度センサで計測して基準波形を取得し、前記上面増厚床版の検査対象となる部分の、前記アスファルト層の前記表面を打撃した際に、前記上面増厚床版の内部を伝播した弾性波を、当該表面に設けた前記加速度センサで計測して検査波形を取得し、前記基準波形を調整した調整基準波形と、前記検査波形を調整した調整検査波形との間で、波形形状が近いほど絶対値が大きくなるように設定された相互相関関数を計算し、前記相互相関関数の最大ピーク値を基に、前記コンクリート層と前記コンクリート系補修層との間の一体性を評価することを含むことを特徴とする、上面増厚床版の非破壊評価方法を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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